2015-07-27

フッ素コーティングの撥水性低下

フッ素の撥水が弱くなっている。
お客さまからそういった感想を耳にします。


フッ素の撥水が弱くなっている理由


フッ素を応用したコーティング剤の撥水が弱くなっている理由は、環境保護と安全性の取り組みが影響しているのです。
高い撥水性を持つことができる「炭素数が8以上のフッ素化合物」は、環境と人体への悪影響が考えられることから、製造や使用について規制する動きが世界的に広がっています。

実質的に「炭素数7以下のフッ素化合物原料しか製造販売できない」ということになり、炭素数が少なくなるため、フッ素を使ったコーティングの撥水性が低下しているということなのです。

既に日本や欧米のフッ素化合物原料メーカーは、この規制や廃止に合致した動きを取っていますし、新興国や発展途上国の原料メーカーもこの動きに追従していくでしょう(フッ素化合物の製造は高度な技術と設備を要求されるため、新興国などの原料メーカーを私は知りません)。


フッ素に関する規制


少し詳しく事情を説明します。

フッ素原子は物質の中で最大の電気陰性度(希ガス元素を除く)を持ちます。
このため、フッ素原子や炭素原子などからなるフッ素樹脂は、固体の表面自由エネルギーが小さく、安定であり分解されにくい物質になります。

固体表面の表面自由エネルギーが小さいほど撥水性が高くなります。フッ素樹脂の場合、炭素数が多いほど表面自由エネルギーが小さくなります。

つまり、炭素数が多いフッ素樹脂ほどその撥水性や撥油性が高くなります。
高撥水性フッ素樹脂の場合、フッ素と結合した炭素数が8以上であることが目安となっていました。


ところが、「このような炭素数が8以上のフッ素化合物は安定し分解されにくいため、人体や動物などに取り込まれると体外に排出されにくく蓄積される」ということが問題となったのです。

流通していたフッ素樹脂原料のうち、撥水性の高いものの代表は下記のようなものがあります。これらは全て分子内炭素数が8以上であるという特徴があります

  • PFOA:炭素数8(ペルフルオロオクタン酸 Perfluorooctanoic acid)
  • PFOS:炭素数8(ペルフルオロオクタンスルフォン酸 Perfluorooctanesulfonic acid)
  • PFCAs:炭素数8以上(ペルフルオロカルボン酸 Perfluorocarboxylic acids)

撥水性や撥油性の高さに寄与する炭素数8以上のフッ素化合物は、世界的に製造や使用に関する規制や廃止が進められております。
例として、米国環境保護局:EPAの削減計画では、2010年までに95%削減(2000年比)、今年2015年全廃といった具合です。

(参考)環境省 国内等の動向について(PFOS)
http://www.env.go.jp/council/09water/y095-13/mat07_2.pdf


このため、
原料メーカーにおいて、炭素数8以上のフッ素化合物が製造されない状況になっており、「フッ素樹脂の撥水性は将来にわたって下がると考えられる」というわけなのです。

フッ素化合物原料メーカーは、できるだけ撥水性が下がらないように研究開発しているようです。

しかし、代替品として炭素数が6であるPFHA:ペルフルオロヘキサン酸などがありますが、どうしても撥水性低下への影響がでてしまいます。


弊社の取り組み


このような環境保護や安全性対策の動きから、撥水性コーティング剤はフッ素樹脂に頼らずに、撥水性の持続性に優れた多官能性ガラスコーティングや多官能性シリコーンレジンによるコーティング剤の開発製造に注力しております。

フッ素樹脂コーティングの撥水性が低下する中で、多官能性コーティングよりも、初期撥水性はごくわずかにフッ素樹脂の方が撥水性が高い場合があります。


これに対し、
弊社が採用する多官能性コーティング剤原料は進歩し続けていますし、強靭なガラス骨格と強力に結合した撥水性官能基により、長期間にわたり撥水性が持続します。フッ素樹脂のような環境負荷や安全性の問題もありません。

上記のような理由から、フッ素樹脂コーティングの撥水性は短期間に低下し、撥水性が持続しないことから汚れ付着を防止する保護能力に問題があるため、フッ素を積極的には使用しておりません。



なお、キラサク EXコーティングはフッ素樹脂を含有しております。


EXコーティングのフッ素樹脂の役割は、コーティング剤を塗り込み拭き取る場合の滑らかな感触を与えるために添加しております。


フッ素コーティングの持続性や耐久性の問題は、別途ご説明したいと思います。








フッ素コーティング関連記事




(参考)超撥水性コーティング
http://coating.th-angel.com/2014/02/blog-post_4.html
(参考)撥水性について
http://coating.th-angel.com/2014/12/blog-post_12.html

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2015-07-26

ムラの無いコーティング仕上げのコツ

一般ユーザーさまから、ムラなく綺麗に仕上げるコツに関するお問い合わせをいただくことがあります。


改めてポイントをまとめてみます。

キーワードは4つです。


  1. しっかりとした下地である。
  2. 汚れや古い被膜を除去する。
  3. 塗り込み・拭き取りにはフレッシュなスポンジやクロスを使用する。
  4. しっかりとやさしく拭き取る。



1.しっかりとした下地である。

 

塗装が白化している。

劣化した塗装の極端な例ですと白化した表面があります。上面を指で擦ると白い紛体がてに付着するような状態です。

このように白化している状態では、コーティングしても良い結果にはならないと考えてください。土台がグズグズに弱っていますから。

極端な例ですが、砂地にアスファルトで舗装しても、すぐに舗装がデコボコになり、剥がれたりしてどうにもなりませんよね。



塗装にクスミがある。

洗車後の表面を観察すると透明感が無く濁りのようなクスミがあることがあります。

クスミの原因にもよりますが、コーティングをすると濡れたように光沢が出る場合があります。しかし、コーティング本来の持続性は期待できません。

施工直後は、綺麗に施工できたように見える場合でも、その後汚れが付着して雨が降りかかると、汚れ方がまだらになったり、撥水や光沢がまだらになったりすることがあります。 

塗装表面にクスミがある上にコーティングをしても、土台が不安定な状態ですからコーティングに過度な期待をするのではなく、状態が良くなる場合もあるし、良くならない場合もあるかもしれない「試しにやってみる」程度ということかもしれません。



2.汚れや不要な被膜を除去する。



ワックスの場合。

ワックスを使ったことのある人に多いようですが、少しくらい汚れが着いていてもそのままワックス施工することがあります。
ワックスは主成分であるカルナバロウを、ペースト状に柔らかくしたり、液状にするため、石油系溶剤に溶かし込んでいます。

石油系溶剤は油性汚れを溶かすので、ワックスを塗り込むときに、汚れを巻き込みスポンジが黒くなることが多いですよね。

そのまま、タオルなどを使って余分なワックスを拭き取れば、石油系溶剤に溶解した汚れも一緒になってタオルに移ります。

汚れを含んだ石油系溶剤とカルナバロウは渾然一体となって、ごく薄く塗装表面に付着していますが、汚れが均一に溶解しているのでマダラ=ムラには見えにくいわけです。



水性コーティングの場合。


水性コーティングは石油系溶剤を含まないか、含んでいても微量です。ですから油性の汚れを溶解しません。

古いワックス(油性)が残っていたり、油汚れの除去などが不十分ですと水性コーティング剤の塗り込みや拭き取りの際に、汚れを一生懸命塗り伸ばし、塗り込んでいるような状況になります。

このような場合は表面上の汚れが不均一になり、マダラなクスミが発生することになります。

油汚れや古いワックスが気になるときは、市販の油汚れ除去用カーシャンプーを使って洗車したのち、流水で洗剤が残らないように充分に洗い流してから、再度コーティングしてみてください。


3.塗り込み・拭き取りにはフレッシュなスポンジやクロスを使用する。 


カーシャンプーを使用してキレイに洗車したのちにコーティング剤を塗ります。

せっかくきれいになったボディに塗り込むコーティング剤は、汚れのないフレッシュなスポンジやクロスを使ってください

拭き取りに使うクロスも汚れのない綺麗なクロスを使ってください。

水性コーティングは石油系有機溶剤不使用のため油を溶解しません。スポンジやクロスに油などの汚れが付着していると、コーティング剤と一緒にボディに油汚れを塗り込むことになります。

水と油は混じりませんのでムラとなります。

ワックスは油性ですから、スポンジやクロスに油汚れが付着していても、汚れとワックスが混じり合って均一に塗り込みますので、ムラが目立ちにくいのです。

あくまでも目立ちにくいというだけです。 



4.しっかりとやさしく拭き取る。


コーティング施工時の拭き取り・磨きが不充分とならないように、仕上げの拭き取り・磨きを均等にしっかりとおこなってください。

乾いたキレイなクロスを使用して、仕上げをおこなってください。
仕上げ作業中はこまめに目視点検をおこない、気づいたらその場でムラを解消してください。

仕上げ作業は力を入れすぎないでください。
車種や色などによっては、塗装が柔らかく傷つきやすい車があるようです。


特に夏場の塗装面温度が上昇しているこの季節は、塗装が柔らかくなり傷つきやすいので気をつけてください。
塗装面に触れて暖かいと感じる場合には、作業しないほうがよいと思われます。



 

キラサク GPコーティングEXコーティングの場合

GPコーティングとEXコーティング主成分は、シリコーンレジン原料を使用しております。シリコーンレジンはこれまでのものとは異なり、主骨格構造が3次元となっているため、液体でありながら塗装表面に密着し保護し続ける能力が高いものです。
 

シリコーンレジンは、3次元骨格構造により独特の粘弾性(液体と固体両方の性質)をもっているため、拭き上げ時のクロスの動きが重くなる(少しひっかかる)ような感触があります。
 

GPコーティングはシリコーンレジン濃度と純度が高いため、粘弾性の特徴が大きく出ていますので、拭き取りはしっかりとおこなう必要があります。
 

粘弾性の高さは、強さの表れでもあります。
(参考)シリコーンレジンコーティングの粘弾性と滑り止め
http://coating.th-angel.com/2014/02/blog-post_23.html

シリコーンレジンは拭き取りが不充分ですと、光沢ムラが発生するだけでなく、汚れが付着しやすくなります。
 

EXコーティングは、GPコーティング(シリコーンレジン)をベースにして、フッ素樹脂を追加配合しております。フッ素樹脂はシリコーンレジンの特徴を残しつつ、拭き取り感触を滑る方向に仕向けています。
 

したがって、EXコーティングはGPコーティングと比較して拭き取りしやすいのですが、元来シリコーンレジンですから、しっかりと拭き取ることで本来の美しさと強さ・汚れにくさを発揮します。
 

拭き取りの際には、広範囲を一気に拭き取りするのではなく、狭い範囲を、軽く、表面の透明感がでてきたことを観察しながら行ってください。





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2015-07-19

ガラス系コーティングと部分合成油 (その4)

前回記事に続いて、自動車レシプロエンジンの潤滑油(エンジンオイル)と、車ボディコーティングの役割と特質を対比してみたいと思います。

なぜエンジンの潤滑油とワックスを含むコーティングを対比させるのか?

エンジンの高性能化や高効率化にともなって、エンジンオイルも進化しており、オイルの技術的な変化の様子と、ボディコーティングの技術的な変化が似ていると感じたからです。

 

部分合成油エンジンオイルとガラス系コーティング


車用のエンジンオイルとコーティング剤として最も一般的なタイプであり、一言で表しますと、コストとパフォーマンスのバランスをとることを目的として商品化されたタイプです。



 

部分合成油エンジンオイル

部分合成油とは、鉱物油をベースにして化学合成油を添加することで、鉱物油と化学合成油の欠点を補い合うことを目的しています。
  • 鉱物油の欠点は、高温時や低温時の流動性が不安定であり、酸化劣化しやすいことです。このため、高出力高性能エンジンには不向きとされており、こまめなオイル交換が必要です。
  • 鉱物油の利点は、製造しやすいので価格が安いことです。
  • 化学合成油の欠点は、製造工程が複雑で高度な生産技術や設備が要求されるため、価格が高いことです。
  • 化学合成油の利点は、低温から高温までの広い温度範囲において流動性が損なわれることなく、酸化劣化しにくく安定した品質が長期間維持できることです。


部分合成油は、鉱物油をベースとして価格が高くなることを抑え、添加した化学合成油が低温時の始動性を向上し、高温になっても油膜切れを防ぐことで、エンジン保護性能を維持します。


 

ガラス系コーティングまたは、ガラス繊維系コーティング

鉱物油オイル的位置づけのワックスと、100%化学合成油的位置づけのシリコーンレジンの中間的なコーティング剤は、シリコーンオイルを原料としたものがあり、ガラス系コーティングやガラス繊維系コーティングと呼ばれています。

ガラス系コーティングやガラス繊維系コーティングは、部分合成油オイルのような位置づけとなるように思います。


シリコーンは基本分子骨格がケイ素(Si)と酸素(O)結合となっており、シリコーンレジンが三次元的構造に対して、シリコーンオイルは二次元的構造となっています。

ケイ素と酸素の結合密度の違いにより、オイル→ゴム→レジン→ガラスといった状態になります。

ワックスのカルナバ原料は、精製しやすく安価ですが、酸化劣化しやすいのでワックス自身が汚れの原因となりやすく、耐久性や防汚性はあまり期待できません。

カルナバワックスよりも、汚れにくく酸化劣化しにくいもので比較的安価な原料、それがシリコーンオイルです。


シリコーンオイルはシリコーンレジンと比較して、製造が容易であり無機骨格を有するケイ素化合物であるため、リーズナブルな価格で酸化劣化しにくいという特徴を持っているわけです。





ガラス系コーティングやガラス繊維系コーティングとは、ガラスに似たケイ素と酸素による分子骨格をもつシリコーンオイルを使用していることから、ガラス系といった名称となっているのではないでしょうか?ガラス系コーティングやガラス繊維系コーティングは、シリコーンオイルを主体として、シリコーンレジンを少量添加しているものもあるようです。


シリコーンオイルといってもベタベタしたものではなく、サラサラのタイプがあり、ガラス系やガラス繊維系コーティングにはサラサラのタイプが使用されれるので、いわゆる「オイル」といった感触ではありません。

 

弊社シリコーンレジンコーティングがリーズナブルな理由

キラサク GPコーティングは、シリコーンレジンのみです。シリコーンオイルを一切含みません。なのにシリコーンオイル原料の他社ガラス系コーティング剤・ガラス繊維系コーティング剤の価格と同等か、それよりも安いのはナゼでしょうか?

答えは、シリコーンレジン原料調達方法と加工方法に弊社独自の特徴があるからです。

くわしいことは、ここで言いたくて仕方がないのですが、遊びではないビジネスですからこれ以上は言えません。(^_-)-☆

もうひとつの答えはキラサク GPコーティングの中にあります。
よろしければ、一度手に取ってお確かめください。




(参考)

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