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2016-09-18

無溶剤ガラスコーティングのメリットとデメリット ~低分子タイプによる解決~

前回記事の中で、『無溶剤ガラスコーティング剤が「低分子タイプ」と「高分子タイプ」のどちらなのかは、塗りムラや拭きムラの起きやすさによって見分けることができる』とご紹介しました。

塗りムラや拭きムラの起きやすさは、コーティング液剤の粘度(粘性)と密接に関係しています。

小学校の図工で水彩絵の具を使って彩色しているとき、チューブから出したばかりの絵の具は粘度が高く、そのままの絵の具を筆につけて塗ると伸びがなく、塗りムラになったご経験はないでしょうか。
絵の具を均一にムラなく塗るためには、絵の具の粘度を下げるために、溶剤として水を使って薄めて使っていたと思います。

 

高分子タイプの課題と低分子化による対策

一般的な高分子タイプのガラスコーティング剤は、絵の具と同じように粘度が高いため、溶剤をうすめ液として使用します。
しかし、ガラスコーティング剤に使用する有機溶剤は、塗装面へのダメージや、人体・環境への悪影響が懸念されます。

弊社では、溶剤を含まずにコーティング剤の粘度を下げ、ムラを極力発生させずに施工性を向上させることを目標として、新しいコーティング剤の開発をおこないました。
このようなガラスコーティング剤を開発するにあたり、低分子タイプとすることで、溶剤を一切使用せずに、施工しやすいガラスコーティング剤を実現したのです。


不十分な低分子タイプ

市場には同じような考え方で、低分子タイプを目指して製品化されている例もあるようですが、低分子化が不十分なためでしょうか、拭きムラが起きやすく施工性が悪いものが散見されるようです。

 

従来の無溶剤ガラスコーティング剤のメリットとデメリット

低分子化が不十分なものも含めた、従来の高分子タイプ無溶剤ガラスコーティングのメリットとデメリットを整理します。

【従来の無溶剤ガラスコーティング メリット

1.ガラス硬化する成分量が多いため、膜厚感のあるリッチな仕上がりを得やすい。
2.有機溶剤を含まないため、塗装面や人体・環境に優しい。

【従来の無溶剤ガラスコーティング デメリット

有機溶剤(うすめ液)を含有しないまたは、低分子化が不十分なため、塗りムラや拭きムラが生じやすい。

デメリット「塗りムラや拭きムラが生じやすい」の解決

上記のような、溶剤を含有しない高分子タイプや、不十分な低分子タイプのメリットとデメリットに対して、十分な低分子化によってどのような解決がなされるのでしょうか。

従来のガラスコーティングは、ガラス化(硬化)する成分が比較的高分子であるため、ベタベタ・ネバネバしたものとなっていました。このため、塗りムラや拭きムラが発生しやすいものでした。

高分子タイプ(不十分な低分子タイプを含む)の施工の悪さを改善させるには、うすめ液である有機溶剤を加えることで、一時的なサラサラ状態に必要があります。


ところが、添加した有機溶剤の揮発性が高く蒸発が早いため、濃度が変化にともない塗り込みや拭き取り作業中の粘度が、サラサラからベタベタに変化します。


つまり、高分子タイプは作業性が悪く、保管時の品質も変化しやすいといわけです。

さらに、有機溶剤を加えますと、メリットであった膜厚感のあるリッチな仕上がりが得られなくなり、塗装や人と環境への影響が大きくなります。
これが『高分子タイプ』の無溶剤ガラスコーティング剤のデメリットの理由です。

 

低分子化した無溶剤ガラスコーティング剤が解決する

『十分な低分子タイプ』は、溶剤を含まない無溶剤ガラスコーティングであっても、「塗りムラや拭きムラ」が起きることはありません(ガラスコーティングは硬化型ですから、硬化が始まる前にきちんと拭き仕上げを行うことが前提条件です)。

その理由は、低分子であるためコーティング液剤自体の粘度が低いことがあげられます。粘度が低いとは、シンプルに表現しますと「ベタベタしていないサラサラである」ことを指しています。

低分子タイプにより、従来の無溶剤ガラスコーティングのデメリットが解決されるわけです。

それでは、低分子タイプが、ベタベタせずにサラサラである理由をご説明します。

 

分子量と粘度の関係

分子量と粘度(粘性)には、深い関係があります。

簡単に言いますと、同じような物資(液体)の場合、一般的に下記のような関係になります。

  • 高分子のもの:高粘度(感触はベタベタ・ドロドロ・ネバネバ)
  • 低分子のもの:低粘度(感触はサラサラ)

この関係は、次の「マーク‐フウィンク-桜田の式(Mark-Houwink-Sakurada)」によって表されます。
 

この式によれば、Kとaは物質固有の定数なので、M:分子量が大きくなる(より高分子である)ほど、η:粘度(粘性)が高くなります。逆に、分子量が小さくなる(より低分子である)ほど、粘度が低くなります。
η=KMa :マーク‐フウィンク-桜田(Mark-Houwink-Sakurada)
η:粘度(粘性)
M:分子量
K:物質固有の定数
a:物質固有の定数

 

低分子化した製品の身近な例 ~低分子ヒアルロン酸化粧水~

近ごろ、「低分子ヒアルロン酸」を配合した化粧品のテレビCMや広告をご覧になったことはないでしょうか。

ヒアルロン酸が化粧水などに使用されている目的は「保湿」です。
 

化粧水などの保湿成分として最も代表的であり、古くから使われているものがヒアルロン酸なのですが、化粧品用途のこれまでのヒアルロン酸は、ネバネバ・ベタベタとした感触のものでした。

近年、(マヨネーズで有名な)キューピー株式会社さんが「低分子ヒアルロン酸」を開発し、新しいタイプの化粧品原料や食品原料として製品化しました。


このような化粧品用途の低分子ヒアルロン酸は、下記のような特徴があります。

  • 低分子化により、保湿成分が皮膚に浸透しやすい。
  • 低分子化により、べたつきがなくサラッとした使用感が得られる。

いかがでしょうか、何かコーティング剤と似たようなキーワードが並んでいますね。

中でも、今回のテーマである「液剤としてのガラスコーティングの見分け方」に関係する、五感に現れるところに注目しますと、低分子化したヒアルロン酸は粘度が下がり、サラサラになるということです。


(関連記事)
無溶剤ガラスコーティングの見分け方 ~低分子タイプと高分子タイプ~ http://coating.th-angel.com/2016/09/blog-post.html

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2016-09-14

無溶剤ガラスコーティングの見分け方 ~低分子タイプと高分子タイプ~

弊社が製造する業務用ガラスコーティング剤は、「低分子タイプ」です。


低分子タイプとしている理由は、有機溶剤を使用しない無溶剤ガラスコーティング※1として製品化できるためです。


1.弊社の無溶剤ガラスコーティング剤は、有機溶剤のみならず、無機溶剤は含みません


いきなりですが、今お使いのガラスコーティング剤※2が、無溶剤なのかどうかを確かめる方法と、無溶剤であっても、低分子タイプなのか、それとも高分子タイプなのかを見分ける方法についてご紹介します。


2.ここでのガラスコーティング剤とは、固まる(硬化する)タイプのコーティング剤を指します。

Step1.最初に、無溶剤ガラスコーティングを確かめます。

コーティング剤の成分をネット検索で調べてみてみましょう。
溶剤が含まれているかどうかの調べ方をご紹介します。

Step2.次に、低分子タイプと高分子タイプを見分けます。

溶剤を含まないコーティング剤とわかりましたら、十分に低分子化されているかどうかを確かめてみましょう。
なんと、塗り込みや拭き取りの感触という、アナログな方法で見分けできます。その方法をご紹介します。


それではくわしくご説明します。



ガラスコーティング剤の成分を確かめる。


1. 容器ラベルや説明書に書いてある成分を調べてみましょう。



容器ラベルや取扱説明書に書いてある成分を、GoogleYahooなどのネット検索を使って調べてみてください。

もしも、成分名が一般的な名称ではないため、ネット検索ができない場合は、液剤の購入先に「安全データシート(略称:SDS)」または、「化学物質等安全データシート(略称:MSDS)」を要求※してください。

.上記のSDSMSDSを要求された販売者は、該当する書類を提示する義務があります。くわしくは下記のURLを参照してください。


(引用元:経済産業省ウェブサイト)化管法に基づくSDS制度(SDSの提供義務及びラベルによる表示の努力義務)の対象事業者について
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/qa/3.html#q1


2.液剤に溶剤が含まれていないか確認してください。


コーティング剤の成分の中に、有機溶剤が含まれていないか確認してください。
上記の容器ラベルや説明書、またはMSDSに記載されている成分に、有機溶剤が含まれていないか調べてみましょう。

調べ方は、言うまでもありませんが、ネットの検索を使って、成分名をネット検索すれば、おおよそのことがわかると思います。

ネット検索をしてもヒットしない場合は、成分の名称が一般的ではないためしょう。この場合は、コーティング剤の購入元に問い合わせてみるしかありません。


低分子タイプと高分子タイプを見分ける


無溶剤ガラスコーティングとして大別しますと、「低分子タイプ」と「高分子タイプ」に分けられます。


なお、成分名をみても低分子か高分子なのかはわからないことがあります。その理由は、次回記事の中で化粧水などに使われる「ヒアルロン酸」を例にしてご説明します。


見分け方は簡単です。


高分子タイプは、拭きムラが起きやすいものです。
塗り込みしてから、硬化時間が短いにも関わらず拭き取りをした場合も拭きムラが発生しやすいのです。


十分に低分子化したものは、規定時間内であれば、拭き取りが非常にスムーズです。
正しい作業をおこなえば、拭きムラが発生することはまずありません。


低分子タイプの無溶剤ガラスコーティング剤は、液体の粘度が低いために拭きムラが発生しないのですが、次回の記事では、分子量と粘度の関係を中心にくわしくご説明します。

(関連記事)
溶剤ガラスコーティングのメリットとデメリット ~低分子タイプによる解決~ http://coating.th-angel.com/2016/09/blog-post_18.html


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