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2017-10-26

フッ化水素酸にも負けないコーティング?【絶対に真似しないでください】

前回の記事では、ガラスを溶かすフッ化水素酸や、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム等のフッ化物類の無機酸について触れました。

フッ化物類の無機酸を使うと、「ウォータースポットとかイオンデポジットと呼ばれる、水シミを落としているつもりが、ガラスコーティングはおろか、車本体の塗装や金属、人体・環境にも深刻な悪影響を与える」というお話をしました。

この記事をお読みくださったAさんからご質問をいただきました。

それならば、「フッ化物類の無機酸にも耐えられるコーティングはできないのか?」というご質問です。

なぜ、そのようなことを聞かれているのか疑問に思い、失礼ながらこちらから以下のように逆質問をいたしました。
「フッ化物類の無機酸のような危険物は取り扱っていないはずなので、どのような意味があるのですか?」

Aさんのお考えは、「現実に、フッ化物類の無機酸を使ったウォータースポット除去剤があるのだから、それに負けないコーティングはできないものか」という、単純明快なものでした。

なるほど、「危険は承知の自己責任で」というようなことのようです。

このような考え方は全く賛同できませんし、あえて(不必要に)危険性の高いものを使うことに加担するような提案や、製品を製造することはできません。

このため、Aさんには申し訳ないのですが、「ご提案することはできません」と回答いたしました。

仕事上では、このような回答になるわけですが、個人的には少々興味があり、フッ化物類の無機酸に耐えうるようなコーティング剤はできないものかと、考えてみることにしました。

ここからは、私の頭の中の想像で書いているだけなので、まったく何の根拠も実績もありません。ここに記載していることを参考にしたり、何かを実施することは絶対におこなわないでください。

以下の記事は、フッ化水素酸を例にして書いておりますが、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウムは水と触れることで、フッ化水素が発生しますので、危険性や毒性は同等と考えてください。


フッ化物類の無機酸にも耐えられるコーティングを考えてみる
フッ化水素酸や、水と触れたフッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム等のフッ化物類の無機酸は、ガラス、鉄やアルミニウム等の金属、カルシウム、マグネシウム等の無機物や、皮膚、骨、プラスチック、ゴム、塗装、木材のような、ほとんどの有機物も激しく腐食させてしまいます。

ここで、ちょっと気になりませんか。
保管する容器は何を使うのだろう?

多くの物質に対して、腐食性をもつフッ化物類の無機酸を保管するのに、どのような材質の容器を使用するのでしょうか?

フッ化水素酸の保管は、主にフッ素樹脂(PTFE)素材の容器を使用します。
フッ化水素酸の濃度が低い(薄い)場合は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)やポリエチレンテレフタレート(PET)素材も容器として使用できるようです。
  • PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂の一種)
  • PP:ポリプロピレン
  • PE:ポリエチレン
  • PET:ポリエチレンテレフタレート
と言うことで、フッ化水素酸に耐薬品性をもつ、PTFE/PP/PE/PETを素材として、コーティング剤ができないか考えてみましょう。


PTFEコーティング
現場施工が可能なコーティングとして実現性がないものとして、最初にあげられるものがPTFEです。PTFEによるコーティングは、フライパンや鍋などの「テフロン」が有名です。

このような、PTFEをコーティングする(定着させる)には、高温(300℃以上)で焼き付ける必要があります。このような高温で処理しますと、車の樹脂部品等への悪影響がありますので、PTFEコーティングは現実的ではありません。


PP/PE/PETコーティング
PP/PE/PETを現場施工でコーティングすることができるのでしょうか。

仮にPP/PE/PETをコーティングできたとしても、車の塗装よりも紫外線や熱、酸性雨や大気中の化学物質によって酸化劣化しやすいため、意味がないですし、むしろしないほうが良いでしょう。

そもそも、PP/PE/PETを現場施工できる高透明なコーティングは、イメージもわかないので、検討する余地がありません。

このため、少し視点を変えて、PP/PE/PETに近い組成のワックス剤から考えてみましょう。


蝋(ロウ)ワックス
PTFEやPP/PE/PETにような合成樹脂が発明されておらず、この世にない時代のフッ化水素酸の保管はどのようにしていたのでしょうか?

金属の鉛や白金はフッ化水素酸に対する耐力があるようです。長期間や濃度が高い場合は、鉛や白金を容器として使用していたようです。

フッ化水素酸の濃度が低い売位の保管や、一時的な保管にはガラス瓶の表面に蝋ワックスを塗布したような容器を使用していたそうです。

パラフィンや、蜜蝋・カルナバ(カルナウバ)等の蝋(ロウ)を原料とするワックスは、分子内の炭素原子の結合が鎖状になった有機化合物です。これらの天然樹脂は、上記のPP/PE/PETのような合成樹脂とも似た分子骨格となっております。

ただし、このような容器を使用していた昔は、フッ化水素酸による事故が多かったようですから、前例として考えることはしないほうが良いでしょう。

繰り返しになりますが、あくまでも「頭の中で想像してみるだけ」の話です。

仮に、上記のようなワックス類がある程度のフッ化物類の無機酸に耐力を持っていたとしても、車のコーティング剤としては、下記のように耐久性が弱く、ワックス自体が汚れの原因となるためおすすめできません。
  • 太陽光(紫外線)や熱に弱く、酸化・劣化しやすい。
  • 酸性雨(窒素酸化物等)やアルカリなど化学物質に弱く分解されやすい。
  • 上記のような理由で分解・劣化したワックスが「汚れ」そのものとなる。

結論
ということで、PTFEやPP/PE/PETは現場施工コーティング剤としての実現性がなく、パラフィン、蜜蝋やカルナバ蝋等のワックスは、従来からわかっていることですが、酸性雨や紫外線・熱に弱く、それ以上でも以下でもありません。

そもそも、近くの化学工場の事故でもない限り、フッ化物類無機酸の雨は降らないですし、百害あって一利なしのフッ化物類の無機酸を使ったウォータースポットクリーナーや、イオンデポジット除去剤を使わなければ良いことです。

それから、この記事を読んで「白金(プラチナ)や鉛入りコーティング剤とか、カルナバロウ入りコーティング剤によって、フッ化物類の無機酸にも耐えるものができました!」とか言わないでください。

「何々入り」程度で、それらに耐えられるほどの物はできませんから(笑)。

くれぐれも、この記事を読んで「実験をしたり、ましてや誤った宣伝をしたり」そのようなことが無いようにしてください。

(参考)ウォータースポットに有効なのは酸性かアルカリ性か
http://coating.th-angel.com/2017/09/blog-post.html

(参考)フッ化水素酸にも負けないコーティング?【絶対に真似しないでください】
http://coating.th-angel.com/2017/10/blog-post_26.html

(参考)ウォータースポットの除去と対策
http://coating.th-angel.com/2016/10/waterspot.html

(参考)ウォータースポットの原因
http://coating.th-angel.com/2016/11/water-spot-cause.html

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2017-09-18

ウォータースポットに有効なのは酸性かアルカリ性か

以前にも増して、ウォータースポット除去に関するお問い合わせをたくさんいただいております。


●最近のご質問

  • ガラスコーティングに影響を与えずにウォータースポット除去ができないのか?
  • 酸性の除去剤を使用したいが問題はないのか?
  • アルカリ性の除去剤を使用したいが問題はないのか?

このような質問にお答えする前に、ウォータースポットを除去することは、人体にできたがん細胞を取り除くことに似て、「発見が早く軽度の場合は、比較的影響の小さい除去方法」があります。

「発見が遅く重度になるほど、健全な部分にも影響を与えてしまう除去方法」と考えていただきたいと思います。

このあたりの理由も含め、改めてウォータースポット除去について考えてみましょう。

●ウォータースポットの原因

ウォータースポットは、主に無機の汚れ物質固着が原因となって発生します。
今回は、皆様の関心が高く最も落としにくい、この無機物汚れの除去について触れてみます。

ウォータースポットが発生するメカニズムを簡単に言いますと下記のようになります。
「表面に着いた水道水、雨水や雪等に含まれる無機物質※が、水の蒸発とともに汚れとして堆積したり固着することによる」
※.カルシウム、マグネシウム、シリカ、塩素、ナトリウム、鉄など


●ウォータースポットはなぜ落としにくいのか

ガラスコーティングをした車の塗装部や、窓ガラスに固着するウォータースポットは、特に落としにくい汚れであり、経験のある方も多いことでしょう。

物質同士がくっつく一般的な話として、以下のようなことが言えます。


  1. 無機物同士はくっつきやすい。
  2. 有機物同士はくっつきやすい。
  3. 同じ物質同士は非常に強くくっつく。
  4. 無機物と有機物はくっつきにくい。

つまり無機物的なガラスコーティングには、油分や虫・花粉などの有機物汚れが固着しにくい利点を持っているのと同時に、水に含まれているカルシウム、マグネシウム、シリカ、塩素、鉄などといった無機物が固着しやすいといった欠点を合わせ持っています。

特にガラスコーティングや窓ガラスは、言うまでもなくケイ素(Si)と酸素(O)すなわち二酸化ケイ素:SiO2からできています。と言うことは、汚れである水に含まれるシリカ(二酸化ケイ素:SiO2)と非常に強く結合し、ガラスのひとかたまりとなるわけです。

これが最も厄介な汚れである「シリカ(ガラス)由来のウォータースポット」です。

これは、シリカ等の無機イオンを含む水が蒸発することによって発生するため、イオンデポジット(和製英語?)とも呼ばれています。

ウォータースポットが落としにくい理由は、ガラス(基材)とガラス(汚れ)が一体化してできた汚れなので、汚れ部分のガラスを落とそう(削る・溶かす・剥がす)としても、ガラスコーティングや窓ガラスにも影響を与えてしまうということなのです。

まさに、がん細胞(汚れ)と正常細胞(基材)の関係のようではないでしょうか。



●ウォータースポットを除去する方法とは

ウォータースポットのように、強く固着した汚れを落とす方法として大きく分類しますと、以下のふたつの方法があります。
  1. 削って落とす。
  2. 溶かして落とす。

「上記の両方(削る・溶かす)を使って落とす」方法もありますが、原理的にはこのようになります。


●削って落とす
今回本記事でお話している、無機物汚れによるウォータースポットを除去する場合、すべての汚れに対して有効なのは、ラビングコンパウンド(研磨剤、以下コンパウンド)を使用した方法です。

お気づきのように「削って落とす」場合は、汚れ落としとともに、非常に薄い被膜であるガラスコーティングにも何等かの影響を与えてしまうことがあります。窓ガラスの場合は汚れの厚さに対して、窓ガラスが厚いため神経質に考える必要はないでしょう。

コンパウンドを使用した方法は、医療に例えますと外科手術のように、余計な患部を切除することに似ています。

軽度のウォータースポットの場合は、市販の微粒子のコンパウンドを使用して除去することができるかもしれません。

しかし、シリカ汚れによるガラスとの強力な固着が原因の場合は、最適な研磨剤と設備や道具を選択しながら、細心の注意と熟練した技術による除去作業が必要です。この場合は、専門の磨き事業者さんにお願いすることになると思います。


●溶かして落とす
溶かして落とす市販の除去剤には様々なものがあります。
その中でも「何でも良く落ちるものほど危険性が高く、ガラスコーティングはひとたまりもないもの」と考えてください。

最も頑固なシリカ(すなわちガラス)汚れを落とすものは、ガラスを溶かすものです。
ガラスを溶かすものは、世界中どこを探してもフッ化物系の無機酸しかないのです。

ですから、シリカ=ガラスを溶かすものはすべて危険です。

私は健康に生きながらえたいので、そのようなウォータースポット除去剤は絶対に使いません。


軽度の汚れを溶かして落とす

基本的に、軽度(汚れの発見が早い)のウォータースポットに有効なものは、人体や車、環境にも優しいタイプと言えます。このような除去剤は、有機酸を中心に構成されたものです。

有機酸※は、カルシウム・マグネシウム、塩素や鉄など原因物質とする汚れです。汚れがついてから短期間の場合には、ある程度の効果が期待できます。

一方、有機酸は、シリカを原因物質とする汚れに対しては、効果が望めません。


※.有機酸の例:クエン酸、乳酸、グリコール酸など


中程度以上の汚れを溶かして落とす

安全性の高い有機酸による除去剤で落ちないウォータースポットを「中程度以上の汚れ」とします。
このような中程度以上の汚れを溶かす場合には、無機酸を使用することになります。

しかし、無機酸を使用するような汚れ落としは、まったくおすすめしません。
有機酸による除去剤で歯が立たない場合は、前述の研磨剤(ラビングコンパウンド)を使用した、ウォータースポット除去剤の使用をおすすめします。

無機酸を使用しない理由は、車が金属でできているためです。無機酸の多くは金属を強く腐食させます。それと、無機酸には、急性の(健康)傷害を起こすものと、時間を経てから重篤な傷害や病気の原因となるものがあり、健康に有害だからです。

無機酸として身近なものとして、塩酸、硫酸、硝酸、スルファミン酸、フッ化物系の酸などがあります。
  • 塩酸:カルシウムや鉄を溶解する。シリカは溶けない。揮発性が高くガス化することで、直接液体が触れていなくても金属を腐食させる。皮膚を腐食させる。
  • 硫酸:鉄を溶解する。カルシウムやシリカは溶けない。金属や皮膚を腐食させる。
  • 硝酸:カルシウムや鉄を溶解する。シリカは溶けない。金属や皮膚を激しく腐食させる。金属と反応して有毒ガス(窒素酸化物)を発生させる。
  • スルファミン酸:カルシウムを溶解する。鉄やシリカは溶けない。金属や皮膚の腐食性は小さい。(参考:クエン酸など有機酸と組み合わせて、除去剤として使用される場合がある)
  • フッ化物系の酸※ガラス=シリカを溶解する唯一の酸であり、カルシウムや鉄等を含めた無機物全般の溶解力が非常に高い。金属や皮膚・骨などを非常に激しく腐食させ、危険性や毒性が非常に高い。
    ※.
    フッ化物系の酸の例としては、フッ化水素酸(フッ酸)、フッ化アンモニウム(フッ化水素アンモニウム)、フッ化ナトリウムなどがあります。

もしも、現在お使いのウォータースポット除去剤(研磨剤ではないもの)が良く落ちる場合は、一度中身を調べてみてください。心配な時は、除去剤の購入先や製造元に「安全データシート(別名:MSDS、SDS)」の提示を求めてください。

特にフッ化物系の酸は、濃度が薄くても使い続けることで、慢性の中毒症(目、呼吸器、神経、皮膚、骨や歯の病気)が懸念されます。

上記のような無機酸を使用しているようでしたら、使い続けるリスクをしっかりと認識する必要があります。

車の塗装やウインドウガラスをキレイにしたつもりが、車本体やあなた自身の寿命に影響しているかもしれないのです。


●最近とても気になること

上述のように、ガラスコーティングやウインドウガラスに固着するシリカ=ガラスを溶解(腐食)させることができる物質は、フッ化物系の酸のみです。
ガラスを腐食させる能力は、人体にとっても非常に有害であることを忘れてはなりません。

フッ化水素酸(フッ酸)の危険性や毒性については、知られてきているようですが、下記のような誤った情報がネットなどを通じて広められているようです。


  • 誤情報の例-1
    フッ化アンモニウム(フッ化水素アンモニウム)、フッ化ナトリウムの腐食性や危険性が小さい?

    この話は、どうもフッ化アンモニウム、フッ化ナトリウムの安全データシート(別名:MSDS、SDS)の読み方を誤っているものと考えられます。

    フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム自体は、固体(粉末)で流通していることが多いのです。「これらが固体の状態では危険性や毒性があるものの、フッ化水素酸ほどの強さではない」ということは間違いありません。

    しかし、ウォータースポット除去剤として製品化した場合は「水」と混合されます。
    フッ化アンモニウムやフッ化ナトリウムは水と反応して、フッ化水素酸を発生させます。

    実はこれらの粉末が、人体の汗(汗の主成分は水です)に触れただけでも、フッ化水素酸が発生し強毒化するのです。


    (参考)米国海洋大気庁(NOAA) 化学物質データベースにおけるフッ化ナトリウム (AMMONIUM FLUORIDE)情報https://cameochemicals.noaa.gov/chemical/2427


  • 誤情報の例-2
    弱酸性だから、腐食性や危険性が小さい?
    アルカリ性だから、腐食性や危険性が小さい?


    フッ化水素酸は弱酸性です!
    フッ化水素酸は、強酸性の塩酸よりも危険性や毒性が高いのです。

    硫酸は、濃度が薄い場合は強酸性ですが、濃度が濃い場合は弱酸性です。

    フッ化アンモニウムやフッ化ナトリウムの水溶液は、中性または弱アルカリ性を示します!

    ペーハー(pH)値だけで、腐食性や危険性を判断することはできません。
    「アルカリ性なので安全です」アピールは要注意です。


予防が一番

上述の通り、ウォータースポットが発生したら非常に厄介です。人の病気対策に例えて恐縮ですが、とにかく予防が一番大切です。


  • ウォータースポットを発生させない。
  • ウォータースポットの固着を遅らせる。

予防には、事前の予防処置と監視が重要ということで、無機物汚れと有機物汚れが着きにくい、無機有機ハイブリッド構造のシリコーンレジンコーティングで、愛車とあなたの健康をお守りいただければ幸いです(笑)。


(参考)ウォータースポットに有効なのは酸性かアルカリ性か
http://coating.th-angel.com/2017/09/blog-post.html

(参考)フッ化水素酸にも負けないコーティング?【絶対に真似しないでください】
http://coating.th-angel.com/2017/10/blog-post_26.html

(参考)ウォータースポットの除去と対策
http://coating.th-angel.com/2016/10/waterspot.html

(参考)ウォータースポットの原因
http://coating.th-angel.com/2016/11/water-spot-cause.html

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2016-11-07

ウォータースポットの原因

車の汚れの中でも最も厄介な「ウォータースポット(別名:イオンデポジット)」に関する発生原因について、くわしく説明します。
ウォータースポットに関し、下記のような項目ごとに記載しております。なお、本ブログではイオンデポジット(別名:イオンデポジット)に関して下記のように定義しております。

イオンデポジット Ion Deposit
ネット上などで見かける言葉ですが、英語では”Ion Deposit”とは言いませんので和製英語ではないかと思われます。
確かに、さまざまな無機物イオン(ion)が雨水や水道水などに溶け込み、ボディ塗装面や窓ガラスに付着した水が蒸発したのちに、残留した各種の無機物が堆積物(deposit)となるという意味だと思われます。これはこれで言いえて妙ということでしょう。
このイオンデポジットについては、日本のコーティング業界独特の言葉と考えて、当ブログでは英語圏でも一般的な用語「ウォータースポット(Water Spot)」に統一しております。

【本記事の関連項目】
【ウォータースポットの原因(本記事)に記載】
1.ウォータースポットってなんだろう
2.ウォータースポットの原因物質
3.ウォータースポットの発生
 
ウォータースポットの除去と対策に記載】
4.ウォータースポットの除去
5.ウォータースポットの予防対策
6.ウォータースポットをバリアする
7.塗装を腐食させるウオータースポット(酸)をバリア
8.塗装につくウオータースポット(シリケート)をバリア
9.窓ガラスにつくウオータースポット(シリカ)をバリア
10.ウオータースポットをがっちり!それともお手軽バリア?
11.ウオータースポットを100%バリアできるの?
ウォータースポットに有効なのは酸性かアルカリ性か
【フッ化水素酸にも負けないコーティング?(絶対に真似しないでください)】

1.ウォータースポットってなんだろう

「ウォータースポット Water Spot」 別名:イオンデポジット Ion Deposit
スケール、水染み、雨染み、ウロコ、水垢、クレーターなど様々な呼び方をされます。

「ウォータースポット」それは、クルマ外装ボディの塗装部、窓ガラス部に発生するものの中で、落ちにくい汚れの代表格ではないでしょうか。

洗車や降雨・降雪の後の水滴が乾燥した際、ウロコやクレーター状になり、カーシャンプーで洗ったくらいでは除去できない厄介なアノ汚れです。

ウォータースポットとは、一言でいえば、付着した水滴に含まれるさまざまな汚れ原因物質が、水分の蒸発とともに塗装や窓ガラスを腐食させ、堆積固着する汚れですね。

 塗装や窓ガラスの異なった素材に発生する「水に由来する複合化した様々な汚れの総称」と考えられます。



2.ウォータースポットの原因物質

一見すると無色透明の水。 しかし、大気中から降ってくる雨水や、河川や地下を流れてくる水道水・井戸水などにはさまざまな物質が含まれています。

大変ありがたい命の水なのですが、残念ながらウォータースポットとなる原因物質として、この水にはどのようなものが含まれているのでしょうか。?

雨水や雪によるもの

雨水に含まれる汚れ原因物質は、地理的条件や季節・大気汚染などの状態によって大きく異なるようです。

水は様々な物質を溶かし込む性質があるため、雨が地上に落ちてくる間に大気中の有機物、無機物を取り込みながらクルマの上に降り注ぎます。

雨水の中にも、分量や比率は異なりますが水道水と同様の無機物を微量ですが含んでいます。

雨水による汚れ原因物質の特徴は、酸性雨の原因物質である窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)などを由来とする有機物イオンや、ニッケル、銅、亜鉛、銀、カドミウム、鉛などの重金属類イオンなどが含まれていることにあります。

このほかにも、花粉や黄砂などの季節や場所によって大きく変化する汚れ原因があります。?


水道水や井戸水によるもの

洗車に使用する水道水や井戸水は、取水した際の元々の水質や、水道水として後から添加されるものなど、汚れの原因となる物質が含まれています。

特に汚れの原因物質として考えられるものとして、ミネラルと呼ばれるケイ素、塩素、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄などの無機物イオンがあります。

雨水のような有機物や重金属類の含有量は微量であると考えられます。 ご存知のように、日本国内全般の水道や井戸の水質は、ミネラルが豊富で飲んでおいしい軟水です。

ミネラルが豊富なわけは、国土が急峻な山国であるため、雨水が河川や地下水となる際に、岩石に含まれる天然のミネラル成分を多く溶け込ませているためです。 特に火山国である日本の軟水は、ケイ素を比較的多く含んでいるのが特徴です。


3.ウォータースポットの発生

塗装や窓ガラスについた雨水や水道水は、一見すると同じような無色透明の水です。 しかし、含まれている汚れの原因物質は大きく異なります。 無色透明の水滴でありながら、どのようにして汚れを発生させるのでしょうか。



雨水や雪によるウォータースポットの発生

(1)塗装への付着[有機物汚れ(酸性雨)]

地球規模での経済活動の活発化に伴い、工業生産・自動車などからの排気に代表されるように、大気中の窒素酸化物や硫黄酸化物や重金属類が年々増加しています。

雨水は大気中の窒素酸化物や硫黄酸化物と重金属類を取り込み、イオン化したそれぞれの相互作用により酸が生成され、酸を含んだ雨水となって地上に降り注ぎます。


塗装についたウォータースポットを観察しますと、エッチング※したようなリング状の輪郭、水平な面での発生、夏季に集中的に発生することなどから下記のように考えられます。 ※エッチング:化学反応による腐食作用を用いた整形・表面加工の技法。

  1. ボディに付着した酸の雨滴が太陽熱で濃縮し、酸濃度が増大する。
  2. 同時に塗装が熱で軟化し、酸性の水分が塗装に浸入する。
  3. 酸濃度が高くなる雨滴外周部から分解が始まり、そこに雨滴が選択的に集まって輪郭部に深いエッチングを生じる。
このように雨水に含まれる有機物は、酸を含んだ酸性雨となってエッチングと同じようなプロセスで、塗装を腐食させていくものと考えられます。

「クルマの塗装は酸によって分解され、腐食が進みダメージを受ける」ということなのです。




(2)窓ガラスへの付着[有機物汚れ(酸性雨)]

硫酸、塩酸などの強い酸の容器がガラスであることをみてもわかるように、ガラスが酸による腐食に強いため、窓ガラスは酸性雨によってダメージを受けることは無いと言ってもよいでしょう。

窓ガラスに発生するウォータースポットは、水道水や井戸水に含まれる無機物による汚れが支配的ではないでしょうか。


水道水や井戸水によるウォータースポットの発生

(1)塗装への付着[無機物汚れ]

塗装は、樹脂や顔料などを原料としている有機物です。 その上に水道水などをかけ流し、拭き取らずにそのままにしておきますと、水滴状になってその後次第に水分が蒸発します。

水道水や井戸水には、ケイ素や、塩素・マグネシウム・カルシウムなどが含まれています。 水に溶け込んだケイ素は、溶性ケイ酸:イオン状シリカとして存在し、水の蒸発にともない、マグネシウムやカルシウムなどの金属イオンが結びつき、シリケート(ケイ酸塩)が発生します。

塗装面に堆積したシリケートが固着(スケールまたは、イオンデポジットとも呼ばれる汚れ)します。

塗装面とスケール化した無機物汚れであるシリケートは、主に「機械的接合※」によって固着するものと考えられます。

※.機械的接合:塗装面は少なからず凹凸がある。その凹部にシリケートが入り込み固化して界面が結合する。



(2)窓ガラスへの付着[無機物汚れ]

窓ガラスには、上記のような塗装面のようなスケールが発生して堆積し固着することもありますが、それよりもガラスが無機物であることによる、頑固で厄介な汚れに特徴があります。

その厄介な汚れとはどのように付着するのでしょうか。

窓ガラスの主成分は二酸化ケイ素(SiO2)です。 水道水に含まれるケイ素(Si)が、水分が蒸発する際に、ケイ素の酸化によってシリカ(SiO2)となります。

「同質のものはくっつきやすい」という一般常識と同様に、窓ガラスとシリカは、お互いの電子を共有しあう非常に強い化学結合「共有結合※」となります。

言い換えれば、窓ガラスとシリカが溶け合って区別ができないような状態になることです。

※.共有結合:原子同士で互いの電子を共有することによって生じる化学結合。結合は非常に強い。分子は共有結合によって形成されるものである(単原子分子は除く)。


(参考)
親水性コーティング ~親水のメリットとデメリット~
http://coating.th-angel.com/2013/11/blog-post_13.html
ウォータースポット(イオンデポジット)除去にサンポール(塩酸)?http://coating.th-angel.com/2014/05/blog-post_2.html


【本記事の関連項目】
【ウォータースポットの原因(本記事)に記載】
1.ウォータースポットってなんだろう
2.ウォータースポットの原因物質
3.ウォータースポットの発生
 
ウォータースポットの除去と対策に記載】
4.ウォータースポットの除去
5.ウォータースポットの予防対策
6.ウォータースポットをバリアする
7.塗装を腐食させるウオータースポット(酸)をバリア
8.塗装につくウオータースポット(シリケート)をバリア
9.窓ガラスにつくウオータースポット(シリカ)をバリア
10.ウオータースポットをがっちり!それともお手軽バリア?
11.ウオータースポットを100%バリアできるの?
ウォータースポットに有効なのは酸性かアルカリ性か 
【フッ化水素酸にも負けないコーティング?(絶対に真似しないでください)】

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2016-10-28

ウォータースポットの除去と対策

車の汚れの中でも最も厄介な「ウォータースポット(イオンデポジット)」の除去方法や、コーティングによるウォータースポットの予防とバリアなどの対策についてくわしく説明します。

ウォータースポットに関し、下記のような項目ごとに記載しております。なお、本ブログではイオンデポジット(別名:イオンデポジット)に関して下記のように定義しております。

イオンデポジット Ion Deposit

ネット上などで見かける言葉ですが、英語では”Ion Deposit”とは言いませんので和製英語ではないかと思われます。

確かに、さまざまな無機物イオン(ion)が雨水や水道水などに溶け込み、ボディ塗装面や窓ガラスに付着した水が蒸発したのちに、残留した各種の無機物が堆積物(deposit)となるという意味だと思われます。

これはこれで言いえて妙ということでしょう。

このイオンデポジットについては、日本のコーティング業界独特の言葉と考えて、当ブログでは英語圏でも一般的な用語「ウォータースポット(Water Spot)」に統一しております。


●本記事の関連項目
ウォータースポットの原因に記載】
1.ウォータースポットってなんだろう
2.ウォータースポットの原因物質
3.ウォータースポットの発生

【ウォータースポットの除去と対策(本記事)に記載】
4.ウォータースポットの除去
5.ウォータースポットの予防対策
6.ウォータースポットをバリアする
7.塗装を腐食させるウオータースポット(酸)をバリア
8.塗装につくウオータースポット(シリケート)をバリア
9.窓ガラスにつくウオータースポット(シリカ)をバリア
10.ウオータースポットをがっちり!それともお手軽バリア?
11.ウオータースポットを100%バリアできるの?

ウォータースポットに有効なのは酸性かアルカリ性か

【フッ化水素酸にも負けないコーティング?(絶対に真似しないでください)】

4.ウォータースポットの除去

ウォータースポット除去方法を考えるために、汚れの原因と発生プロセスを整理してみましょう。

ボディ塗装 窓ガラス
有機物汚れ 原因物質
酸性雨や空気中に含まれる酸性物質(NOx, SOx, 有機酸, 炭酸ガスなど)
酸性雨など有機物や酸による腐食や固着はほとんどない
発生プロセス 太陽熱などで酸性雨が濃縮され、同じく太陽熱によって軟化した塗装が酸によって腐食する
無機物汚れ 原因物質
水道水や井戸水などに含まれ、シリケート化する物質(ケイ素イオン、金属イオン)

水道水や井戸水などに含まれ、シリケート化する物質(ケイ素イオン、金属イオン)
発生プロセス 水の蒸発に伴い発生したシリケートが堆積し、塗装との機械的結合により固着する 水の蒸発に伴い発生したシリカ(ガラス)が、窓ガラスと非常に強く化学結合する

ウォータースポットは、上記表のように塗装を腐食させたり、窓ガラスと化学結合したりする大変厄介な汚れです。

厄介であるその理由は、何れの場合も腐食や固着、あるいは化学的結合といった汚れが時間を経てしまうと、溶解や研磨による方法で汚れを除去する必要があるということなのです。

キレイな状態にする作業の手間と、高度な技術を要することを考えれば容易に想像できます。

それでは具体的に、部位・原因ごとのウォータースポット汚れ除去方法はどのようになるのでしょうか?

塗装の有機物(酸性雨)汚れの除去 

塗装が酸によって腐食し、クレーター状に荒らされたような状態ですので、洗浄してキレイになるものではありません。

お気づきの通り、荒れた塗装表面を削り取り、その後平滑にしながら研磨による除去が必要になります。

塗装の無機物汚れの除去 

塗装の上にシリケートが堆積して固着したスケールですので、スケールを溶かして除去しなければなりません。

酢酸、塩酸や硝酸を用いることで、カルシウムやマグネシウムのスケールを溶解し除去することができます。

しかしお気づきの通り、酸の使用は、塗装や金属などを腐食させる危険性をともないます。

酸を使用しない場合は、研磨による除去が必要になります。

窓ガラスの無機物汚れの除去 

シリカが窓ガラスと強く化学結合して、溶け合ったような区別のつかない状態です。

シリカとガラスは同質のものです。

ご存知のようにガラスは濃硫酸・濃塩酸でも溶解できません。

シリカやガラスを溶解する酸としてあまり馴染みがないのですが、フッ酸(フッ化水素酸、フッ化アンモニウム)があります。

フッ酸を使ってシリカと窓ガラスの結合を切り取ろうとすると、同時に窓ガラスも影響を受けてしまいます。

フッ酸は法律上「毒物」に指定されています。非常に強力な酸であり、危険過ぎて大切なクルマに使用することもさることながら、人体保安上からも一般使用を避けるべきものです。

酸を使用しない場合は、研磨による除去が必要になります。

5.ウォータースポットの予防対策

塗装や窓ガラスに付着したウォータースポットをキレイに除去するには、酸を使って汚れを溶解させるか、削り落として磨く必要があることがわかりました。

溶解や研磨は、失敗しますと取り戻すことはおろか、より状況を悪化させる可能性が高くなってしまいます。

このため、ウォータースポットは発生してから対処するよりも、できるだけ発生させないようにすることが一番の対策になります。

つまり予防対策することが一番大切というなのです。

ウォータースポットは、発生部位や原因物質によらず、雨水や水道水などの水滴が付着し、水分が蒸発する際に発生します。

そうです!理想的には水滴が付着したままにしないことが重要なのです。

「水滴がつかないようにする。ついたらすぐに拭き取る」 う~ん、言うことは簡単なのですが・・・。

実際にはほとんど不可能なことですね。

しかし、日頃の心がけとしては良いかもしれません。

雨水の拭き取りは、日常のクルマ使用においては実施困難ですが、「洗車の水滴はすぐに拭き取る」これなら実施可能ですよね。

クルマ好きの皆さんなら、当たり前のことでした。

せっかくキレイに洗車したのに水玉が残っていた。厄介なウォータースポットを発生させる原因を自らがつくっていた。

これだけは避けましょうね。

さて、モグラたたきのような普段のお手入れのお話でしたが、「ボディケアを少しでもラクに、状態の悪化をできるだけ避ける」こんな考え方で、事前防御するための予防手段を考えていきたいと思います。

もったいぶってしまいましたが考え方はこうです。

「塗装や窓ガラスにウォータースポットを固着させない、予防対策する」

この掛け声はなかなか良いと思われませんか?

そうなのです。

巷にあふれるボディコーティングやウインドウコーティングは、正しく使うことによってこのためにも役に立つのです。

次項では具体的にウォータースポットの発生部位と原因ごとに予防(バリア)する方法を考えていきましょう。

6.ウォータースポットをバリアする

ここでもう一度、ウォータースポットの原因と一緒に、汚れを防ぐバリア(コーティング)を考えてみましょう。

ボディ塗装 窓ガラス
有機物汚れ 原因 酸による塗装の腐食 ガラスは酸に強い
バリア 酸に強い被膜による保護
無機物汚れ 原因 シリケートと塗装の機械的結合 シリカとガラスの化学結合
バリア シリケートが結合しにくい海面に改質 シリカとの化学結合を阻害する海面に改質

ウォータースポットは、発生する部位と原因がそれぞれに異なります。

このため、残念ながらすべてに万能なコーティングはありません。

それぞれの目的に合うコーティングを選択するか、複合的に適用することで、効果的にさまざまな原因によるウォータースポットを予防=バリアすることが必要となります。

次項では、ウォータースポットの発生部位と原因ごとのバリアとして「塗装を腐食させる酸をバリア」について触れてみたいと思います。

7.塗装を腐食させるウオータースポット(酸)をバリア

(1)ガラスコーティングによるバリア

窓ガラス(SiO2、無機物)は酸性雨にもびくともしません。

もうお気づきですね。

塗装へのガラスコーティングは、硬くて微細なキズつきから塗装を守ってくれるだけではないのです。

ガラスコーティングは、ガラス(SiO2)状硬化被膜を形成し、塗装を酸による腐食から長期間にわたってガッチリと守ります。

しかし、ガラスコーティングは長寿命で高性能高機能なのですが、ガラス状硬化被膜となるため、失敗が許されない施工は、経験技術と設備が必要となります(施工失敗を取り戻すには研磨からやり直すことになります)。

このため、ガラスコーティングは専門の施工業者さんに委託する必要があり、手軽さや費用の面でやや敷居が高い面があるのはご存知のとおりです。

「ガラスコーティングまではちょっと」という場合は、被膜の寿命や性能の点ではやや劣るものの、誰が施工してもきれいに仕上がり、従来のワックスよりもカンタンで、洗車と一緒にラクな施工ができる、下記のシリコーンレジンコーティングをオススメいたします。

(2)シリコーンレジンコーティングによるバリア

シリコーンレジンは、オイルやワックスのような線状(直鎖状)の二次元的分子構造ではなく、ケイ素(Si)と酸素 (O)原子同士が、ガラス(SiO2)と同様にメッシュ状(網目状)の三次元的分子構造の主骨格(シロキサン結合)となるため、機械的・化学的に強いガラスとよく似 た物性を持っています。

これにより酸による腐食にも強く、柔軟性があり取扱いが容易な被膜を形成します。

シリコーンレジンは上記のとおり、ガラスと近似した無機物のような性質を持ち、酸に対しても強い耐力をもつため、塗装を酸による腐食から保護します。

「レジン=樹脂」という言葉からは、硬い固形の被膜を形成するようなイメージを抱かれるかもしれませんが、シリコーンレジンコーティングは、従来のワックスよりも簡単に施工することができ、ガラスコーティングのように被膜が固形化しないため、施工の失敗がない柔軟性のある被膜を形成します。

次項では、ウォータースポットの発生部位と原因ごとのバリアとして「塗装につくシリケートをバリア」について触れてみたいと思います。

(参考)洗車・コーティングと酸(参考)虫の死骸と鳥の糞 洗車・コーティング
(参考)ウォータースポット除去にサンポール(参考) ガラスコーティングを補うコーティング剤 ~メンテナンス剤として~

8.塗装につくウオータースポット(シリケート)をバリア 

塗装へのシリケート固着を防ぐために、表面自由エネルギーが小さいシリコーンレジンコーティングを施します。

表面自由エネルギーが小さいと、他の物質と接する表面積がミクロな分子レベルで小さくなり、シリケートなどの汚れが付着しにくくなるというわけです。


たとえとして、「表面張力が大きい水」と「表面張力が小さい油」の話があります(液体の場合、表面自由エネルギーのことを「表面張力」とも呼びます)。

油を塗った平滑な板の上に水滴を落とすと、水分子の表面張力の方が油分子の表面張力より大きいため、水はそのまま丸い固まりの状態を保ち、油と最小限の接点しかもたないような撥水性表面になり、お互いが混じり合う(汚れる)ことを防ぎます。

小難しい話ですが、塗装にシリコーンレジンコーティングを施すことによって、シリケートなどの汚れが接する表面積が分子レベルで小さくなります。

この結果、シリコーンレジンコーティングがシリケートなどの汚れをくっつきにくくし、時間経過とともに進行する固着を防ぐわけです。

このほかにも、シリコーンレジンコーティングは、塗装表面の細かなキズなどの凸凹の合間に入り込み、表面を滑らかにする(塗装の凹凸部にシリケートが食い込みにくくする)役割も果たしています。

このような複合的な要因により、塗装とシリケートの機械的接合を防ぎ、スケール汚れの固着を低減します。


補足:

「シリコーンレジンの表面自由エネルギーが小さい」というのは、被膜の強さとは別の話です。

シリコーンレジンは、原子間結合が「シロキサン結合」した主骨格を持ちます。

シロキサン結合はケイ素原子(Si)と酸素原子(O)が三次元的なメッシュネット ワークによって結合するガラス(SiO2、無機物)に近似した強い結合力により、機械的・化学的に強い被膜を形成します。

ケイ素上に多種類の有機置換基 (官能基)を備えているため、さまざまな機能性(界面特性)を発揮するものです。

くわしくは別の機会にご説明いたします。

次項では、ウォータースポットの発生部位と原因ごとのバリアとして「窓ガラスにつくシリカをバリア」について触れてみたいと思います。


9.窓ガラスにつくウオータースポット(シリカ)をバリア

窓ガラスとシリカの化学結合を阻害するためには、上記のようにシリケート付着を防止するシリコーンレジンコーティングの使用も、選択肢として考えられます。

しかし、ピュアなシリコーンレジンだけでは滑り性があまり良くないため、窓ガラスのワイパー動作がビビリやすくなることがあります。

このため、シリコーンレジンと同じく表面自由エネルギーが非常に小さいフッ素レジンコーティングを施します。

フッ素レジンがシリカを阻害する理由は、前記シリコーンレジンと同じく、他の物質を引き寄せる力が小さくなることと、フッ素レジンが、窓ガラスの細かな凹凸に入り込み表面を滑らかにすることによるものです。

フッ素レジンコーティングは、機械的・化学的に強いシロキサン結合した三次元のガラス状主骨格分子構造をベースに、水滴がつく表面側に炭素を結合させた有機フッ素を配向させることで、強い被膜を形成しながら無機物シリカが窓ガラスと化学結合しないように、有機フッ素がブロックする役割を担っています。

フッ素レジンコーティングは、優れた滑り性を持っているため、ワイパーのビビリが起きにくく、撥水性も優れているため、雨天走行時の視界確保にも有利です。

10.ウオータースポットをがっちり!それともお手軽バリア?


窓ガラスは、元来有機物汚れに強いので、無機物汚れに対するバリア:フッ素レジンコーティングを施すことで、ウォータースポットを予防できます。

一方、塗装については、有機物汚れと無機物汚れの両方に対する予防バリアが施すことが理想的です。

その際にはガラスの硬い被膜を長期間形成するガラスコーティングを施し、その上にシリコーンレジンをコーティングする案と、ガラスコーティングのみの案、シリコーンレジンコーティングのみの案の3パターンが考えられます。

さて、どれが一番皆さまのクルマ、カーライフに適しているのでしょうか?悩ましいですね。

キラサクが考える選択の目安をまとめてみます。

塗装のウォータースポット予防策 ガラスコーティングのみ シリコーンレジンコーティングのみ ガラスコーティング+ シリコーンレジンコーティング
有機物汚れ・酸性雨による腐食予防 ★★★ ★★☆ ★★★
無機物汚れ・シリケート固着予防 ★★☆ ★★★ ★★★
有効期間 ガラスコーティング 数年 数年
シリコーンレジンコーティング 3~6カ月程度 3~6カ月程度
施工性 ガラスコーティング プロの経験と技術が必要 プロの経験と技術が必要
シリコーンレジンコーティング 簡単施工 簡単施工、 ガラスコーティングのメンテナンスとしても最適

上記のようなバリアとして各種のコーティングが有効なのですが、それで万全なのでしょうか?


11.ウオータースポットを100%バリアできるの? 

すみません。

最初から謝ってしまうのはなんじゃー。

ですよね。

最強のガッチリコーティングをした。

それならばウォータースポットを100%防げるのか?ここまで能書きを垂れていながら、弊社がオススメするコーティング剤を使用していただいても、残念ながら100%バリアはできません。

いきなりのたとえ話で恐縮ですが、海水浴や女性が日常的使う「日焼け止め」を思い出してください。

海水浴に出かける際、必需品のひとつに日焼け止めがありますね。

オゾン層破壊が進行している現在は、なおさら強烈な紫外線から肌の露出を防御しなければなりません。

そうしないと、あとでとんでもないことになりますでしょう。

んーまぁ、仮にその時のヒリヒリは、なんとか我慢したとしましょう。

それよりも本当に恐ろしいのは、数年の期間を経ての、シミやソバカス、黒ズミといったトラブルの定着に加えて、最悪は皮膚ガンを誘発する可能性も大きくなります。

UVに対して100%の防御はできないけれども、皮膚が元来持っている紫外線に対する耐力を上手に補助してあげる。

そうすることで健康で美しい肌をできるだけ長く維持し続けることができる。

日焼け止めにも、UVカット能力の違いや、皮膚に留まる能力の違い、それぞれに使いやすさなどの使い心地が異なります。

さまざまな日焼け止めの中から、目的や条件に合ったものを上手に選択し使用することで、健康維持に役立てることが求められます。

このほかにも、アフターケアとして日焼け後に肌の様子をみながら、ローションを塗ったりして紫外線による炎症を早めに沈静化し手当てをしてあげる。

そういう日常的な意識をもって、肌のケアをしてあげることが、最も大切なことではないでしょうか。

おっと、どこかの美容部員みたいになってしましました。

塗装や窓ガラスのコーティングは、お肌の日焼け止めと似ているなぁ、と思うのですがいかがでしょうか? クルマの使い方や、ライフスタイルなど自分に合ったコーティングを上手に選んで上手に使う。

コーティングをしていて、もうひとつ良いことがあります。

ウォータースポットが固着する前ならラクにウロコが落せることです。

厄介なウォータースポットから100%防御はできないかもしれないけれど、ときどきは気にして、ウロコ状の模様がついたら早めに洗車をしてあげて、クルマのアンチエイジングにどうぞお役立てください。

ここまで長文になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。


(参考)
親水性コーティング ~親水のメリットとデメリット~ http://coating.th-angel.com/2013/11/blog-post_13.html

ウォータースポット(イオンデポジット)除去にサンポール(塩酸)? http://coating.th-angel.com/2014/05/blog-post_2.html


●本記事の関連項目
ウォータースポットの原因に記載】

1.ウォータースポットってなんだろう
2.ウォータースポットの原因物質
3.ウォータースポットの発生

【ウォータースポットの除去と対策(本記事)に記載】
4.ウォータースポットの除去
5.ウォータースポットの予防対策
6.ウォータースポットをバリアする
7.塗装を腐食させるウオータースポット(酸)をバリア
8.塗装につくウオータースポット(シリケート)をバリア
9.窓ガラスにつくウオータースポット(シリカ)をバリア
10.ウオータースポットをがっちり!それともお手軽バリア?
11.ウオータースポットを100%バリアできるの?

ウォータースポットに有効なのは酸性かアルカリ性か

【フッ化水素酸にも負けないコーティング?(絶対に真似しないでください)】



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2015-03-07

ガラスコーティングで一番大事なこと

弊社は「コーティング剤のメーカー」ですので、『ガラスコーティングで一番大事なことは?』と問われましたら、即座に「ガラスコーティング剤の品質です」で答えたいところです。

しか~し、実はこういう風に言わざるを得ないのが悔しい!のですが、コーティングの仕上がり品質や、その後の耐久性に大きく影響するのは、皆さんお気づきの通り「正しい施工」であることは間違いありません。


ガラスコーティングって何だっけ

弊社では「ガラスコーティングとは、硬化しながらガラス状被膜を形成し密着するもの」と考えて開発・製造しております。

この定義からすると、ガラス状に硬化しないようなものは「ガラスコーティングではない」ということになるわけです。

もう少し詳しく言いますと、ガラスコーティングは、重合反応によって徐々に高分子化することで、ガラス状に固まっていくと同時に、塗装表面と結合して強く密着するものです。

ですからガラスコーティングは、一旦固まり始めると取り返しがつかなくなるわけです。

これは塗料に似ています。


ペンキ塗りを思い出してみてください。

ペンキ(塗料)塗りをしたときも、塗ってからすぐに塗料が固まり始めますので、塗膜が仕上がるまでは触ることができません。

塗り込みだけでなく、ペンキ塗りの下地づくりが不十分ですと、塗りムラになったり、しばらく月日が経つと、部分的に剥がれたりして見っともないことになってしまいます。


ひどい場合には、素地に対して定着しないようなペンキを選択したりすると、どうにもならないわけです。

改めてガラスコーティングを見てみますと、ペンキ塗り(高分子塗料)や、従来の高分子ガラスコーティング剤の難しいところを克服するため、弊社のガラスコーティング剤は、最新の低分子化技術によって塗り込みの簡便さや、硬化時間の最適化をチューニングしております。

その結果、手前味噌になりますが、現在考え得る高度な次元で、施工の失敗が少なく、作業がしやすいように調整できていると自負しております。


ガラスコーティング剤だけではどうにもならないこと

そのような最新技術による、施工性の高いガラスコーティング剤を使っても、より良い美観や耐久性を追求するためには、施工に関する乗り越えるべき、数多くのハードルがあります。

詳しいことは、施工事業者さまのウェブサイトに書かれていますし、事前に施工者の方との面談で話題になると思いますが、そのポイントとなることについて、ほんのごく一部をみてみましょう。


1.塗装状態の確認・診断

施工対象の車一台一台に塗装の状態が異なります。

同じ一台の車であっても、部位によって塗装の劣化状態や傷つき・汚れの度合や性質が異なります。


中には劣化が進み過ぎて、ガラスコーティングをするべきでなく、再塗装をすべき車だってあります。

ガラスコーティングを活かした効果が出せるかどうかを判断する。

この判断を間違えると、まるで医師が誤診をして、間違った投薬や治療をするのと同じように、車にとってもユーザーにとっても大きな影響を与えてしまうことになります。

劣化した塗装にガラスコーティングをしても、効果が出ないばかりではなく、かえって美観を損ねたり、触れば触るほど劣化した塗装に悪影響を与えてしまうかもしれません。

無理矢理に例えますと、家を建築する際の地盤調査の結果が悪すぎて、基礎工事に多くのコストと時間をかけても、「どうにもならない」というような感じに似ているのではないでしょうか。

そのような判断は、単なる施工技術だけではなく、豊富な施工経験や普段からの研究がものを言うのではないかと思います。


2.下地づくり

ガラスコーティングを実施することになり、最初の工程である下地づくりは特に重要です。

コーティング剤の性能を引き出して、被膜の良い状態を適切に維持するために、「下地づくり」が最も重要な工程であることはどなたも異論はないでしょう。

ガラスコーティング剤を提供している立場から言えば、理想的な下地づくりとは下記の2項目に集約されます。
 

  • 平滑性が高く鏡面であること
  • 残留物がないこと

言葉にすると簡単ですが、「言うは易く行うは難し」のごとく、完成度を求めることは非常に大変な作業となるわけです。

洗車などによって濃色車が白っぽく見えたり、虹色に見えたりするような微細な傷があるボディに、ガラスコーティングを施すことによって、しっとりと濡れたようになりました。というようなことがあります。

確かにガラスコーティング剤の良し悪しの目安として、コーティングの成果として認識できた。というような感じでしょうか。

平滑性の高い鏡面にすることができた塗装表面と、微細傷があるままの塗装表面の両方を施工した結果は、同じガラスコーティング剤を使用した場合、鏡面磨きができている方が、より美しい仕上がりとなるのは言うまでもありませんね。

また、鏡面磨きが完璧に仕上がった場合でも、表面にコンパウンド(研磨剤)に含まれる残留物や、微量の油分などが残っていたらどうでしょう。このような場合は、コーティングしてからしばらくの間は、何ともない美しいような感じに見えます。

しかし、そうした残留物がありますと、密着が弱くなることにより、熱ストレス(熱膨張)や振動、太陽光(紫外線)などの外部刺激を受けやすくなり、時間経過とともに微細なクラックや剥がれが発生して、ガラスコーティング本来の耐久性や美観が維持できないことになります。


3.その後の工程

下地づくりができますと、その後にはガラスコーティング剤の塗布→養生→仕上げ→確認などと、それぞれに経験と試行錯誤に裏付けられた、専門性の高い工程へと進んでいきコーティング施工が完成するわけです。


ガラスコーティングは間違いを許さない

いかに、極限まで作業性を向上させた高品質なガラスコーティング剤であっても、求められる結果は、強固に固着した美しい被膜を形成することにあるのです。

つまり、適正な施工は最高のコーティング品質を提供するが、失敗をすると液剤などでは失敗した被膜の剥離ができませんので、研磨からやり直しをしなければならないという、シビアな施工を求めるものなのです。

仮に、魔法のようなガラスコーティング剤が、超イージーな作業性を提供し、誰がやっても簡便な作業で、100%の美しさと耐久性が出せるようにすることが、コーティング剤メーカーとしては大いなる夢ではあることは認めます。

しかし、現在のところそのようなものは、世界中どこの誰にも作り出せてはいないはずです。



どんなに優れたガラスコーティング剤であっても、車一台一台のコンディションに応じて、最適な施工をおこなう「職人的な経験・技」と「適切な設備と環境」の存在は、絶対に欠かせないわけです。

施工者の技量・設備とガラスコーティング剤の品質は、車の両輪のように両方がそろってはじめて、「真のガラスコーティング」と呼べるのではないでしょうか。




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2014-05-02

ウォータースポット(イオンデポジット)除去にサンポール(塩酸)?

ウォータースポットの除去に、キンチョーさんのサンポールを使っても良いのか?とのご質問を複数頂戴しました。

サンポールとは、ご存知のように便器に付着した尿石汚れを洗浄する酸性洗剤です。尿石は人の尿に含まれる成分に由来するカルシウム塩(炭酸カルシウム)が固着・堆積したものです。

一方、
ウォータースポット(別名:イオンデポジット)原因のひとつとして、水道水や雨水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンが、水の蒸発によって炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムとなって堆積・固着したものがあります。

サンポールに含まれている「塩酸」は、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを溶解しますので、上記のような原因によるウォータースポットの除去には有効であると考えます。

しかし、常温では気体である塩化水素の水溶液である塩酸は、揮発性が高いものです。塩酸から揮発した塩化水素は、鉄やステンレスなどの金属を腐食させます。

このため、サンポールが金属部分に付着しないようにウォータースポットを除去したつもりでも、サンポールが揮発してガス化した塩酸(塩化水素)が、金属のカタマリである自動車本体や、機能部品劣化への影響を与える(腐食を促進する)ことが懸念されますので、使用しない方が良いと考えます。





(参考)
洗車・コーティングと酸
イオンデポジット Ion Deposit

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2014-02-08

イオンデポジットとは ~ウォータースポットじゃないの~

イオンデポジット Ion Deposit

ネット上などで見かける言葉ですが、英語では”Ion Deposit”とは言いませんので和製英語ではないかと思われます。
確かに、さまざまな無機物イオン(ion)が雨水や水道水などに溶け込み、ボディ塗装面や窓ガラスに付着した水が蒸発したのちに、残留した各種の無機物が堆積物(deposit)となるという意味だと思われます。これはこれで言い得て妙ということでしょう。


このイオンデポジットについては、日本の自動車コーティング業界独特の言葉と考えて、当ブログでは英語圏でも一般的な用語「ウォータースポット(Water Spot(s))」に統一しております。




イオンデポジットやウォータースポットに関する詳しい記事は下記ページをお読みください。

ウォータースポット(イオンデポジット)の原因http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_17.html

ウォータースポット(イオンデポジット)の除去と対策http://coating.th-angel.com/2014/09/blog-post_21.html




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2014-02-05

洗車・コーティングと酸

酸は金属汚れを溶解します。金属汚れとは、鉄(鉄酸化物)や金属イオン(カルシウム塩やマグネシウム塩など)、シリカ(SiO2)が付着した状態です。


酸というと何が思い浮かぶでしょうか。台所にある食酢・クエン酸や、理科の実験室では、塩酸・硫酸などがなじみ深いところでしょうか。

酸性洗剤として思い浮かぶものに「サンポール」(大日本除虫菊)や「トイレのルック」(ライオン)などがあります。これらの酸性洗剤は、主に便器に付着した尿石汚れを洗浄する目的で酸の溶解力が使用されています。

便器の汚れである尿石は、人の尿に含まれる成分に由来するカルシウム塩(炭酸カルシウムなど)が固着・堆積したものです。カルシウム塩は水には溶けにくく、溶解洗浄するには酸が有効です。酸の中でも、無機酸である塩酸やスルファミン酸の溶解力が優れています。


サンポールには塩酸が、トイレのルックにはスルファミン酸が含有されているため、尿石による汚れを洗浄することができます。


鉄など金属汚れを洗浄

サンポールに含まれる塩酸(無機酸)は、金属類を溶解する能力に優れているので、鉄分汚れや鉄サビ汚れなどもよく落とすことができます。

有機酸としては、食酢に含まれる酢酸・
グリコール酸・ホウレンソウなどに含まれるシュウ酸などががあります。これらは塩酸よりも溶解力が弱いのですが、鉄分汚れ落としとして有効です。


無機物(金属イオン)汚れを洗浄

トイレのルックに含まれるスミルファミン酸(無機酸)は、カルシウム塩やマグネシウム塩の溶解力が優れています。水道水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンによる汚れ(スケール、ウォータースポット、イオンデポジット、無機物汚れ)をよく落とすことができます。

有機酸としては、レモンなどの柑橘類に含まれるクエン酸や、食酢に含まれる酢酸などがカルシウムイオンなどによる無機物汚れ落として有効です。



無機物(シリカ)汚れを洗浄

シリカ(SiO2)を溶解できる酸はフッ化水素です。フッ化水素はガラスを擦りガラスに加工したり、ガラスに模様を入れるなどのエッチング加工に使用されるものです。

フッ化水素(水溶液はフッ化水素酸あるいはフッ酸と呼ばれる)は、法令で毒物に指定されています。フッ化アンモニウムあるいは、フッ化水素アンモニウム・フッ化ナトリウムもシリカ=ガラスを溶解します。いずれも大変に危険な物質です。


コーティングと酸

弊社のコーティングは「シリコーンレジンコーティング」、「業務用ガラスコーティング」ともに、酸に強いシロキサン骨格構造のケイ素化合物です。このため、酸性雨をはじめ、さまざまな酸に対しても高い耐力を有しています。

ただし、上記のシリカ汚れを落とすフッ化水素などについては、全てのコーティングが落ちてしまいます。この場合は容易に窓ガラス、塗装、金属部分、人間の皮膚や骨も溶解しますので細心の注意が必要です。


(参考)酸に由来する汚れついてはこちらをご覧ください→ウォータースポット(イオンデポジット)とは


自動車と酸

自動車はボディ・フレームをはじめ、エンジン、サスペンション、ブレーキ、ホイール、マフラーなど金属の塊です。


このため、金属汚れや無機物汚れを落とすために酸を使用することは、自動車の様々な部分の金属腐食を促進させてしまうため、使用しないことが重要です。

塩酸を使用しますと、塩酸は常温で塩化水素として蒸発するため、塩酸(水溶液)が金属に付着しないように作業したとしても、気体として雰囲気を汚染し金属を腐食させることがあります。

フッ化水素やフッ化ナトリウム・フッ化アンモニウムなど、シリカガラスを溶かすものは、金属・ガラス・塗装や人体の皮膚・骨を強力に溶解し、失明や癌リスクが高まります。


自動車や人と環境にとって、非常に危険性が高いことを認識し、使用は絶対に避けなければなりません。

ホイールやボディに付着した鉄粉を除去するものとして、グリコール酸を使用した洗浄液があります。これはグリコール酸が鉄を溶解する能力を利用しているのですが、酸をアンモニア水溶液などのアルカリで中和しているものです。このような自動車・洗車用に調整された鉄粉除去用のものは、洗浄後に洗浄液が付着したままにせず、よく水で洗い流すことが必要です。







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2014-01-29

コーティングとワックス ~「洗車と磨き」ノウハウ本に対して~

昼休みに手元にある自動車一般ユーザー向け、「洗車と磨き」ノウハウをテーマにした解説本をつらつらと読んでいました。
この本のQ&Aには以下のような内容がありました。


この本の中で、「Q.コーティングした後もワックスがけが必要か?」


というQ(質問)に対し、A(答え)について下記のようになっています。
2006年に出版された本なので、当時の考え方ということもあるのかもしれませんが、弊社の捉え方とは異なりますので、コーティングとワックスの関係を考える題材として引用させていただきます(決してノウハウ本を批判する意味ではありません)。


 

【本のA(答え)抜粋 その1】

ボディ塗装を平滑にして表面に被膜をつくるコーティングは、長期間何もしなくても大丈夫と言われているが、その上からワックスをかけても何の問題もない。ワックスをかけることによりコーティング面が保護されるので、コーティング効果を長持ちさせるメリットがある。

【その1に対するキラサクの考え方】

そうですね、確かに問題となるこということではないと思います。
コーティングした上にワックスを塗布した場合、コーティング表面や塗装に悪影響を及ぼすということはないでしょう。

考え方としては「コーティングの塗装保護」に加えて、「ワックス独特の艶や感触」を上乗せした状態ということでしょうが、この場合は下記のようなワックスの特性に留意していく必要があると考えます。

ワックスの主成分は、炭化水素やカルボン酸といった有機物の油であり、カルナバワックス(カルナバロウ)といった天然物やパラフィンを配合したものです。

このような自動車向けワックスは、紫外線・熱・酸性雨などによって。コーティングよりも酸化などが発生しやすく、劣化しやすい有機物の油であるため、ワックス自体の酸化・劣化により、黒ずんだ水垢のようになって、被膜そのものが汚れてしまうものなのです。

このように、コーティングの上にワックスをかけた場合も、塗装にワックスをかけた場合と同様に、ワックスの特性を理解して独特の美観を維持させるため、酸化などによる劣化が発生する前に、ワックスがけをし直すなど、こまめなメンテナンスをおこなう必要があります。




【本のA(答え)抜粋 その2】

コーティング後も従来と同様に、定期的にワックスがけをした方が望ましい結果が得られる。しかしワックスは、雨水を水滴状にしてボディに付着させるので、これが問題だ。水滴はレンズのような働きをして、太陽光が当たると光を一点に集めてしまい、その部分だけ塗装を弱めてしまう。これをレンズ効果といい、そこが唯一の難点だ。

【その2に対するキラサクの考え方】

うーん、このような考え方には賛同できません。
「雨水を水滴状にしてボディに付着させる」ということを問題視しているならば、疎水性(撥水性)を持つから問題ということになるのでしょうか。しかもレンズ効果を発生させるからということですが、本当にそうなのでしょうか?

これはワックスに限らずコーティングの場合も高撥水タイプと低撥水があり、高撥水タイプはワックスに負けず劣らずコロコロの水玉になります。
つまりこの本に書かれている事によれば、コーティングの上にワックスをかけることによる難点ということではなく、撥水性の表面は難点があると言っていることになりますね。

ワックスにしろコーティングにしろ、この本のように「レンズ効果」によって塗装を痛めるというのは、酸性汚れや無機物汚れが水の凝集によって発生しやすいというのであれば理解できます。

そのようなことが起きても、ウォータースポットなどの汚れが固着しにくいようにすることがコーティングの役割であり、コーティングは効果的に塗装を保護するものです。

長年にわたる風雨や日光などによる経年変化により、劣化してしまった塗装表面に、直接ワックスをかけた場合は「レンズ効果の影響」は理解できるのですが、コーティングの上にワックスをかけることによって、レンズ効果による部分的な塗装を痛めるという考え方は納得できません。






(参考)



ウォータースポットとコーティングについて、弊社の考え方は下記をご覧ください。


1.ウォータースポットってなんだろう

2.ウォータースポットの原因物質
3.ウォータースポットの発生
4.ウォータースポットの除去
5.ウォータースポットの予防
6.ウォータースポットをバリアする
7.塗装を腐食させる酸をバリア
8.塗装につくシリケートをバリア
9.窓ガラスにつくシリカをバリア
10.がっちり!それともお手軽バリア?
11.100%バリアできるの?

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