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2014-01-21

洗車・ガラスコーティングとアルカリ

「ガラスはアルカリに溶ける」って聞かれたことはありませんか?

ガラスコーティングした場合も含めて、ボディ塗装の洗浄にはアルカリ洗剤は表面を荒らすなどと言った具合に、アルカリ洗剤を自動車ボディ洗浄には使用しないということが一般的に言われています。

 

アルカリ洗剤の例
アルカリ洗剤はご存じのように、ハウスキーピングを目的にした住宅用洗剤などでも一般的ですね。特に油汚れや皮脂汚れ洗浄には優れた効果を発揮します。
馴染みのある製品の例として、花王さんの製品では弱アルカリ性の「マイペット」や
それよりもpHの高いアルカリ性の「マジックリン」があります。

マイペットやマジックリンの取扱説明を読みますと、自動車の外装への適用は下記のようになっています。

「マイペット」
出展:http://www.kao.com/jp/mypet/mpt_mypet_00.html
自動車の外装 (布等にたっぷりふくませてふき、あとで水ぶきする)
★以下のような場合は、必ずあとで水ぶきする。
○扇風機やファンヒーターなど季節用品を、長期間しまう時
○自動車の外装や塗装家具に使う時

「マジックリン」出展:http://www.kao.com/jp/magiclean/mcl_magiclean_00.html
使えないもの:家具/畳/木床/水がしみこむもの/自動車
◆使用後はすぐに水で洗い流すか、充分水ぶきする。
◆アルミ製品(変色することがある)、タイル目地(着色することがある)、油や熱などで傷んだ塗装・フッ素コート(はげることがある)は、目立たない所で試す。

上記の花王さんの家庭用洗剤製品説明は、ガラスコーティングを施していない状態の自動車外装への使用説明だと思われます。

 

ガラスコーティングとアルカリ洗剤

ガラスコーティングはさまざまな汚れの付着や細かな傷つき、化学物質による劣化や腐食などから塗装表面を守ってくれるのですが、アルカリ洗剤などのアルカリ溶液に関しては、この通りの考え方を適用することが望ましいと考えます。
もう一度花王さんのアルカリ系洗剤の取扱説明を参考にまとめますと、下記のようになります。

●弱アルカリ洗剤 (pH8~pH11)

弱アルカリ洗剤の使用後は水で洗剤をよく洗い流す。

●アルカリ洗剤 (pH11~)

自動車外装(塗装を含む)には使用しない。
アルミ製品は変色することがある。

(参考)日本工業規格(JIS K3303:2000)において、粉末洗濯石鹸のpH値(25℃)は、9.0~11.0と定められています。

 

ガラスがアルカリに溶ける

それではガラスコーティングを施した塗装表面への、アルカリ洗剤の影響とはどのようなことが考えられるのでしょうか。
ガラスコーティングが硬化した状態は、シリカガラス(SiO2)の被膜が塗装を覆っている状態ですね。
このガラスコーティング表面にアルカリ(水溶液)が付着すると、どのような影響があるのでしょうか?

シリカガラス(SiO2):二酸化ケイ素は、ケイ素(Si)の酸性酸化物です。高校化学で習ったことを思い出してみましょう。例えば、二酸化ケイ素にアルカリ性物質の水酸化ナトリウムが付着した場合は下記のようになります。。

二酸化ケイ素+水酸化ナトリウム→ケイ酸ナトリウム+水
SiO2 + 2NaOH → Na2SiO3 + H2O

このように、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸塩)となって水に溶け出すのです。これはアルカリ物質の水酸基(水酸イオン:OH-)が付着した個体表面のプラス電荷(水素イオン:H+)を奪い取ること、すなわち中和によるものです。
 

このようなガラスコーティング(二酸化ケイ素)が、アルカリ洗剤によって水に溶ける現象は、時間的にもゆっくりとしたものであり、アルカリ溶液も高濃度(高pH)・高温・高圧条件下で顕著に起きるものです。
ちなみにアルカリによる溶出の速度は、時間経過に正比例し、pHが1上がるごとに2倍となり、温度が10℃上がるごとに約2倍となるようです。



弊社ガラスコーティングでの実験

弊社の業務用ガラスコーティング剤(撥水性)を施した表面に、マジックリンを使用した実験の結果を記載します。
直射日光が当たる場所で、気温15℃程度、マジックリン原液をスポンジで塗布したまま放置し、90分経過後に水洗いをしました。

この結果、撥水性の変化は認められませんでしたので、被膜はしっかりと維持されているようです。
塗装面は黒ですが光沢などの変化も認められませんでした。


このような状況から、簡単には被膜が無くなるということは発生しないようです。しかし、ミクロには確実に微量のガラス成分の溶出が考えられますので、光沢の低下やクスミやシミの原因となることが懸念されます。

 

アルカリ洗剤使用の注意

アルカリ洗剤をガラスコーティング表面洗浄や洗車に使用する場合は、以下のような注意が必要となります。

●できるだけアルカリ洗剤の使用は避け、中性洗剤を使用してください。
●どうしてもアルカリ洗剤を使用する場合は、ガラスコーティング施工店に相談をしてください。
●ご自信の判断でアルカリ洗剤を使用する場合は、できるだけpH値の低い弱アルカリ洗剤を選択してください。決してpHの高いアルカリ洗剤は使用せずに、以下のようなことにご注意ください。

1.弱アルカリ洗剤の使用をされる場合は、表面温度の低い状態でかつ、速やかに洗浄をおこないましょう。
2.洗浄後はすぐに流水で洗剤が残らないように洗い流したのち、水滴をきれいに拭き取ってしまいましょう。




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