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2015-06-23

シリコーンレジンコーティングと化学合成油 (その3)

前回記事に続いて、自動車レシプロエンジンの潤滑油(エンジンオイル)と、車ボディコーティングの役割と特質を対比してみたいと思います。

なぜエンジンの潤滑油とワックスを含むコーティングを対比させるのか?

エンジンの高性能化や高効率化にともなって、エンジンオイルも進化しており、オイルの技術的な変化の様子と、ボディコーティングの技術的な変化が似ていると感じたからです。


化学合成油エンジンオイルとシリコーンレジンコーティングを対比


化学合成油エンジンオイルとシリコーンレジンコーティングは、エンジンオイルやボディコーティングとして要求される性能や機能性を実現させるために、化学的に設計し合成されたものを原料としています。

下記のような点で似たような傾向があります。

・新技術を駆使した高度な生産技術が要求される。
・使いやすさと性能・機能性を両立させることができる。
・品質にバラツキが小さい。
・低温度~高温度でも安定しており、酸化・劣化しにくい。
・保護性能が他の方式と比較して高い。

上記のように、前回記事では「鉱物油エンジンオイルとカルナバロウワックス」が示した傾向とは反対のように見えます。結果としてはそのようになるのは当然なんです。従来からあるものの課題を改善するために、新技術が開発され製品化している訳ですから。


化学合成油エンジンオイル

化学合成油は、用途や目的に応じて最適になるように、化学的に設計され製造されたものです。

一部のエンジンオイルメーカーでは、原油から高度に精製された鉱物油を化学合成油と呼ぶ場合があります。

しかし、ここで言う化学合成油は、分子構造に柔軟性があり結晶化(固体化)しにくい、低分子量のエチレン系炭化水素を主成分としたものとして考えます。

低温~高温において、安定した粘度や流動性を維持できる分子構造にコントロールされており、オイル自身も酸化や劣化がしにくいように設計製造されています。

高性能エンジンに要求される高温時の流動性や高い粘度の維持だけではなく、低温でも潤滑油としての性能や機能性を発揮することができ、特に高温度となる負荷が高いことから、厳しい条件下で使用されるエンジンや、高回転・高出力エンジンに適しています。

前回記事でもご紹介しましたように、世界的にみても飛び切りの高性能車であるとともに、一般ドライバーでも普通に運転できる守備範囲の広いクルマとして、日産GT-Rがあります。GT-Rに搭載されている高性能エンジンに使用されるオイルは、低温度~高温度まで充分な流動性を持つことができ、品質が安定している100%化学合成エンジンオイルの使用がメーカー指定されています。

万が一、シリンダーライナーを持たないGT-Rのエンジンに、指定外の鉱物油エンジンオイルを入れて、デリケートなアルミシリンダーボアの鉄コーティングが損傷したら、高額の修理費用が必要になることでしょう。


シリコーンレジンコーティング

シリコーンは、珪石を精製した金属ケイ素を出発原料とした金属シリコンから合成される、シロキサン結合(-Si-O-Si-、無機物)分子基本骨格(主鎖)を中心に、ケイ素に直接結合した有機官能基(側鎖)を持つ化合物です。

シリコーンは人の手によって、用途に応じたさまざまな設計製造が可能です。

その顕著な例としては、液状からゴム状そしてガラス状まで、さまざまな形態の物質を作り込んだり、密着するものからくっつきにくいものなどの機能性までも作り込むことができます。

中でもシリコーンレジンをコーティング剤に応用したものは、従来からあるコーティング剤原料として使用されていたシリコーンオイルと比較して、シロキサン結合密度が高いため、強いとされている従来のシリコーンオイルよりも、熱や紫外線、酸やアルカリに対してさらに強くなっており、保護性能が長期間持続するものとなっております。

シリコーンレジンコーティング剤の塗り込みにおける、滑りにくいような独特の拭き上げ感は、液体でありながら、液体的性質である粘性と、固体的性質である弾性を合わせもつ「粘弾性」によるものであり、非硬化型(硬化しない)コーティング剤として、これまでにない強さの証しでもあります。

現場で施工する液体の非硬化型コーティング剤としては、分解されにくく過酷な条件である環境にも最も耐えうるものとなっております。


今回は、最新技術を応用した人工的な化学合成した100%化学合成油やシリコーンレジンを主原料としたエンジンオイルとワックスを対比させました。

次回は、古くからある天然由来の鉱物油やカルナバロウと、新しい化学合成油やシリコーン材料を混合することで、性能や機能性と価格(コスト)をバランスさせた部分合成油とシリコーン系(一般にガラス繊維系やガラス系と呼ばれる)コーティング剤を対比させたいと思います。
 

(参考)


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