2015-06-14

コーティングとエンジンオイル (その1)

このところ、シリコーンレジンコーティングに関するお問い合わせが多くなっております。

その中で、これまでのブログ記事の書き方が解りにくいのかもしれませんが、ベースコート(ガラスコーティング)に対するトップコートとして、あるいは単体で直接塗装面に塗布してご利用いただけるシリコーンレジンコーティングが、硬化型であると思われていることがあるようなのです。

ブログの内容や商品のご説明がわかりにくくて申し訳ありません。

結論から申し上げますと、弊社のシリコーンレジンコーティングは、硬化型ではありません。

そこで、意外と似ているかも?!と日頃から思っている「自動車レシプロエンジンの潤滑」と対比しながら、塗装表面と、ベースコートおよびトップコートの役割と特質や、シリコーンレジンコーティングがどのようなものなのか?について、別の視点からみていきたいと思います。

 

エンジンの潤滑って何だっけ?


クルマのエンジンは、いまでは電気モーターを利用したハイブリッドや、電気自動車から燃料電池車などの新しい方式のエンジンが注目されています。しかし何といっても圧倒的多数は、ガソリンや軽油を燃料とした内燃機関エンジンですね。

クルマの場合は、一部にロータリー方式もありますが、レシプロ方式と言われる筒状のシリンダーの中を、ピストンが往復運動するものがほとんどです。

レシプロエンジンのシリンダーの中で往復運動するピストンは、できるだけ抵抗が少なく、滑らかに動きにする必要があることは想像するに難くないですよね。

抵抗が少なくなるようにして、滑らかに動くようにする工夫として、ピストンとシリンダーが接触する表面には以下のような工夫が施されているようです。

 

1.シリンダーボアの表面加工 ~クロスハッチ~

特別な高性能車でない限り、一般的なクルマのシリンダー内側(シリンダーボア)の表面には、クロスハッチと言われる細かな溝(肉眼で認識できる)が一様に加工されています。
 

クロスハッチは、潤滑油(エンジンオイル)が細かな溝の中に溜まるようにして、油による膜を保持しやすくなるようにしたものです。
 

クロスハッチは、潤滑油の油膜が切れることなく、ピストンの往復運動に支障が起きないようにする工夫ではあるのですが、溝のないツルツルの鏡面と比較すると抵抗が大きくなり、エンジンの出力や燃費が低下する原因ともなります。

 

2.シリンダーボアの表面加工 ~鏡面コーティング~

日本を代表する高性能車である日産GT-Rのエンジン:VR38DETTには、上記のようなクロスハッチ加工を施していないそうです。

その代わりに、GT-Rエンジンのシリンダーボアには、溶かした特殊な鉄を吹き付ける「溶射」という技術を用い、硬く滑らかな鉄による鏡面コーティングを施しています。

この鏡面コーティングは、アルミニウム素材のシリンダーボアに、ダイレクトに鉄をコーティングをする鏡面化をおこなうことで、高回転・高出力を実現するとともに、以下のような鉄製のシリンダーライナーを無くすことができ、エンジンの軽量化や燃焼効率の向上ができたそうです。


この鏡面コーティング表面には、肉眼では認識できない非常に微細な穴がびっしりとあり、そこに潤滑油(エンジンオイル)が溜まるようになっています。非常に小さな穴なので、人の目には鏡面に見えるわけです。

(参考)鉄のシリンダーライナー
一般的なアルミニウム素材エンジンの場合、筒状のシリンダーの内側には、シリンダーライナー(別名:シリンダースリーブ)という、もう一つの筒があります。

近年のレシプロエンジン本体は、軽量化のためにアルミニウムで作られていることが多いのですが、アルミ素材のシリンダー中を直接的にピストンが往復運動しますと、摩擦に弱いアルミの摩耗が激しく、実用的な耐久性が得られないために、摩耗しにくい鉄で作られたシリンダーライナーを挿入しています。


3.エンジンオイル

滑らかにピストンが往復できるようにするため、シリンダーボアには一般的なクロスハッチ加工や、高性能車向けの鏡面コーティング加工など、様々な工夫がこらされていますが、これらに加えて絶対に欠かせないものに「潤滑油:エンジンオイル」があります。

エンジンオイルは、シリンダーボアとピストンの間に油の膜をつくり、金属同士が直接擦れあうことを防ぐことで、摩擦や摩耗をできるだけ小さくするわけです。

このエンジンオイルにも、主原料ごとの特徴や粘度といった特性があり、クルマの用途やエンジンの特質に応じたものを選ぶ必要があります。

まずは主原料(ベースオイル)ごとの特質を書き出してみます。

 

3-1 鉱物油

埋蔵原油から比較的簡単な方法で精製されたオイルです。

オイルの分子サイズにバラツキがあるため流動性が低くく、原子間および分子間結合力も比較的弱いため、酸化や劣化しやすく、高温になるほど粘度変化が大きくなりやすいため、高負荷高出力エンジンには向きません。

不純物が多く残存しているおり、潤滑性能の品質にばらつきが大きい傾向があります。
精製・製造しやすいため価格が安く、一般的な用途の車両に向いています。

 

3-2 化学合成油

エンジンオイルに要求される性能や機能性を実現させるために、化学的に設計し合成されたオイルです。

低温~高温において、安定した粘度や流動性を維持できる分子構造にコントロールされており、酸化や劣化がしにくいように設計されています。

高性能エンジンに要求される高温時の流動性や粘度の維持だけではなく、低温でも潤滑油としての性能や機能性を発揮することができ、負荷が特に高く厳しい条件下で使用されるエンジンや、高回転・高出力エンジンに適しています。

100%化学合成油は、製造方法が複雑でありコストがかかるため、価格が高くなります。



(参考)日産GT-Rは、化学合成油ベースのオイルがメーカー指定されている
先にご紹介した高性能な日産GT-Rエンジンの場合、特にオイルの耐久性や安定性が非常に重要です。

万が一、潤滑不良を起こしますと、GT-Rのエンジンは、鉄製シリンダーライナーを持たずに、アルミニウムのシリンダーボアに直接鉄を鏡面コーティングしているため、鉄の薄いコーティングが破壊されて、エンジン本体に深刻な損傷を与えてしまうからです。

「NISSAN GT-R メンテナンス」
から引用:http://www.nissan.co.jp/GT-R/treat_maintenance.html
エンジン各部の保護および性能を十分に発揮させるため、エンジンオイルはサーキットなどでのハードスポーツ走行を含め、膜圧保持性、極圧性の高いMobil 1(0W-40)(100%化学合成オイル)を必ず使用してください。添加剤や研磨剤は絶対使用しないでください。


 

3-3 部分合成油

化学合成油の高性能と、鉱物油の価格メリットのバランスを実現するため、鉱物油を主体とし化学合成油を配合したオイルです。

比較的負荷が高い場合や、スポーツ走行などをおこなうクルマに適しています。





いかがでしょうか、
エンジンのシリンダーボアやオイルに置ける潤滑ついて整理してみますと、クルマのボディコーティングとどこか似ているような気がしませんか?


次回は、いよいよエンジンの潤滑に対する、コーティングの役割と特質を対比してみたいと思います。



 (参考)


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