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2014-02-27

超撥水コーティングの防汚性は最強!しかし、、

コーティング市場では「防汚効果は親水性や超親水性によるものである」という、都市伝説的な話しがあるのですが、


本当の防汚性は、超撥水・超撥油表面が最強です。


以前ご紹介しましたように、


「ガラスコーティングの親水性は、油分等による表面汚染が進行するため親水性の維持ができない」

(参考)親水性とは
http://coating.th-angel.com/2013/11/blog-post_13.html
(参考)ガラスの親水性
http://coating.th-angel.com/2013/11/blog-post_14.html
(参考)親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~
http://coating.th-angel.com/2013/11/blog-post_15.html



「光触媒コーティングによるによる超親水性表面は、被膜がすぐに剥がれ落ちるため親水性が維持できない」


(参考)親水防汚:光触媒の現状と課題 その1
http://coating.th-angel.com/2013/12/blog-post.html
(参考)親水防汚:光触媒の現状と課題 その2
http://coating.th-angel.com/2013/12/blog-post_2.html

というような課題がありましたね。
親水性や超親水性表面は、付着した汚れに雨などの水が降りかかり、親水性表面と汚れの間に水分が入り込み、水と汚れが一緒に流れ落ちるというものですが、

超撥水・超撥油表面はそもそも水分や油分を含んだ汚れを、強烈にはじくので「汚れそのものを寄せ付けない」最強の防汚表面なのです。


汚れを寄せ付けない例を動画で見てみましょう。

これは米国UltraTech Internationalの「Ultra-Ever Dry」という超撥水・超撥油コーティングの実証ビデオです。

いかがですか?凄いでしょう。 これがクルマボディ塗装や、窓ガラスにコーティングできたら夢か魔法のようですね。 そして今月ですが、三菱電機さんから【空気の膜で粉じんや水滴、氷雪の付着を抑制し、「きれい」を維持 「スマートエアコーティング」を開発】という超撥水性コーティングを開発した、とのニュースが流れました。 (参考)三菱電機株式会社 ニュースリリース http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2014/pdf/0213-b.pdf ということで、上記の米国の「Ultra-Ever Dry」と、三菱の「スマートエアコーティング」を調べてみましたら、やはり微細な凹凸表面によるものですので、半透明~不透明表面となるようです。 加えて、微細な凹凸表面の耐久性(耐摩耗性)は未知数なので、透明感が重要な自動車ボディコーティングへの適用はまだ少し先のようです。

このような「超撥水・超撥油表面コーティング」は、夢や目標としては大変魅力的ですね。

(参考)超撥水性コーティング http://coating.th-angel.com/2014/02/blog-post_4.html (参考)超撥水・超撥油防汚コーティング実験を開始 http://coating.th-angel.com/2014/04/blog-post_25.html (参考) 日産超撥水コーティングのつづき http://coating.th-angel.com/2014/04/blog-post_28.html

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2013-12-02

光触媒コーティングの現状と課題

このところ親水性をテーマにブログを掲載しておりますが、前回は親水性ガラスコーティングと防汚に関してまとめました。

親水防汚とは、水酸基(-OH)による親水性が発現すると、水酸基と水素結合した水(H2O)が汚れを親水性コーティング表面から浮上させることができるので、雨水などの水と一緒に汚れが流れ落ちるという考え方です。

確かに、親水性が維持し続けることができるならば、有機物による汚れは雨水や水道水によって洗い流すことが容易になると考えられます。


しかし、親水性表面をもつものとして代表的な窓ガラスなどでも起きる現象として、大気や風雨にさらされ、自動車が道路を走行するなどの実使用環境においては、大気汚染物質や粉塵状となって浮遊する油分などと、水に含まれている無機イオンなどによって、一日程度の時間で疎水性(撥水性)を帯びてきてしまいます。

親水性表面を維持するためには、結局のところ新鮮なガラス表面を維持するためのクリーニングが欠かせないわけです。うーん、結局そこかぁ、ってことになりますね(笑)。


光触媒コーティングの目的

そこで、親水防汚性を長い期間維持することを目的に、開発されたものが光触媒原理を用いたコーティングなんですね。
 

光触媒の原理は東京大学の藤嶋昭さんと本多健一さんの共同研究による成果「本多-藤嶋効果」と呼ばれる水中の二酸化チタン:TiO2とプラチナ:Ptに、光を照射することで、水が分解されて二酸化チタンから酸素が、プラチナから水素が発生することを発見したことに端を発します。
 

この光触媒、言葉として聞くようになってからだいぶ経ちますが、コーティングとしてはなかなか普及しませんね。その理由は何でしょうか?光触媒の光と影(大げさ)についてみてみましょう。 


1.光触媒による有機物の分解

光触媒表面が有機物を分解する仕組みについては様々な説があるのですが、光触媒工業会による説明を引用しますと下記のようになります。

酸化チタン(TiO2)などを触媒とし、これに光(主に紫外線)を照射:励起することで、マイナスの電荷を持った電子が外に飛び出すと同時に、酸化チタンは正孔と呼ばれるプラスの電荷を帯びることになります。
 

その状態で、空気中の湿気や雨水が付着しますと、H2Oと酸化チタンの正孔(h+)反応し、水酸ラジカル(-OH)が発生します。同じく空気中の酸素(O2)と電子(e-)が反応し、スーパーオキサイドアニオンラジカル(O2-)が発生します。
 

この2種類の活性酸素(水酸ラジカルとスーパーオキサイドアニオンラジカル)は、電気的・化学的に不安定であるため、電子のやりとりをおこなうことで安定化をはかる際に、さまざまな有機物を酸化還元する(別の物質に変化させる)ため、分解してしまう働きを持っているということです。

具体的な効果としては、有機汚染物質、細菌・ウィルス・カビ、悪臭物質、汚れ物質などを分解することで無害化や洗浄補助効果があると言われています。
 


2.光触媒による超親水性の発現

超親水性とは、個体表面における水の接触角が0°~10°程度までの状態を言います。この状態は個体表面と水の親和性が高くなじみが良いということです。

光触媒表面が親水性を発現する仕組みについても諸説がありますが、光触媒工業会による説明を引用しますと下記のようになります。

酸化チタン(TiO2)を触媒とし、これに光(紫外線など)を照射することで、酸化チタンの酸素(O)のうちひとつと、空気中の湿気や雨水が付着しH2Oが反応した結果、酸化チタン表面に親水性の水酸基(-OH)ができることで、親水性あるいは超親水性を発現するということです。
 


超親水性防汚:セルフクリーニングとは

上記のように、光に照らされた酸化チタンに覆われているような固体表面は、親水性の水酸基(ーOH)ができていますので、雨水や水道水が降りかかりますと、表面に付着した汚れと、酸化チタン表面の間に薄い水の膜ができることで汚れが浮かび上がり、雨水の流れとともに汚れを流し去ります。これをセルフクリーニングと呼んでいます。


それでは、ここからはガラス(SiO2)と酸化チタン(TiO2)による親水性の違いや、光触媒コーティングの課題や問題点についてお話しをさせていただきます。

早速ガラス(SiO2)と酸化チタン(TiO2)による親水性表面のようすについてご紹介いたします。


ガラスと酸化チタンによる親水性の違い

ガラス(SiO2)と酸化チタン(TiO2)による親水性あるいは、超親水性の違いは何でしょうか?その答えはズバリ、親水性表面の再現性にあります。 


(1)ガラス(SiO2)の場合

一般的な窓ガラス(SiO2)の表面が、むき出しの状態は水酸基(-OH)ができますので、親水性あるいは超親水性となるのですが、その後は不安定な水酸基の酸素(O)が安定な状態に移行しようとするため、すぐに(一般的な外気の環境では数時間から一日程度で)疎水性(撥水性)の状態に移行します。

その後はガラス表面を研磨するなどしないと、水酸基が表出したガラスのフレッシュな表面が得られないため、親水性の状態に戻すことはなかなか難しいのです。また、親水性表面が再現できたとしても、すぐに疎水化してしまいます。
 


(2)酸化チタン(TiO2)+励起光の場合

一方、酸化チタン(TiO2)の表面は、紫外線などの励起光が照射されますと、連続的に親水性の水酸基(ーOH)ができ、かつ表面に付着しようとする有機物は分解され、雨水などとともに洗い流されれます。

このため、励起光が照射されている状態、すなわち日光が当たっている状態では、セルフクリーニング効果により、継続的に親水性あるいは超親水性表面を維持することができるわけです。

ガラスやガラスコーティングの親水性は、表面がフレッシュな状態である一時的なものであり、光触媒(酸化チタン)コーティングの親水性は、日光と雨水の助けがあれば継続的なものであることが大きな違いです。

しかし、これは光触媒コーティングによる被膜が、理想的であり続けることが前提条件となるのですが、現実にはなかなか困難な状況となっております。その現状について下記のように整理してみました。
 


光触媒コーティングの課題

上記のように光触媒コーティングは、日光が照らしている間、表面に付着した有機物汚れを分解し、親水性あるいは超親水性による防汚性を発揮し続けるという理想的な表面をつくりあげるとても優れたものです。

しかし、この状態を自動車のボディ塗装や窓ガラス上のコーティングした場合には下記のような問題が発生します。
 


(1)ボディ塗装光触媒コーティングの問題

●有機物バインダーや塗装面への影響
酸化チタン(TiO2)などの光触媒に、紫外線などの光を照射しますと有機物を分解しはじめます。この作用によりボディ塗装表面に付着した汚れを分解し、親水性となる作用との相乗効果で雨水や洗車で簡単に分解された汚れが洗い流されるわけです。

ところが、光触媒は有機物を分解するため、光触媒を塗装表面に定着させるため、混合されている有機物バインダ(硬化型接着剤のようなはたらき)も同時に分解してしまいます。


これは光触媒コーティング自身を自らの力で分解してしまうということなのです。お気づきのようにこの分解能力は、同じく有機物であるボディ塗装までも分解してしまうという、本末転倒な問題も抱えてしまいます。

このようにバインダが分解されますと、光触媒コーティングが剥げ落ちます。同時にその下の本来守るべき塗装表面が分解されますと、塗装白化などの劣化を促進してしまう弊害が起きるのです。



●無機物バインダーの課題
有機物バインダーでの光触媒の定着は、上記のような自らを分解してしまう根本的な問題があり実用性は見いだせないため、無機物バインダーによる定着が考えられます。

無機物バインダーも結論から申し上げますと、実用レベルとして決定的なものはまだ見当たらないのが現実です。

無機バインダーは、光触媒の効果を得るために必要な、酸化チタンなどの十分な含有量を持つ膜厚・密度が得られないことが挙げられます。


同時に無機バインダーの硬化機構(加水分解)に伴いながら、光触媒機能である水酸基が発生し、雨水や大気中の湿気などとの親水性発現により、充分な硬化が得られないため、造膜性や耐水性が悪く、雨水などとともに剥がれ落ちるなど耐久性が乏しい点が挙げられます。
 


(2)窓ガラスへの光触媒コーティングの問題

自動車の窓ガラスは、外気にさらされ走行や降雨などによって、各種有機物が付着しています。このような不要なものを完全に除去しない状態で、光触媒をコーティングしますと、光触媒の下にある有機物を分解して剥がれ落ちる原因になります。

仮に窓ガラス表面を充分に研磨・脱脂・洗浄し、無機バインダーを使用した場合も、ボディ塗装への「無機物バインダーの課題」と同様に、窓ガラスに定着させることができず、すぐに剥がれ落ちてしまいます。
 


その他の解決手段

自動車や建築の塗装や窓ガラスへの光触媒適用(現場施工コーティング)のような場合、現在のところでは、耐久性と親水防汚性を持つ光触媒は実現できていないようです。
上記に掲げた問題や課題をクリアできたと発表しているコーティングなどは、その解決手段について、あいまいな表現やその原理などが不明なものが多いようです。

国などをはじめとした研究機関などの発表も、理想的な状況での機能性が望まれることについてや、実験レベルでの効果はハッキリと詳しく書いていますが、実際の使用環境における実用的性能については、展望や将来へのつなぎ的な内容が多い状況です。

補足:タイルや便器(陶磁器)などの無機物に対して、酸化チタンなどの光触媒を高温で焼き付け定着する方法または、溶射をする方法を取れば、高密度で十分な量の光触媒を強固に定着できるため、実用的な性能や機能を得られるものが実用化・商品化されています。しかしこれらは、専用の設備を有した工場において加工できる方法です。


これまで、親水性や超親水性をもつ、ガラスコーティングや光触媒コーティングによる有機物汚れのセルフクリーニングについて考えてきました。

結論としてしては、明確に「セルフクリーニングができます。雨が降ればきれいに汚れも一緒に流し去ってくれるようなものはコレです」とはなかなか言い切れる状況ではないと考えています。

それでは、弊社も業務用途として自信をもってお勧めしている「ガラスコーティングの防汚性」とはいったいどのようなことなのでしょうか。次回以降にこのテーマについて考えてみたいと思います。




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2013-12-01

光触媒コーティングの現状と課題 その1

このところ親水性をテーマにブログを掲載しておりますが、前回は親水性ガラスコーティングと防汚に関してまとめました。

親水防汚とは、水酸基(-OH)による親水性が発現すると、水酸基と水素結合した水(H2O)が汚れを親水性コーティング表面から浮上させることができるので、雨水などの水と一緒に汚れが流れ落ちるという考え方です。

確かに、親水性が維持し続けることができるならば、有機物による汚れは雨水や水道水によって洗い流すことが容易になると考えられます。


しかし、親水性表面をもつものとして代表的な窓ガラスなどでも起きる現象として、大気や風雨にさらされ、自動車が道路を走行するなどの実使用環境においては、大気汚染物質や粉塵状となって浮遊する油分などと、水に含まれている無機イオンなどによって、一日程度の時間で疎水性(撥水性)を帯びてきてしまいます。
 
親水性表面を維持するためには、結局のところ新鮮なガラス表面を維持するためのクリーニングが欠かせないわけです。うーん、結局そこかぁ、ってことになりますね(笑)。


光触媒コーティングの目的

そこで、親水防汚性を長い期間維持することを目的に、開発されたものが光触媒原理を用いたコーティングなんですね。
 

光触媒の原理は東京大学の藤嶋昭さんと本多健一さんの共同研究による成果「本多-藤嶋効果」と呼ばれる水中の二酸化チタン:TiO2とプラチナ:Ptに、光を照射することで、水が分解されて二酸化チタンから酸素が、プラチナから水素が発生することを発見したことに端を発します。
 

この光触媒、言葉として聞くようになってからだいぶ経ちますが、コーティングとしてはなかなか普及しませんね。その理由は何でしょうか?光触媒の光と影(大げさ)についてみてみましょう。

 

1.光触媒による有機物の分解

光触媒表面が有機物を分解する仕組みについては様々な説があるのですが、光触媒工業会による説明を引用しますと下記のようになります。

酸化チタン(TiO2)などを触媒とし、これに光(主に紫外線)を照射:励起することで、マイナスの電荷を持った電子が外に飛び出すと同時に、酸化チタンは正孔と呼ばれるプラスの電荷を帯びることになります。
 

その状態で、空気中の湿気や雨水が付着しますと、H2Oと酸化チタンの正孔(h+)反応し、水酸ラジカル(-OH)が発生します。同じく空気中の酸素(O2)と電子(e-)が反応し、スーパーオキサイドアニオンラジカル(O2-)が発生します。
 

この2種類の活性酸素(水酸ラジカルとスーパーオキサイドアニオンラジカル)は、電気的・化学的に不安定であるため、電子のやりとりをおこなうことで安定化をはかる際に、さまざまな有機物を酸化還元する(別の物質に変化させる)ため、分解してしまう働きを持っているということです。

具体的な効果としては、有機汚染物質、細菌・ウィルス・カビ、悪臭物質、汚れ物質などを分解することで無害化や洗浄補助効果があると言われています。

 

2.光触媒による超親水性の発現

超親水性とは、個体表面における水の接触角が0°~10°程度までの状態を言います。この状態は個体表面と水の親和性が高くなじみが良いということです。

光触媒表面が親水性を発現する仕組みについても諸説がありますが、光触媒工業会による説明を引用しますと下記のようになります。

酸化チタン(TiO2)を触媒とし、これに光(紫外線など)を照射することで、酸化チタンの酸素(O)のうちひとつと、空気中の湿気や雨水が付着しH2Oが反応した結果、酸化チタン表面に親水性の水酸基(-OH)ができることで、親水性あるいは超親水性を発現するということです。

 

超親水性防汚:セルフクリーニングとは

上記のように、光に照らされた酸化チタンに覆われているような固体表面は、親水性の水酸基(ーOH)ができていますので、雨水や水道水が降りかかりますと、表面に付着した汚れと、酸化チタン表面の間に薄い水の膜ができることで汚れが浮かび上がり、雨水の流れとともに汚れを流し去ります。これをセルフクリーニングと呼んでいます。

 
それでは、次回はガラス(SiO2)と酸化チタン(TiO2)による親水性の違いや、光触媒コーティングの課題や問題点についてお話しをさせていただきます。つづきは → 親水防汚:光触媒の現状と課題 その2

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2013-11-15

親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~

本記事は予告しました「親水性コーティングの種類」ではないですが、その前に気になる「親水性と防汚」と「超親水性光触媒」関連記事を挟ませていただきます。

親水性表面の防汚機能

親水性表面の機能性のひとつに「防汚」ということが言われます。
防汚とは、文字通り汚れの付着をを防ぐあるいは、付着した汚れ落ちやすいという意味ですね。
その考え方は概ね下記の通りです。
親水性表面は汚れが付着しても、水との親和性が高いので、
水が汚れとの間に入り込み、付着した汚れが簡単に水で流れ落ちるという考え方です。

親水性ガラスコーティングの仕組み

自動車ボディや建築外壁・内装などの親水性ガラスコーティングを例題といたします。
身近な例として、ポリシラザンなどの親水性ガラスコーティングが硬化した表面は、水酸基(-OH)を代表とする親水性の原子団が覆っています。この水酸基(-OH)とは、酸素(O)に対して、ひとつの水素(H)が結合している状態です。

ご存知のように、酸素原子(O)はふたつの結合手(原子価)を持っているため、もう一方の手が空いている状態は不安定となり、安定化させるために絶えず何かと手を結ぼうとします。その結ぶ手の先が水(H2O)である場合は、水の水素(H)となります。
このため水との親和性が良くなり親水性となるのですが、水とガラスコーティングの水酸基(-OH)の結合は、「水素結合」であるため結合力はかなり弱く、水が流れ落ちたり拭き取ったり蒸発することで、水との水素結合はすぐに切れてしまいます。当たり前のことですが。



親水性ガラスコーティングの疎水化(撥水化)傾向

一般的なガラスを例にしますと、研磨脱脂をした直後のフレッシュなガラス表面の場合、水の接触角が5~10°前後の高い親水性を示す場合でも、そのまま大気中に一昼夜程度放置しますと、水の接触角は30°前後までの疎水傾向(撥水傾向)を示すようになります。

この疎水化(撥水化)傾向は、上記のような水酸基(-OH)の不安定状態の酸素(O)が、安定性を欲しがるために、さまざまな無機物や有機物が結びつくことで、表面の自由エネルギーが低下することにより、疎水(撥水)傾向を示すために起きるのです。



親水性ガラスコーティングとウォータースポット

雨水や水道水などが降りかかった場合は、更に疎水化(撥水化)が顕著で、最も強い結合を示す事例では、ガラス表面の酸素(O)とケイ素(Si)が共有結合することで起きる、汚れとしてのシリカガラスが固着する現象、すなわち頑固なウォータースポット(別名:イオンデポジット)が発生することになります。

このような理由から、ポリシラザンなどの親水性ガラスコーティング表面は、シリカガラスが堆積がしやすいために、ウォータースポット(別名:イオンデポジット)が発生しやすいものとなっています。


親水性ガラスコーティングの現状と展望

親水性ガラスコーティングや親水性の窓ガラスは、表面がフレッシュな状態(水酸基の酸素が不安定な状態)かつ、表面が純度の高い水で覆われている限定的な状態では、他の無機物や有機物の付着を防ぐ効果が望めます。

しかし通常の自然な状態に置かれているような、例えば駐車場にある車や走行中の車においては、すぐに表面にさまざまな汚れが付着して、親水性が疎水性(撥水性)の傾向を示すようになります。この状態では「親水性による防汚効果」は薄くなるということになるわけです。

以上のように、ただ単純に親水性であるというだけの理由で、防汚性が高いというのは、非常に限られたクリーンな実験室や、半導体製造工場の中のような条件下によるものと考えられるわけなのですが、仮に屋外で、走行中の車のボディや窓の親水性を継続的に維持できるとしたらどうでしょう。

このような、親水性が保てる表面を何とか実現できないかと考えられたのが、よく耳にする「光触媒」なのです。この光触媒という継続的な超親水性表面を実現できれば、汚れがつきにくく、雨が降れば自浄的に汚れを落とし、いつまでも美しいボディや窓を維持できるというわけなのです。

ところがどっこい、この光触媒は実験室では目覚ましい効果があるのですが、実際の環境下ではなかなか難しいもので、思い描いた通りにはならない現状があります。

次回の記事では、この「超親水性光触媒の現状と課題」についておはなしさせていただきたいと思います。




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