2014-02-04

超撥水性コーティング

自動車のボディや窓ガラスにおいて、「超撥水性コーティング」とはどのようなものなのでしょうか?実現可能なのでしょうか?

 

「超撥水」と「撥水」の違いは何

コーティングや塗装表面における水の接触角が大きいほど「撥水が良い」とか「高撥水である」などと表現されるわけですが、超撥水と撥水の違いは何なのでしょうか?

絶対的な親水性の接触角は、限りなく0°(ゼロ)に近づいた状態
:超親水性となり、これ以上ない極限の撥水性の接触角は、限りなく180°に近づいた状態:超撥水性となります。


コーティングにおいて、水の接触角0°~180°間は、超親水、親水、撥水、低撥水、高撥水、超撥水、疎水、滑水などさまざまな表現をされています。

今回は、コーティングにおける超撥水とはどのような状態であり、実現性があるのかについて考えてみたいと思います。
Wikipedia 超撥水によりますと、根拠や定義の出所は不明ですが、超撥水とは150°を超える接触角としているようです。
 

平滑面コーティングにおける超撥水とは

自動車のボディ塗装や窓ガラスは、艶のある塗装や透明な窓ガラスであり平滑な表面ですね。マット塗装(艶消し塗装)や擦りガラス(スリガラス)は別にして、透明感のある塗装やガラスの表面は、ミクロン以下の小さなサイズで見ても、凸凹が少ない平滑性が高い表面となっています。

平滑性の高い表面において、撥水性(疎水性)を高めるためには、表面張力をできるだけ小さくすることが必要です。現在このような条件に適合する表面を作るには、表面張力の小さいフッ素化合物やメチル基シリコーンなどを、表面に高密度に配向することが必要です。
 

中でもフッ素(F)の表面張力が小さい理由は、電気陰性度が最も大きい物質だからです。高校化学で教わったように、元素の周期表でフッ素(F)が最も右側に位置することを思い出してみましょう(参考:Wikipedia 電気陰性度)。

電気陰性度が最も大きいということは、フッ素の化合物は分子間力が小さい(表面自由エネルギーが小さい)ので、原理的にフッ素化合物の表面張力は最も小さくなるということになります。

このため
平滑な表面を改質するコーティングとして、透明度や艶を保ちながら、撥水性を最大にできる物質はフッ素化合物なのです。現在のところフッ素化合物の中でも、最も表面張力の小さいものは、メチル基(-CH3)の3つの水素(H)すべてが、フッ素(F)に置き換えられたトリフルオロメチル基(-CF3)です。

このトリフルオロメチル基(-CF3)を持つフッ素化合物で処理された表面の水の接触角は、理論上120°程度となります。しかし、これは実験室など整った条件下で確認できるもので、実際のコーティングにおいては、110°程度が最高の撥水となります。


このように平滑面コーティングにおいては、接触角が120°を超えるような場合「超撥水性コーティング」と言っても良いのかもしれません。


超撥水性表面は艶消し・不透明になる

それでは接触角150°以上の超撥水性や、120°を超える撥水性表面はどのようになっているのでしょうか。

超撥水の事例として、自然界ではハスやイモの葉表面や、日常生活ではフッ素加工された傘などがあります。

これらの超撥水表面は、小さな凹凸が多く規則的な乱れなく配列された表面になっています。このように超撥水性表面は、連続した小さな凹凸により光が乱反射するため、艶があり透明感のある平滑な表面ではなく、艶消し・不透明表面になります。



平滑面の超撥水性コーティングはできない

仮に、塗装や窓ガラス表面の艶や透明感に影響を与えない程度の、微細な凹凸が人工的に作れたとしましょう。このようなデリケートな凹凸表面は、自動車が屋外を走行し、大気や雨にさらされることで、油分やチリやホコリなどの汚れが付着しますので、微細な凹凸はすぐに埋められてしまうことが考えられます。

このほかにも、洗車によるスポンジ・タオルや、ワイパーの動作による摩擦などでミクロな凹凸が無くなってしまい、平滑化してしまうことにより超撥水性が失われてしまうでしょう。

このように平滑面において、
接触角120°を超えるような超撥水性コーティングは、残念ながら実現できないのです。

ガラスコーティングの撥水性についてはこちらをご覧ください。→撥水性ガラスコーティングとは




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