2013-11-13

親水性コーティング剤 ~親水のメリットとデメリット~

親水性のおさらい

クルマの塗装や窓ガラスの撥水性(疎水性)がいいのか、親水性がいいのかって、結構悩ましいですよね。前回までの記事のように撥水性を基本とした疎水性や、滑水性についてはイメージしやすいのですが。

さて、親水性について定義をおさらいしてみてみましょう。
以前の記事親水性と疎水性で触れましたように、親水性について下記のように言うことができます。

「水との親和性の高い化学種や置換基が、水との間に水素結合などによる弱い結合を作ることです。つまり、水に溶解しやすいかあるいは、水に混ざりやすい性質を言います。親水性を発現する有機化合物の親水基として、具体的にはアルコールなどの水酸基、界面活性剤などのカルボキシル基・アミノ基があげられます」



また親水性と疎水性は、水との親和性(溶けたり混ざり合ったりする)に対する性質が、反対であることを表す「対義語」であります。


親水性コーティングの表面

おさらいはこのくらいにしまして、コーティングにおける親水性とはどのような状態を言うのでしょうか?
一般的にコーティング業界では、自動車の塗装面や窓ガラス面に付着した水の接触角が、概ね10°~20°程度以下の状態であることを言っているようです。塗装面を例にして親水性とはどのような状態なのかを考えてみたいと思います。

まずは、親水性とは、疎水性=撥水性とは逆の状態なので、固体の表面自由エネルギーは、水の凝集力=表面張力よりも大きいことが一つの条件となります。これは、ボディ塗装や窓ガラスのように、表面はできるだけ滑らかであって、微細なレベルでもできるだけ凹凸が少ない状態での、親水性を発現するための条件であるわけです。

このように、水と塗装面の親和性が高いため、水玉状にはならずに、水がベタっと広がった状態になる訳ですが、自動車ボディ塗装において、親水性コーティングにより表面に改質するとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?


●親水性コーティングのメリットって?

塗装や窓ガラス表面を親水性に改質するメリットとは何でしょうか?
親水性の場合、水が凝集しにくく水玉になりにくいため、ウォータースポット(イオンデポジット)の原因となるような、酸性雨が蒸発し高濃度の酸がスポット的に凝縮されにくいことと、おなじくシリカ(シリケート)無機汚れがスポット的に凝集されにくいことが挙げられます。
(参考)
ウォータースポット(イオンデポジット)の原因
http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_17.html


ウォータースポット(イオンデポジット)の除去と対策
http://coating.th-angel.com/2014/09/blog-post_21.html

ただこれは親水性だからウォータースポットまたは、イオンデポジットが付着しにくいというわけではなく、汚れの密度がやや低くくなるといことです。一旦付着したウォータースポットまたは、イオンデポジットを除去のしやすさと、表面が親水性なのか、あるいは撥水性であるのかはあまり関係がありません。

よく言われる「親水性だから防汚性が高い」、という理由はよくわかりません。なぜならば、次回の「ガラスとガラスコーティングの親水性」でも述べますが、親水性の窓ガラスは、雨の飛沫や大気中に含まれるさまざまな汚染物質や、花粉や空気中に飛散している油分などが付着し、すぐに汚れてしまいますし、このような汚れ物質が付着することにより、次第に疎水性(撥水性)を帯びてきてしまいます。

仮に親水性表面の防汚性が高いとしても、親水性表面を維持し続けるためには、汚れや油分を早めに落として、日々のメンテナンスが欠かずにおこなう必要があるわけです。

親水性コーティング剤の防汚性が高い、という話は、おそらく「光触媒(酸化チタンと紫外線・日光)によって発現する超親水性とともに、有機物質が分解され汚れが付着しにくくなる」、ということと混同していることによるものと考えられます。


この一見理想的とも思われる、光触媒の現実と課題(普及しない原因)については、次回以降にお話しさせていただきます。
(参考)
親水防汚:光触媒コーティングの現状と課題 その1

親水防汚:光触媒コーティングの現状と課題 その2

自動車の窓ガラスにおいては、ワイパーのないサイドガラスやリアガラス、ドアミラーなどは、水玉になりにくい親水性のほうが、光の乱反射が少ないので視認性が高い、ということもあるようです。


●親水性コーティングのデメリット

簡単に言いますと、コーティングして親水性になったけれど、しばらくすると汚れが付着して弱い撥水になって、入念に洗車することで親水性っぽくなる。この繰り返し、つまりコーティングがしっかりかかっているのか、それともコーティング被膜が消滅あるいは劣化して、効果が残っているのか無くなっているのかがわかりにくい点ではないでしょうか?


結局のところ、車のボディコーティングにおける親水性って、「親水性維持が実現できない」ため、幻のようでつかみどころが少ないってことでしょうか。



それでは次回は親水性表面の代表として、「ガラスとガラスコーティングの親水性」について触れてみたいと思います。


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