2013-11-15

親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~

本記事は予告しました「親水性コーティングの種類」ではないですが、その前に気になる「親水性と防汚」と「超親水性光触媒」関連記事を挟ませていただきます。

親水性表面の防汚機能

親水性表面の機能性のひとつに「防汚」ということが言われます。
防汚とは、文字通り汚れの付着をを防ぐあるいは、付着した汚れ落ちやすいという意味ですね。
その考え方は概ね下記の通りです。
親水性表面は汚れが付着しても、水との親和性が高いので、
水が汚れとの間に入り込み、付着した汚れが簡単に水で流れ落ちるという考え方です。

親水性ガラスコーティングの仕組み

自動車ボディや建築外壁・内装などの親水性ガラスコーティングを例題といたします。
身近な例として、ポリシラザンなどの親水性ガラスコーティングが硬化した表面は、水酸基(-OH)を代表とする親水性の原子団が覆っています。この水酸基(-OH)とは、酸素(O)に対して、ひとつの水素(H)が結合している状態です。

ご存知のように、酸素原子(O)はふたつの結合手(原子価)を持っているため、もう一方の手が空いている状態は不安定となり、安定化させるために絶えず何かと手を結ぼうとします。その結ぶ手の先が水(H2O)である場合は、水の水素(H)となります。
このため水との親和性が良くなり親水性となるのですが、水とガラスコーティングの水酸基(-OH)の結合は、「水素結合」であるため結合力はかなり弱く、水が流れ落ちたり拭き取ったり蒸発することで、水との水素結合はすぐに切れてしまいます。当たり前のことですが。



親水性ガラスコーティングの疎水化(撥水化)傾向

一般的なガラスを例にしますと、研磨脱脂をした直後のフレッシュなガラス表面の場合、水の接触角が5~10°前後の高い親水性を示す場合でも、そのまま大気中に一昼夜程度放置しますと、水の接触角は30°前後までの疎水傾向(撥水傾向)を示すようになります。

この疎水化(撥水化)傾向は、上記のような水酸基(-OH)の不安定状態の酸素(O)が、安定性を欲しがるために、さまざまな無機物や有機物が結びつくことで、表面の自由エネルギーが低下することにより、疎水(撥水)傾向を示すために起きるのです。



親水性ガラスコーティングとウォータースポット

雨水や水道水などが降りかかった場合は、更に疎水化(撥水化)が顕著で、最も強い結合を示す事例では、ガラス表面の酸素(O)とケイ素(Si)が共有結合することで起きる、汚れとしてのシリカガラスが固着する現象、すなわち頑固なウォータースポット(別名:イオンデポジット)が発生することになります。

このような理由から、ポリシラザンなどの親水性ガラスコーティング表面は、シリカガラスが堆積がしやすいために、ウォータースポット(別名:イオンデポジット)が発生しやすいものとなっています。


親水性ガラスコーティングの現状と展望

親水性ガラスコーティングや親水性の窓ガラスは、表面がフレッシュな状態(水酸基の酸素が不安定な状態)かつ、表面が純度の高い水で覆われている限定的な状態では、他の無機物や有機物の付着を防ぐ効果が望めます。

しかし通常の自然な状態に置かれているような、例えば駐車場にある車や走行中の車においては、すぐに表面にさまざまな汚れが付着して、親水性が疎水性(撥水性)の傾向を示すようになります。この状態では「親水性による防汚効果」は薄くなるということになるわけです。

以上のように、ただ単純に親水性であるというだけの理由で、防汚性が高いというのは、非常に限られたクリーンな実験室や、半導体製造工場の中のような条件下によるものと考えられるわけなのですが、仮に屋外で、走行中の車のボディや窓の親水性を継続的に維持できるとしたらどうでしょう。

このような、親水性が保てる表面を何とか実現できないかと考えられたのが、よく耳にする「光触媒」なのです。この光触媒という継続的な超親水性表面を実現できれば、汚れがつきにくく、雨が降れば自浄的に汚れを落とし、いつまでも美しいボディや窓を維持できるというわけなのです。

ところがどっこい、この光触媒は実験室では目覚ましい効果があるのですが、実際の環境下ではなかなか難しいもので、思い描いた通りにはならない現状があります。

次回の記事では、この「超親水性光触媒の現状と課題」についておはなしさせていただきたいと思います。



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