2015-03-31

コーティング剤の選び方 ~トップコートとして~

一般ユーザーさまから「コーティング剤の選び方」についてご質問をいただきました。
「専門店で施工したガラスコーティングに対して、トップコートとして使用するコーティング剤は何が良いのですか?」というご質問です。


トップコートに求められること

ガラスコーティングの上にトップコートする場合や、塗装の上に直接コーティングする場合を含めて、トップコートに求められる機能性は下記のように考えます。
【ガラスコーティングの上に施工するトップコートとして】
1.無機汚れ※固着を防ぐ
2.防汚性(撥水性)を補う
3.美観を補う

※.別名:ウォータースポット・イオンデポジット・ウロコなど(参考)

このような、機能性に加えてガラスコーティングの劣化しにくいという特徴を損なうことがなく、長期間の持続性を持つことが要求されるわけです。

詳細は下記の記事をご参照願います。

・ガラスコーティングを補うコーティング剤 ~メンテナンス剤として~
http://coating.th-angel.com/2014/11/blog-post.html



トップコートの現状

これまでガラスコーティングとの相性が比較的よいとされるトップコートとして、酸化や、紫外線・熱などにも強く劣化しにくいシリコーン(一般にシリコン系やガラス系、ガラス繊維系と呼ばれる)を主原料とするコーティング剤が用いられてきました。

このようなトップコート剤は、シリコーンを水に乳化(乳白色に見える)させたものや、シリコーンを水に可溶化(透明に見える)させたもので、現在のトップコート剤の主流となっているわけです。

シリコーンは、ガラス(Si-O)と基本的な分子構造(基本骨格)が同様であることや、用途に応じた有機官能基を、基本骨格に直接結合させることができることを活かして、耐久性・密着性・撥水性(疎水性)といった他に類をみない、特徴や機能性を付与させることができます。

このような基本的な特徴に加えて、ガラスコーティングの美観を上手に補いつつ、ガラスコーティング最大の弱点とも言える無機汚れ(ウォータースポット・イオンデポジット・ウロコなど)の固着を遅らせることができるのです。



弊社が考えるトップコート

シリコーンは、ガラスコーティングのトップコートとして、現在考え得る最良の原材料であると考えております。そうした中で、従来型シリコーンの特徴を活かしつつ、更にシリコーンの特性を強化したタイプのものが実用化されています。

具体的にはシリコーン基本骨格(Si-Oガラス骨格)の多官能化による結合密度の強化と官能基の最適化により、コーティング剤として下記のような性能や機能性が向上しました。
1.耐久力アップ:Si-Oガラス基本骨格の結合密度が強化され、熱や紫外線、化学物質、酸やアルカリに対する耐久性が向上しました。
2.密着力アップ:官能基の種類と量を最適化し、ガラスコーティング表面や塗装表面への密着力が向上しました。
3.撥水力・防汚力アップ:官能基の種類と量を最適化し、施工後の撥水性や防汚性が向上しました。
特にガラスコーティング最大の弱点である無機汚れ(ウォータースポット・イオンデポジット・ウロコなど)の固着を遅らせる効果があります。
このように、ガラスコーティングのトップコートとして最も適しているものが、強化型シリコーンコーティングとして位置づけできる「シリコーンレジン」を主原料としたコーティング剤であるわけです。

このように、以前よりシリコーンレジンコーティングは、ガラスコーティングのトップコートとして、大変優れたものであることが解っておりました。

弊社では、ガラスコーティングの特徴をより引き出し、シリコーンレジンを主原料としたコーティング剤を製品化することが、新しいトップコートが目指すべき目標であると捉えて、蓄積した技術を駆使して独自に開発をおこないました。

製品化課題を克服するため、大手原料メーカーさんから半完成品(完成品に近いため相応のコストがかかっている製品)を調達するのではなく、源流にできるだけ近い原材料を用いて、独自の開発と製造方法の最適化を図ることにより、総合的な品質の向上とコストダウンを押し進めてまいりました。

その結果、シリコーンレジンを高濃度に配合し、シリコーンレジンの特徴を最大限に引き出すことに加えて、安定した品質のコーティング剤製品化をおこなうことができました。


(参考)最高のトップコート ~ハイブリッドコーティング~

http://coating.th-angel.com/2015/06/blog-post.html

コーティング剤の選択

このような経緯により、製品化した商品が「キラサク シリコーンレジンコーティング」シリーズです。

このシリーズには下記の3種類のラインナップ:1.GPコーティング、2.EXコーティング、3.ブルーラベルがあります。
それぞれの特徴と選択のポイントは下記の通りです。


1.キラサクGPコーティング
シリコーンレジンの濃度が最も高いタイプです。 
このため、耐久性や高い透明感に特徴がありますので、濃色車から淡色車まで全ての塗装色との相性が高いです。 
粘弾性の高いシリコーンレジンを高濃度配合しているため、乾燥したクロスでの拭き上げや、磨いた際の感触に独特の抵抗感があります。 
このため、しっかりと拭き上げて、不要なコーティング剤が残存しないようにすることがGPコーティング施工のコツです。 
参考:シリコーンレジンコーティングの粘弾性と滑り止め
http://coating.th-angel.com/2014/02/blog-post_23.html
 
2.キラサクEXコーティング

シリコーンレジンをベースにフッ素樹脂を添加したタイプです。
フッ素樹脂の効果により、油分や汚染物質を含んだ黒ずみ汚れの付着防止に特徴があります。
耐久性や透明感は若干GPコーティングのほうが高く、どちらかといえば淡色車との相性が高いです。
フッ素樹脂添加により、滑らかな拭き上げ感がありますので、感触としては、GPコーティングよりも一般的かもしれません。


3.キラサク ブルーラベル

シリコーンレジンをベースに天然抗菌剤を添加したタイプです。
車の内装・車の外装から、ご自宅や事務所などのインテリアまで、幅広くご利用いただけますが、どちらかと言うと内装用途をお勧めいたします。
抗菌剤などを添加しているため、ボディ外装の場合、耐久性や撥水性を求めるのであれば、GPコーティングやEXコーティングのほうがよいと思います。
これ一本で、あちらこちら多用途にお使いになるのであれば、ブルーラベルがよいでしょう。
(参考)ブルーラベルスペシャルサイト
http://bluelabel.th-angel.com/


よくあるご質問1

粘弾性の高い特徴を活かしたGPコーティングは、拭き上げにくく使いにくのですか?

(回答)
GPコーティングを含めて、シリコーンレジンコーティングは硬化する(固まる)コーティング剤ではありません。

粘弾性が高い液体のまま表面に留まっていますので、施工の一週間経ってから「拭き残し」にお気づきになられましたら、表面の汚れを優しく洗浄したのちに、残存したコーティング剤を拭き上げてください。

つまり、シリコーンレジンコーティングは、いつでも簡単に、ムラや拭き残しを回復することができますのでご安心ください。



よくあるご質問2

GPコーティングの取り扱い方法に「やわらかく清潔なな布でツルツルになるまで拭き上げてください」と記載されていますが、これは抵抗感がなくなればOKということですか?

(回答)

GPコーティングの場合は、しっかりと拭き上げても感触が急に軽くなることはないと思います。


黒などの濃色車の場合は、表面の光沢の変化(透明感)を見ながら拭き上げていただければ確認できます。

白などの淡色車の場合は、表面の光沢の変化はわかりにくいので、下記のような方法でトレーニングをされてみたら、感覚がつかめるかもしれません。

スマートフォンやタブレット画面・ピアノなど、身の回りにある黒っぽい光沢のあるガラスやプラスチック表面の油分など汚れを拭き取ったのち、GPコーティングを塗布し拭き上げてみてください。

拭き上げながら、透明感が出てくる感触をつかむことができると思います。なおスマートフォンなどの電子機器の場合、端子やマイクなどの小さな穴や、筐体の隙間からコーティング液剤が浸み込むことがないようにしてください。

具体的にはコーティング液剤を直接吹き付けるのではなく、ティッシュペーパーなどに少量を浸み込ませてから、塗り込みをすると失敗しにくいと思います。

車の塗装、スマートフォンでも同じですが、施工の前に表面の汚れや油分を落として、拭き上げに使うクロスは油分などで汚染されていないものを使用してください。

簡単・キレイに施工できることを実感していただけると思います。




補足事項1

上記3種類からの選択の際には、下記のページも参照されてみてください。

http://kirasaku.th-angel.com/%E3%82%AD%E3%83%A9%E3%82%B5%E3%82%AF%E3%81%AE%E9%81%B8%E3%81%B3%E6%96%B9/



補足事項2

シリコーンレジンコーティング関連情報は、下記ブログ記事をあわせてご覧ください。

1.シリコーンレジンって何ですか?
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_5783.html

2.シリコーン?シリコンではないの
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_5152.html

3.シリコンは石ころから、そして・・・
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_23.html

4.シリコンからシリコーンへ
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_679.html

5.シリコーンっていったい何
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_8600.html

6.シリコーンの仕組み
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_4478.html

7.シリコーンをコーティングに
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_3602.html

8.コーティングはみな同じ?
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_1423.html

9.シリコーンレジンコーティングとは
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_4269.html

・シリコーンコーティングとワックスの違い
http://coating.th-angel.com/2013/10/blog-post_8.html

・シリコーンレジン・エマルジョンについて
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_30.html

・ウォータースポット(イオンデポジット)の原因
http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_17.html

・ウォータースポット(イオンデポジット)の除去と対策
http://coating.th-angel.com/2014/09/blog-post_21.html

(参考)
コーティング剤の選び方 ~トップコートとして~
http://coating.th-angel.com/2015/03/blog-post_31.html

ハイブリッドコーティング ~トップコートとして~
http://coating.th-angel.com/2015/06/blog-post.html

ハイブリッドコーティング ~ベースコートとして~
http://coating.th-angel.com/2015/05/blog-post_12.html

新しい無機有機ハイブリッドコーティング
http://coating.th-angel.com/2014/12/blog-post.html

新しいガラスコーティング剤について
http://coating.th-angel.com/2014/05/blog-post.html

ガラスコーティングの比較
http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_12.html


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2015-03-07

ガラスコーティングで一番大事なこと

弊社は「コーティング剤のメーカー」ですので、『ガラスコーティングで一番大事なことは?』と問われましたら、即座に「ガラスコーティング剤の品質です」で答えたいところです。

しか~し、実はこういう風に言わざるを得ないのが悔しい!のですが、コーティングの仕上がり品質や、その後の耐久性に大きく影響するのは、皆さんお気づきの通り「正しい施工」であることは間違いありません。


ガラスコーティングって何だっけ

弊社では「ガラスコーティングとは、硬化しながらガラス状被膜を形成し密着するもの」と考えて開発・製造しております。

この定義からすると、ガラス状に硬化しないようなものは「ガラスコーティングではない」ということになるわけです。

もう少し詳しく言いますと、ガラスコーティングは、重合反応によって徐々に高分子化することで、ガラス状に固まっていくと同時に、塗装表面と結合して強く密着するものです。

ですからガラスコーティングは、一旦固まり始めると取り返しがつかなくなるわけです。

これは塗料に似ています。


ペンキ塗りを思い出してみてください。

ペンキ(塗料)塗りをしたときも、塗ってからすぐに塗料が固まり始めますので、塗膜が仕上がるまでは触ることができません。

塗り込みだけでなく、ペンキ塗りの下地づくりが不十分ですと、塗りムラになったり、しばらく月日が経つと、部分的に剥がれたりして見っともないことになってしまいます。


ひどい場合には、素地に対して定着しないようなペンキを選択したりすると、どうにもならないわけです。

改めてガラスコーティングを見てみますと、ペンキ塗り(高分子塗料)や、従来の高分子ガラスコーティング剤の難しいところを克服するため、弊社のガラスコーティング剤は、最新の低分子化技術によって塗り込みの簡便さや、硬化時間の最適化をチューニングしております。

その結果、手前味噌になりますが、現在考え得る高度な次元で、施工の失敗が少なく、作業がしやすいように調整できていると自負しております。


ガラスコーティング剤だけではどうにもならないこと

そのような最新技術による、施工性の高いガラスコーティング剤を使っても、より良い美観や耐久性を追求するためには、施工に関する乗り越えるべき、数多くのハードルがあります。

詳しいことは、施工事業者さまのウェブサイトに書かれていますし、事前に施工者の方との面談で話題になると思いますが、そのポイントとなることについて、ほんのごく一部をみてみましょう。


1.塗装状態の確認・診断

施工対象の車一台一台に塗装の状態が異なります。

同じ一台の車であっても、部位によって塗装の劣化状態や傷つき・汚れの度合や性質が異なります。


中には劣化が進み過ぎて、ガラスコーティングをするべきでなく、再塗装をすべき車だってあります。

ガラスコーティングを活かした効果が出せるかどうかを判断する。

この判断を間違えると、まるで医師が誤診をして、間違った投薬や治療をするのと同じように、車にとってもユーザーにとっても大きな影響を与えてしまうことになります。

劣化した塗装にガラスコーティングをしても、効果が出ないばかりではなく、かえって美観を損ねたり、触れば触るほど劣化した塗装に悪影響を与えてしまうかもしれません。

無理矢理に例えますと、家を建築する際の地盤調査の結果が悪すぎて、基礎工事に多くのコストと時間をかけても、「どうにもならない」というような感じに似ているのではないでしょうか。

そのような判断は、単なる施工技術だけではなく、豊富な施工経験や普段からの研究がものを言うのではないかと思います。


2.下地づくり

ガラスコーティングを実施することになり、最初の工程である下地づくりは特に重要です。

コーティング剤の性能を引き出して、被膜の良い状態を適切に維持するために、「下地づくり」が最も重要な工程であることはどなたも異論はないでしょう。

ガラスコーティング剤を提供している立場から言えば、理想的な下地づくりとは下記の2項目に集約されます。
 

  • 平滑性が高く鏡面であること
  • 残留物がないこと

言葉にすると簡単ですが、「言うは易く行うは難し」のごとく、完成度を求めることは非常に大変な作業となるわけです。

洗車などによって濃色車が白っぽく見えたり、虹色に見えたりするような微細な傷があるボディに、ガラスコーティングを施すことによって、しっとりと濡れたようになりました。というようなことがあります。

確かにガラスコーティング剤の良し悪しの目安として、コーティングの成果として認識できた。というような感じでしょうか。

平滑性の高い鏡面にすることができた塗装表面と、微細傷があるままの塗装表面の両方を施工した結果は、同じガラスコーティング剤を使用した場合、鏡面磨きができている方が、より美しい仕上がりとなるのは言うまでもありませんね。

また、鏡面磨きが完璧に仕上がった場合でも、表面にコンパウンド(研磨剤)に含まれる残留物や、微量の油分などが残っていたらどうでしょう。このような場合は、コーティングしてからしばらくの間は、何ともない美しいような感じに見えます。

しかし、そうした残留物がありますと、密着が弱くなることにより、熱ストレス(熱膨張)や振動、太陽光(紫外線)などの外部刺激を受けやすくなり、時間経過とともに微細なクラックや剥がれが発生して、ガラスコーティング本来の耐久性や美観が維持できないことになります。


3.その後の工程

下地づくりができますと、その後にはガラスコーティング剤の塗布→養生→仕上げ→確認などと、それぞれに経験と試行錯誤に裏付けられた、専門性の高い工程へと進んでいきコーティング施工が完成するわけです。


ガラスコーティングは間違いを許さない

いかに、極限まで作業性を向上させた高品質なガラスコーティング剤であっても、求められる結果は、強固に固着した美しい被膜を形成することにあるのです。

つまり、適正な施工は最高のコーティング品質を提供するが、失敗をすると液剤などでは失敗した被膜の剥離ができませんので、研磨からやり直しをしなければならないという、シビアな施工を求めるものなのです。

仮に、魔法のようなガラスコーティング剤が、超イージーな作業性を提供し、誰がやっても簡便な作業で、100%の美しさと耐久性が出せるようにすることが、コーティング剤メーカーとしては大いなる夢ではあることは認めます。

しかし、現在のところそのようなものは、世界中どこの誰にも作り出せてはいないはずです。



どんなに優れたガラスコーティング剤であっても、車一台一台のコンディションに応じて、最適な施工をおこなう「職人的な経験・技」と「適切な設備と環境」の存在は、絶対に欠かせないわけです。

施工者の技量・設備とガラスコーティング剤の品質は、車の両輪のように両方がそろってはじめて、「真のガラスコーティング」と呼べるのではないでしょうか。




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2015-03-01

撥水/撥水性について(まとめ)

撥水あるいは、撥水性に関する本ブログ記事のまとめを作成しました。

このまとめは、弊社ウェブサイトの下記URLとなります。


撥水/撥水性について(まとめ)

http://www.th-angel.com/archives/834

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今後も、重要なキーワードごとに同様のまとめをしていきたいと思います。

今後ともよろしくお願い申し上げます。



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