2013-09-23

5.シリコーンっていったい何

これまでくだくだしく、珪石→金属ケイ素(金属シリコン)→シリコーンといった成り立ちについて述べてきました。
要するにシリコーンは、「ケイ素(Si)と酸素(O)がシロキサン結合した重合体」であると言うことです。

まずは「シロキサン(Siloxane)」についてお話しいたします。「シロキ酸」ではありませんのでご注意ください(笑)。

シロキサンは、ケイ素原子と酸素原子が交互に連結した分子の集合:重合体(-Si-O-Si-)のことです。実はこのシロキサン結合は、身近にあるガラス(SiO2)と同様構造の化合物なのです。

なーんだ、ガラスと同じものなの?それじゃ無機物じゃん!
でもでも、シリコーンは最初にゴム状・オイル状や樹脂状のもの、ってことだったけどガラスとはだいぶ違う
んじゃないの?それとも、元の珪石(SiO2+不純物)に戻っちゃったの!って、思われたんじゃないでしょうか?

それじゃ意味がないですよね。
結論はそうじゃなくて、珪石から金属ケイ素(金属シリコン)を取り出して、人工的にケイ素を中心とした化合物を再構築することで、自然界には存在しない新しい物質を作り出したものなのです。

それは、シリコーンのシロキサン結合が(-Si-O-Si-、無機物)だけではない。すなわちケイ素は酸素とつながっている「主鎖:主骨格」だけではなく、ケイ素が酸素とは別の「有機官能基(有機性の置換基)」がつながった「側鎖」を持った構造をしている。
という「ハイブリッド的な物質」、それがシリコーンなのです。

つまりシリコーンとは、「主鎖が無機物」であり「側鎖が有機物」という複合的な構造を持っていて、この構造をどのように組み立てるのかによってできあがる物の性質が決まるという訳です。
いかがですか面白いハイブリットでしょ。


そのようにしてできた無機と有機ハイブリッドな合成物は、どのような物性上の特徴を有するのでしょうか?

●主鎖が無機物である特徴
主鎖がSiO2:ガラスに似通ったものであることを思い出してください。ガラスって高熱・低温に強く、酸やアルカリ、さまざな薬物に強く、紫外線や電磁波による劣化や酸化、分解も少なく、電気的に絶縁性があるでしょう。シリコーンの主鎖もこのガラスの特徴を持っているのです。
無機物であるガラス(ケイ素-酸素-ケイ素結合)は、有機物(炭素-炭素間結合)よりも結合力が強く(結合が切れにくい)ため、化学的に安定で、酸化・分解されにくいという特徴があります。

●側鎖が有機物である特徴

側鎖である有機官能基の種類変えたり、複数種類の有機基を組み合わせたりすることで、さまざまな性質を持たせることができます。
例えばメチル基による撥水性・離型性(水をはじめとした他の物質がくっつきにくい)を待たせたり、フェニル基による低温で固まりにくくしたり、その他の有機官能基を組み合わせることで接着性や粘着性を持たせたり・・・、さまざまな用途に向けての機能性を実現できる特徴があります。

●組み合わせによる特徴

主鎖と側鎖それぞれの特徴に加えて、主鎖のつながり具合や主鎖と側鎖のつながり具合、側鎖上の有機官能基の種類を選ぶことによって、液状にしたり・ゴム状にしたり・硬い固形にしたり・くっつきやすくしたり・くっつきにくくしたりなど、変幻自在というのは大げさかもしれませんが、大変多くの用途に適合させることができます。

シリコーンは、これまでにない(自然界には存在しない)新たな機能性と性能を備えた、化合物を合成することができるます。
【シリコーンの用途例】(シリコーン工業会のホームページ参照)
http://www.siaj.jp/ja/application/index.html

このように非常に多くの用途への応用が可能です。その理由はこれまで述べてきたように主鎖と側鎖それぞれの構造に加えて、主鎖と側鎖の組み合わせ方によるものなのですが、もう少し具体的な仕組みについて見ていきたいと思います。

シリコーンレジンコーティングについて
1.シリコーンレジンって何ですか?
2.シリコーン?シリコンではないの
3.シリコンは石ころから、そして・・・
4.シリコンからシリコーンへ
5.シリコーンっていったい何
6.シリコーンの仕組み
7.シリコーンをコーティングに
8.コーティングはみな同じ?
9.シリコーンレジンコーティングとは
(参考) ガラスコーティングを補うコーティング剤 ~メンテナンス剤として~



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