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2016-10-16

コーティング剤にまつわるフッ素とフロン ~今度は地球温暖化対策~

昨日、NHKニュースや新聞でご覧になられた方も多いと思いますが、フッ素化合物を原料とする「代替フロン、ハイドロフルオロカーボン:HFC」を地球規模で削減する「モントリオール議定書」の改定案が採択されたということです。

(参考)代替フロンを段階的削減へ、約200か国が合意 - AFP通信
http://www.afpbb.com/articles/-/3104489


いよいよ、オゾン層破壊対策の切り札であった「代替フロン」さえも、地球上から無くしていこうと動き始めたようです。

従来私たちは、オゾン層を破壊する原因物質として、CFCや、HCFCなどの「特定フロン」を削減しようということはよく知っています。

オゾン層を破壊する特定フロンの代わりとして、冷蔵庫やエアコンの触媒や、エアゾール、半導体製造用途などとして利用され始めたのが、HFCなどの「代替フロン」です。

現在販売されている冷蔵庫やエアコンのほとんどが、この代替フロンを使用しています。この代替フロンのおかげで、オゾン層の破壊にブレーキがかかりつつあるということも、聞こえてきています。

しかし、この代替フロンにも大きな問題があることがわかってきました。
代替フロンは、最大の環境問題となっている、地球温暖化の原因物質であるということなのです。

温暖化防止のための二酸化炭素排出削減と、歩調を合わせる必要性が急速に高まっているようです。

このような中で、昨日ルワンダの首都キガリにおいて、約200か国が合意して、フロン利用の削減や、ノンフロン化(フッ素を使ったフロンを使わないこと)を目指し、大きく舵が切られることになったというわけです。

これらの「特定フロン」(オゾン層破壊原因、地球温暖化原因)と、「代替フロン」(地球温暖化原因)の主な原料が「フッ素化合物」です。

以前、当ブログでも取り上げましたように、人体や環境への影響が大きいフッ素化合物の削減の動きと相まって、フッ素コーティング剤に関係するフッ素化学製品への影響について、注視していく必要がありそうです


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2016-10-13

レアアースコーティングについて

レアアースやレアメタルのコーティングへの適用

一年ほど前から、THエンゼルさんのコーティング剤にはレアアース・レアメタルを使っていますか?や、レアアース・レアメタルを使ったコーティング剤を作ることができますか?とのご質問をいただいております。


レアアースやレアメタルは、古くからハードディスクや電池、スピーカーなど、スマートフォンやパソコンなどの電子デバイスの原料として使用されており、数年前に中国で産出される資源取引の問題として、報道されたことが思い出されます。


結論から申し上げます。

弊社の自動車用ガラスコーティング剤および、建築用ガラスコーティング剤には、レアアースやレアメタルと呼ばれる希土類金属由来の化合物は使用していません。

レアアースやレアメタルを使用しない理由は、下記のとおりです。

硬化型コーティング剤において、一部の金属化合物は、硬化反応などを制御する触媒として使用されています。

このような中で、古くからコーティング剤の硬化触媒として、レアアースやレアメタルが用いられております。


弊社は、コーティング剤の開発段階において、用途に応じて下記のような要件を考慮しながら、最適な触媒を選択しています。 レアアースやレアメタルの適用についても、選択肢のひとつとして評価をおこなっております。

【硬化触媒の要件】
  • 硬化特性・硬化速度
  • 硬さと柔軟性のバランス
  • 素地との密着性
  • 耐久性
  • 美観


評価した結果として、自動車や建築に使用する硬化型コーティング剤(ガラスコーティング剤)では、レアアースやレアメタルではなく、別種類の金属触媒を採用しております。


過去の話ですが、 自動車や建築用ではなく、用途や条件が異なれば、弊社においても硬化型コーティング剤として、レアアースやレアメタル由来の触媒を用いておりました。


弊社がレアアースやレアメタルをコーティングの触媒原料使用い理由は、現場で施工する自動車用コーティング剤や建築用コーティング剤としては、硬化特性などの点で最適ではないためです。

弊社がレアアースやレアメタルを使用しない理由は、もうひとつあります。

簡単に言いますと、レアメタルやレアアースを採掘する際の環境汚染と、原料調達の不安定さを避けるためです。

採掘した鉱物からレアアースやレアメタルを取り出すときに、一緒に出てきてしまうものに、ウランやトリウムなどの放射性物質があります。

その課題は下記のようにとらえております。


レアアースコーティングやレアメタルコーティングの課題


東日本大震災に前後して尖閣諸島領土問題に関連して、主要生産国である中国が価格を操作したり輸出制限をしたため、レアアースやレアメタルが注目を浴びたことがありました。

皆様もよくご存じのように、レアアースやレアメタルは中国だけではなく、地球上の多くの地域に分布(中国領土の埋蔵量は世界全体の3割程度、そのほかはカザフスタンなどのCIS諸国、アメリカ、オーストラリアなど)しています。

それではなぜ、当時の世界は、中国に依存していたのかと言うことが疑問になるかと思います。

その理由は、中国での生産量が多く、価格が安かったためです。

中国での生産量が多く価格が安い理由は、中国政府が政策的に寡占を目指したことと、レアアースやレアメタル抽出の際に出てくる汚染物質の存在を、半ば無視して生産を続けていたからなのです。

世界最大の中国南部の鉱床は、イオン吸着型鉱床と呼ばれ、レアアースやレアメタルを含む花崗岩に酸を注入し、酸に溶解したレアアースやレアメタルを取り出す方式です。

従来、このイオン吸着型鉱床では、レアアースやレアメタルを取り出す前に、放射性物質が自然に溶けだしていて、放射性物質の処理は不要だと言われていました。

しかし、現在は溶解処理中に出てくるウランやトリウムなどの放射性物質や、フッ素化合物などの多くの化学物質を使用した精錬方法が、深刻な環境汚染を引き起こしております。

中国のレアアースやレアメタル採掘精錬業者は、中小企業が多く、環境汚染対策をほとんどおこなわずに、必要なコストを削って生産しています。

今後も、中国の供給不安が懸念されるため、CIS、アメリカやオーストラリアなどでのレアアースやレアメタル採掘・生産への動きや、日本でも調達方法の見直しや、レアアースやレアメタルに代わる代替原料へ向けての技術開発が進められています。

いずれにしましても、レアアースやレアメタルのコーティング剤への適用は、機能や性能面での必要性が見いだせないことに加えて、放射性物質やフッ素化合物などによる環境汚染の問題や、不安定なサプライチェーンの問題から、あえて使用する必要はないと考えています。



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2015-08-23

フッ素コーティング ひとつの答え

フッ素コーティングに関する最近の動向や課題についてまとめてきました。

進歩の著しいシリコーンレジンコーティングと比較して、フッ素コーティングは撥水が特別に素晴らしいわけではなく、持続性や耐久性もあまり期待できない状況です。



しかし、フッ素コーティングには下記のような評価すべき点があります




滑りが良く水を弾くため汚れにくい


フッ素樹脂は、炭素とフッ素によるC-F原子間結合力が大きいため、フッ素樹脂に接触する他のものとの分子間力が小さくなります。

フッ素樹脂は他のものを引きつける力が小さいため、他のものとのくっつく力が弱く摩擦係数が小さくなり、表面張力が小さくなります。

フッ素樹脂コーティングにより、よく滑り・水を弾く表面になり、滑水性や撥水性が高くなります。




隠蔽性が高いため傷が目立ちにくい


コーティングにおける隠蔽性とは、微細な傷の目立ちにくさを言います。

フッ素樹脂だけでは密着しにくいため、単体ではコーティング剤にはなりません。このため、ボディ塗装などに密着させるためには、シリコーンオイルやシリコーンレジンなどを併用する必要があります。


  • フッ素樹脂の屈折率:およそ1.3~1.4
  • シリコーンの屈折率:およそ1.4~1.5


このように微妙な屈折率差があるものを混ぜると、わずかに光の乱発射が発生(透明度はわずかに下がる)することにより、コーティングの下にある傷が目立ちにくくなることがあります。

一方、フッ素樹脂を含まない、高純度のシリコーンレジンコーティングは、透明度が高い(光の乱反射が少ない)と言うことができます。

(ご注意ください)
フッ素樹脂混合コーティングは、ボディ塗装用ガラスコーティングのような硬化型コーティングには不向きです。



キラサクのソリューション

キラサク EXコーティングは、高品質シリコーンレジンをコーティングのベースとした上に、フッ素樹脂を配合しております(EXコーティングは硬化型コーティングではありません)。

フッ素樹脂を配合することにより、滑らかなコーティング表面になり、施工がラクにおこなえます。


EXコーティングGPコーティング比較
隠蔽性フッ素樹脂とシリコーレジンハイブリッドであるEXコーティングの隠蔽性については、シリコーンレジン純度が高いGPコーティングよりも良い傾向があります。

初期の撥水性初期の撥水性は、わずかにGPコーティングよりもEXコーティングの方が良いです。

撥水の持続性や耐久性撥水の持続性や被膜の耐久性は、EXコーティングよりもGPコーティングの方が良いです。




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2015-08-05

フッ素コーティングの弱い耐久性と危険な無機フッ素コーティング

前回記事では、フッ素コーティングの撥水性低下の問題についてご紹介しました。

フッ素コーティングについてご質問いただくことが多いので、フッ素樹脂を車ボディ向けのコーティングとして応用した場合の課題についてまとめてみます。

課題をひとことで表しますとこのようになります。

「フッ素樹脂コーティングはボディ塗装に密着しにくく、コーティングとしての耐久性に難がある」

それでも、従来よりフッ素樹脂がコーティング剤として使われている理由は何でしょうか?フッ素樹脂単体において、非常に優れた性質があるからだと考えられます。

以下でも述べますが、フッ素は全ての元素の中で最大の電気陰性度を持つため、炭素と強く結合したフッ素樹脂は下記のような特徴があります。


1.非粘着性・撥水性・撥油性が高く汚れにくい2.潤滑性が高く良く滑る

このように「粘着しなくて、水や油を良く弾き、良く滑る」ので、一見すると非常に理想的なコーティングとなるように見えます。

ところが、フッ素樹脂単体としては他のものとくっつきにくく滑りやすいため、コーティング剤とした場合もそのまま定着しにくいという特性が出てしまいます。

フッ素樹脂コーティングが「良いかもしれない」と思われつつ、現在も主流になれない理由がそこにあります。

くわしくその理由を見ていきましょう。



フッ素(単体)の強さ

フッ素(F)と他の原子が結合したものの中で、コーティング剤の元となるものとして「有機フッ素樹脂」(以下、フッ素樹脂)があります。

コーティング剤に使用されるフッ素樹脂は、主に炭素とフッ素(C-F)が結合したものがあります。

コーティング業界には、フッ素とケイ素が直接結合(Si-F)したように宣伝されているものがありますが、それは何かの間違いでしょう。

Si-F結合が間違いだという理由は最後に述べます。

炭素とフッ素(C-F)が結合したフッ素樹脂単体としては独特の強さがあります。

その強さとは、フッ素原子はフッ素原子がもつ電気陰性度の高さに由来します。

電気陰性度が高いということは、フッ素と結合した他の原子との間で電子を共有する力が強くなり、強い共有結合となります。

典型的なフッ素樹脂は、炭素とフッ素が結合した化合物(C-F)です。炭素が結びつきますから有機フッ素化合物に分類されます。

炭素とフッ素が結合した場合の結合エネルギーが、どれほどのものなのか数字で見てみましょう。

結合エネルギーの数字が大きいほど、紫外線や熱と酸素などよる分解に対して強い(分解されにくい)という特徴を持ちます。

結合エネルギーの例を見てみましょう。


原子間結合エネルギー 単位[kcal/mol]
  • 炭素とフッ素 C-F : 115
  • 炭素と炭素 C-C : 83
  • ケイ素とフッ素 Si-F : 135
  • 炭素とケイ素 C-Si : 76
  • ケイ素と酸素 Si-O : 108

ガラスコーティングの基本骨格であるケイ素と酸素(Si-O)108よりも、有機フッ素樹脂の基本骨格である炭素とフッ素(C-F)115や、無機フッ素化合物であるケイ素とフッ素(Si-F)135の方が結合が強いです。

一見すると、フッ素樹脂が非常に強いわけです。
ただし、これはフッ素樹脂のカタマリとしてみた場合の強さなのです。

C-F結合したフッ素樹脂は他のものとくっつきにくい性質を持っています。このような性質であるため、水や油を弾く高い撥水性と撥油性と非粘着性を持ちます。

簡単にはくっつかないため、密着を促進するために一般的には素地との密着を高める働きをするバインダー、つまり接着剤のようなものにフッ素樹脂を混ぜたものと、フッ素樹脂のトップコートを塗ってから、フッ素樹脂が液体になるまで高温(300℃~400℃)に熱して溶融・溶着させます。



フッ素樹脂溶着コーティングの仕組み

溶着の仕組みは、素地と接着しやすい材料にフッ素樹脂を混ぜ込めみ「溶かす」ことによって、接着剤成分は素地に密着し、溶けた接着剤のなかにはフッ素樹脂が混ざり込みます。

これが冷めるとベースコートになります。

さらにもう一度、フッ素樹脂濃度の高いトップコートを塗り、フッ素樹脂も溶ける高温で焼くことによってベースコート表面のフッ素樹脂と、トップコートのフッ素樹脂が溶け合うことで強い密着が得られるわけです。

身近な例として、フライパンのフッ素樹脂コーティングがあります。具体的な工程は下記のようになります。

  1. バインダー※を、フライパン素地(アルミや鉄)に塗布する。
  2. 150℃程度でバインダーを乾燥させる。
  3. バインダーの上に、トップコートとなるフッ素樹脂を塗布する。
  4. 150℃程度でトップコートを乾燥させる。
  5. 300℃~400℃程度でトップコートを焼成する。
※.フッ素樹脂と接着剤のようなものを混合したもの。




フッ素+ガラスコーティングの仕組み


フライパンのように素地が熱に強い金属の場合には、このような高温での溶着が可能ですが、現場施工における自動車のボディコーティングでは、300℃以上という高温にすることはできません。

このため、ボディコーティングの場合は、常温での化学反応によるフッ素樹脂コーティングをおこなう必要があります。

それでは、フッ素樹脂コーティングの中でも、よく使われているガラスコーティングをベースにしたものの仕組みを見てみましょう。

フッ素樹脂それだけでは、上記のようにボディ塗装に密着することができません。

このため、ボディ塗装と密着するケイ素と酸素(Si-O)を無機有機ハイブリッドのガラスコーティングベースとして、フッ素樹脂の基本骨格である炭素と結合した有機官能基を媒介として、ガラスコーティングと結合するという仕組みとなります。

詳しく見てみましょう。下の図をご覧ください。


フッ素ガラスコーティングの例
↑クリック拡大

フッ素ガラスコーティングの例

F:フッ素
C:炭素
CH2: メチレン基などの置換基
Si:ケイ素
O:酸素
Y:有機官能基
有:有機物(塗装面)
ボディ塗装表面は有機物で覆われています。

コーティングのバインダーとなるケイ素原子(Si)と強固に結合する酸素(O)を含む有機官能基Y(有機物と結合しやすい原子団)が、塗装面の有機物(有)と強い力によって原子間結合(化学結合)します。

この部分がガラスコーティングの基本(土台)となります。

フッ素樹脂は、炭素(C)が主骨格となっています。メチレン基(CH2)のような置換基を介することによって、フッ素樹脂-ケイ素樹脂間を結合することができます。






フッ素樹脂ガラスコーティングの弱さ


一応形の上では上図のようにコーティングができます。

しかし、上図のようにフッ素樹脂とガラスコーティング間の結合点に課題があることが数字でわかります。

上図の赤枠で示した部分の原子間結合エネルギー
  • C(CH2)-C結合:83 
  • C(CH2)-Si結合:76

要するにベースのガラスコーティング部の基本骨格は、ケイ素と酸素(Si-O)結合なので強く、その上のフッ素樹脂部の基本骨格は炭素とフッ素(C-F)結合なので強いが、ガラスコーティングとフッ素樹脂の接合部は、ケイ素と炭素(C-Si)結合および、炭素と炭素(C-C)結合部があり、ここが弱いということなのです。

これは言い換えると、ガラスコーティングの上に乗っかっているフッ素樹脂がすぐに剥がれ落ちるということになります。

おそらくこのC-SiやC-C結合部は、カルナバロウワックスと同程度の耐久性になるのではないでしょうか。



無機(Si-F)フッ素コーティング???

車用フッ素コーティングの中には、ケイ素とフッ素Si-Fが直接結合したような宣伝PRをしているものが見受けられます。

確かにSi-F結合エネルギー:135は非常に大きく、ガラスの基本骨格Si-O結合:108の1.25倍になり、最強の組み合わせとなります。
無機フッ素の例
Si:ケイ素
F:フッ素



しかし、Si-F結合(フッ化ケイ素)は「絵に描いた餅」でしかありません。

仮にフッ素とケイ素が結合したものを、湿気を含む空気中にさらしたとしましょう。湿気すなわち水分(水素)と反応して、非常に危険な酸化剤が生成されます。


ケイ素フッ素化合物?
Si:ケイ素
F:フッ素
O:酸素

このような酸化剤が気体となれば、呼吸器や眼や皮膚や金属を侵しますし、水に溶け込めば強力な無機酸となって、人体や車の塗装や金属だけでなくガラスをも腐食(溶かす)させます。

少しでも湿気のある空気中では、Si-Fのかたちでいることはできないのですから、ケイ素とフッ素が直接結合した自動車ボディ用Si-Fフッ素コーティング剤はありえないのです。

危険すぎます。


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2015-07-27

フッ素コーティングの撥水性低下

フッ素の撥水が弱くなっている。
お客さまからそういった感想を耳にします。


フッ素の撥水が弱くなっている理由


フッ素を応用したコーティング剤の撥水が弱くなっている理由は、環境保護と安全性の取り組みが影響しているのです。
高い撥水性を持つことができる「炭素数が8以上のフッ素化合物」は、環境と人体への悪影響が考えられることから、製造や使用について規制する動きが世界的に広がっています。

実質的に「炭素数7以下のフッ素化合物原料しか製造販売できない」ということになり、炭素数が少なくなるため、フッ素を使ったコーティングの撥水性が低下しているということなのです。

既に日本や欧米のフッ素化合物原料メーカーは、この規制や廃止に合致した動きを取っていますし、新興国や発展途上国の原料メーカーもこの動きに追従していくでしょう(フッ素化合物の製造は高度な技術と設備を要求されるため、新興国などの原料メーカーを私は知りません)。


フッ素に関する規制


少し詳しく事情を説明します。

フッ素原子は物質の中で最大の電気陰性度(希ガス元素を除く)を持ちます。
このため、フッ素原子や炭素原子などからなるフッ素樹脂は、固体の表面自由エネルギーが小さく、安定であり分解されにくい物質になります。

固体表面の表面自由エネルギーが小さいほど撥水性が高くなります。フッ素樹脂の場合、炭素数が多いほど表面自由エネルギーが小さくなります。

つまり、炭素数が多いフッ素樹脂ほどその撥水性や撥油性が高くなります。
高撥水性フッ素樹脂の場合、フッ素と結合した炭素数が8以上であることが目安となっていました。


ところが、「このような炭素数が8以上のフッ素化合物は安定し分解されにくいため、人体や動物などに取り込まれると体外に排出されにくく蓄積される」ということが問題となったのです。

流通していたフッ素樹脂原料のうち、撥水性の高いものの代表は下記のようなものがあります。これらは全て分子内炭素数が8以上であるという特徴があります

  • PFOA:炭素数8(ペルフルオロオクタン酸 Perfluorooctanoic acid)
  • PFOS:炭素数8(ペルフルオロオクタンスルフォン酸 Perfluorooctanesulfonic acid)
  • PFCAs:炭素数8以上(ペルフルオロカルボン酸 Perfluorocarboxylic acids)

撥水性や撥油性の高さに寄与する炭素数8以上のフッ素化合物は、世界的に製造や使用に関する規制や廃止が進められております。
例として、米国環境保護局:EPAの削減計画では、2010年までに95%削減(2000年比)、今年2015年全廃といった具合です。

(参考)環境省 国内等の動向について(PFOS)
http://www.env.go.jp/council/09water/y095-13/mat07_2.pdf


このため、
原料メーカーにおいて、炭素数8以上のフッ素化合物が製造されない状況になっており、「フッ素樹脂の撥水性は将来にわたって下がると考えられる」というわけなのです。

フッ素化合物原料メーカーは、できるだけ撥水性が下がらないように研究開発しているようです。

しかし、代替品として炭素数が6であるPFHA:ペルフルオロヘキサン酸などがありますが、どうしても撥水性低下への影響がでてしまいます。


弊社の取り組み


このような環境保護や安全性対策の動きから、撥水性コーティング剤はフッ素樹脂に頼らずに、撥水性の持続性に優れた多官能性ガラスコーティングや多官能性シリコーンレジンによるコーティング剤の開発製造に注力しております。

フッ素樹脂コーティングの撥水性が低下する中で、多官能性コーティングよりも、初期撥水性はごくわずかにフッ素樹脂の方が撥水性が高い場合があります。


これに対し、
弊社が採用する多官能性コーティング剤原料は進歩し続けていますし、強靭なガラス骨格と強力に結合した撥水性官能基により、長期間にわたり撥水性が持続します。フッ素樹脂のような環境負荷や安全性の問題もありません。

上記のような理由から、フッ素樹脂コーティングの撥水性は短期間に低下し、撥水性が持続しないことから汚れ付着を防止する保護能力に問題があるため、フッ素を積極的には使用しておりません。



なお、キラサク EXコーティングはフッ素樹脂を含有しております。


EXコーティングのフッ素樹脂の役割は、コーティング剤を塗り込み拭き取る場合の滑らかな感触を与えるために添加しております。


フッ素コーティングの持続性や耐久性の問題は、別途ご説明したいと思います。








フッ素コーティング関連記事




(参考)超撥水性コーティング
http://coating.th-angel.com/2014/02/blog-post_4.html
(参考)撥水性について
http://coating.th-angel.com/2014/12/blog-post_12.html

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2014-08-17

フッ素コーティングの透明度・光沢と屈折率

フッ素コーティングの高い撥水性・撥油性による防汚性が優れている理由はわかりました。しかし、フッ素コーティングとシリコーンコーティングを比較しますと、フッ素コーティングが良い面ばかりではないことも指摘されています。

フッ素コーティングの透明度や光沢についての指摘です。

そもそも、コーティングにおける光沢の良さや透明度の高さとは何なのでしょうか?
光沢が良く透明度が高いコーティング表面とは、科学的には光の散乱が少ない均質な状態の被膜に覆われていることが絶対的な条件となります。

たとえば、光が散乱することで濁ったように透明度が下がる例を考えてみましょう。


水の陽炎(かげろう)
透明な耐熱ガラスコップに、きれいな全く濁りのない冷たい水を入れてください。この水を観察しますと、非常に透明度の高い状態であることが確認できます。ここに熱いお湯、たとえば80℃の全く濁りのない熱水を静かに少量注ぎ込みます。

するとどうでしょう、モヤモヤと濁ったような半透明の液体が混じり合うのが見えます。コップにある冷水と、後から注ぎ込んだお湯のもとは同じ蛇口からの水であってもです。

このユラユラと陽炎のように見える濁りは、冷たい水と熱水のわずかな(光に対する)屈折率の差によるものと考えられます。全く同じ物質であっても温度差による程度であっても、透明な見え方に影響がでてくるほど微妙なものであることがわかります。水とお湯が混じり合って、温度差がなくなるとモヤモヤの陽炎のようなものは見えなくなります。


大型水槽のアクリル積層板
違った例を見てみましょう。大型の水槽を有する最近の水族館です。


サンゴ礁の海をダイナミックに再現することで人気の高い「沖縄美ら海水族館」の超大型水槽で採用されている「高さ8.2m、幅22.5m、厚さ60cmの透明度の高い一枚ガラス板のように見えるアクリルパネル」これは、厚さ4cmのアクリル板の表面を精密に磨き、このアクリル板と同じ(光の)屈折率であるアクリル接着剤を使って、15枚も繰り返し貼り合わせることで、厚さ60cmの透明度の高いアクリルパネルを構成しています。

そうですね。透明に見え、美しい光沢を得るためには、光が散乱しないようにする必要があるのです。光の散乱が発生する原因は、屈折率の異なるものが混じり合うことがその大きな要因となります。


コーティングにおける透明度
コーティングを構成する物質によって、それぞれ固有の屈折率を有しています。水とお湯のように同じ物質でも温度差によって若干の屈折率の差が生じますと、濁ったように見えてしまいます。水を例にしますと15℃の水に、65℃のお湯(温度差50℃)が混ざった場合の屈折率差はわずかに0.005です。

物質の屈折率
--------------------------------------------------------------------
 :1.33※
--------------------------------------------------------------------
フッ素樹脂 :1.3~1.4程度
シリコーン樹脂 :1.4~1.5程度
--------------------------------------------------------------------
アクリル樹脂 :1.5前後
ガラス :1.4~1.8程度(不純物や非晶質構造などによる)
--------------------------------------------------------------------
※.水の場合、温度1℃の上昇に対して0.0001程度低下する。他の物質も温度変化とともに屈折率が変化する。


このように同じ物質でも、たったの0.005の屈折率差でもこのような陽炎にようなことが起きます。

フッ素コーティングの場合は、以前下記の記事にてご紹介しましたように、フッ素樹脂単体では、クルマの塗装表面に密着しないために、シリコーン樹脂のバインダと一体にして、塗装表面と密着させる必要があります。以下のようにシリコーン樹脂とフッ素樹脂の屈折率は異なります。


(参考記事) フッ素コーティングとは(その2) ~ケイ素によるフッ素の密着について~

フッ素コーティングの透明度・光沢感を上げることを意識して、シリコーン樹脂とフッ素樹脂の屈折率を近づける努力がなされ、近年では以前よりも透明度の高いフッ素コーティングが提供できるようになっています。しかし水とお湯の例でもわかるように、非常に小さな屈折率の揺らぎがありますと、微妙な光沢感・透明感への影響があることも事実です。

このような理由から、ピュアなシリコーン樹脂のみによるコーティングに比較して、シリコーン樹脂とのハイブリッドであるフッ素コーティングの透明感が、わずかに劣る原因がここにあるのです。





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フッ素コーティングの撥水性・撥油性と汚れ

フッ素コーティングの高い撥水性・撥油性による防汚性が優れている理由を見てみましょう。

以前、撥水性・撥油性に関する記事をアップしました。この中で撥水性や撥油性をもつ表面の汚れ難さについてまとめたものです。


(参考)撥水性だから油汚れが着く親油性は本当?
http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_15.html

この記事でも触れていますが、油分を含んだ汚れがつき難い表面は、撥油性でありかつ撥水性です。具体的に撥油性と撥水性が高い表面とはどのような状態なのでしょうか。

条件を一定にするために、クルマの塗装のように平滑正の高い表面の場合は、表面張力(表面自由エネルギー)が油や水との差が大きいほど、油や水をよくはじく、すなわち撥油性・撥水性表面となります。

 

表面張力(表面自由エネルギー) 単位[mN/m]
--------------------------------------------------------------------------- 水: 73
油: 25~30 (石油・鉱油)
---------------------------------------------------------------------------
S1.シリコーン: 16~30

F1.フッ素樹脂1: 18 (PTFE、フライパンなど) F2.フッ素樹脂2: 10~25 (フッ素樹脂+シリコーンコーティング) F3.フッ素樹脂3: 6 (CF3の場合、実験室レベルでの最小値)
---------------------------------------------------------------------------


いかがでしょうか。
液体よりも低い表面張力の固体表面(コーティング表面)は、その液体をはじくことができます。
整理してみましょう。
●シリコーンコーティングした表面
シリコーンのみでコーティングした場合は、上記表「S1」シリコーンの表面張力と、水・油の表面張力の差から以下のようになります。


  1. 水との表面張力の差が大きいため、水を良くはじく。
  2. 油との表面張力の差が無いまたは小さいため、油のはじき方が小さい。

「S1」シリコーンの場合、水の接触角では、およそ90~100°前後といったところでしょう。



●フッ素樹脂コーティングした表面
フッ素樹脂をコーティングするためシリコーンをバインダ(接着剤)とした場合は、上記表「F2」フッ素樹脂の表面張力と、水・油との表面張力の差から以下のようになります。

  1. 水との表面張力の差が大きいため、水を良くはじく。
  2. 油との表面張力の差があるため、油をはじく。

上記のように、フッ素樹脂の優れていることとして、撥水性に加えて撥油性があるため、油性の汚れがつき難いことがあげられます。
 
「F2」フッ素樹脂の場合、水の接触角では、およそ100~110°前後といったところでしょう。

 
(参考 実験室では)

上記表「F3」フッ素樹脂のように、CF3で隙間なく覆われた平滑な表面の水の接触角は120°、油の接触角は90°程度になると言われていますが、実験室レベルでしか実現できませんし、実用的コーティングとしては、その他の機能性(耐久性など)が不充分です。




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