2014-08-17

フッ素コーティングの撥水性・撥油性と汚れ

フッ素コーティングの高い撥水性・撥油性による防汚性が優れている理由を見てみましょう。

以前、撥水性・撥油性に関する記事をアップしました。この中で撥水性や撥油性をもつ表面の汚れ難さについてまとめたものです。


(参考)撥水性だから油汚れが着く親油性は本当?
http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_15.html

この記事でも触れていますが、油分を含んだ汚れがつき難い表面は、撥油性でありかつ撥水性です。具体的に撥油性と撥水性が高い表面とはどのような状態なのでしょうか。

条件を一定にするために、クルマの塗装のように平滑正の高い表面の場合は、表面張力(表面自由エネルギー)が油や水との差が大きいほど、油や水をよくはじく、すなわち撥油性・撥水性表面となります。

 

表面張力(表面自由エネルギー) 単位[mN/m]
--------------------------------------------------------------------------- 水: 73
油: 25~30 (石油・鉱油)
---------------------------------------------------------------------------
S1.シリコーン: 16~30

F1.フッ素樹脂1: 18 (PTFE、フライパンなど) F2.フッ素樹脂2: 10~25 (フッ素樹脂+シリコーンコーティング) F3.フッ素樹脂3: 6 (CF3の場合、実験室レベルでの最小値)
---------------------------------------------------------------------------


いかがでしょうか。
液体よりも低い表面張力の固体表面(コーティング表面)は、その液体をはじくことができます。
整理してみましょう。
●シリコーンコーティングした表面
シリコーンのみでコーティングした場合は、上記表「S1」シリコーンの表面張力と、水・油の表面張力の差から以下のようになります。


  1. 水との表面張力の差が大きいため、水を良くはじく。
  2. 油との表面張力の差が無いまたは小さいため、油のはじき方が小さい。

「S1」シリコーンの場合、水の接触角では、およそ90~100°前後といったところでしょう。



●フッ素樹脂コーティングした表面
フッ素樹脂をコーティングするためシリコーンをバインダ(接着剤)とした場合は、上記表「F2」フッ素樹脂の表面張力と、水・油との表面張力の差から以下のようになります。

  1. 水との表面張力の差が大きいため、水を良くはじく。
  2. 油との表面張力の差があるため、油をはじく。

上記のように、フッ素樹脂の優れていることとして、撥水性に加えて撥油性があるため、油性の汚れがつき難いことがあげられます。
 
「F2」フッ素樹脂の場合、水の接触角では、およそ100~110°前後といったところでしょう。

 
(参考 実験室では)

上記表「F3」フッ素樹脂のように、CF3で隙間なく覆われた平滑な表面の水の接触角は120°、油の接触角は90°程度になると言われていますが、実験室レベルでしか実現できませんし、実用的コーティングとしては、その他の機能性(耐久性など)が不充分です。




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