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2014-03-29

クリスタル/クォーツやダイヤモンドの意味

興味深いご質問をいただきました。
以前アップした「ガラスコーティングは結晶なの?」という記事に対して、


【コーティング剤の商品名に「クリスタル」「クォーツ」や「ダイヤモンド」といった言葉が散見されます。名前からすると結晶化したものをイメージしますが、本当に結晶のガラスコーティングはないのですか?】



というご質問です。

結論から言いますと、

現場施工する車や建築のガラスコーティングは、すべて非晶質ガラス(アモルファス-ガラス:amorphous-silica glass)です。

結晶化したガラスコーティングが常温で現場施工できるようになったら、それこそノーベル賞か、少なくともイグノーベル賞ものではないでしょうか。

もしも、現場施工で結晶化(crystallization)するガラスコーティングがありましたら、ご指摘をお願いいたします。



クリスタル/クォーツやダイヤモンドは結晶である

さて、クリスタルやダイヤモンドですがこのふたつは結晶です。


  • クリスタル/クォーツ(水晶/石英※)
    シリコン:ケイ素(Si)を由来とする結晶体
    ※クォーツ=石英とは二酸化ケイ素SiO2が結晶化したもの
     
  • ダイヤモンド
    カーボン:炭素(C)を由来とする結晶体


英語では「結晶ガラス」のことをずばり「クリスタル:crystal」または、「クォーツ:quartz」と呼びます。文字通りクリスタルは天然水晶のことでもあります。

水晶(別名:石英/クリスタル/クォーツ)と、非晶質ガラス:アモルファス-ガラスの組成は同じ「SiO2」なので、コーティング業界での混乱を招いている一因と考えられます。

別の視点でハッキリと区別できる判りやすい例として、炭素(C)の場合を見てみましょう。身の回りにある非晶質炭素としては「木炭」(モース硬度2程度)や「コークス」(純度の高い石炭)があげられます。結晶化炭素としては、結晶構造の違いにより「ダイヤモンド」や「黒鉛」があります。

ご存知のようにダイヤモンドは、自然界に存在するものの中で地球上最も硬い物質(モース硬度10)であり、非晶質の木炭(モース硬度1程度)やコークスの見た目の違いもさることながら、硬さの違いは歴然としております。このように同じ炭素(C)で構成されるものでも、その成り立ちの違いにより結晶化したり非晶質になったりするわけです。

ちなみに関連するモース硬度は下記のとおりです。

  • 結晶化ガラス(水晶):モース硬度7
  • 非晶質ガラス(窓ガラス):モース硬度5
    現場施工ガラスコーティングは非晶質ガラスです。
     

  • 結晶化炭素(ダイヤモンド):モース硬度10
  • 非晶質炭素(木炭):モース硬度1程度

(参考)ガラスコーティング【モース硬度7】の不思議

結晶化した人工ダイヤモンドを合成するには、地球上にありふれた物質である炭素(C)と水素(H)を原料にして、途方もない高い圧力と数千℃におよぶ高い温度を同時にかける方法が一般的です。一方の非晶質である木炭は木材を数百℃で炭化させたものです。


SiO2といってもいろいろある

ケイ素(Si)をもとに結晶化した水晶および人工結晶ガラスおよび、現場施工ができるガラスコーティングは非晶質であることは、以前もこちらで触れておりますのでご覧ください。→「ガラスコーティングは結晶なの?」

このように、ガラスコーティングなどのコーティング剤で「クリスタル/クォーツ(SiO2)」や「ダイヤモンド」はいかにも【結晶】をイメージさせます。

しかし、繰り返しになり恐縮ですが、窓ガラス(SiO2)をはじめ、現場施工できるガラスコーティング(SiO2)で、結晶化(モース硬度7)したものはあり得ません。

もしも、そのようなものがあるのなら、是非とも教えてください。 

(参考) SiO4だから硬い無機ガラスコーティングとは


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2014-02-17

ガラスコーティング【モース硬度7】の不思議

ご存知のように、特にガラスコーティングでは「被膜の硬度」にこだわった商品化がなされています。今回の降雪を機会に、コーティングにおける硬度について考えてみたいと思います。


ガリガリの雪って硬そう

弊社事業所は、工場・営業とも栃木県小山市にあります。ここは栃木県では最も南部地域であり、埼玉県や茨城県・群馬県境地域でもあります。観光地で有名な日光や那須は栃木県北部になります。

恐らく関東以外の方は、東京よりも栃木南部の方が降雪が多いと思われるかもしれませんが、住んでいる実感としては案外そうでもなくて、この辺りは晴れの日が多く、雪が降っても東京の方が雪になったり積雪量も多いような気がします(東京よりも圧倒的に寒いですが・・・)。



しかし、先週金曜から土曜にかけての雪の量はタマゲマシタ。それどころではない地域もたくさんあって、大変な目に合われている方々には早く日常に戻られるように願っております。

そんな中、降雪中の金曜日夕刻にクルマで出かける用事があり、クルマに降り積もった雪を掻いておりました。そのときにふと思ったのですが、氷って結構硬いですよね。ソチオリンピックでスキーやスノボ、アイススケート競技でゲレンデやリンクのコンディションの解説でも、雪や氷の硬さが話題になっています。



氷の硬度

雪って氷の結晶だと思うのですが、氷の硬さっていったいどのくらいなのでしょうか?硬くざらざらした車の雪を掻きながら、塗装表面をガサガサと擦っているように思ったのです。

そこで、ネットで調べてみたらこんなサイト
http://academic.emporia.edu/aberjame/ice/lec02/lec2.htm がありました。米国カンザス州のエンポリア州立大学の教授:ジェームス S.アベールさんによる地質学のページでは、氷のモース硬度は温度によって変化するようです。0℃ではモース硬度1.5、-70℃ではモース硬度6に達するそうです。




モース硬度とは

モース硬度2は、鉱物である「石膏」の硬さと同程度で「指の爪で何とか傷をつけることができる」とあり、モース硬度6は、鉱物「正長石」の硬さと同程度で「ナイフで傷をつけることができず、刃が傷む」とありますから、相当硬いわけです。ちなみに天然の結晶ガラスである水晶=「石英(SiO2)」は、モース硬度7で、「ダイヤモンド」はモース硬度10です。

Wikipediaによりますと、人の爪のモース硬度は約2.5、
ガラス(非晶質)は約5、ナイフの刃先は約5.5だそうです。


モース硬度は、代表的な鉱石を引っ掻いた時の傷つきにくさを表すための尺度ですから、モース硬度の数字と傷つきにくさは比例していないということです。

モース硬度は本来鉱石の種類を分類する尺度のため、段階と硬度に比例関係はなく、測定する方法も大変に曖昧な状況です。

このため、地質学や鉱物関係外の塗装やコーティングなどの表面硬度の尺度としては、JIS化されている下記の鉛筆硬度の方が適しています。


鉛筆硬度とは

コーティングや塗装業界で使用される尺度に、鉛筆硬度があります。

鉛筆硬度とは文字通り、鉛筆の芯の硬さを表す「B」や「H」といったあの表示に由来します。表面を3Hの鉛筆で引っ掻いて傷がつくかどうかを試験した結果で、鉛筆硬度3Hとか9Hなどと表現されます。

鉛筆硬度試験方法は日本工業規格(JIS K 5600)で規定されています。JISのおすすめは、三菱さんの高級鉛筆「ユニ」なのだそうです。


自動車塗装表面は、鉛筆硬度2H~4H程度と言われており、日本国内においては、上記のように鉛筆の芯を基準にした傷つき方を尺度にしています。




ガラスコーティング「モース硬度7」の不思議

コーティング業界においては、モース硬度7のガラスコーティングをうたっているものも見受けられますね。

ガラスよりも2段階も硬い、モース硬度7とはナイフの刃先でも傷つかないってことでしょうか。
それはどういうものなんでしょうか?

たぶん、「モース硬度7のガラスコーティング」は何かの間違いだと思われます。


何故そのようになったのかを推理してみますと、


  1. 天然石英(SiO2)=水晶(結晶ガラス)のモース硬度が7だからなのか。
  2. 半導体ウェハの高純度(イレブンナイン:99.999999999%結晶シリコンのモース硬度が7だからなのか。
  3. 鉛筆硬度7Hとするべきところを、モース硬度7と誤解したのか。

何れかではないかと思われます。

(参考)シリコーン?シリコンではないの 
http://coating.th-angel.com/2013/09/blog-post_5152.html


以前も触れましたが、
ガラスコーティングは、シリカ:SiO2による結晶ではない非晶質ガラス状被膜(モース硬度は5)です。


結晶のガラスコーティング(モース硬度7)はありません。

なぜならば人工的にガラスを結晶化(人工水晶化)させるには、塗装の表面で硬化したガラス被膜を、さらに数百℃~一千℃以上の高温過熱を連続的におこなう必要があるからです。車が燃えるか溶けてしまいます(笑)。

(参考)人工水晶:モース硬度7の人工水晶製造法を説明した東京電波株式会社さんのページ 
http://www.tew.co.jp/products/quartz/synthetic/index.html


(参考)ガラスコーティングは結晶なの? 
http://coating.th-angel.com/2014/01/blog-post_30.html


(参考)ガラスコーティング剤におけるクリスタル/クォーツやダイヤモンドとは http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_29.html

地中において高温度・高圧力の中で、ケイ素(Si)と酸素(O)から自然に生成された
「天然水晶すなわち石英(結晶化SiO2)」がモース硬度7ですから、「ガラス化したコーティング被膜も同程度の硬度ではないか?」という、誤った思い込みによるもののような気がします。


「常温硬化させることができるゾル・ゲル法によるガラス被膜の硬度」は、最高で鉛筆硬度7H~9Hが可能です。これは非晶質ガラス相当の硬度ですから、まったく理にかなっています。


鉛筆硬度とモース硬度は単純に比較することができず、また、換算した資料はありませんので比較するネタは見たことがありません。

10Hの三菱uni鉛筆の芯は、100円ショップのナイフ(モース硬度5.5)でも削れます(笑)。

モース硬度7と、鉛筆硬度7Hとはまったくちがいます。

「モース硬度7のガラスコーティング」って、いったいどんなものなのでしょうか???わかる方がいらっしゃいましたら、ご教示をお願いいたします。



雪(氷)と塗装の傷つき

上記「氷の硬度」のように、氷の硬度は温度によって変化します。つまり寒く冷たいほど氷は硬くなっていきます。ですから寒いほど塗装も傷つきやすくなると考えられますね。

しかし、ソチオリンピックでのスキー・スノボやスケート競技をみていますと、スキーの板やスケートの歯は、よーく滑っていますね。これは板や歯と雪や氷の接触面で瞬間的に溶けて、水の薄い膜ができるために抵抗が少なくなって滑っているわけです。


このような状態、すなわち軽く撫ぜただけでスーと雪が落ちるようでしたら、傷つきのリスクは少ないと考えられますが、付着した雪が一旦解けて再び凍ったように、バリバリに固着している場合は無理やり擦ったりすると、氷は硬いので傷が付きやすくなるのではないでしょうか?


言うまでもなく雪や氷が固着した場合は、決して無理して掻き落とすのではなく、エンジンをかけて暖房を最大にして、クルマ全体を暖めることによって、表面に水の膜を発生させて滑るように落とすのがいいですね。


それと、コーティングをしておくことによって、できるだけ表面を滑らかに(平滑化)しておくと、雪を滑らせること(滑雪)の助けになると考えられます。またガラスコーティングのように硬い被膜が表面を覆っていると、傷つきの耐力が向上すると考えられます。


もうひとつガラスコーティングは、塗装を微細な傷つきをガラスコーティングが引き受けてくれる効果も期待されます。
微細な傷つきに対しては、シリコーンレジンコーティングなどにより表面を平滑化するか、程度によってはガラスコーティング施工店で補修をしてもらってください。塗装を守ることがコーティングの大きな役割です。





(参考)ガラスコーティングの硬度について http://coating.th-angel.com/2014/02/blog-post_18.html
(参考) SiO4だから硬い無機ガラスコーティングとは http://coating.th-angel.com/2014/04/sio4.html
(参考)ガラスコーティングの耐久性と光沢 ~膜厚と多層化リスク~ http://coating.th-angel.com/2014/09/blog-post_14.html
(参考)アルコキシシロキサンとアルコキシシランhttp://coating.th-angel.com/2016/11/blog-post.html


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2014-01-30

ガラスコーティングは結晶ガラスではない

お客さまとの会話の中で「結晶化したガラスコーティング」とか、「ガラスコーティングの結晶」というような言葉が出てくることがあります。


ガラスは、非晶質(結晶ではないまたは、結晶の集まりではない)ですので、「ガラスの結晶」あるいは、「結晶化したガラス」というのは、とても違和感のある表現です。

例えば、ガラスコーティングの液剤を小さなお皿に溜めておくと、時間の経過とともに透明のガラス状塊として硬化するサンプルを「結晶化した」というようにです。
これと同様に、弊社の業務用ガラスコーティングも透明ガラス状の塊として硬化します。しかしこれは結晶ではないのです。


確かに、窓ガラスにしてもメガネレンズやガラス花瓶をみても、ガラスが塊状になっているので、透明の硬いものが大きな結晶になっているように見えなくもないですね。

それでは、ガラスの定義を調べてみます。権威ある事典などによりますと下記の引用のようになっています。

ガラス(出展:岩波書店 理化学辞典)
液体を結晶化させることなく冷却して、その粘度が固体と同じ程度の大きさに達した非晶質状態または無定形状態である。(以下省略)

ガラス(出展:平凡社 世界大百科事典)
非晶質でかつガラス転移点をもつ無機固体をいう。結晶では原子配列が規則的であるのに対し、非晶質ではこの規則性がきわめて低く、ほんの数原子を超えた距離では無秩序になっている。ガラスもこのような非晶質の一種であり、一般的には、溶融体を結晶化させることなく固体状態まで冷却するという方法で作成される。(以下省略)

このとおり、意外にも塊になっているガラスは「結晶ではない」のです。

また、ガラス - Wikipediaでは
【昇温によりガラス転移現象を示す非晶質固体。そのような固体となる物質。このような固体状態をガラス状態と言う。結晶と同程度の大きな剛性を持ち、粘性は極端に高い。非晶質でもゴム状態のように柔らかいものはガラスとは呼ばない。詳しくは「ガラス転移点」を参照のこと。】となっています。
 


以上をまとめますと、
固まった状態のガラスは、結晶ではなく非晶質であるということです。固まった状態のガラスは、粘性が極端に高いため、石のように硬く引き締まった透明なゴムのようなもの、とも言えるのではないでしょうか。



(参考1)人工の結晶化ガラス
非結晶(非晶質)ガラスをガラス転移点以上の温度に加熱すると、結晶を含むガラスを生成することも可能です。

非晶質シリカガラス(SiO2)から結晶化する場合、数百℃~一千℃以上の高温過熱が必要ですし、精密に温度や不純物を管理した環境でないと、透明性の高い結晶化ガラスをつくることができません。


 このため、自動車の現場施工ガラスコーティングにおいて結晶化したガラス被膜を形成することはできないと考えられます。
 

(参考2)天然の結晶化ガラス
天然の水晶(別名:石英)は、シリカ:SiO2が結晶化したものです。地中において高温度・高圧力の中で、ケイ素と酸素から自然に生成されたものと考えられます。


(参考3)ガラスコーティング剤におけるクリスタル/クオーツやダイヤモンドとは 


(参考4)SiO4だから硬い無機ガラスコーティングとは



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