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2016-09-18

無溶剤ガラスコーティングのメリットとデメリット ~低分子タイプによる解決~

前回記事の中で、『無溶剤ガラスコーティング剤が「低分子タイプ」と「高分子タイプ」のどちらなのかは、塗りムラや拭きムラの起きやすさによって見分けることができる』とご紹介しました。

塗りムラや拭きムラの起きやすさは、コーティング液剤の粘度(粘性)と密接に関係しています。

小学校の図工で水彩絵の具を使って彩色しているとき、チューブから出したばかりの絵の具は粘度が高く、そのままの絵の具を筆につけて塗ると伸びがなく、塗りムラになったご経験はないでしょうか。
絵の具を均一にムラなく塗るためには、絵の具の粘度を下げるために、溶剤として水を使って薄めて使っていたと思います。

 

高分子タイプの課題と低分子化による対策

一般的な高分子タイプのガラスコーティング剤は、絵の具と同じように粘度が高いため、溶剤をうすめ液として使用します。
しかし、ガラスコーティング剤に使用する有機溶剤は、塗装面へのダメージや、人体・環境への悪影響が懸念されます。

弊社では、溶剤を含まずにコーティング剤の粘度を下げ、ムラを極力発生させずに施工性を向上させることを目標として、新しいコーティング剤の開発をおこないました。
このようなガラスコーティング剤を開発するにあたり、低分子タイプとすることで、溶剤を一切使用せずに、施工しやすいガラスコーティング剤を実現したのです。


不十分な低分子タイプ

市場には同じような考え方で、低分子タイプを目指して製品化されている例もあるようですが、低分子化が不十分なためでしょうか、拭きムラが起きやすく施工性が悪いものが散見されるようです。

 

従来の無溶剤ガラスコーティング剤のメリットとデメリット

低分子化が不十分なものも含めた、従来の高分子タイプ無溶剤ガラスコーティングのメリットとデメリットを整理します。

【従来の無溶剤ガラスコーティング メリット

1.ガラス硬化する成分量が多いため、膜厚感のあるリッチな仕上がりを得やすい。
2.有機溶剤を含まないため、塗装面や人体・環境に優しい。

【従来の無溶剤ガラスコーティング デメリット

有機溶剤(うすめ液)を含有しないまたは、低分子化が不十分なため、塗りムラや拭きムラが生じやすい。

デメリット「塗りムラや拭きムラが生じやすい」の解決

上記のような、溶剤を含有しない高分子タイプや、不十分な低分子タイプのメリットとデメリットに対して、十分な低分子化によってどのような解決がなされるのでしょうか。

従来のガラスコーティングは、ガラス化(硬化)する成分が比較的高分子であるため、ベタベタ・ネバネバしたものとなっていました。このため、塗りムラや拭きムラが発生しやすいものでした。

高分子タイプ(不十分な低分子タイプを含む)の施工の悪さを改善させるには、うすめ液である有機溶剤を加えることで、一時的なサラサラ状態に必要があります。


ところが、添加した有機溶剤の揮発性が高く蒸発が早いため、濃度が変化にともない塗り込みや拭き取り作業中の粘度が、サラサラからベタベタに変化します。


つまり、高分子タイプは作業性が悪く、保管時の品質も変化しやすいといわけです。

さらに、有機溶剤を加えますと、メリットであった膜厚感のあるリッチな仕上がりが得られなくなり、塗装や人と環境への影響が大きくなります。
これが『高分子タイプ』の無溶剤ガラスコーティング剤のデメリットの理由です。

 

低分子化した無溶剤ガラスコーティング剤が解決する

『十分な低分子タイプ』は、溶剤を含まない無溶剤ガラスコーティングであっても、「塗りムラや拭きムラ」が起きることはありません(ガラスコーティングは硬化型ですから、硬化が始まる前にきちんと拭き仕上げを行うことが前提条件です)。

その理由は、低分子であるためコーティング液剤自体の粘度が低いことがあげられます。粘度が低いとは、シンプルに表現しますと「ベタベタしていないサラサラである」ことを指しています。

低分子タイプにより、従来の無溶剤ガラスコーティングのデメリットが解決されるわけです。

それでは、低分子タイプが、ベタベタせずにサラサラである理由をご説明します。

 

分子量と粘度の関係

分子量と粘度(粘性)には、深い関係があります。

簡単に言いますと、同じような物資(液体)の場合、一般的に下記のような関係になります。

  • 高分子のもの:高粘度(感触はベタベタ・ドロドロ・ネバネバ)
  • 低分子のもの:低粘度(感触はサラサラ)

この関係は、次の「マーク‐フウィンク-桜田の式(Mark-Houwink-Sakurada)」によって表されます。
 

この式によれば、Kとaは物質固有の定数なので、M:分子量が大きくなる(より高分子である)ほど、η:粘度(粘性)が高くなります。逆に、分子量が小さくなる(より低分子である)ほど、粘度が低くなります。
η=KMa :マーク‐フウィンク-桜田(Mark-Houwink-Sakurada)
η:粘度(粘性)
M:分子量
K:物質固有の定数
a:物質固有の定数

 

低分子化した製品の身近な例 ~低分子ヒアルロン酸化粧水~

近ごろ、「低分子ヒアルロン酸」を配合した化粧品のテレビCMや広告をご覧になったことはないでしょうか。

ヒアルロン酸が化粧水などに使用されている目的は「保湿」です。
 

化粧水などの保湿成分として最も代表的であり、古くから使われているものがヒアルロン酸なのですが、化粧品用途のこれまでのヒアルロン酸は、ネバネバ・ベタベタとした感触のものでした。

近年、(マヨネーズで有名な)キューピー株式会社さんが「低分子ヒアルロン酸」を開発し、新しいタイプの化粧品原料や食品原料として製品化しました。


このような化粧品用途の低分子ヒアルロン酸は、下記のような特徴があります。

  • 低分子化により、保湿成分が皮膚に浸透しやすい。
  • 低分子化により、べたつきがなくサラッとした使用感が得られる。

いかがでしょうか、何かコーティング剤と似たようなキーワードが並んでいますね。

中でも、今回のテーマである「液剤としてのガラスコーティングの見分け方」に関係する、五感に現れるところに注目しますと、低分子化したヒアルロン酸は粘度が下がり、サラサラになるということです。


(関連記事)
無溶剤ガラスコーティングの見分け方 ~低分子タイプと高分子タイプ~ http://coating.th-angel.com/2016/09/blog-post.html

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2016-09-14

無溶剤ガラスコーティングの見分け方 ~低分子タイプと高分子タイプ~

弊社が製造する業務用ガラスコーティング剤は、「低分子タイプ」です。


低分子タイプとしている理由は、有機溶剤を使用しない無溶剤ガラスコーティング※1として製品化できるためです。


1.弊社の無溶剤ガラスコーティング剤は、有機溶剤のみならず、無機溶剤は含みません


いきなりですが、今お使いのガラスコーティング剤※2が、無溶剤なのかどうかを確かめる方法と、無溶剤であっても、低分子タイプなのか、それとも高分子タイプなのかを見分ける方法についてご紹介します。


2.ここでのガラスコーティング剤とは、固まる(硬化する)タイプのコーティング剤を指します。

Step1.最初に、無溶剤ガラスコーティングを確かめます。

コーティング剤の成分をネット検索で調べてみてみましょう。
溶剤が含まれているかどうかの調べ方をご紹介します。

Step2.次に、低分子タイプと高分子タイプを見分けます。

溶剤を含まないコーティング剤とわかりましたら、十分に低分子化されているかどうかを確かめてみましょう。
なんと、塗り込みや拭き取りの感触という、アナログな方法で見分けできます。その方法をご紹介します。


それではくわしくご説明します。



ガラスコーティング剤の成分を確かめる。


1. 容器ラベルや説明書に書いてある成分を調べてみましょう。



容器ラベルや取扱説明書に書いてある成分を、GoogleYahooなどのネット検索を使って調べてみてください。

もしも、成分名が一般的な名称ではないため、ネット検索ができない場合は、液剤の購入先に「安全データシート(略称:SDS)」または、「化学物質等安全データシート(略称:MSDS)」を要求※してください。

.上記のSDSMSDSを要求された販売者は、該当する書類を提示する義務があります。くわしくは下記のURLを参照してください。


(引用元:経済産業省ウェブサイト)化管法に基づくSDS制度(SDSの提供義務及びラベルによる表示の努力義務)の対象事業者について
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/qa/3.html#q1


2.液剤に溶剤が含まれていないか確認してください。


コーティング剤の成分の中に、有機溶剤が含まれていないか確認してください。
上記の容器ラベルや説明書、またはMSDSに記載されている成分に、有機溶剤が含まれていないか調べてみましょう。

調べ方は、言うまでもありませんが、ネットの検索を使って、成分名をネット検索すれば、おおよそのことがわかると思います。

ネット検索をしてもヒットしない場合は、成分の名称が一般的ではないためしょう。この場合は、コーティング剤の購入元に問い合わせてみるしかありません。


低分子タイプと高分子タイプを見分ける


無溶剤ガラスコーティングとして大別しますと、「低分子タイプ」と「高分子タイプ」に分けられます。


なお、成分名をみても低分子か高分子なのかはわからないことがあります。その理由は、次回記事の中で化粧水などに使われる「ヒアルロン酸」を例にしてご説明します。


見分け方は簡単です。


高分子タイプは、拭きムラが起きやすいものです。
塗り込みしてから、硬化時間が短いにも関わらず拭き取りをした場合も拭きムラが発生しやすいのです。


十分に低分子化したものは、規定時間内であれば、拭き取りが非常にスムーズです。
正しい作業をおこなえば、拭きムラが発生することはまずありません。


低分子タイプの無溶剤ガラスコーティング剤は、液体の粘度が低いために拭きムラが発生しないのですが、次回の記事では、分子量と粘度の関係を中心にくわしくご説明します。

(関連記事)
溶剤ガラスコーティングのメリットとデメリット ~低分子タイプによる解決~ http://coating.th-angel.com/2016/09/blog-post_18.html


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2015-11-29

VOCフリーガラスコーティング?

最近、THエンゼルさんの硬化型無溶剤コーティング剤(ガラスコーティング剤)はVOCフリーですか?と聞かれることが多くなっております。

ご質問に対する回答は、「弊社の硬化型無溶剤コーティング剤はVOCフリーではありません」となります。

なぜそのような質問をされるのか聞いてみました。
「無溶剤なのだから、VOCは含まないのではないか?」ということです。



結論から申し上げますと、以下のようなコーティングは何かの間違いです。

× 無溶剤だからVOCフリーである。
× 無機だからVOCフリーである。

 

 

無溶剤だからVOCフリー?

弊社の無溶剤コーティング剤は、コーティング施工前の液体の状態において有機溶剤は一切含みません。

だからといって、VOC(Volatile Organic Compounds):揮発性有機化合物を発生させないとは言えないのです。

理由は、無溶剤であっても空気に触れて硬化反応がはじまるとVOC(アルコール)が発生するためです。


弊社の業務用硬化型コーティング剤(ガラスコーティング剤)は、無溶剤であっても、空気中の水分(湿気)と反応して、アルコールガスが発生します。

余談ですが、弊社の業務用硬化型コーティング剤が無溶剤なのに引火性であるのは、硬化反応の際に引火性であるアルコールガスが発生するからなのです。

 

 

お酒やパンの発酵、人間もVOCを出す

アルコールは、国連の世界保健機関(WHO)の定義である、「沸点が50℃以上260℃未満の有機化合物)」によりますと、VOCに該当します。

私が昨晩飲んだ日本酒に含まれているエチルアルコール(エタノール)の沸点は、78℃です。絶対に飲んではいけないメチルアルコール(メタノール)の沸点は65℃です。

いかがでしょうか、私たちが飲んでいるビールや日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキーなど酒類のすべてにエチルアルコールが含まれています。

エチルアルコールを含むお酒は、VOCフリーではありません。

パンなどの食品が発酵する際も、アルコールを発生させますのでVOCフリーではありません。

人間を含めた動物が排泄する糞は、メタンなどを発生させますのでVOCフリーではありません。

 

 

VOCとは

VOCとはいったい何でしょうか?
VOCとは、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称です。

VOCは、それぞれの立場でさまざまな定義がなされています。一例として、日本自動車工業会(JAMA)ウェブサイトにまとめがされています。

(参考)
JAMA:車室内VOC(揮発性有機化合物)低減に対する自主取り組み
http://www.jama.or.jp/eco/voc/

国連の世界保健機関(WHO)をはじめ、日本の厚生労働省の考え方を中心に紹介されていて参考になります。

VOCに関しては、物質種類ごとの性質と拡散する量によって、製品を製造する者や使用する者が注意すべきことがあるということなのです。

例えが適切ではないかもしれませんが、飲酒したときのアルコールの質と量で3つのパターンを考えてみましょう。

1.適量のエチルアルコール(お酒)を時々飲む
病気になるリスクよりも、気分や血行が良くなり、人とのコミュニケーションが円滑になるなどのメリットの方が大きいのではないでしょうか。

2.多過ぎるエチルアルコール(お酒)を日常的に飲む
肝臓などの内臓への負担が大きく、アルコール依存症も懸念されるなど、心身ともに健康を害するリスクが増大します。

3.メチルアルコールを飲む
少量であっても、失明したり神経が侵され死に至るなど重篤な健康被害が確実です。


 

無機コーティングはVOCフリー?

ちょっと前まで、印刷インク業界や塗料業界では、VOCフリーという表現が混乱していた時期がありました。

しかし現在では業界や会社ごとに、VOC物質の種類や量を選ぶことによって、VOCの影響が小さいものを定義しており、そのようなものは「低VOC」という言い方が定着しつつあります。


日本塗料工業会(JPMA)のウェブサイトに、VOCに関する表示ガイドラインがあります。
(参考)
JPMA:低VOC塗料自主表示ガイドライン~「低VOC塗料(溶剤形)」~
http://www.toryo.or.jp/jp/anzen/VOC/files/VOC-gl2013.pdf

いまだにコーティング業界では、アルコールを発生させるものや、無機コーティングの中にも、VOCフリーと言っているものが散見されるようです。

ガラスコーティングなどの硬化系のコーティングについては、下記の2種類に大別されます。

(1)硬化する過程においてアルコールを発生するタイプ
(2)揮発性の有機溶剤を含むタイプ


車のガラスコーティングのように硬化するもので、VOCフリーとはどのようなものなのでしょうか?ちょっとわかりませんのでご存知の方は教えてください。

アルコールは、シンナー類(キシレンやトルエン、ミネラルスピリットなど)と比較すると健康や地球環境への影響が小さいため、VOCフリーと言っている場合があるようですが、それは間違いです。

アルコールの場合は、影響が小さいから「相対的に低VOC」ぐらいは言っても良いかもしれません。

このような考え方において、弊社の業務用ガラスコーティング剤は低VOCです。


無機コーティングの原料であるポリシラザン単体は、硬化する際にアルコールではなくアンモニアを発生させます。アンモニアは有機化合物ではないので、VOCではありません。

しかし、アンモニアは有害ですので、VOCではありませんが有害ガスであることを認識する必要があります。
 

ポリシラザンコーティングは、コーティング剤として製造する際に、シンナー類(揮発性の有機溶剤)を使用する必要があります。

このため、無機コーティングの代表であるポリシラザンコーティングは、VOCを含むと同時に有害なアンモニアも発生させます。これらは、人体や環境への悪影響が大きいため高VOCです。


(参考) 
VOCフリーガラスコーティング?
http://coating.th-angel.com/2015/11/vocvoc.html

コーティングにおける有機溶剤の特性と危険性
http://coating.th-angel.com/2015/11/blog-post.html

有機溶剤にご注意 ~コーティング剤への使用目的とリスク~

http://coating.th-angel.com/2015/10/blog-post.html

アルコキシシロキサンとアルコキシシラン
http://coating.th-angel.com/2016/11/blog-post.html

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2015-11-23

コーティング剤における有機溶剤の特性と危険性

有機溶剤とは


まずは「溶剤=溶媒」とは何でしょうか?
溶剤は文字の通り溶かす液剤です。身近なものでは「水(H2O)」は溶剤(溶媒)ですね。水は溶質である塩や砂糖を溶かしこみます。

純粋な水は、有機物を含まないので有機溶剤ではありません。

溶剤=溶媒とは、溶質を溶かしている液体のことです。
この場合の溶質と溶剤(溶媒)の関係を身近な例としてご紹介します。

  • 塩水の「溶質」は、塩です。
  • 塩水の「溶媒(溶剤)」は、水です。
  • 塩水は、塩が水に溶けた「溶液」です。

ペンキの代表として、油性ウレタン塗料を例にしてみましょう。

  • 油性ウレタン塗料の溶質は、ウレタン樹脂や顔料です。
  • 油性ウレタン塗料の溶媒(溶剤)は、シンナー(キシレン、トルエン、ミネラルスピリットなど)いわゆる有機溶剤です。
  • 油性ウレタン塗料は、ウレタン樹脂や顔料がシンナーに溶けた溶液です。

有機溶剤ついて、東北大学のホームページに下記のような特徴が掲載されています。

出典:東北大学、流体科学研究所技術室・安全講習会、安全な実験作業のために・・・・、有機溶剤を知ろう!
http://www.ifs.tohoku.ac.jp/tech/resources/data/youzai-use.pdf



【有機溶剤の特徴】
有機溶剤の性状には、次のような特徴があります。
1.非常に揮発し易い。
2.沸点がはっきりしている。
3.特有の臭いがある。
4.液性は、中性を示す。
5.水より軽く、水に混ざりにくい。(例外的に混ざりやすいものもある)
6.蒸気は、空気よりも重い。
7.多くのものは、引火性がある。
8.機械油などの油脂類、塗料、樹脂、ゴム、動物・植物の脂肪などをよく溶かす。
これらの特徴は、それぞれの有機溶剤によって強弱がある。また、使用目的によって、これらの溶剤を混ぜ合わせると変化に富んだ新しい性状の溶剤を作ることもできる。


有機溶剤の特徴として、特に注目すべき点は、上記の8項のように、塗料や樹脂、動物の脂肪などを良く溶かすということです。

つまり、良くも悪くも有機溶剤は塗料や樹脂を溶かすので、コーティング剤やクリーナーとして、下記のような役割として使用されるのです。

また、動物の脂肪を溶かすということは、人の細胞組織を壊しながら浸透するため、呼吸器や皮膚、眼などの直接さらされる部分から体内に浸透して、健康に悪影響を及ぼすことになるわけです。

 

有機溶剤(シンナー)の役割

有機溶剤(シンナー類)を使用したガラスコーティングやクリーナーを使用することで、劣化して悪い状態の塗装表面に対 して、一見すると一時的に症状が改善されたように感じられるかもしれませんが、その後の塗装劣化を早めてしまうことがあり事態をさらに悪化させる危険性を はらんでいます。

コーティング剤におけるシンナーの役割

(1)うすめ液として
液体の状態でも、従来型の高分子物質で構成されるコーティング剤は、コーティング液剤としての塗りやすさや、乾燥硬化の仕方を調整するための「うすめ液」として使用されます。

(2)密着剤として
特に無機ガラスコーティングは、有機物である塗装との密着力が弱い(有機物と無機物はくっつきにくい)ため、シンナーの力を借りて塗装表面を溶かすことで、なかば無理やり密着させるものがあります。

シンナー臭の接着剤と同じ原理によって、塗装と無機コーティングを密着させます。

 

クリーナーにおけるシンナーの役割


(1)汚れ溶解による洗浄剤として
油性汚れについては、油性の溶剤を使うことで汚れが溶けることで、拭き取ったり洗い流したりすることができるため洗浄剤として使用されます。

(2)塗装溶解による洗浄剤として
塗装に固着した頑固な汚れ(ウォータースポットやイオンデポジット※)を落とすために、塗装(土台)そのものを溶解して、汚れと一緒に塗装表面を拭い去るような少々荒っぽいやり方に使用されます。

一般的な車の塗装は、一番上に無色透明なクリアコートをしているため、布に色が着かないので気づきにくいのかもしれません。外国車などで塗装コストを抑えたソリッド塗装の場合は、布に色が着く可能性が高いわけです。

※.ウォータースポットやイオンデポジットといった無機汚れ自体は、有機溶剤では溶解できません。これらの無機汚れと塗装両方を溶解できるのは、非常に危険なフッ素系化合物による無機酸だけです。


有機溶剤の人体影響

すべての有機溶剤は有害なのでしょうか?

いちにちの仕事を終えて飲むお酒には、アルコールが含まれています。
アルコールも有機溶剤の一種です。

飲用する種類のアルコールは、ご存知のようにエチルアルコール=エタノールが使用されています。

エチルアルコールは、肝臓で分解されてアセトアルデヒドや酢酸が生成されます。このアセトアルデヒドが血液中に混じることで悪酔いを引き起こします。

肝臓の処理能力が追いつかずに、慢性的にアセトアルデヒドが過多になると、肝硬変を起こしたり最悪は肝癌の原因になるといわれています。

エチルアルコールの場合は、肝臓の処理能力範囲内であれば、上記のような怖い病気をあまり恐れなくてもよい、マイルドな作用を持っているわけです。

しかし、メチルアルコール=メタノールの場合は、少量でも短時間に強い悪影響を及ぼします。

メチルアルコールを飲んだ場合は、肝臓でホルムアルデヒドやギ酸を生成します。

シックハウス症候群の原因物質として有名なホルムアルデヒドやギ酸は、人体に非常に有害です。神経系統などに異常を来たし、失明したり死亡するような急激な症状を引き起こします。

このように、一言で有機溶剤と言っても物質によって影響の仕方は大きく異なります。

 

有機溶剤の塗装への影響

車の塗装に対する有機溶剤の影響は、どのように考えればよいのでしょうか?

ここでは、溶質としての塗装に対する有機溶剤の関係をみてみましょう。

「溶解パラメータ」という言葉をご存知でしょうか?

溶解パラメータとは、SP値(Solubility Parameter)として数字で表されるものです。
このSP値が近い溶質と溶媒は、溶け合いやすいことを表しています。


私たちは「似た者同士は良く溶け合うという」という経験をしています。溶け合わないものの例に水と油があります。

水のSP値:23
油のSP値:7(ガソリンの場合)

自動車塗装の一番外側であるクリア塗装(溶質)の材質は、アクリル樹脂やウレタン樹脂などです。これらのSP値は下記のようになります。


クリア塗装(アクリル樹脂・ウレタン樹脂)
SP値:8.5~10



特に、石油系のような揮発性の臭いがする場合は、お使いのコーティング剤やクリーナー類、ウォータースポット・イオンデポジット除去剤の成分表示を調べてみるとよいでしょう。

下記のような3項~11項のような成分表示があると、車の塗装へのダメージが懸念されるものと考えることができます。

代表的な有機溶剤のSP値は下記のようになります。

1.ガソリン:7
2.イソパラフィン:7~7.5
↓↓↓特にクリア塗装のSP値に近いもの↓↓↓
3.酢酸ブチル:8.5
4.エチルベンゼン:8.8
5.キシレン:8.8
6.トルエン:8.8
7.酢酸エチル:9.0
8.ベンゼン:9.2
9.アセトン:9.9

10.ターペン(テレビン油):松から得られる精油であり漆などの塗料を溶かす。
11.ミネラルスピリット:ベンゼンやキシレンなどの混合物であり塗料を溶かす。
↑↑↑特にクリア塗装のSP値に近いもの↑↑↑
12.IPA:11.5
(IPAの別名:2-プロパノール、イソプロピルアルコール)
13.エタノール:12.7
14.メタノール:14~15



このように、有機溶剤の中でもクリア塗装のSP値に近い有機溶剤(上記3項~11項)は、短時間の接触で塗装に悪影響を及ぼす可能性があります。






(参考) 
VOCフリーガラスコーティング?
http://coating.th-angel.com/2015/11/vocvoc.html

コーティングにおける有機溶剤の特性と危険性
http://coating.th-angel.com/2015/11/blog-post.html

有機溶剤にご注意 ~コーティング剤への使用目的とリスク~
http://coating.th-angel.com/2015/10/blog-post.html

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2015-10-01

有機溶剤にご注意 ~コーティング剤への使用目的とリスク~

プロ事業者さま、一般ユーザーさまからのお問い合わせに関して気になることがあります。
 

有機溶剤を使ったコーティング剤やクリーナー・除去剤に関するご質問です。


有機溶剤の中でも、独特の臭いを発するシンナー類を使用したものは注意が必要です。
シンナーとは、一般的には塗料を溶かす液体=溶剤を指します。概ね石油を原料とした油性のものです。

シンナーの例:キシレン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、フタル酸ジブチル、ミネラルスピリット※など
※.ミネラルスピリット:キシレンやベンゼンなどの様々な有機溶剤を含む混合物


有機溶剤を使用する目的

コーティング剤やクリーナーや除去剤にシンナーを混入する目的とは何でしょうか?


コーティング剤の場合

    • 塗り込みしやすいように適度な濃度にうすめる。
    • 密着を高めるため塗装表面を溶解し接着する。

      クリーナーや除去剤の場合

        • 油性汚れを溶解して汚れを洗浄する。
        • 塗装表面を溶解して固着した汚れと一緒に落としたり凸凹をならす。


          有機溶剤を使用するリスク

          上記のような目的として使用したシンナーの副作用と言いますか、使用する際にリスクとして認識すべきことがあります。


          リスク-1:塗装の変化と劣化を促進する

           シンナーは塗装表面を溶解します。
          塗装をはがす剥離剤にもシンナーが使用されています。

          塗装を溶解するということは、光沢のある塗装のクモリやムラの原因ともなる可能性があります。

          塗装に目に見えないようなピンホールやクラックがあると、そこにシンナーが浸透し、シミの発生や変質・劣化を起こしたり、最悪は部分的な塗装剥離の原因となります。

          スタンド給油時にこぼれたガソリンが塗装に付着し、シミになったりすることがありますが、これはシンナー付着と同じような悪影響の一例です。ガソリンよりもシンナーのほうが塗装の溶解力は強いので、シンナーの付着は危険性が高いのです。


          リスク-2:健康や環境に悪影響を与える

           シンナーの多くは、経産省管轄の「化管法」や「PRTR制度」の中で、「第一種指定化学物質」及び「第二種指定化学物質」として定義されたものに含まれます。

          このような指定化学物質は、下記のような考え方により指定されています。

          「人や生態系への有害性(オゾン層破壊性を含む)があり、環境中に広く存在する又は将来的に広く存在する可能性があると認められる物質として、計562物質が指定されています」
          (参考)


          このように、有機溶剤をコーティング剤やクリーナー・除去剤に使用する際の目的とリスクの概要についてまとめてみました。

          次回以降は有機溶剤の特性や、塗装に対する危険性の見分け方などについてまとめてみたいと思います。





          (参考) 
          VOCフリーガラスコーティング?
          http://coating.th-angel.com/2015/11/vocvoc.html

          コーティングにおける有機溶剤の特性と危険性
          http://coating.th-angel.com/2015/11/blog-post.html

          有機溶剤にご注意 ~コーティング剤への使用目的とリスク~
          http://coating.th-angel.com/2015/10/blog-post.html



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          2014-04-18

          無溶剤ガラスコーティング剤の引火性と臭い

          弊社の低分子シランによる無溶剤ガラスコーティング剤をお試しいただいたお客さまのうち、十件のうち一件程度、下記のようなご質問をいただくことがあります。

          「溶剤を使用していないコーティング剤
          (無溶剤コーティング剤)なのに、引火性だし揮発性のニオイがあるのはナゼですか?」

          結論から申し上げますと、低分子シランのガラス化する成分そのものから揮発した気体にニオイがあり、その気体は燃えるからです。溶剤は一切添加しておりません。

          その理由は下記の通りです。



          無溶剤ガラスコーティング剤が燃える理由

          低分子シランを主原料とする「無溶剤ガラスコーティング剤」は、ガラスの原料物質ケイ素(Si)が主成分となります。

          ケイ素はご存知のように原子価は「4」です。
          つまりケイ素原子は、他の元素が手をつなぐことができる本数が4本あるものです。

          ガラスコーティング剤である液体の低分子シランは、4つある手のつなぎ先が「ケイ素(Si)と官能基(R:機能性をもつ原子団)あるいは水素(H)や酸素(O)」となっています。

          液体の低分子シランが空気に触れますと、液体としてつなぎ止めることができないケイ素の手のつなぎ先が、空気中の酸素(O)や水素(H)などと結合して、ケイ素を含んだ水素ガスを発生(揮発)させます。

          このようにして、ガス化した低分子シランは、ケイ素を中心に水素や酸素と結合しておりますので、炎に近づけますと気化したケイ素水素ガスが引火します。


          このガスはケイ素を含んでいますので、燃焼後は空気中の酸素と結合して白いガラス質成分の燃えカスが残存します。※危険なので燃焼実験はしないでください。

          このように、液体の低分子シランが空気に触れますと、空気中の酸素や水素と結合しながら引火性のガス(アルコール)が発生し、炎を近づけると燃えるのです。



          無溶剤ガラスコーティング剤が臭う理由

          低分子シランが気化したガスは確かにニオイがあります。

          低分子シランは上記のとおり、「ケイ素(Si)と官能基(R:機能性をもつ原子団)」の構造により、水素や酸素と結合しつつ気化したガスは、うっすらと日本酒のような、エステル臭やアルコール臭などと呼ばれるような臭いがあります。

          このニオイは、炭素(C)を中心とする物質である石油系有機溶剤(シンナー:キシレンやトルエン、ターベンなどのミネラルスピリット、有害物質)とは異なる種類の臭いです。



          無溶剤化できる理由

          ズバリ、低分子化合物だから無溶剤化ができます。


          従来の高分子ポリマー化合物を原料とする以下のようなガラスコーティング剤は、石油系有機溶剤と混合する必要があります。

          石油系有機溶剤と混合する代表的なガラスコーティング剤原料

          1. ポリシラザン
            パーヒドロポリシラザン・ペルヒドロポリシラザンについてはこちらをご覧ください。→ポリシラザンについて ~ガラスコーティング剤として~
          2. オルガノポリシロキサン
            無溶剤化した高分子オルガノポリシロキサンについてはこちらをご覧ください。→オルガノポリシロキサンとは ~ガラスコーティング剤として~



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              2014-04-14

              無機溶剤ガラスコーティングとは?

              弊社の低分子シランによる無溶剤ガラスコーティング剤をお試しいただいたお客さまのうち、十件のうち一件程度、下記のようなご質問をいただくことがあります。

              「溶剤を使用していないコーティング剤
              (無溶剤コーティング剤)なのに、引火性だし揮発性のニオイがあるのはナゼですか?」

              結論から申し上げますと、低分子シランのガラス化する成分そのものから揮発した気体にニオイがあり、その気体は燃えるからです。溶剤は一切添加しておりません。

              その理由は下記の通りです。



              無溶剤ガラスコーティング剤が燃える理由

              低分子シランを主原料とする「無溶剤ガラスコーティング剤」は、ガラスの原料物質ケイ素(Si)が主成分となります。

              ケイ素はご存知のように原子価は「4」です。
              つまりケイ素原子は、他の元素が手をつなぐことができる本数が4本あるものです。

              ガラスコーティング剤である液体の低分子シランは、4つある手のつなぎ先が「ケイ素(Si)と官能基(R:機能性をもつ原子団)あるいは水素(H)や酸素(O)」となっています。

              液体の低分子シランが空気に触れますと、液体としてつなぎ止めることができないケイ素の手のつなぎ先が、空気中の酸素(O)や水素(H)などと結合して、ケイ素を含んだ水素ガスを発生(揮発)させます。

              このようにして、ガス化した低分子シランは、ケイ素を中心に水素や酸素と結合しておりますので、炎に近づけますと気化したケイ素水素ガスが引火します。


              このガスはケイ素を含んでいますので、燃焼後は空気中の酸素と結合して白いガラス質成分の燃えカスが残存します。※危険なので燃焼実験はしないでください。

              このように、液体の低分子シランが空気に触れますと、空気中の酸素や水素と結合しながら引火性のガスが発生し、炎を近づけると燃えるのです。



              無溶剤ガラスコーティング剤が臭う理由

              低分子シランが気化したガスは確かにニオイがあります。

              低分子シランは上記のとおり、「ケイ素(Si)と官能基(R:機能性をもつ原子団)」の構造により、水素や酸素と結合しつつ気化したガスは、うっすらと日本酒のような、エステル臭やアルコール臭などと呼ばれるような臭いがあります。

              このニオイは、炭素(C)を中心とする物質である石油系有機溶剤(シンナー:キシレンやトルエン、ターベンなどのミネラルスピリット、有害物質)とは異なる種類の臭いです。



              無溶剤化できる理由

              ズバリ、低分子化合物だから無溶剤化ができます。


              従来の高分子ポリマー化合物を原料とする以下のようなガラスコーティング剤は、石油系有機溶剤と混合する必要があります。

              石油系有機溶剤と混合する代表的なガラスコーティング剤原料

              1. ポリシラザン
                パーヒドロポリシラザン・ペルヒドロポリシラザンについてはこちらをご覧ください。→ポリシラザンについて ~ガラスコーティング剤として~
              2. オルガノポリシロキサン
                無溶剤化した高分子オルガノポリシロキサンについてはこちらをご覧ください。→オルガノポリシロキサンとは ~ガラスコーティング剤として~



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                  2014-04-13

                  ポリシラザンの耐久性 ~表面改質~

                  ちょっとショッキングな話です。

                  コーティング業界の一部では「無機質の最強バリア」みたいな文句が、何とかの一つ覚えのように宣伝されています。
                   

                  いつものように結論から言います。

                  ポリシラザンなど無機ガラスコーティングは、塗装のような有機物に直接コーティング施工をした場合、密着力(耐久性)が弱いためコーティング被膜として残存できる時間が短いのです。

                   

                  その弱さは、無機ガラスコーティングが塗装表面に密着するメカニズムによるものです。


                  無機ガラスコーティングの密着メカニズム

                  ポリシラザンなどの無機ガラスコーティングは、ガラスコーティングの主成分であるケイ素(Si)が、塗装表面の水酸基(-OH)やカルボキシル基(-COOH)の酸素(O)とSi-O結合することで、塗装に密着するという説明がなされています。

                  この説明は、金属やシリコンウェハ表面などの無機基材表面の場合に無機ガラスコーティングをおこなう説明としては納得できます。

                  なぜならば、新鮮で汚染されていない無機物である金属や半導体原料のシリコンウェハような表面には、水酸基(-OH)やカルボキシル基(-COOH)が高密度に表出しているからです。


                  このような無機表面に対して、ペルヒドロポリシラザン(パーヒドロポリシラザン)のような単純な無機分子構造のケイ素(Si)は、水酸基(-OH)の酸素(O)と結合する密度が高くなり、この結果、ガラスコーティングとしての密着力が高まります。

                  (参考)ポリシラザンについて ~ガラスコーティング剤として~


                  塗装は有機物です

                  ところが自動車塗装、プラスチック部品やホイールの表面は有機物です。自動車塗装は、アクリルやウレタン、メラミン・エナメルなどの有機樹脂が主な成分です。

                  このような塗装の有機物表面に存在する水酸基(-OH)やカルボキシル基(-COOH)は、低い密度でしか存在できません。


                  プラスチックはもちろんのこと、ホイール※1も表面は有機物に覆われていますので、無機ガラスコーティングが高密度に結合し密着する部分は、自動車の場合、窓ガラスとドアミラーくらいしかないのです。

                  ※1.アルミやマグネシウムや鉄などのホイールの表面は、錆(腐食)の発生を抑えるために無色透明塗装や色付き塗装が施されています。

                  無機の窓ガラスに無機ガラスコーティングをしても意味がありませんね。ですから、無機ガラスコーティングは、自動車に対しては直接施工しても残存性の低い弱いコーティングとなるのです。




                  塗装(有機物)に対する無機ガラスコーティングの密着性

                  それでは、塗装のような有機物に対する無機ガラスコーティングの密着性は、どのようになるのでしょうか?

                  大手化成品製造会社による、無機基材と有機基材に対するペルヒドロポリシラザンの密着力データ(耐水性・耐久性)が手元にあります。

                  ポリシラザンにより無機ガラスコーティング(ペルヒドロポリシラザン
                  ・パーヒドロポリシラザン)を施した有機プラスチックへの密着度を測定するため、お湯(80℃の水※2)を連続的に流しかけ無機ガラスコーティングが消滅するまでの時間を測定した試験結果です。

                  ※2.水は温度上昇にともない強い溶解力・洗浄力を示すことから、熱水を使用することで、耐水性試験時間を短縮(加速試験)させることができます。

                  A.有機プラスチックに、直接無機コーティングした場合
                  80℃耐水性:4時間

                  B.有機プラスチックに、有機-無機改質処理※4を行ったうえで、無機コーティングした場合
                  80℃耐水性:400時間

                  C.無機シリコンウェハに、直接無機コーティングした場合
                  80℃耐水性:1000時間

                   

                  ※4.有機-無機改質処理とは、有機表面と無機表面の接着性を高めるために、ケイ素(Si)を主剤とした、有機物と無機物の接着性を高める「無機有機ハイブリッド化合物」を下地処理コーティングすることです。


                  無機コーティングの有機物への密着・耐水・耐久性は100分の1以下

                  いかがでしょうか、上記A.のように有機物であるプラスチックに直接ポリシラザンによる無機コーティングを行った場合に比較して、B.有機物と無機物の接着性を高める有機-無機改質処理を施すことによって100倍の耐水性を実現することができます。

                  C.のシリコンウェハのような無機基材に対する無機コーティングは、A.に対して250倍の耐水性があるということになります。

                  このことは、逆に言いますと無機コーティングであるペルヒドロポリシラザンは、プラスチックや塗装などの有機物に対しての密着性が、無機物基材へのコーティングと比較して桁違いに不十分であることが言えるわけです。
                   

                  つまり、従来自動車ボディ塗装ガラスコーティングとして普及し、無機コーティングが最高と言われていたのは、実用化当初の半導体シリコンウェハ(無機物)に対する、コーティング性能がそのままに流用されたものと考えられるのです。

                  有機物である塗装に対して無機ガラスコーティングを行うには、有機物と無機物の密着性を高めるために、有機-無機改質処理剤による下地処理コーティングをしなければ、本来の性能や機能を発揮することができないのです。


                  くわしくは「ガラスコーティング剤の密着について」をご覧ください。


                  (参考)無機コーティングが密着する理由 ~アクアミカの場合~

                  (参考)
                  無機ガラスコーティングは温度変化に弱い
                  http://coating.th-angel.com/2015/02/blog-post_22.html



                  無機有機ハイブリッドガラスコーティング

                  このようなことから化学分野全般において、塗装やプラスチックなどの有機物の表面を改質して機能性を高めるガラスコーティングは、自動車に限らずこの十年余り「無機有機ハイブリッド化」がどんどん進められてきたわけです。

                  別の機会に、ガラスコーティングの無機有機ハイブリッド化について説明させていただきます。


                  (参考)ガラスコーティング種類と特質 ~特性・機能比較~
                  (参考)ガラスコーティングにおける無機溶剤って何ですか?






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                  2014-03-12

                  ガラスコーティング比較

                  自動車ボディ塗装や、建築内外装向けの弊社ガラスコーティング剤は、「低分子シラン」を主原料としております。

                  最初に従来の高分子シランと低分子ガラスコーティングの方式比較をご説明し、従来の高分子シラン原料ガラスコーティング剤を検証しながら、弊社がなぜ低分子シランを選択し、ガラスコーティング剤として開発製造しているのか、各ガラスコーティングの特性や機能についてお話しいたします。


                  従来のガラスコーティング剤(高分子シラン)

                  従来の自動車塗装や、建築内外装保護用途ガラスコーティング剤は「高分子シラン」を原料としておりました。この高分子シラン・ガラスコーティング剤で代表的なものに「ポリシラザン(ペルヒドロポリシラザン)」と「オルガノポリシロキサン」があります。


                  1.ポリシラザン・ガラスコーティングとは

                  ポリシラザンはクロロシランを出発原料とし、脱アンモニア架橋により非晶質(アモルファス)ガラス被膜を形成するポリマー(高分子シラン)です。

                  ポリシラザン:Polysilazaneの名前は、ケイ素:siliconのシラ"sila"と、窒素:アザ"aza"(フランス語)の3次元基本骨格を形成する高分子(ポリ:poly)であることに由来します。

                  ポリシラザンは、ペルヒドロ-ポリシラザン
                  (PHPS:別名パーヒドロポリシラザンにより無機被膜を形成します。さらに高機能化させるためにオルガノ-ポリシラザンも考えられ、有機官能基を配向する無機有機ハイブリッド化することも可能ですが、急激な反応性により取扱が限定されるため用途や実用性が望めずに、オルガノ-ポリシラザンは殆ど実用化されていません。


                  ペルヒドロポリシラザン・ガラスコーティングの課題


                  • 無機表面が表出する。
                    →無機汚れ(ウォータースポット、別名イオンデポジット)が固着しやすい。
                    →汚染されていない表面は親水性になるが、空気中や雨水中油分などの有機汚れが付着すると撥水化して表面特性の維持が困難である。

                  • 反応性(硬化)が急激で硬化特性の制御が困難である。
                    →高硬度で柔軟性がなく、それに伴うクラック発生を防止するため、膜厚を極限まで薄くする必要があり擦過キズに対する保護性能を得にくい。
                    →手塗が困難であり、スプレーガンの使用が必要であるため設備コストに影響する。

                  • 高分子であるため有害な大量の有機溶剤(キシレンやターベンなど)に溶解する必要がある。
                    →ガラス化成分含有量が少なく膜厚が極端に薄い。

                    →塗装だけでなく人体・地球環境に有害である。

                  • 硬化する際に有害なアンモニアが発生する。
                    →アンモニアや有機溶剤を排気する設備が必要であるため設備コストに影響する。


                  (参考)


                  2.オルガノポリシロキサン・ガラスコーティングとは

                  オルガノポリシロキサンは、クロロシランを出発原料とし、脱アルコール架橋により非晶質(アモルファス)ガラス被膜を形成するポリマー(高分子シラン)です。

                  オルガノポリシロキサン:Polyorganosiloxaneの名前は、ケイ素:siliconの"sil"と、酸素:oxygenの"ox"と、炭化水素alkaneの"ane"の3次元基本骨格と有機官能基:organoを形成する高分子(ポリ:poly)であることに由来します。

                  オルガノポリシロキサンは、脱アルコールの反応がポリシラザンの脱アンモニア反応よりもマイルドであることから、比較的取扱がしやすく、無機ガラス主骨格と伴に有機官能基を配向する無機有機ハイブリッド化が容易であるため、機能性を付与しやすいことなどから、ポリシラザンで実現が難しかった課題のいくつかが解決できるようになりました。



                  オルガノポリシロキサン・ガラスコーティングの特質

                  • 無機骨格と伴に有機表面が表出する。
                    →無機汚れ(ウォータースポット、別名イオンデポジット)が固着しにくくなった。
                    →撥水性=疎水性を高めたり低くしたりすることができるため、高撥水化や親水傾向(低撥水化)にするなど目的に応じたコーティング表面が形成できる。


                  • 反応性(硬化)がマイルドで硬化特性の制御が可能である。
                    →硬度を高めつつも柔軟性を付与することができ、目的に応じた膜厚を形成できる。
                    →手塗が可能であり、特別な設備を必要とせずに塗布作業ができる。

                  • 高分子であるため有害な有機溶剤(キシレンやトルエンなど)に溶解する必要がある。
                    →ガラス化成分含有量が少なく膜厚が薄くなる傾向にある。
                    →塗装だけでなく人体・地球環境に有害である。
                    →有機溶剤を排気する設備が必要であるため設備コストに影響する。

                  オルガノポリシロキサンはポリシラザンの課題を克服できたのか?

                  高分子シランのなかでもオルガノポリシロキサンは、有機無機ハイブリッド化により、ポリシラザン(ペルヒドロポリシラザン)の下記の課題に対して改善ができていることと、できていないことがあります。

                  課題改善点
                  • 親水性表面しかできず親水性維持ができない。
                    →無機有機ハイブリッド被膜により被膜性状を変化(低撥水~高撥水)させることができるようになった。

                  • 硬化特性が制御できないため施工が難しく高コストである。
                    →硬化速度を制御でき、スプレーガンだけではなく手塗が可能となった。

                  • 硬度を制御できないため、膜厚を極端に薄くする必要があり擦過傷の保護性能が劣る。
                    →被膜の硬度と柔軟性をバランス制御できるため厚膜化が可能となった。

                  • 硬化過程において有害なアンモニアガスを発し安全性環境性保全のためのコストがかかる。
                    →硬化架橋において発生するガスはアルコールであるため副生物の安全性が高まった。
                  課題として残った点
                  • オルガノポリシロキサンもポリシラザンと同じく高分子であるため、ガラスコーティング剤として製品化するには有害な有機溶剤に溶解して使用する必要があり、溶剤添加によりガラス化成分含有量が少なくなることのほか、塗装への悪影響や安全性・環境性を保全する設備コストがかかる影響が残っております。
                    (参考)オルガノポリシロキサンの過去と現在 

                  新しいガラスコーティング剤:低分子シラン・ガラスコーティングとは

                  低分子シランはクロロシランを出発原料とし、ひとつの分子内に複数の有機官能基と加水分解性のアルコキシ基を同時に含有し、脱水架橋により非晶質(アモルファス)ガラス被膜を形成するものです。

                  従来のシラノール基を有する高分子オルガノポリシロキサンとの違いは下記のとおりです。

                  • 塗装面や樹脂などの多種類の有機物と強力に化学結合する多官能基と、ガラスや金属など無機物と強力に化学結合する加水分解性アルコキシ基を併せ持つ。

                  • 100%機能部化による低分子量液体が構成可能である(高濃度ガラス化成分含有、無溶剤化が可能)。

                  • 揮発性のシラノール基を含有しないため保存性・安定性が高い。


                  低分子シラン・ガラスコーティング剤の開発経緯

                  従来から製品化されていた高分子シランによるガラスコーティング剤は、改良が重ねられ施工性や被膜の機能性や性能向上が図られてきましたが、高分子であるためにどうしても、有害な有機溶剤の使用が避けられない状況でした。

                  その後、原料製造の技術革新や改良・コストダウンが重ねられ、特に日本では非常に多くの高機能・高性能な低分子シラン群原料が開発商品化されており、現在は車や建築用ガラスコーティング剤として商品応用が可能な状況を迎えております。

                  それだけではなく、低分子化によるメリットとして塗布剤として非常に重要な、濡れ性やレベリング性が高まることにより、塗装表面に塗布した仕上がりが、ムラのない光沢やしっとりと濡れたような平滑性が向上する効果があります。


                  このため弊社では、現在最高の機能や性能と安定した品質を誇る日本製低分子シランを原料として、自動車塗装や建築内外装向けのガラスコーティング剤として求められる「耐久性・防汚性・施工性・光沢美観・メンテナンス性」を追求する開発・製造をおこなっています。

                  (参考)ガラスコーティング剤の密着について

                  (参考)無機ガラスコーティングの耐久性 ~無機-有機表面改質~ 
                  (参考)無機溶剤ガラスコーティングとは?
                  (参考)無機ガラスコーティングは温度変化に弱い
                  (参考)ハイブリッドコーティング ~新しい無機有機タイプ~

                  ガラスコーティング比較表

                  各ガラスコーティング剤の特質を比較しました。
                  表をクリックすると拡大表示します。↓
                  ガラスコーティング比較



                  (参考)
                  コーティング剤の選び方 ~トップコートとして~
                  http://coating.th-angel.com/2015/03/blog-post_31.html

                  ハイブリッドコーティング ~トップコートとして~
                  http://coating.th-angel.com/2015/06/blog-post.html

                  ハイブリッドコーティング ~ベースコートとして~
                  http://coating.th-angel.com/2015/05/blog-post_12.html

                  新しい無機有機ハイブリッドコーティング
                  http://coating.th-angel.com/2014/12/blog-post.html

                  新しいガラスコーティング剤について
                  http://coating.th-angel.com/2014/05/blog-post.html

                  ガラスコーティングの比較
                  http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_12.html


                  アルコキシシロキサンとアルコキシシラン
                  http://coating.th-angel.com/2016/11/blog-post.html





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