2014-04-22

無機コーティングが密着する理由 ~アクアミカ・ポリシラザンの場合~

先日アップしました記事「無機ガラスコーティングの耐久性 ~表面改質~」において、無機ガラスコーティング密着性の問題をご紹介しました。

これに対して、お客さまから下記のようなご指摘をいただきました。

無機コーティングの代表格であるポリシラザン(パーヒドロポリシラザン・ペルヒドロポリシラザン)は、水酸基(-OH)や、カルボキシル基(-COOH)との結合だけでなく「アクリルやウレタンなどの樹脂と相溶するから、高い密着性が得られるのではないか」というご指摘です。


(参考)ご指摘いただいたお客さまからは、このような他社様の資料をお示しいただきました。→「アクアミカとは」http://www.tokai.or.jp/kyowa/aquamika.pdf

このPDF資料の4ページ上部に「①密着性」という項目があります。

アクアミカ(パーヒドロポリシラザン:PHPS)に関する上記資料から引用:
「PHPSは非常に活性で、塗装成分のOH、COOHなどの官能基と化学結合すると同時に、アクリルやウレタンなどの樹脂と相溶するため、高い密着性が得られます。金属やセラミックスなどの最表面も同様に、OHの存在により密着性が高く、樹脂に対しても極性基の存在によりよく密着していると考えられます。」

ここでは「極性基とケイ素(Si)が結合するから密着する」という書き方がなされています。

これに対して、以前アップした弊社ブログ記事
「無機ガラスコーティングの耐久性 ~表面改質~」では、そもそも有機物である塗装や樹脂(プラスチック)表面において、-OHや-COOHなどの極性基の密度が低いので、極性基が高密度に存在しやすい「ガラス・セラミック・半導体シリコンウェハや、各種金属のような無機酸化物表面」との密着とは異なり、「塗装など有機物表面と無機コーティングとの密着力は比較にならないほど弱い」という説明をいたしました。

今回ご指摘いただきましたことは、この極性基密度の問題ではなく、さりげなく書かれている太字部分の「アクリルやウレタンなどの樹脂と相溶するため、高い密着性が得られます」という部分です。

これはどういうことなのでしょうか?

確かに自動車などの塗装には「アクリル樹脂やウレタン樹脂」が含有されていると考えられます。このような樹脂とポリシラザン無機コーティングが「相溶」するから密着する、というように解釈されますね。

「相溶」とはどういった状態なのでしょうか?

あまり聞かない言葉なので、岩波・広辞苑1996年電子版には掲載されていませんでした。もうひとつ平凡社・世界大百科事典にも掲載されていません。

Google先生に尋ねてみますと下記のような解説があるよ。と教えてくれました。
「相溶性」セメダイン株式会社ウェブサイトhttps://www.cemedine.co.jp/basic/dictionary/006.html

その他のサイトでも似たような説明がなされています。


要するに2種類以上の物質が相互に親和性を示し「溶けあう」ことを意味しているようです。文字通りですね。

塗装と無機コーティングが溶けあって密着するという風に理解すると驚くべきことです。無機コーティング剤を塗布することにより、塗装表面が溶けて結合するということですよね。

この場合の塗装を溶かすとは、どういうことでしょうか。

高温で塗装を溶かしながら無機コーティングすることは考えられないので、常温での「相溶の可能性」としては下記のような方法が考えられるのではないでしょうか。

1.無機溶剤を使用する
ポリシラザンなど無機コーティング剤のPRには、「無機溶剤を使用する」という説明がありますが、これは凄いですね。たぶん無機溶剤なるものを使うと塗装だけではなく、鉄やアルミニウムのボディも溶かしてしまいませんか。
(参考)無機溶剤ガラスコーティングとは?

2.有機溶剤を使用する
ポリシラザンのような高分子ポリマーを、ガラスコーティングとしてスプレーガン吹き塗布をするには、塗料と同様にシンナーなどの石油系有機溶剤を使用して希釈することになります。上記のアクアミカ(パーヒドロポリシラザン:PHPS)資料の10ページには「溶媒の選択」として、キシレン・ターベン・ソルベッソ(別名:ソルベント・ナフサ)・ジブチルエーテル(別名:n-ブチルエーテル)の有機溶剤が指定されています。

つまり、無機溶剤は危険すぎて使用できませんが、石油系有機溶剤=シンナー類を使って塗装表面を溶かすことによって結合させ密着させます、という意味になるのでしょうか? 


何れにしても塗装をやり直すのなら解りますが、ガラスコーティングをするために、塗装表面を「相溶」させるとはどういうことなのでしょうか?
 

どのように考えても、塗装(有機物)の上にポリシラザンのような無機コーティングの密着させるためには、「無機ガラスコーティングの耐久性 ~表面改質~」でも述べましたように、塗装のような有機物表面に「有機-無機改質処理剤」をコーティングした上でないと、ガラスコーティングとして充分な耐久性を得ることはできないと考えます。

いかがでしょうか「相溶による密着」というのは、とても理解しにくいことですね。どなたか解る方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけないでしょうか。

(参考)ポリシラザンについて ~ガラスコーティング剤として~

(参考)ガラスコーティング種類と特質 ~特性・機能比較~
(参考)ガラスコーティング剤の密着について(参考)無機ガラスコーティングは温度変化に弱い
http://kirasaku-coating.blogspot.jp/2015/02/blog-post_22.html


 

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