有機溶剤を使ったコーティング剤やクリーナー・除去剤に関するご質問です。
有機溶剤の中でも、独特の臭いを発するシンナー類を使用したものは注意が必要です。
シンナーとは、一般的には塗料を溶かす液体=溶剤を指します。概ね石油を原料とした油性のものです。
シンナーの例:キシレン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、フタル酸ジブチル、ミネラルスピリット※など
※.ミネラルスピリット:キシレンやベンゼンなどの様々な有機溶剤を含む混合物
有機溶剤を使用する目的
コーティング剤やクリーナーや除去剤にシンナーを混入する目的とは何でしょうか?コーティング剤の場合
- 塗り込みしやすいように適度な濃度にうすめる。
- 密着を高めるため塗装表面を溶解し接着する。
クリーナーや除去剤の場合
- 油性汚れを溶解して汚れを洗浄する。
- 塗装表面を溶解して固着した汚れと一緒に落としたり凸凹をならす。
有機溶剤を使用するリスク
上記のような目的として使用したシンナーの副作用と言いますか、使用する際にリスクとして認識すべきことがあります。リスク-1:塗装の変化と劣化を促進する
シンナーは塗装表面を溶解します。
塗装をはがす剥離剤にもシンナーが使用されています。
塗装を溶解するということは、光沢のある塗装のクモリやムラの原因ともなる可能性があります。
塗装に目に見えないようなピンホールやクラックがあると、そこにシンナーが浸透し、シミの発生や変質・劣化を起こしたり、最悪は部分的な塗装剥離の原因となります。
スタンド給油時にこぼれたガソリンが塗装に付着し、シミになったりすることがありますが、これはシンナー付着と同じような悪影響の一例です。ガソリンよりもシンナーのほうが塗装の溶解力は強いので、シンナーの付着は危険性が高いのです。
シンナーの多くは、経産省管轄の「化管法」や「PRTR制度」の中で、「第一種指定化学物質」及び「第二種指定化学物質」として定義されたものに含まれます。
リスク-2:健康や環境に悪影響を与える
このような指定化学物質は、下記のような考え方により指定されています。
「人や生態系への有害性(オゾン層破壊性を含む)があり、環境中に広く存在する又は将来的に広く存在する可能性があると認められる物質として、計562物質が指定されています」
(参考)
- 経済産業省:化学物質排出把握管理促進法http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/index.html
- 経済産業省:第一種指定化学物質
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/msds/pdf/sin1shu.pdf- 経済産業省:第二種指定化学物質
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/msds/pdf/sin2shu.pdf
このように、有機溶剤をコーティング剤やクリーナー・除去剤に使用する際の目的とリスクの概要についてまとめてみました。
次回以降は有機溶剤の特性や、塗装に対する危険性の見分け方などについてまとめてみたいと思います。
(参考)
VOCフリーガラスコーティング?
http://coating.th-angel.com/2015/11/vocvoc.html
コーティングにおける有機溶剤の特性と危険性
http://coating.th-angel.com/2015/11/blog-post.html
有機溶剤にご注意 ~コーティング剤への使用目的とリスク~
http://coating.th-angel.com/2015/10/blog-post.html
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