2015-02-22

無機ガラスコーティングは温度変化に弱い

わたしはメガネが必需品です。メガネがないと生活そのものに支障があるのです。
そんなわけで、メガネが良く見えて傷つきにくいことは非常に重要です。

先日、メガネなどのレンズメーカーさんとお話をする機会がありました。そこでとても興味深い話題になりました。

メガネレンズコーティングの話です。
近年、メガネレンズの基材そのものが、プラスチックでできているものが主流となっていることは、みなさんよくご存じのとおりです。

メガネのプラスチックレンズはそれほど硬くないので、傷つきに対する保護を強化するため、プラスチックレンズの表面に、ごく薄いハードコート(コーティング)を施しています。

このメガネレンズのハードコートには、「無機有機ハイブリッドタイプ」のコーティングを採用しているそうです。

プラスチックレンズには、無機コーティングは使い物にならないという話を聞いて、車ボディ用と全く同じですねー!という話になり盛り上がったわけです。

 

レンズが無機コーティングを採用していない理由

プラスチックレンズの基材は、言うまでもなく合成樹脂ですから有機物です。同じく車のボディ塗装も合成樹脂なので有機物です。

かつてレンズメーカーさんでも、プラスチックレンズへのハードコートとして、無機コーティングを試験したことがあるそうですが、結論としては温度変化の影響を受けてクラックが発生し、それがハードコートの剥がれとなり、レンズの濁りや視界不良となってしまうことと、有機樹脂への密着が不充分であることもあり、無機コーティングは採用していないということです。

無機コーティングが熱ストレスに弱いその原因は、無機コーティングの熱膨張率と、プラスチックの熱膨張率の差が大きすぎることなのだそうです。

無機コーティングのような単純な無機ガラス(SiO2)の場合の熱膨張率と、プラスチック:有機樹脂の熱膨張率は、一桁から二桁もの大きな差があります。

●熱膨張係数 [単位:10-6/℃]
プラスチック=有機樹脂 : 70~150程度
無機ガラス : 9

このように熱膨張率が異なるため、寒い冬の屋外から暖房の効いた室内に入ったときや、冷房の効いた室内から、炎天下に駐車した車室内に入ると、メガネのプラスチックレンズは、無機ハードコートともに大きな熱ストレスにさらされて、単純に硬く脆い無機コーティングした被膜に、細かなひび割れが発生してしまうのです。

このことは車のボディも全く同じ事が言えるのではないでしょうか。

夏の炎天下に駐車した車の表面温度と、突然の夕立による雨降りによって急激に冷えたボディのことを思い浮かべてください。このような温度変動によって、有機樹脂で構成されるボディ塗装と無機コーティングは大きなストレスにさらされて、無機コーティングにクラックが発生することが、容易に想像されます。

熱ストレスを受けやすい無機ガラスコーティングが、耐久性・寿命が短いことの一つの要因と考えられる訳です。

余談ですが、ボディの無機金属と塗装の有機樹脂の熱膨張率差については、塗装が柔軟性をもつことにより、熱ストレスを吸収するようにしているので、塗装が剥離することはないのです。

 

レンズは無機有機ハイブリッドコーティングを採用している

そこで、レンズメーカーさんでは硬いだけではない、適度な柔軟性をもち、熱膨張率差を考慮した「無機有機ハイブリッドタイプコーティング」を採用することにより、熱ストレスに影響されずに、耐久性・寿命に満足のいく、プラスチックレンズのハードコートができているのだそうです。

レンズのハードコートは車のコーティングと同じく、透明度や耐久性や寿命を維持するためには、硬さだけではなく柔軟性の両立と、塗装(有機樹脂)との密着性が重要であるとということで、合点がいったというお話でした。

(参考)



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