以前アップした「ガラスコーティングは結晶なの?」という記事に対して、
【コーティング剤の商品名に「クリスタル」「クォーツ」や「ダイヤモンド」といった言葉が散見されます。名前からすると結晶化したものをイメージしますが、本当に結晶のガラスコーティングはないのですか?】
というご質問です。
結論から言いますと、
現場施工する車や建築のガラスコーティングは、すべて非晶質ガラス(アモルファス-ガラス:amorphous-silica glass)です。
結晶化したガラスコーティングが常温で現場施工できるようになったら、それこそノーベル賞か、少なくともイグノーベル賞ものではないでしょうか。もしも、現場施工で結晶化(crystallization)するガラスコーティングがありましたら、ご指摘をお願いいたします。
クリスタル/クォーツやダイヤモンドは結晶である
さて、クリスタルやダイヤモンドですがこのふたつは結晶です。- クリスタル/クォーツ(水晶/石英※)
シリコン:ケイ素(Si)を由来とする結晶体
※クォーツ=石英とは二酸化ケイ素SiO2が結晶化したもの
- ダイヤモンド
カーボン:炭素(C)を由来とする結晶体
英語では「結晶ガラス」のことをずばり「クリスタル:crystal」または、「クォーツ:quartz」と呼びます。文字通りクリスタルは天然水晶のことでもあります。
水晶(別名:石英/クリスタル/クォーツ)と、非晶質ガラス:アモルファス-ガラスの組成は同じ「SiO2」なので、コーティング業界での混乱を招いている一因と考えられます。
別の視点でハッキリと区別できる判りやすい例として、炭素(C)の場合を見てみましょう。身の回りにある非晶質炭素としては「木炭」(モース硬度2程度)や「コークス」(純度の高い石炭)があげられます。結晶化炭素としては、結晶構造の違いにより「ダイヤモンド」や「黒鉛」があります。
ご存知のようにダイヤモンドは、自然界に存在するものの中で地球上最も硬い物質(モース硬度10)であり、非晶質の木炭(モース硬度1程度)やコークスの見た目の違いもさることながら、硬さの違いは歴然としております。このように同じ炭素(C)で構成されるものでも、その成り立ちの違いにより結晶化したり非晶質になったりするわけです。
ちなみに関連するモース硬度は下記のとおりです。
- 結晶化ガラス(水晶):モース硬度7
- 非晶質ガラス(窓ガラス):モース硬度5
現場施工ガラスコーティングは非晶質ガラスです。
- 結晶化炭素(ダイヤモンド):モース硬度10
- 非晶質炭素(木炭):モース硬度1程度
(参考)ガラスコーティング【モース硬度7】の不思議
結晶化した人工ダイヤモンドを合成するには、地球上にありふれた物質である炭素(C)と水素(H)を原料にして、途方もない高い圧力と数千℃におよぶ高い温度を同時にかける方法が一般的です。一方の非晶質である木炭は木材を数百℃で炭化させたものです。
SiO2といってもいろいろある
ケイ素(Si)をもとに結晶化した水晶および人工結晶ガラスおよび、現場施工ができるガラスコーティングは非晶質であることは、以前もこちらで触れておりますのでご覧ください。→「ガラスコーティングは結晶なの?」このように、ガラスコーティングなどのコーティング剤で「クリスタル/クォーツ(SiO2)」や「ダイヤモンド」はいかにも【結晶】をイメージさせます。
しかし、繰り返しになり恐縮ですが、窓ガラス(SiO2)をはじめ、現場施工できるガラスコーティング(SiO2)で、結晶化(モース硬度7)したものはあり得ません。
もしも、そのようなものがあるのなら、是非とも教えてください。
(参考) SiO4だから硬い無機ガラスコーティングとは
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