2014-02-02

撥水性ガラスコーティングとは ~各種コーティングの撥水~

以前「ガラスの親水性」についてブログ記事をアップしたためでしょうか、逆に撥水性ガラスコーティング」に関するお問い合わせをいただくことがあります。


これまでにも、ガラスコーティングの撥水性について断片的に触れた来ましたので、今回は少しまとめてみたいと思います。

それではまず、そもそも「ガラスは撥水性」それとも、「ガラスは親水性」なのか?




一般的なガラスは基本的に親水性

その理由はガラスの一般的な製造過程において、不純物として水酸基(OH基)を含むからです。水酸基は水との親和性が高いため、水酸基を含む一般的なガラスの表面は親水性(油分やシリケートやチリなどで汚染されていない場合)となるわけです。



高純度なガラスは撥水性

光ファイバに使用する石英ガラスのように、赤外線光(波長:1.3μm~1.55μm)を長距離伝送する場合、透明度を高めるために不純物を極力取り除く必要があります。

光ファイバの石英ガラスの中に、親水性の水酸基(OH基)が含まれていると、波長:1.4μm付近での赤外線を吸収するため、長距離高速通信に使用することができなくなります。

このため通信用光ファイバのガラスは、不純物である水酸基を高温熱処理などによって極限まで取り除き、高純度化した石英ガラスを使用する必要があります。このような親水基を持たない、高純度ガラス表面は撥水性=疎水性を帯びるようになります。



ガラスコーティングには水酸基が含まれている

ポリシラザンなどのガラスコーティングの説明には、「純粋なガラスだから親水性です」のような表現が見受けられますが、このような表現には疑問があります。
正しくは、「水(H2O)との親和性がある水酸基(OH基)を含んでいるガラスなので親水性です」というべきではないでしょうか。

このように、不純物を含む一般的な製造方法によるガラスは親水性であり、水酸基を含まない高純度のガラスは撥水性=疎水性となるのです。あくまでも一般的なガラスは親水性であるということなのです。


それではガラスコーティングのガラス被膜を含めて、ガラスを作る方法から見てみましょう。



ガラスを作る方法

ガラスを作り出す方法を大きく分類しますと、下記のようになります。


1.溶融法
固体の原料を高温で加熱することで溶かして液体状態にした後、冷却してガラスにします。窓ガラスや食器など最も一般的な方法です。


2.気相法
固体を物理的に蒸発させて薄膜や微粒子を得るPVD法と、気体原料から化学反応によって薄膜や微粒子・バルクを得るCVD法に分類できます。上記の通信用光ファイバーはCVD法を用いています。


3.ゾル・ゲル法
金属アルコキシドなどの液体の原料を、加水分解し縮重合させてゾルとし、水分を除いて生じたゲルを焼結してガラス化するのです。塊や厚みのあるガラスの場合はゲルを高温で焼き固める必要があるのですが、自動車塗装に対するガラスコーティングのように薄いガラス被膜を形成するのであれば、焼き固めなくても常温での被膜形成が可能です。

一般に自動車塗装保護用ガラスコーティングは、このゾル・ゲル法を用いています。


液体の原料に添加成分を混ぜ込むなどにより、いろいろな性質(例えば撥水性や親水性など)のガラスを作ることも可能です。この方法の利点は、気相法ほどではありませんが純度の高いガラスが作れること、そして硬化反応が室温であること、大掛かりな設備を必要としないことです。


自動車塗装保護におけるガラスコーティングの場合は、ガラス被膜を形成する方法によって、親水性あるいは撥水性のどちらもあるのが正解です。その理由をガラス被膜形成方式ごとに見てみましょう。



ゾル・ゲル法によるガラスコーティング

市場にあるガラスコーティングすべてを調べたわけではありませんが、おそらく硬化するガラス被膜コーティングのほとんどはこのゾル・ゲル法によるものと思われます。

異論はあるかもしれませんが、アルキルシラン類のゾル・ゲル法ガラスコーティングの可能性のある方式は、下記の2種類のいずれかに分類されるものと考えます。
 


1.ポリシラザン・ガラスコーティングの撥水化
ポリシラザンは、シランの一種で、ケイ素(Si)・窒素(N)・活性水素基と化学結合する反応基を持つ化合物です。
ポリシラザンは、空気中の水分と反応してシリル基が導入され、塩基性のアンモニアを発生させながら、縮合してSiO2のガラス状被膜を形成するものです。

市場に出ているポリシラザンによるガラスコーティングは、特別に反応基を持たせていないため、縮合(硬化)したSiO2ガラス状被膜には、親水性の水酸基(OH基)が表面に配向するため親水性となります。


このポリシラザンを撥水性=疎水性にするには、数百℃以上の高温で、不純物である水酸基(OH基)を除去する必要がありますが、自動車本体にダメージを与えてしまうためこのような加工は不可能です。

このように市場にあるポリシラザン・ガラスコーティングは親水性となるため、撥水性=疎水性表面にするには、表面張力の小さいシリコーンオイルやシリコーンレジンまたは、フッ素含有レジンなどを上塗り(トップコート)する必要があります。

(参考)親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~:こちらをご覧ください→http://coating.th-angel.com/2013/11/blog-post_15.html



2.アルコキシシラン・ガラスコーティングの撥水化
アルコキシシラン(オルガノポリシロキサン)は、シランの一種で、ケイ素(Si)・活性水素基と化学結合する反応基を持つ化合物です。
アルコキシシランは、空気中の水分と反応してシラノール基が導入され、アルコールを発生させながら、縮合してSiO2のガラス状被膜を形成するものです。

弊社のアルコキシシラン・業務用ガラスコーティングは、このアルコキシシランを採用しています。
アルコキシシランによるSiO2ガラス状被膜には、親水性の水酸基(OH基)を含むが、一つの分子中に反応性の異なる複数の官能基(原子団)を持たせることができます。


ガラスコーティング表面に配向する官能基を変えることで、メチル基などを配向した場合:撥水性=疎水性にしたり、シラノール基などを配向した場合:親水性とすることができます。


ガラスコーティングの撥水性とは
このように自動車塗装保護用ガラスコーティングでは、下記のようにまとめることができます。


ホリシラザン
親水性のみに対応。撥水性を持たせるにはシリコーンやフッ素を上塗りする。

アルコキシシラン(オルガノポリシロキサン):
設計により、撥水性または親水性にできる。


超撥水性コーティングについてはこちらをご覧ください。→超撥水性コーティング







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