2014-02-28

親水促進剤って何ですか?

お客さまからガラスコーティングの親水性(低撥水性)を回復させるために、他社製品である親水促進剤を使用しても良いのか?とのご質問をいただきました。


他社の親水促進剤の成分をお聞きしましたら「過酸化水素」ということです。

うーん、過酸化水素を水に溶かしますと「過酸化水素水」となるわけです。これは強力な酸化剤です。
漂白剤や酸化剤として広く使われており、殺菌消毒剤として身近な「オキシドール」でもあるわけです。

過酸化水素は、塗装の酸化劣化を加速したり、大気や雨水に含まれる金属イオンや塩化物イオンと反応して金属を腐食することが懸念されます。


ガラスコーティング表面への効果

過酸化水素水は、親水性ガラスコーティング表面が、雨水や大気に含まれる油分などが付着することで、撥水性に変化した表面を、きれいにクリーニングして親水性ガラス表面※として回復させることができ、酸化に強いガラスコーティングへの悪影響はほとんどないと思います。

しかし、過酸化水素水は、親水性を持続させる能力はありませんのでご注意ください。

※親水性ガラス表面:水酸基(ーOH)が表出するガラスコーティングは、水(H2O)との親和性が良いために親水性表面となります。
(参考)ガラスの親水性 http://coating.th-angel.com/2013/11/blog-post_14.html


塗装への影響

過酸化水素水は塗装を劣化させます。

仮にガラスコーティングが取れている場合や、ガラスコーティングが不完全な場合を考えると恐ろしい限りです。

車の塗装の耐久性を調べる際の試験に、過酸化水素水を使うことが知られています。

一般的に耐久性を調べるのに、実際と同じ時間をかけると効率が悪いので、「加速試験」をおこないます。

塗装の加速試験の例を掲げます。
  • 太陽光紫外線の影響を調べる場合は、太陽光よりも強い紫外線を人工的に連続照射します。
  • 酸化劣化の影響を調べる場合は、過酸化水素水に浸漬します。
つまり、塗装表面を過酸化水素水で処理をするたびに、塗装の酸化劣化を加速させているわけです。

過酸化水素を使った塗装の耐候性試験の例をご紹介します。
下記URLは、トヨタ自動車グループである豊田中央研究所の文献です。

(参考)塗膜の高速耐候性試験法
http://www.tytlabs.com/japanese/review/rev361pdf/361_061mori.pdf


金属ボディへの影響

しかし、以前にも触れましたが、自動車は金属の塊であることを考えると、過酸化水素のような強力な酸化剤※を使って、ボディを洗浄するのはお勧めできません

(参考)洗車・コーティングと酸

http://coating.th-angel.com/2014/02/blog-post_5.html
※.
雨水や消雪剤、沿岸地区の海水飛沫に含まれる金属イオンや塩化物イオンと、過酸化水素水が触媒となって金属の酸化を促進、腐食させることが懸念されます。


オキシドール(濃度の薄い過酸化水素水)を使って傷口を消毒すると、酸素の泡が出るとともに金属臭がすることがあります。これは血液や細菌に含まれている鉄イオンなどと酸化反応しているためです。


このように過酸化水素水は、塗装の酸化劣化を早め、同時に、鉄など金属の腐食を促進させることが懸念されます。

自動車の機能性や、再販価値への影響を与えるリスクを認識されたほうが良いと思います。

中性洗剤やアルカリ洗剤のご利用をお勧めします。






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