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2014-02-23

シリコーンレジンコーティングの粘弾性と滑り止め

シリコーンレジンコーティングをご利用いただいているお客さまからのご感想をひとつご紹介します。

キラサク GPコーティングを塗布したのち、乾燥したマイクロファイバークロスで拭き上げると少しひっかかる感じがする。コーティングってもっと滑るようなイメージをしていたよ」

結論から申し上げます。

「滑りくい(滑り止め)!これは高純度シリコーンレジンコーティングの特徴です。この滑りにくさが美しく高耐久であることの証です。」


このように滑りくい特徴があるため、滑べると危険なバイクのシート、自動車やご家庭の皮革シートや皮革ソファ、フローリング床、お風呂の床に使用しても安全でかつ耐久性の
高いコーティングとしてご利用いただけるのです。


それではなぜシリコーンレジンコーティング表面は滑りにくい(滑り止め)のでしょうか。
まずは、コーティングまたはワックス表面が「滑る場合」の理由を考えてみましょう。

 

緻密な平滑表面には滑りにくいものがある

例えば窓ガラスや自動車の塗装表面もそうです。

中性洗剤やアルカリ洗剤などで自宅の窓ガラスを洗浄したあと、水を含ませた布で洗剤をきれいに拭き取ります。
仕上げ拭きのために乾燥したきれいな布で窓ガラス表面を拭くと、布がひっかかるような感触になったことはありませんか?

同じように、ワックスや油分などの汚れを脱脂洗浄したあとのフレッシュな自動車ボディも、乾燥したきれいな布やマイクロファイバークロスで拭くと、クロスが滑りにくくなると思います。



滑る表面とは

洗浄直後の窓ガラスは滑りませんが、大気中や雨に含まれる油分などの汚れが付着して、次第に滑る表面に変化していきます。車の塗装も脱脂洗浄したあとにコーティングやワックスをかけずにいても、窓ガラスと同じように油分などが付着して滑る表面に変化します。

一般的には緻密で汚れのない(液体で濡れていない)平滑表面は滑りにくいのですが、液体である油分(粘性の低い液体)などが付着すると、滑る表面に変化してしまうわけです。同じように一部のコーティングやワックスを塗布すると滑る表面になることがあります。

このように本来滑りくい表面が、コーティングやワックスによって滑る表面に変化するのはどうしてなのでしょうか?
そうですね、表面に付着したコーティングやワックスが表面の潤滑状況を変化させたためだと考えられます。

滑りが良いタイプのコーティング剤やワックスを塗布すると、潤滑成分として薄い膜をつくります。この上を乾燥したきれいなマイクロファイバークロスで拭くと、まさに「潤滑成分」として摩擦力を低減させて、クロスを滑らかに動かすことができるのです

 

摩擦と潤滑

塗装表面を拭くと、布が滑るとか引っかかるというのは、塗装表面に塗布された物質によって、下記の「境界摩擦」や「流体摩擦」の状況が変化するために起きるものだと考えられます。

境界摩擦
二つの物体の接触面が、薄い膜などの潤滑成分に覆われている場合の摩擦。

流体摩擦
液体の潤滑成分により相対運動する物体が隔てられている状態であり、この状態での摩擦抵抗は液体の「粘性抵抗」に一致する。

 

コーティング被膜の粘性と摩擦

キラサク GPコーティングなどのシリコーンレジンコーティングの場合は、滑りやすい他のコーティング剤やワックスと同じように、塗装表面に薄い膜をつくります。


シリコーンレジンコーティングは、粘性を持つ物質として塗装表面に被膜を形成します。このコーティング被膜には粘性抵抗があります。


自動車のエンジンオイルを例にしますと、負荷の大きい高出力エンジンには高温において、粘り気のある=粘度の高いオイルを使用し無ければなりませんが、負荷の小さいエンジンには、高温でもさらさらとした粘度の低いオイルを使用しても大丈夫です。

一般的に粘度が高い方が、厚く切れにくい油膜ができるので潤滑保護性能が優れ、シリンダーとピストンの密封性が高くなりますが、その反面粘り気によるピストン運動に対する抵抗が大きくなります。

参考:エンジンオイルの粘度※の例として、省燃費の一般的な自動車エンジン用は、0W-20などが使われており、高出力で負荷が大きいニッサンGT-Rエンジン用は、0W-40などが使われています。ハイフンより右側数字の20や40は、数字が大きいほど高温(100℃)において粘度が高いオイルとなります。

※.粘度とは、粘性を表す数値です。

粘度の例をいくつかあげてみましょう。

単位:Pa・s(パスカル秒)
  1. ガラス(高温で溶けている):10~1000 Pa・s
  2. ガラス(900℃程度で固まりかけている):10000~1000000 Pa・s
  3. 溶けたチョコレート:45~130 Pa・s
  4. 蜂蜜(25℃):2~10 Pa・s
  5. 潤滑油(20℃):0.1~1 Pa・s
  6. オリーブオイル(25℃):0.081 Pa・s
  7. 水(25℃):0.000890 Pa・s

さらさらのオリーブオイルと、粘り気のあるのある蜂蜜を薄く塗り伸ばした表面を、乾いた布で拭き上げることを想像してみてください。きっとオリーブオイルの方は、乾いた布は軽く拭けると思いますが、蜂蜜の方はかなり抵抗感があるのではないかと思います。

コーティングにおいても被膜の粘性の違いにより、布で触れた際の感触「抵抗感」が異なってくるのです。


  • 粘性が大→摩擦抵抗が大きい→布がひっかかるような感触
  • 粘性が小→摩擦抵抗が小さい→布が軽く滑るような感触

ここで少し話の毛色が変わりますが、窓ガラスやガラスコップなどのガラスにも、意外にも液体的性質である粘性がありますのでに少し触れてみます。

 

ガラスやゴムの粘弾性

実は常温において、カチカチに固まったようにみえるガラスコップや窓ガラスは、完全な固体ではなく流動性があります。

しかし、非晶質ガラスの粘性が非常に大きいため固まったように見えるのです。誰も確認したことはないかもしれませんが、ガラスコップも何万年?とか、長い時間を経ることによって、重力に引っ張られ下へ向かって流れるように変形していくものと考えられています。

(参考)ガラスは固体か液体か?(京都市青少年科学センタ―)http://www.edu.city.kyoto.jp/science/online/story/10/index.html

もうひとつ、非晶質ガラスが普通の液体とは異なる性質として、弾性を持つことがあげられます。
弾性とは物に力を加えると変形(ひずみ)を生じますが、その力がなくなれば、ひずみがなくなり原形に戻る性質のことです。

弾性のわかりやすい例はゴムです。ゴムの塊はご存知のように、指で力を加えると変形しますが、指を離すと元の形に戻ります。固体の鉄の塊や固まっているガラスの塊は非常に大きな弾性を持っています。

一般に「粘性は液体的な性質」、「弾性は固体的な性質」と考えられるのですが、非晶質であるガラスやゴムは、その両方の性質を持つものです。つまり、ガラスやゴムは、粘弾性(粘性と弾性の両方の性質)があり、液体と固体両方の性質を併せ持つということです

 

コーティングの粘弾性と滑り

シリコーンレジンコーティングは、ガラスやゴムのような粘弾性を持ちます。

これまでのコーティング剤やワックスは、粘性が小さく液体的な性質が強いものであり弾性はほとんどないものでした。一方のシリコーンレジンコーティングは比較的粘性・弾性とも高く、液体でありながら、固体的な性質も併せ持つようになっています。

粘度が小さく液体的性質の強いコーティングやワックスは、お気づきのように塗装表面に塗られても流れてしまいやすい性質を持ち、弾性(復元しようとする性質)はほとんどないため、乾いた布で拭くと滑りやすいと同時にどんどん布に拭き取られていきやすくなります。洗車や雨の水とともに被膜が流れ落ちやすくなるわけです。

これに対し、シリコーンレジンコーティングは粘性と弾性(粘弾性)を合わせもつため、乾いた布で拭くと滑りにいと同時に布に拭き取られにくいため被膜を簡単に落とすことはできません。これは洗車や雨の水とともに被膜が流れ落ちにくさも同様です。

 

シリコーンレジンコーティングの粘弾性

従来のコーティング剤やワックスとの違いは、分子構造が2次元的な鎖状(チェーン状)なのか、それとも3次元的な網状(メッシュ状)なのかによるものです。

これらを以下のように例えてみたいと思います。

いまここに同じ材質・製造方法でつくられたスポンジがあります。これを薄くシート状にスライスしたスポンジシートと、スポンジをサイコロのように立方体に切り出したスポンジブロックを思い浮かべてみてください。
おなじスポンジ素材でも鎖状を模して仕立てたシートと、網状を模して仕立てたブロックでは、あきらかにその強度:粘り気と復元力が違います。


  • 鎖状(2次元的)分子構造:薄いスポンジシート
  • 網状(3次元的)分子構造:立方体スポンジブロック

このように、同じような単位分子であっても、分子間の結合方法によってその強度が変わってくることに着目して開発したものが「シリコーンレジンコーティング」です

シリコーンレジンコーティングは下記のような性質があります。


  • ガラスのようには固まらない
  • オイルのような流動性は少ない
  • いわば透明なゴム質のようなしなやかさと強さを持つ
  • ガラスコーティングのような施工の難しさがなく失敗がない

いかがでしょうか、シリコーンレジンコーティングは従来のコーティングやワックスとは異なる分子構造により、特徴的な粘弾性を持っています。これが少し引っかかる拭き取りの感触としてあらわれてくるのです。

 

シリコーンレジンコーティング液剤はサラサラの水性

シリコーンレジンコーティングの粘性は、塗装などに塗布した後の性質を表しています。液剤の状態として、ドロドロしているのとはまったく違います。

構成する成分の分子量の違いによって液剤のドロドロ感が違ってくるのですが、低分子量の場合はサラサラに、高分子量の場合はドロドロとなります。

弊社のシリコーンレジンコーティングは低分子量です。
シリコーンレジンを水性エマルジョン化していますので無臭でサラサラです。

 

シリコーンレジンコーティングの特徴

●低分子量レジンを水性エマルジョン化
塗布する際には、嫌な臭いもなく、軽いタッチで塗れるし、簡単で楽に失敗のない作業が行えます。
●粘弾性のある被膜
仕上がりは透明感と膜厚感を兼ね備えた美しさを持ち、しなやかな被膜は長期間にわたりボディ塗装を保護します。
●撥水性、滑水(低撥水)性、滑るタイプなども
シリコーンレジンの特徴を活かしながら、様々な機能性を付与することができますので、プロ用・事業者さまのご相談にも対応させていただきます。

高純度シリコーンレジンを高濃度配合するイチオシのコーティング剤は、キラサクGPコーティング(撥水タイプ)です。
濃色車やメタリック、パール塗装車などすべての塗装に対応し、ガラスコーティングの上塗り保護・メンテナンス剤としても最適です。

安全性が高く無臭、滑らないので皮革ハンドルやシート、プラスチック、金属、メッキ、木材(水分を吸い込まない塗装やニス仕上)など内装にもお使いいただけます。

滑水性の良い「低撥水性シリコーンレジンコーティング」も商品化しておりますが、こちらは事業者さま向けとなっておりますので、お見積りやお問い合わせは下記までお気軽にご相談ください。

  • 電話:0285-24-5959
  • メール:info@th-angel.com




シリコーンレジンコーティングについて
1.シリコーンレジンって何ですか?
2.シリコーン?シリコンではないの
3.シリコンは石ころから、そして・・・
4.シリコンからシリコーンへ
5.シリコーンっていったい何
6.シリコーンの仕組み
7.シリコーンをコーティングに
8.コーティングはみな同じ?
9.シリコーンレジンコーティングとは

(参考)ガラスコーティングを補うコーティング剤 ~メンテナンス剤として~

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