ガラスは、非晶質(結晶ではないまたは、結晶の集まりではない)ですので、「ガラスの結晶」あるいは、「結晶化したガラス」というのは、とても違和感のある表現です。
例えば、ガラスコーティングの液剤を小さなお皿に溜めておくと、時間の経過とともに透明のガラス状塊として硬化するサンプルを「結晶化した」というようにです。
これと同様に、弊社の業務用ガラスコーティングも透明ガラス状の塊として硬化します。しかしこれは結晶ではないのです。
確かに、窓ガラスにしてもメガネレンズやガラス花瓶をみても、ガラスが塊状になっているので、透明の硬いものが大きな結晶になっているように見えなくもないですね。
それでは、ガラスの定義を調べてみます。権威ある事典などによりますと下記の引用のようになっています。
ガラス(出展:岩波書店 理化学辞典)
液体を結晶化させることなく冷却して、その粘度が固体と同じ程度の大きさに達した非晶質状態または無定形状態である。(以下省略)
ガラス(出展:平凡社 世界大百科事典)
非晶質でかつガラス転移点をもつ無機固体をいう。結晶では原子配列が規則的であるのに対し、非晶質ではこの規則性がきわめて低く、ほんの数原子を超えた距離では無秩序になっている。ガラスもこのような非晶質の一種であり、一般的には、溶融体を結晶化させることなく固体状態まで冷却するという方法で作成される。(以下省略)
このとおり、意外にも塊になっているガラスは「結晶ではない」のです。
また、ガラス - Wikipediaでは
【昇温によりガラス転移現象を示す非晶質固体。そのような固体となる物質。このような固体状態をガラス状態と言う。結晶と同程度の大きな剛性を持ち、粘性は極端に高い。非晶質でもゴム状態のように柔らかいものはガラスとは呼ばない。詳しくは「ガラス転移点」を参照のこと。】となっています。
以上をまとめますと、
固まった状態のガラスは、結晶ではなく非晶質であるということです。固まった状態のガラスは、粘性が極端に高いため、石のように硬く引き締まった透明なゴムのようなもの、とも言えるのではないでしょうか。
(参考1)人工の結晶化ガラス
非結晶(非晶質)ガラスをガラス転移点以上の温度に加熱すると、結晶を含むガラスを生成することも可能です。
非晶質シリカガラス(SiO2)から結晶化する場合、数百℃~一千℃以上の高温過熱が必要ですし、精密に温度や不純物を管理した環境でないと、透明性の高い結晶化ガラスをつくることができません。
このため、自動車の現場施工ガラスコーティングにおいて結晶化したガラス被膜を形成することはできないと考えられます。
(参考2)天然の結晶化ガラス
天然の水晶(別名:石英)は、シリカ:SiO2が結晶化したものです。地中において高温度・高圧力の中で、ケイ素と酸素から自然に生成されたものと考えられます。
(参考3)ガラスコーティング剤におけるクリスタル/クオーツやダイヤモンドとは
(参考4)SiO4だから硬い無機ガラスコーティングとは
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