まずは「水」との親和性を表す言葉である「親水性」と「疎水性=撥水性」についてみてみましょう。
親水性
親水性とは、水との親和性の高い化学種や置換基が、水との間に水素結合などによる弱い結合を作ることです。つまり、水に溶解しやすいかあるいは水に混ざりやすい性質を言います。親水性を発現する有機化合物の親水基として、具体的にはアルコールなどの水酸基、界面活性剤などのカルボキシル基・アミノ基があげられます。
疎水性
疎水性とは、水との親和性が低い、水に溶けにくいあるいは、水と混ざりにくい性質のことを言います。疎水性の物質は、いわゆる「水を嫌う・水をはじく」性質を持つのものをであり、分子内に炭化水素基(メチル基・ビニル基やアルキル基など)などの原子団をもつ物質で、油(脂質)や、パラフィンやベンゼンなどの非極性有機溶媒との親和性を持つものです。
すなわち、疎水性物質は一般的に、油と溶け合ったり混ざり合ったりしやすい「親油性」をであるものが多いのです。
しかし中には、疎水性でありながら、油などとも溶けたり混ざり合ったりしないシリコーンやフルオロアルキル鎖を持つ化合物(身近な例ではフッ素)などもあります。
撥水性と疎水性は同じ意味
疎水性と撥水性の関係は、疎水性とは水との親和性が低いことを表す言葉であり、撥水性とは疎水性である状態が「目に見えるかたちとして水をはじく現象を表す言葉」ですので、同じ意味と言っても良いと考えます。つまり、撥水性コーティングと疎水性コーティングは全く同じものです。
親水性と疎水性=撥水性の違い
親水性と疎水性=撥水性は、上記のように、水との親和性(溶けたり混ざり合ったりする)に対する性質が反対であることを表す「対義語」であるわけです。ときどき、コーティング剤やコーティングの性質を表すものとして、親水性と疎水性を、あたかも近しいことあるいは、同義語としているものがありますが、これは全くの誤りであることになります。
つまり、疎水性コーティング(=撥水するコーティング)に対し、親水性コーティング(撥水しないコーティング)は、全く逆のものです。
水をはじくという意味で、疎水性と撥水性は同じ意味ですが、コーティング業界では、撥水性と疎水性を微妙なニュアンスで使い分けていることもあります。くわしくは撥水=撥水性とは疎水の状態を表すをお読みください。
(参考リンク)当ブログの「撥水性」に関する参考記事
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