2014-02-13

ガラスコーティングとポリマーコーティングの違い

業務用・一般ユーザー用の自動車ボディ塗装・建築塗装や、窓ガラス用コーティングは、すべてポリマーでできています。


「ポリマーコーティングとガラスコーティングの違いは?」


と問われることがありますが、ものづくりの観点からは、ポリシラザンだろうが、アルコキシシランだろうが、シリコーンレジンだろうが、シリコーンオイルだろうが・・・などなど、すべてポリマー※の仲間である。というのが正解です。

※「ポリマー:polymer」とは、複数のモノマー(単量体)が重合(結合して鎖状や網状になる)することによってできた化合物のことです。


もう少し詳しく言いますと、同じ種類の小さい分子が結合し、それに相当する繰り返し構造によって構成された分子群、またはそれから成る物質をポリマー(重合体)といいます。物質を構成する出発物に当たる小さい分子をモノマー(単量体)といいます。

それではガラスコーティングとポリマーコーティングとの関係は、どのようになるのでしょうか?なぜ区別しているのでしょうか?


ポリマーコーティングって何?
一方、カーコーティング業界や建築コーティング業界には、ポリマーコーティングという言葉がありますが、はっきりとした定義がないように思われます。
調べてみると、おおむね下記のようなことが言われているようです。これに対しての考え方(考察)を書き添えます。

 

定義1.ワックスではない
業界では「天然カルナバロウや、天然または化合物オイルをベースにしたワックス」はポリマーコーティングとは呼ばないようである。

【考察】
実際にはワックスは、ポリマーを含む場合がほとんどです。しかし、このブログでは人工化合物だけで構成されているものをポリマーであるとし、「ポリマーコーティングは、カルナバロウなどの天然物を含むワックスではない」と仮定して話を進めます。



定義2.ガラスコーティングではない
業界では「被膜が硬いものはガラスコーティング」であって、「被膜が柔らかいものはポリマーコーティング」として区別しているようである。

【考察】
それでは、ポリマーコーティングではないとしている一方のガラスコーティングとは何でしょうか?現在ガラスコーティングとして多く流通しているものとして、下記の2種類を考えてみます。


1.ポリシラザン・ガラスコーティング
ポリシラザンは、[ケイ素(Si)-窒素水素化物(NH)]からなる分子が、鎖状または網状に結合したポリマー(高分子化合物)です

ポリシラザン・ガラスコーティングは、ポリシラザンが空気中の水分と反応して、アンモニアを発生させながら、縮合してSiO2のガラス状被膜を形成するものです。


(参考) ポリシラザンについて ~ガラスコーティング剤として~

2.アルコキシシラン(オルガノポリシロキサン)・ガラスコーティング
アルコキシシラン(オルガノポリシロキサン)は、[ケイ素(Si)-各種反応基水素化物(OR)]からなる分子が、鎖状または網状に結合したポリマー(高分子化合物)です

アルコキシシラン(オルガノポリシロキサン)・ガラスコーティングは、アルコキシシランが空気中の水分と反応して、アルコールを発生させながら、縮合してSiO2のガラス状被膜を形成するものです。


(参考) ガラスコーティングの種類と比較


ガラスコーティングはポリマーコーティングの仲間
このように、市場に出ている自動車塗装や建築塗装の保護に用いられるガラスコーティングは、上記2種類(ポリシラザン・ガラスコーティング、アルコキシシラン・ガラスコーティング)に分類されますから、ポリマーコーティングの仲間であると言ってよいでしょう。

つまり、自動車コーティングや建築コーティング業界で言う「ガラスコーティングとポリマーコーティング」は、被膜の硬度や密着性などの各種物性が異なるものとして、緩やか(曖昧)に分類されているに過ぎないのです。


ガラスとポリマーに区別する理由
昔、ワックス以外の保護・艶出し剤として、化学合成:高分子化合物タイプ(つまりポリマー)のコーティング剤が出てきました。そのころの一部の「ポリマーコーティング」と称した宣伝文句(営業トーク)や価格に対して、実際の耐久性などの品質が大きく期待外れとなる商品やサービスが出回ったことがありました。

このような評価の低いものが出回ったために、「ポリマーコーティング」という言葉のネームバリューが下がってしまったこともあり、その後に出てきた「ガラスコーティング」などはポリマーコーティングの一種であるのですが、明確に区別するようにしてきた経緯があります。

 
ここで言いたいのは「ガラスが絶対に良い」、「無機ガラスが絶対に汚れにくい」とかいろいろな言葉や宣伝文句が市場には出てくるのですが、ガラスでもポリマーでもそれぞれには必ず一長一短があるということなのです。

すべてにおいて、万能で高性能しかもコストパフォーマンスが良い、というものはなかなかありません(と言うか無いでしょう)。

コーティング剤やコーティングメニューなどを選択する際には、ユーザーご自身の「目的や必要とする効果や機能を整理」してから、それに対する商品やサービスの「特徴や得意と不得意をよく認識・確認」をなさって、お選びいただくのが良いのではないでしょうか。

(参考)「ガラスとポリマー」によく似た話に、「ガラスとガラス繊維系」なるキーワードがあります。
【ガラス繊維系コーティングやガラス繊維系ポリマーとは何ですか?】


(参考)ガラスコーティングは結晶をイメージさせる言葉が使われますが、ガラスコーティングは結晶ではない非晶質ガラスです。非晶質ガラスのモース硬度は5です。
【ガラスコーティング剤におけるクリスタル/クォーツやダイヤモンドとは】

(参考)コーティングとワックスの違い
(参考)アルコキシシロキサンとアルコキシシラン



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