検索キーワード「表面自由」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示
検索キーワード「表面自由」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示

2014-03-15

撥水性だから油汚れが着く親油性は本当?

撥水性表面は、親油性なんだよね!?

※撥水性=疎水性(以下、撥水性と表記)

親油性になるから、撥水性表面は油汚れが着きやすく落ちにくい?。みたいな、これもコーティング関係者からときどき聞かれるフレーズです。

実はこれはワックス時代に事実であったことが、ワックスとは物性の異なる現在のコーティング時代になって迷信のようになっているものです。


結論から申し上げますと「正しくもあり
誤りでもある」と言えるのではないでしょうか。もっと正確に言いますと、コーティング剤の材質や、表面が水に濡れているのか、あるいは乾燥しているのか、によって撥油性となるか親油性になるのかが分かれます。

一般的に良く言われる例として、「油を塗った表面は、水をはじく撥水性であり、油同士はよく馴染むから親油性である」
ズバリそのとおりです。しかし、これは「油を塗った表面」のはなしです。



ワックスの場合

ワックスの成分は、カルナバなどのロウ(蝋)やオイル・有機溶剤で構成され油分が豊富に含まれています。つまり油を塗装表面に塗り広げているため、表面は当然のことながら油となじむ親油性となります。

このようにワックスは親油性であるため、大気や雨水や水はねなどに含まれる油分や油分に含まれる汚れが付着しやすくなるわけです。


コーティングの場合

それでは、コーティングはどのようになるのでしょうか?
コーティングの場合は条件によってちょっと複雑になります。それは油分を含む場合と含まない場合があるからです。

  1. 油分を含む:シリコーンオイルコーティング
  2. 油分を含まない:シリコーンレジンコーティング、フッ素レジンコーティング
  3. 油分を含まない:ガラスコーティング

1.シリコーンオイルが主原料のコーティング

撥水性かつ親油性であり油汚れが付着しやすい。
理由はワックスと同じく、オイルを塗り広げてコーティングしているため、油と馴染みが良く、汚れが油と一緒になって付着しやすいわけです。

一方、シリコーンレジンやガラスコーティングの場合は様子が異なります。それは被膜に油分が含まれておらず、被膜表面の撥水性は基本的に表面自由エネルギーの大小によって撥水(疎水)なのか親水であるかが決まるためです。

 

2.シリコーンレジンおよびフッ素レジンが主原料のコーティング

撥水性の場合は、同時に撥油性であり油汚れが付着しにくい。
シリコーンレジンおよびフッ素レジンは基本的に撥水性です。下記ガラスコーティング C.の場合と同様の理由で油が付着しにくいのです。

 

3.ガラスコーティング

ガラスコーティングは、親水性なのか撥水性なのかによって油との馴染み方が異なりますし、親水性の場合は水濡れの状態によっても油との馴染み方が異なります。
  • A.親水性表面が乾燥している場合は、親油性であり油汚れが付着しやすい。
  • B.親水性表面が水で一様に濡れている場合は、撥油性であり油汚れが付着しにくい。
  • C.撥水性表面の場合は、同時に撥油性であり油汚れが付着しにくい。

上記A.の場合:
水に濡れていない乾燥した親水性表面は親油性表面でもありますから、油分がべったりと付着します。
しばしば親水性表面の防汚性について付着した油と、親水性表面の間に水分がもぐり込み、油を含む汚れを浮かして水とともに洗い流すといった表現が見受けられますが、それほど甘いものではありません(光触媒による親水性の場合は、光触媒により有機物を分解することと混同しているものと思われます)。

上記B.の場合:
仮に親水性表面が一様に水に濡れていれば、油汚れは付着しにくい状態です。それは親水性表面上に水の膜があるため、「水」が最強の撥油性を発揮し、文字通りに水と油の関係から混じり合うことはないためです。

しかし、常に一様に水に濡れているわけではありませんね。

上記C.の場合:
油分を含まない表面でかつ、表面自由エネルギー(表面張力)が小さい場合は、水でも油でもはじく撥水性と同時に撥油性表面になりますので、水性汚れ・油性汚れとも付着しにくくなります。


撥水性と油汚れ・誤解の根源

1.「水と油は混じりません」だからと言って、親水性表面はいつも水で濡れているわけではありませんから、水なしの乾いた親水性表面の撥油性はありませんし、むしろ表面自由エネルギーは比較的小さいため親油性傾向ですから、油がベッタリと付着し、水で流した程度では落ちません。常時水で濡れている親水性表面の場合は水の膜がバリアとなって油の付着を防ぐのです。

(参考)親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~
http://coating.th-angel.com/2013/11/blog-post_15.html



 

2.光触媒による親水性表面の場合は、光が当たると油などの有機物を分解しますので、雨水などかかりますと油も分解された汚れが落ちます。しかし、現場施工可能な光触媒コーティングの実用性は問題があります。下記の参考をご参照ください。

(参考)親水防汚:光触媒の現状と課題 その1
http://coating.th-angel.com/2013/12/blog-post.html
(参考)親水防汚:光触媒の現状と課題 その2
http://coating.th-angel.com/2013/12/blog-post_2.html


 

油で汚れ難い表面は撥油性であり、同時に撥水性でもある

油をはじくことにより、油汚れの付着を防ぐ表面は撥油性です。

油分を含まないコーティング表面においては、撥油性は表面自由エネルギー(表面張力)が、油よりも小さくなければなりません。つまり、水も含めた関係は下記のようになります。

撥水性・撥油性コーティング表面自由エネルギー(表面張力)
水(約70mN/m) > 油(約20~30mN/m) > 撥水性撥油性表面(5~10mN/m程度)

撥油性:油の接触角:80~90度かつ、撥水性:水の接触角:100~110度とする場合のコーティングの表面自由エネルギーは、5~10mN/m程度でなければなりません。



表面自由エネルギーが小さい撥油性表面は、撥水性=疎水性のシリコーンレジンコーティングやフッ素レジンコーティングあるいは、撥水性ガラスコーティングでなければ実現できないことになります。




【関連ページ】

よろしければポチッとお願いします
にほんブログ村 車ブログ 車 洗車・コーティングへ
にほんブログ村

カー用品・装備ランキング

コーティングのはなし ブログの記事一覧を表示します。
一覧リストを表示するまで、少々時間がかかる場合があります。


2013-11-04

撥水(撥水性)とは疎水(疎水性)の状態を表す

撥水や滑水については、水との関係を表す科学的な表現ではなく、状態や現象を表す、見た目の状態を表す言葉なのではないかと考えています。

つまり

疎水性と撥水性の関係は、疎水性とは水との親和性を表す言葉であり、撥水性とは疎水性である状態が目に見えるかたちとして水をはじく現象を表す言葉ですので、同じ意味と言っても良い

と考えます。

コーティング業界では、撥水性と疎水性を微妙なニュアンスで使い分けていることもありますので、撥水と疎水は同じ意味なのですがその使い分けについて考えてみたいと思います。


 

疎水と撥水の定義


前回記事親水性と疎水性(撥水性)でも述べましたように、水との親和性が低い性質は「疎水性」として定義されています。疎水性とは
単に塗装表面や窓ガラス表面などの物質表面と水との関係性だけを表しているものではありません。
例えば、豚骨ラーメンのスープのほとんどは「水」ですが、スープを作る過程で出汁とりのために入れた豚骨から出た脂は、どんなに煮込んでも水とは混ざらずに豚骨の油脂がスープの水に浮いています。この状態は豚骨から出た油脂は疎水性であるためだと言うことですね。


疎水(疎水性)とは

それでは「疎水」とはどういう意味なのかを国語辞典で調べてみましょう。
手元にある広辞苑では下記のようになっています。

そ‐すい【疏水・疎水】(出典:広辞苑 1996年版)
1.水を流すこと。
2.灌漑・給水・舟運または発電のために、新たに土地を切り開いて水路を設け、通水させること。また、そのもの。多くは湖沼・河川から開溝して水を引き、地形によってはトンネルを設けることもある。


となっています。どうやら、疎水という日本語は「水を流す」とか、「土地を切り開き水路を設けて水を通す」という状態を表す言葉のようです。
疎水の意味はよくわかりましたが、私たちの日常ではあまり使われない言葉のようにも感じます。

そこで、コーティング剤をつくっているものの立場から「疎水性」を考えてみる前に、ボディ塗装や窓ガラスの疎水状態を表すのに一般的な「撥水性」についておさらいしてみましょう。


撥水(撥水性)とは

疎水と同じく「撥水」を国語辞典で調べると、シンプルにひとこと「水をはじくこと」とあります。読んで字の如し、水が付着する様を表した言葉であり、とても馴染み深い言葉です。

例えば朝露が着いた葉っぱやハスの葉に浮かぶ水滴、防水加工した傘やレインウェアの表面に降りかかる雨粒などがはじかれて、水玉のようにはじかれる状態がすぐに思い浮かびます。

この撥水のメカニズムについては、別の機会に詳しくみていきたいと思いますが、自動車や建築の塗装や窓ガラス表面での、物質表面が水で濡れた状態を表す「撥水(水の接触角が大きくなる)」が起こるのは、大きく分けて下記の二つの要因が考えられています。


1.固体の表面自由エネルギー

水にはその中心に集まろうとする力があり、これを凝集力と言います。水などの液体は表面積をできるだけ小さくしようとするので、この力を表面張力とも呼んでいるわけです。

水が塗装面などに付着した際に、内部の引力:凝集力(表面張力)と比較して、塗装面の表面自由エネルギーが小さいときは、水は小さくまとまろうとする力が大きくなることにより水玉状になります。

撥水性コーティング剤はこの原理を応用し、ボディ塗装表面や窓ガラス表面に塗布したコーティングが表面自由エネルギーをより小さくすることにより、撥水性を高めることができるわけです。


2.固体表面の微細突起

ロータス効果(ハス効果)と言われるように、固体表面がハスの葉のように微細な毛のような表面に凹凸突起がありますと、水と固体表面は非常に多くの点(凸)で接触するすることになります。このとき凹部の液面入り込めない多数の空隙の存在によって点接触をしている場合は、水が水玉状になります。

コーティングにより、上記のような微細な凹凸状に塗装表面や窓ガラス表面を改質した場合は、とても高い撥水(超撥水とも呼びます)を得ることができます。

しかし、凹凸をつくるということは、光の乱反射を招く原因ともなりますので、表面が曇ったり白っぽくなったりする弊害を招きます。塗料などの超撥水性のものは、このような理由によりグロス(艶出し)にならないものとなり、艶消しになるのはこのような理由によるものです。

微細な凹凸が際立ってきますと、液面の進行が阻害されて撥水がさらに高まります(ピン止め効果とも言います)。この場合は若干ですが、傾斜や風があたることにより起きる水の流れ方にも影響を与えることがあるようです。

 

撥水(撥水性)とは疎水(疎水性)の状態を表す

以前の記事でも申し上げましたように、同義語である疎水性と撥水性の違いとは何でしょうか?

ここからは私の解釈ですが、

コーティングの世界では撥水のある状態全般を「撥水」または「撥水性」と呼び、そのなかでも水が水路を流れるような筋状になってスムーズに流れ落ちる状態を、「疎水」または「疎水性」と呼んでいる
ように思います。

これはこの記事の冒頭で国語辞典を調べましたように、「疎水」=水の流れに由来するのではないかと考えます。

コーティングにおける疎水とはどのような撥水の状態を表すのでしょうか?
クルマのボディや窓ガラスの上を、水が筋状にスムーズに流れるためには、ピン止め効果が大きくない方が好ましいと思われます。

このため高撥水(接触角が大きい)よりも、低撥水(接触角が小さい)のほうが、小さな傾斜角や弱い風によって、水がきれいに筋状になって流れること、すなわち疎水と言うことになるのではないでしょうか。


 (参考リンク)当ブログの「撥水性」に関する参考記事


この「疎水」あるいは「疎水性」と似たような状態や性質に、「滑水」あるいは「滑水性」と呼ばれるものがあります。
次回は「滑水とは」なんなのかについて考えてみたいと思います。


【関連ページ】

よろしければポチッとお願いします
にほんブログ村 車ブログ 車 洗車・コーティングへ
にほんブログ村

カー用品・装備ランキング

コーティングのはなし ブログの記事一覧を表示します。
一覧リストを表示するまで、少々時間がかかる場合があります。


2014-08-17

フッ素コーティングの撥水性・撥油性と汚れ

フッ素コーティングの高い撥水性・撥油性による防汚性が優れている理由を見てみましょう。

以前、撥水性・撥油性に関する記事をアップしました。この中で撥水性や撥油性をもつ表面の汚れ難さについてまとめたものです。


(参考)撥水性だから油汚れが着く親油性は本当?
http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_15.html

この記事でも触れていますが、油分を含んだ汚れがつき難い表面は、撥油性でありかつ撥水性です。具体的に撥油性と撥水性が高い表面とはどのような状態なのでしょうか。

条件を一定にするために、クルマの塗装のように平滑正の高い表面の場合は、表面張力(表面自由エネルギー)が油や水との差が大きいほど、油や水をよくはじく、すなわち撥油性・撥水性表面となります。

 

表面張力(表面自由エネルギー) 単位[mN/m]
--------------------------------------------------------------------------- 水: 73
油: 25~30 (石油・鉱油)
---------------------------------------------------------------------------
S1.シリコーン: 16~30

F1.フッ素樹脂1: 18 (PTFE、フライパンなど) F2.フッ素樹脂2: 10~25 (フッ素樹脂+シリコーンコーティング) F3.フッ素樹脂3: 6 (CF3の場合、実験室レベルでの最小値)
---------------------------------------------------------------------------


いかがでしょうか。
液体よりも低い表面張力の固体表面(コーティング表面)は、その液体をはじくことができます。
整理してみましょう。
●シリコーンコーティングした表面
シリコーンのみでコーティングした場合は、上記表「S1」シリコーンの表面張力と、水・油の表面張力の差から以下のようになります。


  1. 水との表面張力の差が大きいため、水を良くはじく。
  2. 油との表面張力の差が無いまたは小さいため、油のはじき方が小さい。

「S1」シリコーンの場合、水の接触角では、およそ90~100°前後といったところでしょう。



●フッ素樹脂コーティングした表面
フッ素樹脂をコーティングするためシリコーンをバインダ(接着剤)とした場合は、上記表「F2」フッ素樹脂の表面張力と、水・油との表面張力の差から以下のようになります。

  1. 水との表面張力の差が大きいため、水を良くはじく。
  2. 油との表面張力の差があるため、油をはじく。

上記のように、フッ素樹脂の優れていることとして、撥水性に加えて撥油性があるため、油性の汚れがつき難いことがあげられます。
 
「F2」フッ素樹脂の場合、水の接触角では、およそ100~110°前後といったところでしょう。

 
(参考 実験室では)

上記表「F3」フッ素樹脂のように、CF3で隙間なく覆われた平滑な表面の水の接触角は120°、油の接触角は90°程度になると言われていますが、実験室レベルでしか実現できませんし、実用的コーティングとしては、その他の機能性(耐久性など)が不充分です。




フッ素コーティング関連記事






    よろしければポチッとお願いします
    にほんブログ村 車ブログ 車 洗車・コーティングへ
    にほんブログ村

    カー用品・装備ランキング

    本ブログ運営:株式会社THエンゼル

    コーティングのはなし ブログの記事一覧を表示します。
    一覧リストを表示するまで、少々時間がかかる場合があります。


    2014-12-12

    撥水コーティングについて

    撥水コーティングにおける撥水性の意味・仕組みや、特徴・機能性などについてまとめてみました。

    ●撥水性とは

    • 撥水とは、文字通り水をはじくことを意味します。
    • 撥水と疎水は、水をはじくという意味では同じことです。
    • 撥水は水をはじく現象や様子を表し、疎水は水となじみにくい性質を表します。
    • つまり、水になじみ難い表面は疎水性を持った表面であり、疎水性表面は同時に水をはじく撥水性の表面でもあります。
    • 車のコーティングの場合は、撥水と疎水を若干異なったニュアンスであることがあります。例としては、水がコロコロと球状になり非常に良くはじく場合は「撥水性」と呼び、水が球状ではなく少し広がったようにはじく場合は「疎水性」や「滑水性」と呼ぶようです。


    ●撥水の定義

    • 撥水状態であることの定義としては、水の接触角により、車のコーティング業界では概ね下記のように言われているようです。


    【水の接触角】
    • 180~120°程度:超撥水
    • 120~90°程度 :高撥水
    • 90~40°程度  :低撥水、疎水、滑水など
    • 40~1°程度   :親水


    ●撥水の仕組み

    • 撥水の仕組みを大別するとふたつに分類されます。ひとつ目は水よりも表面の表面張力(表面自由エネルギー)のが小さいほどよく撥水します。
    • フッ素は地球上の物質で最も電気陰性度が高いため、その化合物であるフッ素樹脂は表面張力が小さくなり、水はもちろんのこと、油をもはじくものもあります。
    • 水の接触角150°以上の超撥水性や、120°を超える撥水性表面 は、植物のハスやイモの葉の表面にように、規則的に配列された細かな凹凸表面でないと実現できません。
    • 水の接触角120°を超える撥水表面は、細かな凹凸が必要であるため、透明性の高い光沢のある表面では実現できていません。また、布などで凹凸表面を拭きますと、細かな凹凸が壊れて撥水性が落ちてしまいます。


    表面張力(表面自由エネルギー)単位 [mN/m]
    --------------------------------------
    水:73
    油:25~30程度(石油・鉱油)
    --------------------------------------
    S1.シリコーン樹脂:16~30程度

    F1.フッ素樹脂1:18程度(PTFE、フライパンなど)
    F2.フッ素樹脂2:10~25程度(フッ素樹脂+シリコーンコーティング)
    F3.フッ素樹脂3:6(CF3、実験室レベルでの最小値)
    --------------------------------------
    (参考)水の接触角はおよそ下記のようになります。
    S1.シリコーン樹脂:110~90°
    F1.フッ素樹脂1(PTFE):114°程度
    F2.フッ素樹脂2(フッ素樹脂+シリコーンコーティング):>115°~100°
    F3.フッ素樹脂3(CF3):120°


    ●撥水性コーティングの特徴と機能性

    • 水に含まれた水溶性の汚れ物質は、撥水性をもつ表面でははじかれます。さらに、撥油性まで持つ表面は、油性の汚れ物質もはじく能力をもっています。
    • 撥水性コーティングは、汚れにくく汚れが固着しにくい表面となります。
    • 撥水性と撥油性を両立しているコーティングの表面は、更に汚れ難くいです。
    • 撥水表面はコーティングの持続を確認することが容易です。

    よろしければポチッとお願いします
    にほんブログ村 車ブログ 車 洗車・コーティングへ
    にほんブログ村

    カー用品・装備ランキング

    本ブログ運営:株式会社THエンゼル

    コーティングのはなし ブログの記事一覧を表示します。
    一覧リストを表示するまで、少々時間がかかる場合があります。


    2013-11-09

    滑水性ってなんだろう


    近頃コーティングの状態を表す言葉で、滑水性あるいは滑水って聞きます。
     

    滑水性コーティングを施したボディ塗装表面あるいは、窓ガラス表面っていったいどういう状態なのでしょうか?
     

    その前に、得意の「滑水」という言葉について調べてみましょう。
    広辞苑によると滑水とは「水上を滑走すること」とあります。

     Google先生に「滑水とは」と問い合わせ(検索)すると自動車のコーティング関連のウェブサイトが上位にたくさんリストされます。
     

    どうやら滑水とは「水上スキーで水の上を滑走するような状態をイメージした」コーティング業界でよく用いられる独特の言葉であるようです。
      
    かと言って世の中(コーティング業界)に明確な定義はないようなので、コーティング剤製造者として滑水について整理してみたいと思います。


    傾斜角と滑水性について

    改めてコーティングにおける「滑水とは」、どのような状態を言うのでしょうか。
     

    仮に傾斜のない平面で、風もない室内にあるボディ塗装表面や窓ガラス表面を想定します。この場合、付着した水は接触角(撥水)の大小はあるにしても、水は静止した状態で、その場に留まります。
     

    この状態から、平面の一方を少しづつ持ち上げていきますと、付着した水はツーと上から下へ流れ落ちます。このように水が流れ落ち始める傾斜角が小さいほど「滑水性が良い」としましょう。
     

    このほかに、「水が落ちる速度」や、「水が落ちる加速度」なども「滑水の特性」を表すものと考えられますが、複雑になるのでここでは「水が流れ落ち始める傾斜角」に着目したいと思います。
     

    実はこの滑水性と言われるものは、研究者の間では「動的な撥水性」とも呼ばれているのですが、「重力による仕事と液体の表面自由エネルギー変化の関係」として、この動的な撥水現象を説明できる理論は完成されているわけではありません。
     

    しかし、仮説として「動的な撥水性:滑水性」は、下記のような表面の状態に左右されるのではないかと考えられています。

    1.表面の物理的な均一さ
    2.表面の化学的な均一さ
    3.表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造
    4.その他の要因?



    「表面の物理的・化学的均一さ」について

    前回記事の疎水性の中でも触れましたが、表面に微細な凹凸がありますと、撥水は高まりますが、水の進行を妨げるためにスムーズな水の流れに影響を与えることがあります。
     

    動的な撥水性すなわち「滑水性」とは、塗装表面や窓ガラス表面の均一さが整っていること、つまり塗装や窓ガラス表面の凸凹の少ない:平滑性が高いほど滑水性が良くなる。と言えるのではないでしょうか。
     

    ここで、他社(弊社とは関係ありません)さんのウェブサイトに解りやすい動画の実験例※がありましたのでリンクを張らせていただきます。
    ※.BGM音が出ますのでご注意ください!



    動画出典:株式会社 三愛プラント工業さん

     

    実験動画は、同じ金属板(動画前半:ステンレス、後半:アルミ)の研磨あり・研磨なしよって表面の平滑性を変化させた上の水の流れ具合を比較しています。

    同じ金属板上に恐らく同量の水を垂らして、傾斜角を少しづつ変化させているように見えます。
     

    この動画では研磨により、表面の平滑性が向上し、同じ金属板でも滑水性が全く違ってくることが一目瞭然です。
     

    滑水性を高める第一条件は、上記のように「表面の物理的・化学的均一さ」すなわち「平滑性高める」ことなのです。
    それでは「表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造」についてはどのように考えればよいのでしょうか。


     

    「表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造」について

    結論から申し上げますと、表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造が、滑水の良し悪しに何らかの影響があるのではないか?という、未だにはっきりしない状況なのです。

    定性的かつ具体的に、どのようにすれば滑水性が向上するのかは研究者の間でも今後の課題となっています。
    それでは仕方がないので、私なりに仮説をたててみます。
     

    「表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造」これは個体表面の撥水(疎水)的あるいは、親水的性質とも見ることができると考えます。
     

    親水性あるいは親水性に近づくということは、水の凝集力よりも塗装や窓ガラスの表面自由エネルギーが高いということですから、どちらかというと水の流れが阻害される方向になると考えられます。
     

    一方、撥水性を高めるためのロータス効果(ハス効果)のような、微細突起との因果関係についても、微細な凹凸が際立ってきますと、液面の進行が阻害される(ピン止め効果とも言う)方向になるとも考えられます。
     

    経験的な話しでの補足となりますが、撥水性あるいは親水性との因果関係で申し上げますと、撥水性が高いよりも撥水性がやや低く、親水性よりもやや撥水が高い状態が最も滑水性が良好であるようです。
     

    滑水性が良いボディ塗装や窓ガラスの表面の条件は、下記のようにまとめたいと思います。
     

    1.できるだけ平滑であること
    2.撥水性が高過ぎないことかつ、親水性ではないこと



    「平滑性を良くする」について

    それでは自動車の塗装面や窓ガラス面の平滑性を高めるには、どのように考えればよいのでしょうか。

    平滑性を高めるということは、すなわち表面の粗さをできるだけ減らすことです。ボディ塗装面を例にしてみますと、優先順位の高い順に下記のようにとなると考えられます。


    1.ミリメートル(mm)~マイクロメートル(μm)レベルの平滑性

    このレベルの粗い表面は、コーティング施工での平滑性を向上させることは困難です。
     

    この場合は再塗装をおこなうか、塗装面の研磨による平滑性を向上させる必要があります。
    再塗装も含めて研磨をおこなうことは、経験や設備のない素人ではキレイに仕上げることは難しく、失敗した場合の回復も非常に困難ですから、専門の塗装業者さんまたは、研磨業者さんにお願いする必要があると考えます。


    2.マイクロメートル(μm)・ナノメートル(nm)レベルの平滑性

    マイクロメートル付近以下の粗さのある表面は、研磨とともにマイクロメートル程度の膜厚のあるガラスコーティングをおこなうことよる、平滑性向上が最も効果的であると考えます。
     
    高性能・高機能なガラスコーティングは、強固な被膜を形成するため、施工に失敗すると研磨作業が必要になりますし、素地が荒れた状態ですとガラスコーティングにより光の乱反射を助長することで、曇りのようになる逆効果も考えられます。
     

    このため、高い平滑性を求めるガラスコーティングは、専門のコーティング業者さんにお願いすることが得策です。
     

    ガラスコーティングは、専門業者さんに作業をお願いする必要がありますので、クルマを預けたりする時間がかかるし、相応の費用もかかります。適切な業者さんいお願いすれば、数年程度の長期間に渡って平滑性の状態を保てるメリットがあります。
     

    もしも、数か月~半年程度の間隔でコーティングなどのメンテナンスをなさるのであれば、ガラスコーティングではなく、塗装表面状態に応じた軽い研磨作業と、シリコーンコーティングを用いて表面平滑性を高めて、良好な滑水性を得ることができます。
     

    このような「滑水性コーティング剤」は、弊社(THエンゼル)にもシリコーンレジンを主原料とした業者様向けの低撥水コーティング剤ラインナップがあります。
     


    長文になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。
     


    さて、今回の記事でも出てきました「親水性」という言葉、コーティングの性質・状態を表す親水性ってなんでしょうか、案外イメージしにくいですよね。次回はこの気になる「親水性」について整理してみたいと思います。


    (参考リンク)滑水性あるいは親水性や撥水性との関連で気になるウォータースポット(イオンデポジット)に関するまとめ記事



    【関連ページ】

    よろしければポチッとお願いします
    にほんブログ村 車ブログ 車 洗車・コーティングへ
    にほんブログ村

    カー用品・装備ランキング

    コーティングのはなし ブログの記事一覧を表示します。
    一覧リストを表示するまで、少々時間がかかる場合があります。


    2014-02-04

    超撥水性コーティング

    自動車のボディや窓ガラスにおいて、「超撥水性コーティング」とはどのようなものなのでしょうか?実現可能なのでしょうか?

     

    「超撥水」と「撥水」の違いは何

    コーティングや塗装表面における水の接触角が大きいほど「撥水が良い」とか「高撥水である」などと表現されるわけですが、超撥水と撥水の違いは何なのでしょうか?

    絶対的な親水性の接触角は、限りなく0°(ゼロ)に近づいた状態
    :超親水性となり、これ以上ない極限の撥水性の接触角は、限りなく180°に近づいた状態:超撥水性となります。


    コーティングにおいて、水の接触角0°~180°間は、超親水、親水、撥水、低撥水、高撥水、超撥水、疎水、滑水などさまざまな表現をされています。

    今回は、コーティングにおける超撥水とはどのような状態であり、実現性があるのかについて考えてみたいと思います。
    Wikipedia 超撥水によりますと、根拠や定義の出所は不明ですが、超撥水とは150°を超える接触角としているようです。
     

    平滑面コーティングにおける超撥水とは

    自動車のボディ塗装や窓ガラスは、艶のある塗装や透明な窓ガラスであり平滑な表面ですね。マット塗装(艶消し塗装)や擦りガラス(スリガラス)は別にして、透明感のある塗装やガラスの表面は、ミクロン以下の小さなサイズで見ても、凸凹が少ない平滑性が高い表面となっています。

    平滑性の高い表面において、撥水性(疎水性)を高めるためには、表面張力をできるだけ小さくすることが必要です。現在このような条件に適合する表面を作るには、表面張力の小さいフッ素化合物やメチル基シリコーンなどを、表面に高密度に配向することが必要です。
     

    中でもフッ素(F)の表面張力が小さい理由は、電気陰性度が最も大きい物質だからです。高校化学で教わったように、元素の周期表でフッ素(F)が最も右側に位置することを思い出してみましょう(参考:Wikipedia 電気陰性度)。

    電気陰性度が最も大きいということは、フッ素の化合物は分子間力が小さい(表面自由エネルギーが小さい)ので、原理的にフッ素化合物の表面張力は最も小さくなるということになります。

    このため
    平滑な表面を改質するコーティングとして、透明度や艶を保ちながら、撥水性を最大にできる物質はフッ素化合物なのです。現在のところフッ素化合物の中でも、最も表面張力の小さいものは、メチル基(-CH3)の3つの水素(H)すべてが、フッ素(F)に置き換えられたトリフルオロメチル基(-CF3)です。

    このトリフルオロメチル基(-CF3)を持つフッ素化合物で処理された表面の水の接触角は、理論上120°程度となります。しかし、これは実験室など整った条件下で確認できるもので、実際のコーティングにおいては、110°程度が最高の撥水となります。


    このように平滑面コーティングにおいては、接触角が120°を超えるような場合「超撥水性コーティング」と言っても良いのかもしれません。


    超撥水性表面は艶消し・不透明になる

    それでは接触角150°以上の超撥水性や、120°を超える撥水性表面はどのようになっているのでしょうか。

    超撥水の事例として、自然界ではハスやイモの葉表面や、日常生活ではフッ素加工された傘などがあります。

    これらの超撥水表面は、小さな凹凸が多く規則的な乱れなく配列された表面になっています。このように超撥水性表面は、連続した小さな凹凸により光が乱反射するため、艶があり透明感のある平滑な表面ではなく、艶消し・不透明表面になります。



    平滑面の超撥水性コーティングはできない

    仮に、塗装や窓ガラス表面の艶や透明感に影響を与えない程度の、微細な凹凸が人工的に作れたとしましょう。このようなデリケートな凹凸表面は、自動車が屋外を走行し、大気や雨にさらされることで、油分やチリやホコリなどの汚れが付着しますので、微細な凹凸はすぐに埋められてしまうことが考えられます。

    このほかにも、洗車によるスポンジ・タオルや、ワイパーの動作による摩擦などでミクロな凹凸が無くなってしまい、平滑化してしまうことにより超撥水性が失われてしまうでしょう。

    このように平滑面において、
    接触角120°を超えるような超撥水性コーティングは、残念ながら実現できないのです。

    ガラスコーティングの撥水性についてはこちらをご覧ください。→撥水性ガラスコーティングとは



    【関連ページ】

    よろしければポチッとお願いします
    にほんブログ村 車ブログ 車 洗車・コーティングへ
    にほんブログ村

    カー用品・装備ランキング

    コーティングのはなし ブログの記事一覧を表示します。
    一覧リストを表示するまで、少々時間がかかる場合があります。


    2014-11-14

    ガラスコーティングを補うコーティング剤 ~メンテナンス剤として~

    カーディテイリングショップやカーディーラーなどで、ガラスコーティングを施工されたお客さまより、普段のお手入れに使えるコーティング剤はありませんか?との問い合わせをいただくことがあります。

    弊社では下記のような理由により、シリコーンレジンによるコーティングをオススメしております。そのポイントは、下記の3項目を挙げさせていただきます。

    1.ガラスコーティングの無機汚れ固着を防ぐ
    2.ガラスコーティングの防汚性(撥水性)を補う
    3.ガラスコーティングの美観を補う


    【シリコーンレジンコーティングとは】

    一般ユーザーさま向けに市販されているものや、業務用・プロ用として流通しているほとんどのコーティング剤にはシリコーンが主原料として使用されています。これらは「シリコーンオイル」を使用しています。このシリコーンオイルは、原料価格がこなれていることや、製造が比較的容易なこと、機能性や性能面のバランスがとれている理由から広く使われています。

    一方、弊社がオススメしている「シリコーンレジン」を原料としたコーティング剤は、シリコーンオイルよりも、ガラス質の基本構造の結合密度が高いものとなっております。この高い結合密度が、被膜の耐久性や持続性を維持するために重要となります。

    シリコーンレジンはシリコーンオイルよりも、コーティング剤原料として機能性や性能面で優れている点が多いのですが課題もあります。その課題とは、コーティング剤としての製造技術や、原料や製造コストの面でハードルが高いものとなってしまうことです。

    弊社では、シリコーンレジンを高濃度配合できるようにするため、品質を安定化させる製造プロセスの最適化を図ることで、車用としてこれまで難しかったシリコーンレジンを主原料するコーティング剤を、リーズナブルな価格で製品化することができました。

    それでは、このシリコーンレジンコーティングがガラスコーティングのメンテナンス剤としてどのような作り込みをしていて、どのような特徴があるのかを見ていきたいと思います。


    (参考)シリコーンレジンって何ですか?


    1.ガラスコーティングの無機汚れ固着を防ぐ

    ガラスコーティングの主な特徴・役割としては、持続性・耐傷性・防汚性が挙げられます。冠となる名前が「ガラス」ですから、ガラス質のハードコーティングをおこなうことであり、長期間にわたり塗装表面を守り続けることが求められます。

    現在のガラスコーティングは、持続性や耐傷性については高いレベルにありますが、「無機汚れの固着を防ぐ」という機能性については、依然として課題が残っています。

    ガラスコーティングの被膜がガラス質であるが故に、ガラスコーティングの表面は、ウォータースポットとか、イオンデポジットや水シミなどと呼ばれている「ガラス質の無機汚れ」が固着しやすいことです。

    「無機物同士といった同じ性質の物質はくっつきやすい」と一般的に言われているように、水道水や雨水に含まれる無機物:カルシウム・マグネシウムやケイ素(Si)は、ガラス(Si-O)やガラスコーティングの硬化した被膜とは結合しやすいのです。

    このため、古いタイプの無機物主体のガラスコーティングが、ウォータースポット(イオンデポジット、水シミ)の固着に悩まされていたことは、言わば当然のことなのです。

    最近のガラスコーティングは、有機物である塗装との密着を高める目的のほかに、無機汚れの固着を遅らせることを目的とした「無機有機ハイブリッドタイプのガラスコーティング」に世代交代してきています。

    無機有機ハイブリッドタイプは、無機のガラス骨格(基本構造)に加えて、表面に官能基(有機物を含む原子団)が表出するようにすることで、無機物同士が結合し難いようにしているものです。

    しかし、無機有機ハイブリッド・ガラスコーティングが硬化した表面は、官能基によってバリアしているため、従来の無機主体ガラスコーティングと比較して、無機物の汚れの結合を遅らせる効果がありますが、どうしても基本構造がガラス質の無機物であるため、放置しますと同体化して取れにくくなるわけです。

    【無機汚れ固着を防ぐシリコーンレジンコーティング】

    上記のような無機汚れのウォータースポットを防ぐためには、主に有機物で構成されるコーティング剤や良いのかと問われますと、単純に「そうですね」と言うわけにはいきません。

    主に有機物で構成されるコーティング剤というのは、古くから使われているカルナバロウなどの天然パラフィンなどを原料とするワックスがあります。これらは基本構造そのものが有機物で構成されているため、紫外線や高温によって比較的容易に分解されるため、耐久性が高いとは言えません。年単位~という長期間にわたる被膜耐久性を有するガラスコーティングとのバランスが悪い理由です。

    せっかく、メンテナンスをラクにする意味でガラスコーティングしたのに、毎月のようにワックスがけしていたのでは、本末転倒というのか?ガラスコーティングの価値が半減してしまいます。

    余談となりますが、時々、ガラスコーティングの上にワックスを塗るとガラスコーティングに悪影響があるのではないか?と聞かれることがあります。
    「そんなに軟弱なガラスコーティングであってはならないでしょう」とお答えしています。

    ガラスコーティングの本来の目的である「塗装を長期間保護すること」とバランスが良く、かつ無機汚れの固着を出来るだけ遅らせるには、ガラスコーティングと似た構造であるガラス状の無機骨格をもち、密着性と無機汚れを疎外する働きをもつ官能基を周囲に配向したシリコーンレジンコーティングによる補完をオススメいたします。

    ここで疑問を待たれた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

    基本構造が無機骨格ならば、ガラスコーティングと同様に無機汚れがくっつきやすいのではないのか?と言う疑問です。
    確かにシリコーンレジンコーティングは、ガラスコーティングと似た組成・構造なのですが、骨格の結合密度が異なることに大きな違いがあります。

    基本構造の結合密度が高い場合は、硬化した被膜を形成します。これが、硬化するガラスコーティングであり、結合密度がガラスコーティングほどには高くない場合は、液体のままで、しなやかな被膜を形成することができます。

    弊社のシリコーンレジンコーティングは、基本構造の結合密度をできるだけ高めていますので、施工後も液体のままでありながら、粘弾性をもった耐久性・持続力の高い液体被膜を形成することができます。

    (参考)シリコーンレジンコーティングの粘弾性と滑り止め

    無機汚れが固着するメカニズムは、硬化した被膜の無機物と「共有結合≒同体化」するために、まさに「固着」するわけです。

    これに対して、被膜が粘弾性を持った液体である場合は、被膜自体が流動性を持っている、しなやかな液体コーティングが間に存在して、硬いガラスコーティングと無機汚れが塊として固着する前に、無機汚れを拭き取ってしまえば、ウォータースポットなどの固着を防ぐことができるというわけです。


    2.ガラスコーティングの防汚性(撥水性)を補う

    (1)親水性を維持することは非現実的

    水や油をはじく表面にすることによって汚れの密着を防ぐわけですから、撥水性や撥油性が高いことが、コーティングの基本的な機能性として求められるわけです。

    しかし、よくある話に、親水性表面はウォータースポット(イオンデポジット)ができにくい。ということが聞かれます。それは実験室などにおいて、理想的な環境が維持されているような、きわめて限定的な条件での話です。

    せいぜいショーカーなどの屋外に持ち出さず常に磨きあげているような車を除き、道路を走り、汚れた雨に打たれ、排気ガスなどに常にさらされている使用環境においては、親水性コーティングの実用性には問題があります。

    Si-Oの一般的なガラスの表面は水を弾かない親水性です。特殊な加工をしていない家の窓ガラスや、洗面台の鏡もクリームクレンザーなどで磨いてみてください。直後は水をかけると水は平たく拡がり、見事な親水表面になっていることがわかります。

    しかし、屋外に面しているガラス表面の親水性は、ほんの数時間から長くても数日程度で撥水性に変化していきます。撥水性に変化する理由は、油分など様々な物質を含んだ空気や雨、ちりやほこりなどがガラス表面に付着するからなのです。

    恒久的に親水性を維持できる表面を実現するには、「光触媒によるセルフクリーニング機能を持った表面処理」と、「雨水などによる洗浄」といった特別な仕組みが必要なのですが、塗装などの有機物への密着を維持できる光触媒コーティングは、未だに実用化されていません。

    ですから、ガラスコーティングも含めて、セルクフクリーニング機能を有する親水性表面を維持することはできなのです。

    さらに一般的な誤解として、光触媒による親水性表面は、セルフクリーニング機能によって、汚れが雨水と一緒に流れ落ちるというのは、有機物汚れを分解する機能によるものであるのに、あたかもウォータースポットのような、無機汚れまでも洗い流すようなことが言われています。

    さすがに、いかに光触媒であっても無機物は分解できませんので、無機汚れの付着や固着を防止することはできません。

    (参考)親水防汚:光触媒コーティングの現状と課題 その1

    親水性コーティングの課題まとめ

    ①ガラスコーティングによる親水性表面は、数日程度しか持続性がなく、その後は撥水性表面に変化する。

    ②光触媒コーティングによる親水性表面は、有機物分解により塗装上に留まる事ができず持続性がない。光触媒が効いていると塗装表面を分解し傷める。



    (2)撥水性の表面は防汚性である

    前置きが大変長くなりました。汚れの固着を防止する防汚性の観点から上記のような親水性表面は現実的ではありません。自然界をみても防汚性を維持する表面は、撥水性となっております。その理由を探ってみたいと思います。

    本来汚れの付着を防ぐには、撥水性(疎水性)・撥油性である必要があります。汚れの成分の多くは、水や油に溶け込んだり混ざったりしたものが、表面に付着して、その後の水分の乾燥や化学的変化によって、塗装表面に密着するわけですから。

    植物や動物の表面は、汚れの付着を防ぐために、非常に優れた撥水機能を有効利用しています。例をいくつか挙げてみましょう。

    植物の葉は、総じて撥水性です。植物が養分を得て生きていくのに必要な光合成は、葉っぱに日の光が充分に当たることが大切です。植物の呼吸は葉っぱの裏側にある、小さな穴「気孔」を通して二酸化炭素を取り入れて光合成をおこなう原料としています。

    泥水や雨水に含まれている汚れが付着して、日が経つごとに汚れが堆積すると、十分な光が届かなくなったり、気孔が塞がれたりして生きていくことができなくなってしまいます。

    蝶の羽根や胴体は、撥水性をもっています。因みにセミやカブトムシなども撥水性です。
    モンシロチョウに、赤や青で着色した水を、ジョウロや霧吹きを使って蝶にふりかけても、着色した水はキレイに弾かれすぐに流れ落ちてしまい、モンシロチョウの白さに影響はありません。

    軽く小さな蝶々にとっては、水の付着(水による濡れ)もそうですが、大気中の様々な汚れ物質が、羽根や胴体にある呼吸をするための小さな穴に固着すると、生命が危うくなってしまいます。

    同じことは、カラスやスズメなどの鳥類なども、汚れを含んだ雨水が降りかかっても飛翔に影響することはありませんね。汚れない理由には、羽根を含め全身が素晴らしい撥水性をもっていることが大きく貢献しています。

    いかがでしょうか、このように生物界における汚れが固着しにくい表面には、水を良く弾く撥水性が求められるわけです。

    それでは、ガラスコーティングの撥水性はどのようになっているのでしょうか。

    前述しましたように、ガラスコーティングの基本構造である無機のガラス質骨格は、基本的にSi-Oとなっていますので、表面自由エネルギー(表面張力)が水よりも大きいため、水となじみやすい親水傾向となります。

    これに対して、新しいタイプの無機有機ハイブリッドのガラスコーティング剤は、前記の「1.ガラスコーティングの保護性能を補う」のように、無機ガラス基本構造の周囲に撥水性※をもつ官能基(有機物を含む原子団)が配置され、単純な無機ガラス表面と比較して、撥水性を帯びるようになります。

    ※.表面自由エネルギー(表面張力)の小さい官能基を配向(配置)することで疎水性=撥水性表面となる。

    無機有機ハイブリッドタイプであっても、基本構造がガラス質であるため、親水性と撥水性の両方の性質をもっているため、撥水性を高めるにしても限界があります。

    【防汚性(撥水性)を補うシリコーンレジンコーティング】

    単純に撥水性を高めることで、さまざまな有機物汚れや無機物汚れの付着を防ぐという意味では、表面自由エネルギー(表面張力)を最小にしてあげれば良いのです。表面自由エネルギーが最小となるコーティング剤の原料として、理屈の上ではフッ素樹脂がチャンピオンとなるわけです。

    しかし、車のボディ塗装用のコーティング剤となりますと、フッ素樹脂には課題があります。

    フッ素樹脂の定着の問題です。フッ素樹脂は様々な汚れを寄せ付けないのですが、それは同時に、自らが塗装表面やガラスコーティング表面と密着しにくい性質をもつことが挙げられます。これは被膜の耐久性や持続性に課題があるということになります。

    そこで、フッ素樹脂に次いで撥水性が高く、耐久性や持続性の高い物質となりますと、ガラスコーティングと同じようにケイ素(Si)を原材料とした「シリコーン」となるわけです。

    パラフィン系(カルナバロウなど)の天然素材を採用したワックスを除き、液体コーティング剤のほぼ100%は、シリコーンを主な原料としています。

    シリコーンによる液体コーティング剤は、ガラスコーティング剤と似た組成でできているため、ガラスコーティングへの密着や、屈折率差のない透明感のある光沢が得られるものとして、良好な相性となる特徴があります。

    現在市場に流通している液体コーティング剤やメンテナンス剤は、シリコーンオイルを主原料(一部シリコーンレジンを添加しているものもあるようです)としています。シリコーンオイル原料のコーティング剤やメンテナンス剤も、フッ素樹脂原料品に次ぐ優れた撥水性が得られるのですが、耐久性や持続性に関しガラスコーティングとのバランスが不充分と考えます。

    ガラスコーティングをおこなう目的のひとつとして、洗車をはじめとした「メンテナンス作業の間隔が長くなった場合でも汚れの固着を防ぐ」ということを考えると、メンテナンス剤に求められることも、ガラスコーティングの防汚性=撥水性を補い、かつ長期間の持続性・耐久性が要求されるということが言えるのではないでしょうか。

    従来のシリコーンオイル原料によるメンテナンス剤の防汚性・撥水性を持ちながらもっと長く、その機能性を維持することができるメンテナンス剤が、シリコーンレジンコーティング剤なのです。弊社がオススメする理由がここにあります。


    3.ガラスコーティングの美観を補う

    コーティング仕上がりの美観を表すのに、「輝き」や「艶」があると呼びます。
    その輝きや艶の中でもガラスコーティングの光沢は、「ソリッドあるいは硬質」になると表現されることがあります。

    光沢とは、鏡面などの表面に反射した光の散乱の仕方によって、感じ取られる見え方ですが、光沢の感じ方については、最近も科学的な評価方法についての発表:生理学研究所 
    http://www.nips.ac.jp/contents/release/entry/2014/09/post-277.html がありますように、未だに研究対象となっているようです。

    どのような表面になると「硬質とかソリッドな艶」になるのかは別にして、私たちは普段の生活の中で「濡れたような艶」を体験したことはないでしょうか。「雨に濡れた石造りの歩道」や、「洗髪し乾燥させる前の髪の毛」の艶が、身近な例として挙げられます。

    これはまさに水によって表面がまんべんなく濡れた状態です。この濡れたときの独特の光沢は、水の被膜が表面を覆い、水の膜を通して反射した光の具合がこの独特の美しさを醸し出すのではないでしょうか。

    ただ残念なことに、石や髪の濡れたような光沢が良いなー、と思っていてもやがて乾いてしまいますので、濡れたような光沢を維持させることは難しいのです。

    おそらく、石の表面や髪の毛の表面には細かな凸凹があるため、乾燥した状態ではその凸凹に光が反射することで、艶や光沢が弱く感じるのではないでしょうか。

    石や髪が水に濡れますと、石や髪の表面に薄い水の膜ができ、細かな凹凸も水が覆いますので、光の反射の仕方に微妙な違いが生じて、濡れたような独特の光沢が生まれるものと考えられます。

    ガラスコーティングの光沢は「ソリッドや硬質」という風に表現され、「濡れたような」輝きや艶とは少し趣の異なる光沢となるようです。

    車のボディを濡れたような光沢にしたい場合は、従来ですとカルナバロウのようなパラフィン系の天然材料を用いたワックスを塗布することがありました。

    しかし前述のように、メンテナンスなど手入れを楽にするために、せっかくガラスコーティングを施工しているのにもかかわらず、古く酸化したワックスを剥離したり、まめな塗り直しが必要になるので、あまり相性が良いとは言えません。

    近年は天然ワックスのわずらわしさを改善する意味で、ガラスコーティングとの親和性が高いシリコーンを応用したコーティング剤が使用されています。

    ワックスやシリコーンオイルを原料としたコーティング剤を塗りますと、まさしく油っぽく少しぎらつくような、光沢になりますね。これはワックスやシリコーンオイルコーティング剤が、液体のままの状態で、ガラスコーティング表面に、油っぽい被膜をつくるからだと考えられます。


    【濡れたような光沢を補うシリコーンレジンコーティング】

    弊社がオススメするシリコーンレジンコーティング剤は、シリコーンオイルよりもガラス質の結合密度が高く、耐久性や持続性が高いので、液体の状態でより長期間にわたり被膜を形成するため、濡れたような光沢をより長く維持することができます。

    また、シリコーンレジンコーティングの表面は、ワックスやシリコーンオイルコーティングのようなベタつきがない(油っぽくない)こともあり、濡れたような光沢でありながら、ガラスコーティングの「ソリッドや硬質」な光沢との違和感が少ないことも特徴です。

     

    (参考)最高のトップコート ~ハイブリッドコーティング~
    http://coating.th-angel.com/2015/06/blog-post.html


    よろしければポチッとお願いします
    にほんブログ村 車ブログ 車 洗車・コーティングへ
    にほんブログ村

    カー用品・装備ランキング

    本ブログ運営:株式会社THエンゼル

    コーティングのはなし ブログの記事一覧を表示します。
    一覧リストを表示するまで、少々時間がかかる場合があります。


    2016-10-28

    ウォータースポットの除去と対策

    車の汚れの中でも最も厄介な「ウォータースポット(イオンデポジット)」の除去方法や、コーティングによるウォータースポットの予防とバリアなどの対策についてくわしく説明します。

    ウォータースポットに関し、下記のような項目ごとに記載しております。なお、本ブログではイオンデポジット(別名:イオンデポジット)に関して下記のように定義しております。

    イオンデポジット Ion Deposit

    ネット上などで見かける言葉ですが、英語では”Ion Deposit”とは言いませんので和製英語ではないかと思われます。

    確かに、さまざまな無機物イオン(ion)が雨水や水道水などに溶け込み、ボディ塗装面や窓ガラスに付着した水が蒸発したのちに、残留した各種の無機物が堆積物(deposit)となるという意味だと思われます。

    これはこれで言いえて妙ということでしょう。

    このイオンデポジットについては、日本のコーティング業界独特の言葉と考えて、当ブログでは英語圏でも一般的な用語「ウォータースポット(Water Spot)」に統一しております。


    ●本記事の関連項目
    ウォータースポットの原因に記載】
    1.ウォータースポットってなんだろう
    2.ウォータースポットの原因物質
    3.ウォータースポットの発生

    【ウォータースポットの除去と対策(本記事)に記載】
    4.ウォータースポットの除去
    5.ウォータースポットの予防対策
    6.ウォータースポットをバリアする
    7.塗装を腐食させるウオータースポット(酸)をバリア
    8.塗装につくウオータースポット(シリケート)をバリア
    9.窓ガラスにつくウオータースポット(シリカ)をバリア
    10.ウオータースポットをがっちり!それともお手軽バリア?
    11.ウオータースポットを100%バリアできるの?

    ウォータースポットに有効なのは酸性かアルカリ性か

    【フッ化水素酸にも負けないコーティング?(絶対に真似しないでください)】

    4.ウォータースポットの除去

    ウォータースポット除去方法を考えるために、汚れの原因と発生プロセスを整理してみましょう。

    ボディ塗装 窓ガラス
    有機物汚れ 原因物質
    酸性雨や空気中に含まれる酸性物質(NOx, SOx, 有機酸, 炭酸ガスなど)
    酸性雨など有機物や酸による腐食や固着はほとんどない
    発生プロセス 太陽熱などで酸性雨が濃縮され、同じく太陽熱によって軟化した塗装が酸によって腐食する
    無機物汚れ 原因物質
    水道水や井戸水などに含まれ、シリケート化する物質(ケイ素イオン、金属イオン)

    水道水や井戸水などに含まれ、シリケート化する物質(ケイ素イオン、金属イオン)
    発生プロセス 水の蒸発に伴い発生したシリケートが堆積し、塗装との機械的結合により固着する 水の蒸発に伴い発生したシリカ(ガラス)が、窓ガラスと非常に強く化学結合する

    ウォータースポットは、上記表のように塗装を腐食させたり、窓ガラスと化学結合したりする大変厄介な汚れです。

    厄介であるその理由は、何れの場合も腐食や固着、あるいは化学的結合といった汚れが時間を経てしまうと、溶解や研磨による方法で汚れを除去する必要があるということなのです。

    キレイな状態にする作業の手間と、高度な技術を要することを考えれば容易に想像できます。

    それでは具体的に、部位・原因ごとのウォータースポット汚れ除去方法はどのようになるのでしょうか?

    塗装の有機物(酸性雨)汚れの除去 

    塗装が酸によって腐食し、クレーター状に荒らされたような状態ですので、洗浄してキレイになるものではありません。

    お気づきの通り、荒れた塗装表面を削り取り、その後平滑にしながら研磨による除去が必要になります。

    塗装の無機物汚れの除去 

    塗装の上にシリケートが堆積して固着したスケールですので、スケールを溶かして除去しなければなりません。

    酢酸、塩酸や硝酸を用いることで、カルシウムやマグネシウムのスケールを溶解し除去することができます。

    しかしお気づきの通り、酸の使用は、塗装や金属などを腐食させる危険性をともないます。

    酸を使用しない場合は、研磨による除去が必要になります。

    窓ガラスの無機物汚れの除去 

    シリカが窓ガラスと強く化学結合して、溶け合ったような区別のつかない状態です。

    シリカとガラスは同質のものです。

    ご存知のようにガラスは濃硫酸・濃塩酸でも溶解できません。

    シリカやガラスを溶解する酸としてあまり馴染みがないのですが、フッ酸(フッ化水素酸、フッ化アンモニウム)があります。

    フッ酸を使ってシリカと窓ガラスの結合を切り取ろうとすると、同時に窓ガラスも影響を受けてしまいます。

    フッ酸は法律上「毒物」に指定されています。非常に強力な酸であり、危険過ぎて大切なクルマに使用することもさることながら、人体保安上からも一般使用を避けるべきものです。

    酸を使用しない場合は、研磨による除去が必要になります。

    5.ウォータースポットの予防対策

    塗装や窓ガラスに付着したウォータースポットをキレイに除去するには、酸を使って汚れを溶解させるか、削り落として磨く必要があることがわかりました。

    溶解や研磨は、失敗しますと取り戻すことはおろか、より状況を悪化させる可能性が高くなってしまいます。

    このため、ウォータースポットは発生してから対処するよりも、できるだけ発生させないようにすることが一番の対策になります。

    つまり予防対策することが一番大切というなのです。

    ウォータースポットは、発生部位や原因物質によらず、雨水や水道水などの水滴が付着し、水分が蒸発する際に発生します。

    そうです!理想的には水滴が付着したままにしないことが重要なのです。

    「水滴がつかないようにする。ついたらすぐに拭き取る」 う~ん、言うことは簡単なのですが・・・。

    実際にはほとんど不可能なことですね。

    しかし、日頃の心がけとしては良いかもしれません。

    雨水の拭き取りは、日常のクルマ使用においては実施困難ですが、「洗車の水滴はすぐに拭き取る」これなら実施可能ですよね。

    クルマ好きの皆さんなら、当たり前のことでした。

    せっかくキレイに洗車したのに水玉が残っていた。厄介なウォータースポットを発生させる原因を自らがつくっていた。

    これだけは避けましょうね。

    さて、モグラたたきのような普段のお手入れのお話でしたが、「ボディケアを少しでもラクに、状態の悪化をできるだけ避ける」こんな考え方で、事前防御するための予防手段を考えていきたいと思います。

    もったいぶってしまいましたが考え方はこうです。

    「塗装や窓ガラスにウォータースポットを固着させない、予防対策する」

    この掛け声はなかなか良いと思われませんか?

    そうなのです。

    巷にあふれるボディコーティングやウインドウコーティングは、正しく使うことによってこのためにも役に立つのです。

    次項では具体的にウォータースポットの発生部位と原因ごとに予防(バリア)する方法を考えていきましょう。

    6.ウォータースポットをバリアする

    ここでもう一度、ウォータースポットの原因と一緒に、汚れを防ぐバリア(コーティング)を考えてみましょう。

    ボディ塗装 窓ガラス
    有機物汚れ 原因 酸による塗装の腐食 ガラスは酸に強い
    バリア 酸に強い被膜による保護
    無機物汚れ 原因 シリケートと塗装の機械的結合 シリカとガラスの化学結合
    バリア シリケートが結合しにくい海面に改質 シリカとの化学結合を阻害する海面に改質

    ウォータースポットは、発生する部位と原因がそれぞれに異なります。

    このため、残念ながらすべてに万能なコーティングはありません。

    それぞれの目的に合うコーティングを選択するか、複合的に適用することで、効果的にさまざまな原因によるウォータースポットを予防=バリアすることが必要となります。

    次項では、ウォータースポットの発生部位と原因ごとのバリアとして「塗装を腐食させる酸をバリア」について触れてみたいと思います。

    7.塗装を腐食させるウオータースポット(酸)をバリア

    (1)ガラスコーティングによるバリア

    窓ガラス(SiO2、無機物)は酸性雨にもびくともしません。

    もうお気づきですね。

    塗装へのガラスコーティングは、硬くて微細なキズつきから塗装を守ってくれるだけではないのです。

    ガラスコーティングは、ガラス(SiO2)状硬化被膜を形成し、塗装を酸による腐食から長期間にわたってガッチリと守ります。

    しかし、ガラスコーティングは長寿命で高性能高機能なのですが、ガラス状硬化被膜となるため、失敗が許されない施工は、経験技術と設備が必要となります(施工失敗を取り戻すには研磨からやり直すことになります)。

    このため、ガラスコーティングは専門の施工業者さんに委託する必要があり、手軽さや費用の面でやや敷居が高い面があるのはご存知のとおりです。

    「ガラスコーティングまではちょっと」という場合は、被膜の寿命や性能の点ではやや劣るものの、誰が施工してもきれいに仕上がり、従来のワックスよりもカンタンで、洗車と一緒にラクな施工ができる、下記のシリコーンレジンコーティングをオススメいたします。

    (2)シリコーンレジンコーティングによるバリア

    シリコーンレジンは、オイルやワックスのような線状(直鎖状)の二次元的分子構造ではなく、ケイ素(Si)と酸素 (O)原子同士が、ガラス(SiO2)と同様にメッシュ状(網目状)の三次元的分子構造の主骨格(シロキサン結合)となるため、機械的・化学的に強いガラスとよく似 た物性を持っています。

    これにより酸による腐食にも強く、柔軟性があり取扱いが容易な被膜を形成します。

    シリコーンレジンは上記のとおり、ガラスと近似した無機物のような性質を持ち、酸に対しても強い耐力をもつため、塗装を酸による腐食から保護します。

    「レジン=樹脂」という言葉からは、硬い固形の被膜を形成するようなイメージを抱かれるかもしれませんが、シリコーンレジンコーティングは、従来のワックスよりも簡単に施工することができ、ガラスコーティングのように被膜が固形化しないため、施工の失敗がない柔軟性のある被膜を形成します。

    次項では、ウォータースポットの発生部位と原因ごとのバリアとして「塗装につくシリケートをバリア」について触れてみたいと思います。

    (参考)洗車・コーティングと酸(参考)虫の死骸と鳥の糞 洗車・コーティング
    (参考)ウォータースポット除去にサンポール(参考) ガラスコーティングを補うコーティング剤 ~メンテナンス剤として~

    8.塗装につくウオータースポット(シリケート)をバリア 

    塗装へのシリケート固着を防ぐために、表面自由エネルギーが小さいシリコーンレジンコーティングを施します。

    表面自由エネルギーが小さいと、他の物質と接する表面積がミクロな分子レベルで小さくなり、シリケートなどの汚れが付着しにくくなるというわけです。


    たとえとして、「表面張力が大きい水」と「表面張力が小さい油」の話があります(液体の場合、表面自由エネルギーのことを「表面張力」とも呼びます)。

    油を塗った平滑な板の上に水滴を落とすと、水分子の表面張力の方が油分子の表面張力より大きいため、水はそのまま丸い固まりの状態を保ち、油と最小限の接点しかもたないような撥水性表面になり、お互いが混じり合う(汚れる)ことを防ぎます。

    小難しい話ですが、塗装にシリコーンレジンコーティングを施すことによって、シリケートなどの汚れが接する表面積が分子レベルで小さくなります。

    この結果、シリコーンレジンコーティングがシリケートなどの汚れをくっつきにくくし、時間経過とともに進行する固着を防ぐわけです。

    このほかにも、シリコーンレジンコーティングは、塗装表面の細かなキズなどの凸凹の合間に入り込み、表面を滑らかにする(塗装の凹凸部にシリケートが食い込みにくくする)役割も果たしています。

    このような複合的な要因により、塗装とシリケートの機械的接合を防ぎ、スケール汚れの固着を低減します。


    補足:

    「シリコーンレジンの表面自由エネルギーが小さい」というのは、被膜の強さとは別の話です。

    シリコーンレジンは、原子間結合が「シロキサン結合」した主骨格を持ちます。

    シロキサン結合はケイ素原子(Si)と酸素原子(O)が三次元的なメッシュネット ワークによって結合するガラス(SiO2、無機物)に近似した強い結合力により、機械的・化学的に強い被膜を形成します。

    ケイ素上に多種類の有機置換基 (官能基)を備えているため、さまざまな機能性(界面特性)を発揮するものです。

    くわしくは別の機会にご説明いたします。

    次項では、ウォータースポットの発生部位と原因ごとのバリアとして「窓ガラスにつくシリカをバリア」について触れてみたいと思います。


    9.窓ガラスにつくウオータースポット(シリカ)をバリア

    窓ガラスとシリカの化学結合を阻害するためには、上記のようにシリケート付着を防止するシリコーンレジンコーティングの使用も、選択肢として考えられます。

    しかし、ピュアなシリコーンレジンだけでは滑り性があまり良くないため、窓ガラスのワイパー動作がビビリやすくなることがあります。

    このため、シリコーンレジンと同じく表面自由エネルギーが非常に小さいフッ素レジンコーティングを施します。

    フッ素レジンがシリカを阻害する理由は、前記シリコーンレジンと同じく、他の物質を引き寄せる力が小さくなることと、フッ素レジンが、窓ガラスの細かな凹凸に入り込み表面を滑らかにすることによるものです。

    フッ素レジンコーティングは、機械的・化学的に強いシロキサン結合した三次元のガラス状主骨格分子構造をベースに、水滴がつく表面側に炭素を結合させた有機フッ素を配向させることで、強い被膜を形成しながら無機物シリカが窓ガラスと化学結合しないように、有機フッ素がブロックする役割を担っています。

    フッ素レジンコーティングは、優れた滑り性を持っているため、ワイパーのビビリが起きにくく、撥水性も優れているため、雨天走行時の視界確保にも有利です。

    10.ウオータースポットをがっちり!それともお手軽バリア?


    窓ガラスは、元来有機物汚れに強いので、無機物汚れに対するバリア:フッ素レジンコーティングを施すことで、ウォータースポットを予防できます。

    一方、塗装については、有機物汚れと無機物汚れの両方に対する予防バリアが施すことが理想的です。

    その際にはガラスの硬い被膜を長期間形成するガラスコーティングを施し、その上にシリコーンレジンをコーティングする案と、ガラスコーティングのみの案、シリコーンレジンコーティングのみの案の3パターンが考えられます。

    さて、どれが一番皆さまのクルマ、カーライフに適しているのでしょうか?悩ましいですね。

    キラサクが考える選択の目安をまとめてみます。

    塗装のウォータースポット予防策 ガラスコーティングのみ シリコーンレジンコーティングのみ ガラスコーティング+ シリコーンレジンコーティング
    有機物汚れ・酸性雨による腐食予防 ★★★ ★★☆ ★★★
    無機物汚れ・シリケート固着予防 ★★☆ ★★★ ★★★
    有効期間 ガラスコーティング 数年 数年
    シリコーンレジンコーティング 3~6カ月程度 3~6カ月程度
    施工性 ガラスコーティング プロの経験と技術が必要 プロの経験と技術が必要
    シリコーンレジンコーティング 簡単施工 簡単施工、 ガラスコーティングのメンテナンスとしても最適

    上記のようなバリアとして各種のコーティングが有効なのですが、それで万全なのでしょうか?


    11.ウオータースポットを100%バリアできるの? 

    すみません。

    最初から謝ってしまうのはなんじゃー。

    ですよね。

    最強のガッチリコーティングをした。

    それならばウォータースポットを100%防げるのか?ここまで能書きを垂れていながら、弊社がオススメするコーティング剤を使用していただいても、残念ながら100%バリアはできません。

    いきなりのたとえ話で恐縮ですが、海水浴や女性が日常的使う「日焼け止め」を思い出してください。

    海水浴に出かける際、必需品のひとつに日焼け止めがありますね。

    オゾン層破壊が進行している現在は、なおさら強烈な紫外線から肌の露出を防御しなければなりません。

    そうしないと、あとでとんでもないことになりますでしょう。

    んーまぁ、仮にその時のヒリヒリは、なんとか我慢したとしましょう。

    それよりも本当に恐ろしいのは、数年の期間を経ての、シミやソバカス、黒ズミといったトラブルの定着に加えて、最悪は皮膚ガンを誘発する可能性も大きくなります。

    UVに対して100%の防御はできないけれども、皮膚が元来持っている紫外線に対する耐力を上手に補助してあげる。

    そうすることで健康で美しい肌をできるだけ長く維持し続けることができる。

    日焼け止めにも、UVカット能力の違いや、皮膚に留まる能力の違い、それぞれに使いやすさなどの使い心地が異なります。

    さまざまな日焼け止めの中から、目的や条件に合ったものを上手に選択し使用することで、健康維持に役立てることが求められます。

    このほかにも、アフターケアとして日焼け後に肌の様子をみながら、ローションを塗ったりして紫外線による炎症を早めに沈静化し手当てをしてあげる。

    そういう日常的な意識をもって、肌のケアをしてあげることが、最も大切なことではないでしょうか。

    おっと、どこかの美容部員みたいになってしましました。

    塗装や窓ガラスのコーティングは、お肌の日焼け止めと似ているなぁ、と思うのですがいかがでしょうか? クルマの使い方や、ライフスタイルなど自分に合ったコーティングを上手に選んで上手に使う。

    コーティングをしていて、もうひとつ良いことがあります。

    ウォータースポットが固着する前ならラクにウロコが落せることです。

    厄介なウォータースポットから100%防御はできないかもしれないけれど、ときどきは気にして、ウロコ状の模様がついたら早めに洗車をしてあげて、クルマのアンチエイジングにどうぞお役立てください。

    ここまで長文になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。


    (参考)
    親水性コーティング ~親水のメリットとデメリット~ http://coating.th-angel.com/2013/11/blog-post_13.html

    ウォータースポット(イオンデポジット)除去にサンポール(塩酸)? http://coating.th-angel.com/2014/05/blog-post_2.html


    ●本記事の関連項目
    ウォータースポットの原因に記載】

    1.ウォータースポットってなんだろう
    2.ウォータースポットの原因物質
    3.ウォータースポットの発生

    【ウォータースポットの除去と対策(本記事)に記載】
    4.ウォータースポットの除去
    5.ウォータースポットの予防対策
    6.ウォータースポットをバリアする
    7.塗装を腐食させるウオータースポット(酸)をバリア
    8.塗装につくウオータースポット(シリケート)をバリア
    9.窓ガラスにつくウオータースポット(シリカ)をバリア
    10.ウオータースポットをがっちり!それともお手軽バリア?
    11.ウオータースポットを100%バリアできるの?

    ウォータースポットに有効なのは酸性かアルカリ性か

    【フッ化水素酸にも負けないコーティング?(絶対に真似しないでください)】



    よろしければポチッとお願いします
    にほんブログ村 車ブログ 車 洗車・コーティングへ
    にほんブログ村

    カー用品・装備ランキング

    本ブログ運営:株式会社THエンゼル

    コーティングのはなし ブログの記事一覧を表示します。
    一覧リストを表示するまで、少々時間がかかる場合があります。


    2015-07-27

    フッ素コーティングの撥水性低下

    フッ素の撥水が弱くなっている。
    お客さまからそういった感想を耳にします。


    フッ素の撥水が弱くなっている理由


    フッ素を応用したコーティング剤の撥水が弱くなっている理由は、環境保護と安全性の取り組みが影響しているのです。
    高い撥水性を持つことができる「炭素数が8以上のフッ素化合物」は、環境と人体への悪影響が考えられることから、製造や使用について規制する動きが世界的に広がっています。

    実質的に「炭素数7以下のフッ素化合物原料しか製造販売できない」ということになり、炭素数が少なくなるため、フッ素を使ったコーティングの撥水性が低下しているということなのです。

    既に日本や欧米のフッ素化合物原料メーカーは、この規制や廃止に合致した動きを取っていますし、新興国や発展途上国の原料メーカーもこの動きに追従していくでしょう(フッ素化合物の製造は高度な技術と設備を要求されるため、新興国などの原料メーカーを私は知りません)。


    フッ素に関する規制


    少し詳しく事情を説明します。

    フッ素原子は物質の中で最大の電気陰性度(希ガス元素を除く)を持ちます。
    このため、フッ素原子や炭素原子などからなるフッ素樹脂は、固体の表面自由エネルギーが小さく、安定であり分解されにくい物質になります。

    固体表面の表面自由エネルギーが小さいほど撥水性が高くなります。フッ素樹脂の場合、炭素数が多いほど表面自由エネルギーが小さくなります。

    つまり、炭素数が多いフッ素樹脂ほどその撥水性や撥油性が高くなります。
    高撥水性フッ素樹脂の場合、フッ素と結合した炭素数が8以上であることが目安となっていました。


    ところが、「このような炭素数が8以上のフッ素化合物は安定し分解されにくいため、人体や動物などに取り込まれると体外に排出されにくく蓄積される」ということが問題となったのです。

    流通していたフッ素樹脂原料のうち、撥水性の高いものの代表は下記のようなものがあります。これらは全て分子内炭素数が8以上であるという特徴があります

    • PFOA:炭素数8(ペルフルオロオクタン酸 Perfluorooctanoic acid)
    • PFOS:炭素数8(ペルフルオロオクタンスルフォン酸 Perfluorooctanesulfonic acid)
    • PFCAs:炭素数8以上(ペルフルオロカルボン酸 Perfluorocarboxylic acids)

    撥水性や撥油性の高さに寄与する炭素数8以上のフッ素化合物は、世界的に製造や使用に関する規制や廃止が進められております。
    例として、米国環境保護局:EPAの削減計画では、2010年までに95%削減(2000年比)、今年2015年全廃といった具合です。

    (参考)環境省 国内等の動向について(PFOS)
    http://www.env.go.jp/council/09water/y095-13/mat07_2.pdf


    このため、
    原料メーカーにおいて、炭素数8以上のフッ素化合物が製造されない状況になっており、「フッ素樹脂の撥水性は将来にわたって下がると考えられる」というわけなのです。

    フッ素化合物原料メーカーは、できるだけ撥水性が下がらないように研究開発しているようです。

    しかし、代替品として炭素数が6であるPFHA:ペルフルオロヘキサン酸などがありますが、どうしても撥水性低下への影響がでてしまいます。


    弊社の取り組み


    このような環境保護や安全性対策の動きから、撥水性コーティング剤はフッ素樹脂に頼らずに、撥水性の持続性に優れた多官能性ガラスコーティングや多官能性シリコーンレジンによるコーティング剤の開発製造に注力しております。

    フッ素樹脂コーティングの撥水性が低下する中で、多官能性コーティングよりも、初期撥水性はごくわずかにフッ素樹脂の方が撥水性が高い場合があります。


    これに対し、
    弊社が採用する多官能性コーティング剤原料は進歩し続けていますし、強靭なガラス骨格と強力に結合した撥水性官能基により、長期間にわたり撥水性が持続します。フッ素樹脂のような環境負荷や安全性の問題もありません。

    上記のような理由から、フッ素樹脂コーティングの撥水性は短期間に低下し、撥水性が持続しないことから汚れ付着を防止する保護能力に問題があるため、フッ素を積極的には使用しておりません。



    なお、キラサク EXコーティングはフッ素樹脂を含有しております。


    EXコーティングのフッ素樹脂の役割は、コーティング剤を塗り込み拭き取る場合の滑らかな感触を与えるために添加しております。


    フッ素コーティングの持続性や耐久性の問題は、別途ご説明したいと思います。








    フッ素コーティング関連記事




    (参考)超撥水性コーティング
    http://coating.th-angel.com/2014/02/blog-post_4.html
    (参考)撥水性について
    http://coating.th-angel.com/2014/12/blog-post_12.html

    よろしければポチッとお願いします
    にほんブログ村 車ブログ 車 洗車・コーティングへ
    にほんブログ村

    カー用品・装備ランキング

    本ブログ運営:株式会社THエンゼル

    コーティングのはなし ブログの記事一覧を表示します。
    一覧リストを表示するまで、少々時間がかかる場合があります。


    2013-11-15

    親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~

    本記事は予告しました「親水性コーティングの種類」ではないですが、その前に気になる「親水性と防汚」と「超親水性光触媒」関連記事を挟ませていただきます。

    親水性表面の防汚機能

    親水性表面の機能性のひとつに「防汚」ということが言われます。
    防汚とは、文字通り汚れの付着をを防ぐあるいは、付着した汚れ落ちやすいという意味ですね。
    その考え方は概ね下記の通りです。
    親水性表面は汚れが付着しても、水との親和性が高いので、
    水が汚れとの間に入り込み、付着した汚れが簡単に水で流れ落ちるという考え方です。

    親水性ガラスコーティングの仕組み

    自動車ボディや建築外壁・内装などの親水性ガラスコーティングを例題といたします。
    身近な例として、ポリシラザンなどの親水性ガラスコーティングが硬化した表面は、水酸基(-OH)を代表とする親水性の原子団が覆っています。この水酸基(-OH)とは、酸素(O)に対して、ひとつの水素(H)が結合している状態です。

    ご存知のように、酸素原子(O)はふたつの結合手(原子価)を持っているため、もう一方の手が空いている状態は不安定となり、安定化させるために絶えず何かと手を結ぼうとします。その結ぶ手の先が水(H2O)である場合は、水の水素(H)となります。
    このため水との親和性が良くなり親水性となるのですが、水とガラスコーティングの水酸基(-OH)の結合は、「水素結合」であるため結合力はかなり弱く、水が流れ落ちたり拭き取ったり蒸発することで、水との水素結合はすぐに切れてしまいます。当たり前のことですが。



    親水性ガラスコーティングの疎水化(撥水化)傾向

    一般的なガラスを例にしますと、研磨脱脂をした直後のフレッシュなガラス表面の場合、水の接触角が5~10°前後の高い親水性を示す場合でも、そのまま大気中に一昼夜程度放置しますと、水の接触角は30°前後までの疎水傾向(撥水傾向)を示すようになります。

    この疎水化(撥水化)傾向は、上記のような水酸基(-OH)の不安定状態の酸素(O)が、安定性を欲しがるために、さまざまな無機物や有機物が結びつくことで、表面の自由エネルギーが低下することにより、疎水(撥水)傾向を示すために起きるのです。



    親水性ガラスコーティングとウォータースポット

    雨水や水道水などが降りかかった場合は、更に疎水化(撥水化)が顕著で、最も強い結合を示す事例では、ガラス表面の酸素(O)とケイ素(Si)が共有結合することで起きる、汚れとしてのシリカガラスが固着する現象、すなわち頑固なウォータースポット(別名:イオンデポジット)が発生することになります。

    このような理由から、ポリシラザンなどの親水性ガラスコーティング表面は、シリカガラスが堆積がしやすいために、ウォータースポット(別名:イオンデポジット)が発生しやすいものとなっています。


    親水性ガラスコーティングの現状と展望

    親水性ガラスコーティングや親水性の窓ガラスは、表面がフレッシュな状態(水酸基の酸素が不安定な状態)かつ、表面が純度の高い水で覆われている限定的な状態では、他の無機物や有機物の付着を防ぐ効果が望めます。

    しかし通常の自然な状態に置かれているような、例えば駐車場にある車や走行中の車においては、すぐに表面にさまざまな汚れが付着して、親水性が疎水性(撥水性)の傾向を示すようになります。この状態では「親水性による防汚効果」は薄くなるということになるわけです。

    以上のように、ただ単純に親水性であるというだけの理由で、防汚性が高いというのは、非常に限られたクリーンな実験室や、半導体製造工場の中のような条件下によるものと考えられるわけなのですが、仮に屋外で、走行中の車のボディや窓の親水性を継続的に維持できるとしたらどうでしょう。

    このような、親水性が保てる表面を何とか実現できないかと考えられたのが、よく耳にする「光触媒」なのです。この光触媒という継続的な超親水性表面を実現できれば、汚れがつきにくく、雨が降れば自浄的に汚れを落とし、いつまでも美しいボディや窓を維持できるというわけなのです。

    ところがどっこい、この光触媒は実験室では目覚ましい効果があるのですが、実際の環境下ではなかなか難しいもので、思い描いた通りにはならない現状があります。

    次回の記事では、この「超親水性光触媒の現状と課題」についておはなしさせていただきたいと思います。




    【関連ページ】

    よろしければポチッとお願いします
    にほんブログ村 車ブログ 車 洗車・コーティングへ
    にほんブログ村

    カー用品・装備ランキング

    コーティングのはなし ブログの記事一覧を表示します。
    一覧リストを表示するまで、少々時間がかかる場合があります。