親水性の事例として身近なところでは、表面の平滑性が高いことを前提にしますと、一般的なガラス(水酸基-OH濃度が高い)は、親水性であることが挙げられます。
ガラスの中には、撥水性を高めるためにさまざまな添加物や加工を施したものもありますので、すべてのガラスが親水性であるとは言えません。水酸基を含むガラスは親水性
窓ガラスなどのSiO2の純度が一般的なガラスは、製造上の理由から親水性の水酸基(-OH)などの不純物を含んでいますので、このようなガラスの表面は親水性です(製造方法などにより水酸基の濃度は異なる)。水酸基を含まないガラスは撥水性
高純度ガラスの代表としては高速大容量通信用光ファイバーがあります。通信に使用する光ファイバーは、超高純度のシリカガラス(SiO2)です。水酸基(-OH)などの不純物が含まれていると、レーザー光が吸収されてしまい、光の長距離高速通信を阻害するため、極力水酸基(-OH)を除去したガラス製造方法が用いられています。このような高純度石英ガラス(SiO2)は、親水傾向は弱く、撥水性(疎水性)を発現すると考えられます。
最近の自動車の窓ガラスは、ガラス自体に添加物などで撥水機能を持たせたりしているものがあるため、解りにくいかもしれません。
一方住宅の窓ガラスを年末の大掃除できれいに洗浄した後、霧吹きで水をかけると撥水が弱い状態=水が玉や塊にならずベチャーと広がるような、すなわち親水性の状態になっていることが多いと思います。
大掃除の後数か月ほどして、目に見えるチリやホコリをはじめ、目に見えにくい汚れやシミが付着していると思いますが、この状態のまま同じように霧吹きで水を吹きかけますと、弱いながらも撥水状態になっているようです。
このように元々親水性だった窓ガラス表面が、時間を経て汚れが付着し弱い撥水性に変化してしまいます。これはどういうことなのでしょうか。
そうですね、お気づきのように大掃除で洗浄した後、親水性であった窓ガラスですが、時間の経過とともに風雨にさらされ、チリやホコリ、花粉や細かな土砂だけではなく、眼に見えないような大気中の化学物質や油分などが付着します。
そのような汚れた状態になりますと、ガラスの表面が粗くなり、かつ油に代表されるような表面自由エネルギーが小さくなる成分が付着することにより、親水性→低撥水性に変化するものと考えられます。
親水性表面を持つものの代表格である「窓ガラス」。 窓ガラスは、ガラス本来の表面が露出している間は親水性なのですが、屋外に露出した表面は次第にさまざまな物質が付着することで汚れていき、弱い撥水性表面に変化してしまう訳で、親水性表面を保つためには、洗浄などによる日ごろのメンテナンスが欠かせないのです。
ガラスコーティングにおける親水性の仕組みについては、「親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~」をお読みください。
ところで、ガラス=親水性の代表ということは、ガラスコーティングって親水性なの?って思われたのではないでしょうか?次回はガラスコーティングを含めた「親水性コーティングの種類」について触れてみたい思います。
(参考)
親水性とは
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