「溶剤を使用していないコーティング剤(無溶剤コーティング剤)なのに、引火性だし揮発性のニオイがあるのはナゼですか?」
結論から申し上げますと、低分子シランのガラス化する成分そのものから揮発した気体にニオイがあり、その気体は燃えるからです。溶剤は一切添加しておりません。
その理由は下記の通りです。
無溶剤ガラスコーティング剤が燃える理由
低分子シランを主原料とする「無溶剤ガラスコーティング剤」は、ガラスの原料物質ケイ素(Si)が主成分となります。ケイ素はご存知のように原子価は「4」です。
つまりケイ素原子は、他の元素が手をつなぐことができる本数が4本あるものです。
ガラスコーティング剤である液体の低分子シランは、4つある手のつなぎ先が「ケイ素(Si)と官能基(R:機能性をもつ原子団)あるいは水素(H)や酸素(O)」となっています。
液体の低分子シランが空気に触れますと、液体としてつなぎ止めることができないケイ素の手のつなぎ先が、空気中の酸素(O)や水素(H)などと結合して、ケイ素を含んだ水素ガスを発生(揮発)させます。
このようにして、ガス化した低分子シランは、ケイ素を中心に水素や酸素と結合しておりますので、炎に近づけますと気化したケイ素水素ガスが引火します。
このガスはケイ素を含んでいますので、燃焼後は空気中の酸素と結合して白いガラス質成分の燃えカスが残存します。※危険なので燃焼実験はしないでください。
このように、液体の低分子シランが空気に触れますと、空気中の酸素や水素と結合しながら引火性のガス(アルコール)が発生し、炎を近づけると燃えるのです。
無溶剤ガラスコーティング剤が臭う理由
低分子シランが気化したガスは確かにニオイがあります。低分子シランは上記のとおり、「ケイ素(Si)と官能基(R:機能性をもつ原子団)」の構造により、水素や酸素と結合しつつ気化したガスは、うっすらと日本酒のような、エステル臭やアルコール臭などと呼ばれるような臭いがあります。
このニオイは、炭素(C)を中心とする物質である石油系有機溶剤(シンナー:キシレンやトルエン、ターベンなどのミネラルスピリット、有害物質)とは異なる種類の臭いです。
無溶剤化できる理由
ズバリ、低分子化合物だから無溶剤化ができます。- 低分子シランが無溶剤化できる理由の詳細はこちらをご覧ください。
→ガラスコーティング種類と特質 ~特性・機能比較~
従来の高分子ポリマー化合物を原料とする以下のようなガラスコーティング剤は、石油系有機溶剤と混合する必要があります。
石油系有機溶剤と混合する代表的なガラスコーティング剤原料
- ポリシラザン
パーヒドロポリシラザン・ペルヒドロポリシラザンについてはこちらをご覧ください。→ポリシラザンについて ~ガラスコーティング剤として~ - オルガノポリシロキサン
無溶剤化した高分子オルガノポリシロキサンについてはこちらをご覧ください。→オルガノポリシロキサンとは ~ガラスコーティング剤として~
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