IATA(※1)では、液体の危険物を分類する基準として、国連GHS(※2)の引火性液体の分類基準に基づき、包装等級あるいは、容器等級を決めています。航空輸送に限らず海上輸送についても同様の法令などがあると考えられます。
(参考)危険物国際輸送における留意点 http://www.jetro.go.jp/world/japan/qa/export_04/04A-010148 ジェトロ・独立行政法人日本貿易振興機構ウェブサイト
※1.IATA:国際航空運送協会(International Air Transport Association)
※2.GHS:国際連合危険物輸送勧告、化学品の分類および表示に関する世界調和システム(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)
●国連GHS
2.6.2節に記載された分類基準は、以下のように要約される。
- 区分1:引火点23℃未満および初留点(沸点)35℃以下
- 区分2:引火点23℃未満および初留点(沸点)35℃超
- 区分3:引火点23℃以上、60℃以下
- 区分4:引火点60℃超、93℃以下
(参考)GHS分類マニュアル http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/files/ghs/ghs_manual_new_set.pdf (経済産業省ウェブサイト)
●IATA
IATA DGR 表3.3.Aにおける包装等級あるいは容器等級(Packing Group)は以下のように分類される。
- 包装等級(容器等級)Ⅰ:GHS「区分1」相当(High danger)
- 包装等級(容器等級)Ⅱ:GHS「区分2」相当(Medium danger)
- 包装等級(容器等級)Ⅲ:GHS「区分3」相当(Low danger)
(参考)http://www.jacis.or.jp/regulations.html (航空危険物安全輸送協会JACISウェブサイト)
輸出コスト
海外輸出をする際に、危険物に対応するコストが相応にかかるわけですが、このような国連GHSやIATAによる危険物の分類などが基準となり、運送料金などが決められるものと考えられます。
危険物としてのガラスコーティング剤
自動車ボディ用途のガラスコーティング剤で、初留点(沸点)35℃以下というものは考えにくいので、IATA包装等級Ⅰ(GHS区分1)に該当するものは、まず無いと思います。
焼酎やウイスキーなどの引火性成分であるエタノール(エチルアルコール)の場合は、引火点:13℃、沸点:80℃程度なのでIATA包装等級Ⅱになります。
ポリシラザン(基本構造:Si-NH)やポリシロキサン(基本構造:Si-OR)などのケイ素(Si)・シランを原料とする液体ガラスコーティング剤は、空気中の酸素(O)や水素(H)と結合してガス化し引火するわけです。
このため、ケイ素を主原料とする液体ガラスコーティング剤は、IATA包装等級Ⅱ(GHS区分2)または、包装等級Ⅲ(GHS区分3)に該当するものと考えられます。
ガラスコーティング剤には、ポリシラザンやポリシロキサンのほかに、上記のようなお酒にも含まれるエタノール(エチルアルコール)やキシレン・トルエンなどの有機溶剤が使用される場合があります。
これらの有機溶剤も総じて燃えやすいものですのです。このように、ガラス化する原料や溶剤とともにガラスコーティング剤は燃えやすく引火性危険物として分類されます。
(参考)溶剤の引火点や沸点など一覧表 http://www.kyowakako.com/pdf/list_of_solA4.pdf (協和化工株式会社さまウェブサイト)
ガラスコーティング剤輸出・運送時のトラブルを未然に防ぐためには、このように引火点や沸点などを点検して、運送会社さんへの正しい情報提示が必要となります。
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