2014-06-28

フッ素コーティングとは(その1) ~無機か、有機か~

フッ素樹脂は、表面自由エネルギー(表面張力)が小さいため、撥水性・撥油性が高く汚れがつき難い特徴があります。

とくに撥油性の高さはシリコーンと比較しても大変優れており、このことは油汚れなどに対しても高い防汚性をもつ特徴の裏付けでもあります。

しかし、優れた防汚性を発揮するフッ素樹脂ですが、車の塗装表面に施工するフッ素コーティングでは、テフロンフライパンのようにフッ素樹脂を高温で焼き付けすることはできません。

車のフッ素コーティングは、常温環境において特別な設備や道具を必要とせずに、施工できるようにする必要があります。

くっつきにくいフッ素樹脂を、常温でコーティングできるようにするためには、何らかの手段により、フッ素樹脂と塗装面を密着をさせる必要があります。このためには、フッ素樹脂と塗装面との間に、接着剤の役割となるようなものを介在させることが必要となります。

フッ素樹脂と塗装面を密着させるため、フッ素樹脂の炭素(C)と塗装面の有機物とを接着する化合物がその役割を果たすわけですが、この場合の接着剤として用いられるものが、ガラス硬化するタイプや、液体として付着するタイプの「ケイ素化合物:ケイ素樹脂」が一般的なのではないでしょうか。

シリコーンのようなケイ素樹脂は、フッ素樹脂と同じように撥水性や撥油性をもつため、塗装表面にはくっつきにくいのではないのか?という疑問があるかと思います。

ケイ素樹脂の場合は、多様な官能基を側鎖にもたせることができるため、塗装面の有機物と結合させると同時に、コーティング表面には撥水性や撥油性をもたせて、背反するようなことを一度に両立させることができます。

このように「ケイ素樹脂:シリコーン」の特性を活かして、塗装面とくっつきにくいフッ素樹脂を仲立ちをさせることで、常温で現場施工できるフッ素コーティング剤を実現することができるのです。

ケイ素樹脂を「接着材:バインダー」とした場合のフッ素コーティング例をみてみましょう。下図は、フッ素を含むケイ素化合物によるフッ素コーティングの例です。




フッ素コーティングのイメージ

F:フッ素
C:炭素
CH2: メチレン基などの置換基
Si:ケイ素
O:酸素
Y:有機官能基
有:有機物(塗装面)




自動車ボディ塗装と密着する部分は、これまでも当ブログではおなじみのシリコーンがバインダーとして構成されます。

塗装表面は有機物で覆われていますので、バインダーとなるケイ素原子(Si)と強固に結合する酸素(O)を含む有機官能基Y(有機物と結合しやすい原子団)が、塗装面の有機物(有)と強い力によって原子間結合(化学結合)します。

フッ素樹脂は、炭素(C)が主骨格となっています。メチレン基(CH2)のような置換基を介することによって、フッ素樹脂-ケイ素樹脂間を結合することができます。

このようにしてフッ素コーティングは、油分などの汚れの付着を防ぐフッ素樹脂をケイ素樹脂:シリコーンの力を借りることによって。塗装に密着させることができるのです。

それでは次回は、フッ素コーティングの高い撥水性・撥油性による防汚性が優れている理由を見ていきたいと思います。



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