2014-11-14

ガラスコーティングを補うコーティング剤 ~メンテナンス剤として~

カーディテイリングショップやカーディーラーなどで、ガラスコーティングを施工されたお客さまより、普段のお手入れに使えるコーティング剤はありませんか?との問い合わせをいただくことがあります。

弊社では下記のような理由により、シリコーンレジンによるコーティングをオススメしております。そのポイントは、下記の3項目を挙げさせていただきます。

1.ガラスコーティングの無機汚れ固着を防ぐ
2.ガラスコーティングの防汚性(撥水性)を補う
3.ガラスコーティングの美観を補う


【シリコーンレジンコーティングとは】

一般ユーザーさま向けに市販されているものや、業務用・プロ用として流通しているほとんどのコーティング剤にはシリコーンが主原料として使用されています。これらは「シリコーンオイル」を使用しています。このシリコーンオイルは、原料価格がこなれていることや、製造が比較的容易なこと、機能性や性能面のバランスがとれている理由から広く使われています。

一方、弊社がオススメしている「シリコーンレジン」を原料としたコーティング剤は、シリコーンオイルよりも、ガラス質の基本構造の結合密度が高いものとなっております。この高い結合密度が、被膜の耐久性や持続性を維持するために重要となります。

シリコーンレジンはシリコーンオイルよりも、コーティング剤原料として機能性や性能面で優れている点が多いのですが課題もあります。その課題とは、コーティング剤としての製造技術や、原料や製造コストの面でハードルが高いものとなってしまうことです。

弊社では、シリコーンレジンを高濃度配合できるようにするため、品質を安定化させる製造プロセスの最適化を図ることで、車用としてこれまで難しかったシリコーンレジンを主原料するコーティング剤を、リーズナブルな価格で製品化することができました。

それでは、このシリコーンレジンコーティングがガラスコーティングのメンテナンス剤としてどのような作り込みをしていて、どのような特徴があるのかを見ていきたいと思います。


(参考)シリコーンレジンって何ですか?


1.ガラスコーティングの無機汚れ固着を防ぐ

ガラスコーティングの主な特徴・役割としては、持続性・耐傷性・防汚性が挙げられます。冠となる名前が「ガラス」ですから、ガラス質のハードコーティングをおこなうことであり、長期間にわたり塗装表面を守り続けることが求められます。

現在のガラスコーティングは、持続性や耐傷性については高いレベルにありますが、「無機汚れの固着を防ぐ」という機能性については、依然として課題が残っています。

ガラスコーティングの被膜がガラス質であるが故に、ガラスコーティングの表面は、ウォータースポットとか、イオンデポジットや水シミなどと呼ばれている「ガラス質の無機汚れ」が固着しやすいことです。

「無機物同士といった同じ性質の物質はくっつきやすい」と一般的に言われているように、水道水や雨水に含まれる無機物:カルシウム・マグネシウムやケイ素(Si)は、ガラス(Si-O)やガラスコーティングの硬化した被膜とは結合しやすいのです。

このため、古いタイプの無機物主体のガラスコーティングが、ウォータースポット(イオンデポジット、水シミ)の固着に悩まされていたことは、言わば当然のことなのです。

最近のガラスコーティングは、有機物である塗装との密着を高める目的のほかに、無機汚れの固着を遅らせることを目的とした「無機有機ハイブリッドタイプのガラスコーティング」に世代交代してきています。

無機有機ハイブリッドタイプは、無機のガラス骨格(基本構造)に加えて、表面に官能基(有機物を含む原子団)が表出するようにすることで、無機物同士が結合し難いようにしているものです。

しかし、無機有機ハイブリッド・ガラスコーティングが硬化した表面は、官能基によってバリアしているため、従来の無機主体ガラスコーティングと比較して、無機物の汚れの結合を遅らせる効果がありますが、どうしても基本構造がガラス質の無機物であるため、放置しますと同体化して取れにくくなるわけです。

【無機汚れ固着を防ぐシリコーンレジンコーティング】

上記のような無機汚れのウォータースポットを防ぐためには、主に有機物で構成されるコーティング剤や良いのかと問われますと、単純に「そうですね」と言うわけにはいきません。

主に有機物で構成されるコーティング剤というのは、古くから使われているカルナバロウなどの天然パラフィンなどを原料とするワックスがあります。これらは基本構造そのものが有機物で構成されているため、紫外線や高温によって比較的容易に分解されるため、耐久性が高いとは言えません。年単位~という長期間にわたる被膜耐久性を有するガラスコーティングとのバランスが悪い理由です。

せっかく、メンテナンスをラクにする意味でガラスコーティングしたのに、毎月のようにワックスがけしていたのでは、本末転倒というのか?ガラスコーティングの価値が半減してしまいます。

余談となりますが、時々、ガラスコーティングの上にワックスを塗るとガラスコーティングに悪影響があるのではないか?と聞かれることがあります。
「そんなに軟弱なガラスコーティングであってはならないでしょう」とお答えしています。

ガラスコーティングの本来の目的である「塗装を長期間保護すること」とバランスが良く、かつ無機汚れの固着を出来るだけ遅らせるには、ガラスコーティングと似た構造であるガラス状の無機骨格をもち、密着性と無機汚れを疎外する働きをもつ官能基を周囲に配向したシリコーンレジンコーティングによる補完をオススメいたします。

ここで疑問を待たれた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

基本構造が無機骨格ならば、ガラスコーティングと同様に無機汚れがくっつきやすいのではないのか?と言う疑問です。
確かにシリコーンレジンコーティングは、ガラスコーティングと似た組成・構造なのですが、骨格の結合密度が異なることに大きな違いがあります。

基本構造の結合密度が高い場合は、硬化した被膜を形成します。これが、硬化するガラスコーティングであり、結合密度がガラスコーティングほどには高くない場合は、液体のままで、しなやかな被膜を形成することができます。

弊社のシリコーンレジンコーティングは、基本構造の結合密度をできるだけ高めていますので、施工後も液体のままでありながら、粘弾性をもった耐久性・持続力の高い液体被膜を形成することができます。

(参考)シリコーンレジンコーティングの粘弾性と滑り止め

無機汚れが固着するメカニズムは、硬化した被膜の無機物と「共有結合≒同体化」するために、まさに「固着」するわけです。

これに対して、被膜が粘弾性を持った液体である場合は、被膜自体が流動性を持っている、しなやかな液体コーティングが間に存在して、硬いガラスコーティングと無機汚れが塊として固着する前に、無機汚れを拭き取ってしまえば、ウォータースポットなどの固着を防ぐことができるというわけです。


2.ガラスコーティングの防汚性(撥水性)を補う

(1)親水性を維持することは非現実的

水や油をはじく表面にすることによって汚れの密着を防ぐわけですから、撥水性や撥油性が高いことが、コーティングの基本的な機能性として求められるわけです。

しかし、よくある話に、親水性表面はウォータースポット(イオンデポジット)ができにくい。ということが聞かれます。それは実験室などにおいて、理想的な環境が維持されているような、きわめて限定的な条件での話です。

せいぜいショーカーなどの屋外に持ち出さず常に磨きあげているような車を除き、道路を走り、汚れた雨に打たれ、排気ガスなどに常にさらされている使用環境においては、親水性コーティングの実用性には問題があります。

Si-Oの一般的なガラスの表面は水を弾かない親水性です。特殊な加工をしていない家の窓ガラスや、洗面台の鏡もクリームクレンザーなどで磨いてみてください。直後は水をかけると水は平たく拡がり、見事な親水表面になっていることがわかります。

しかし、屋外に面しているガラス表面の親水性は、ほんの数時間から長くても数日程度で撥水性に変化していきます。撥水性に変化する理由は、油分など様々な物質を含んだ空気や雨、ちりやほこりなどがガラス表面に付着するからなのです。

恒久的に親水性を維持できる表面を実現するには、「光触媒によるセルフクリーニング機能を持った表面処理」と、「雨水などによる洗浄」といった特別な仕組みが必要なのですが、塗装などの有機物への密着を維持できる光触媒コーティングは、未だに実用化されていません。

ですから、ガラスコーティングも含めて、セルクフクリーニング機能を有する親水性表面を維持することはできなのです。

さらに一般的な誤解として、光触媒による親水性表面は、セルフクリーニング機能によって、汚れが雨水と一緒に流れ落ちるというのは、有機物汚れを分解する機能によるものであるのに、あたかもウォータースポットのような、無機汚れまでも洗い流すようなことが言われています。

さすがに、いかに光触媒であっても無機物は分解できませんので、無機汚れの付着や固着を防止することはできません。

(参考)親水防汚:光触媒コーティングの現状と課題 その1

親水性コーティングの課題まとめ

①ガラスコーティングによる親水性表面は、数日程度しか持続性がなく、その後は撥水性表面に変化する。

②光触媒コーティングによる親水性表面は、有機物分解により塗装上に留まる事ができず持続性がない。光触媒が効いていると塗装表面を分解し傷める。



(2)撥水性の表面は防汚性である

前置きが大変長くなりました。汚れの固着を防止する防汚性の観点から上記のような親水性表面は現実的ではありません。自然界をみても防汚性を維持する表面は、撥水性となっております。その理由を探ってみたいと思います。

本来汚れの付着を防ぐには、撥水性(疎水性)・撥油性である必要があります。汚れの成分の多くは、水や油に溶け込んだり混ざったりしたものが、表面に付着して、その後の水分の乾燥や化学的変化によって、塗装表面に密着するわけですから。

植物や動物の表面は、汚れの付着を防ぐために、非常に優れた撥水機能を有効利用しています。例をいくつか挙げてみましょう。

植物の葉は、総じて撥水性です。植物が養分を得て生きていくのに必要な光合成は、葉っぱに日の光が充分に当たることが大切です。植物の呼吸は葉っぱの裏側にある、小さな穴「気孔」を通して二酸化炭素を取り入れて光合成をおこなう原料としています。

泥水や雨水に含まれている汚れが付着して、日が経つごとに汚れが堆積すると、十分な光が届かなくなったり、気孔が塞がれたりして生きていくことができなくなってしまいます。

蝶の羽根や胴体は、撥水性をもっています。因みにセミやカブトムシなども撥水性です。
モンシロチョウに、赤や青で着色した水を、ジョウロや霧吹きを使って蝶にふりかけても、着色した水はキレイに弾かれすぐに流れ落ちてしまい、モンシロチョウの白さに影響はありません。

軽く小さな蝶々にとっては、水の付着(水による濡れ)もそうですが、大気中の様々な汚れ物質が、羽根や胴体にある呼吸をするための小さな穴に固着すると、生命が危うくなってしまいます。

同じことは、カラスやスズメなどの鳥類なども、汚れを含んだ雨水が降りかかっても飛翔に影響することはありませんね。汚れない理由には、羽根を含め全身が素晴らしい撥水性をもっていることが大きく貢献しています。

いかがでしょうか、このように生物界における汚れが固着しにくい表面には、水を良く弾く撥水性が求められるわけです。

それでは、ガラスコーティングの撥水性はどのようになっているのでしょうか。

前述しましたように、ガラスコーティングの基本構造である無機のガラス質骨格は、基本的にSi-Oとなっていますので、表面自由エネルギー(表面張力)が水よりも大きいため、水となじみやすい親水傾向となります。

これに対して、新しいタイプの無機有機ハイブリッドのガラスコーティング剤は、前記の「1.ガラスコーティングの保護性能を補う」のように、無機ガラス基本構造の周囲に撥水性※をもつ官能基(有機物を含む原子団)が配置され、単純な無機ガラス表面と比較して、撥水性を帯びるようになります。

※.表面自由エネルギー(表面張力)の小さい官能基を配向(配置)することで疎水性=撥水性表面となる。

無機有機ハイブリッドタイプであっても、基本構造がガラス質であるため、親水性と撥水性の両方の性質をもっているため、撥水性を高めるにしても限界があります。

【防汚性(撥水性)を補うシリコーンレジンコーティング】

単純に撥水性を高めることで、さまざまな有機物汚れや無機物汚れの付着を防ぐという意味では、表面自由エネルギー(表面張力)を最小にしてあげれば良いのです。表面自由エネルギーが最小となるコーティング剤の原料として、理屈の上ではフッ素樹脂がチャンピオンとなるわけです。

しかし、車のボディ塗装用のコーティング剤となりますと、フッ素樹脂には課題があります。

フッ素樹脂の定着の問題です。フッ素樹脂は様々な汚れを寄せ付けないのですが、それは同時に、自らが塗装表面やガラスコーティング表面と密着しにくい性質をもつことが挙げられます。これは被膜の耐久性や持続性に課題があるということになります。

そこで、フッ素樹脂に次いで撥水性が高く、耐久性や持続性の高い物質となりますと、ガラスコーティングと同じようにケイ素(Si)を原材料とした「シリコーン」となるわけです。

パラフィン系(カルナバロウなど)の天然素材を採用したワックスを除き、液体コーティング剤のほぼ100%は、シリコーンを主な原料としています。

シリコーンによる液体コーティング剤は、ガラスコーティング剤と似た組成でできているため、ガラスコーティングへの密着や、屈折率差のない透明感のある光沢が得られるものとして、良好な相性となる特徴があります。

現在市場に流通している液体コーティング剤やメンテナンス剤は、シリコーンオイルを主原料(一部シリコーンレジンを添加しているものもあるようです)としています。シリコーンオイル原料のコーティング剤やメンテナンス剤も、フッ素樹脂原料品に次ぐ優れた撥水性が得られるのですが、耐久性や持続性に関しガラスコーティングとのバランスが不充分と考えます。

ガラスコーティングをおこなう目的のひとつとして、洗車をはじめとした「メンテナンス作業の間隔が長くなった場合でも汚れの固着を防ぐ」ということを考えると、メンテナンス剤に求められることも、ガラスコーティングの防汚性=撥水性を補い、かつ長期間の持続性・耐久性が要求されるということが言えるのではないでしょうか。

従来のシリコーンオイル原料によるメンテナンス剤の防汚性・撥水性を持ちながらもっと長く、その機能性を維持することができるメンテナンス剤が、シリコーンレジンコーティング剤なのです。弊社がオススメする理由がここにあります。


3.ガラスコーティングの美観を補う

コーティング仕上がりの美観を表すのに、「輝き」や「艶」があると呼びます。
その輝きや艶の中でもガラスコーティングの光沢は、「ソリッドあるいは硬質」になると表現されることがあります。

光沢とは、鏡面などの表面に反射した光の散乱の仕方によって、感じ取られる見え方ですが、光沢の感じ方については、最近も科学的な評価方法についての発表:生理学研究所 
http://www.nips.ac.jp/contents/release/entry/2014/09/post-277.html がありますように、未だに研究対象となっているようです。

どのような表面になると「硬質とかソリッドな艶」になるのかは別にして、私たちは普段の生活の中で「濡れたような艶」を体験したことはないでしょうか。「雨に濡れた石造りの歩道」や、「洗髪し乾燥させる前の髪の毛」の艶が、身近な例として挙げられます。

これはまさに水によって表面がまんべんなく濡れた状態です。この濡れたときの独特の光沢は、水の被膜が表面を覆い、水の膜を通して反射した光の具合がこの独特の美しさを醸し出すのではないでしょうか。

ただ残念なことに、石や髪の濡れたような光沢が良いなー、と思っていてもやがて乾いてしまいますので、濡れたような光沢を維持させることは難しいのです。

おそらく、石の表面や髪の毛の表面には細かな凸凹があるため、乾燥した状態ではその凸凹に光が反射することで、艶や光沢が弱く感じるのではないでしょうか。

石や髪が水に濡れますと、石や髪の表面に薄い水の膜ができ、細かな凹凸も水が覆いますので、光の反射の仕方に微妙な違いが生じて、濡れたような独特の光沢が生まれるものと考えられます。

ガラスコーティングの光沢は「ソリッドや硬質」という風に表現され、「濡れたような」輝きや艶とは少し趣の異なる光沢となるようです。

車のボディを濡れたような光沢にしたい場合は、従来ですとカルナバロウのようなパラフィン系の天然材料を用いたワックスを塗布することがありました。

しかし前述のように、メンテナンスなど手入れを楽にするために、せっかくガラスコーティングを施工しているのにもかかわらず、古く酸化したワックスを剥離したり、まめな塗り直しが必要になるので、あまり相性が良いとは言えません。

近年は天然ワックスのわずらわしさを改善する意味で、ガラスコーティングとの親和性が高いシリコーンを応用したコーティング剤が使用されています。

ワックスやシリコーンオイルを原料としたコーティング剤を塗りますと、まさしく油っぽく少しぎらつくような、光沢になりますね。これはワックスやシリコーンオイルコーティング剤が、液体のままの状態で、ガラスコーティング表面に、油っぽい被膜をつくるからだと考えられます。


【濡れたような光沢を補うシリコーンレジンコーティング】

弊社がオススメするシリコーンレジンコーティング剤は、シリコーンオイルよりもガラス質の結合密度が高く、耐久性や持続性が高いので、液体の状態でより長期間にわたり被膜を形成するため、濡れたような光沢をより長く維持することができます。

また、シリコーンレジンコーティングの表面は、ワックスやシリコーンオイルコーティングのようなベタつきがない(油っぽくない)こともあり、濡れたような光沢でありながら、ガラスコーティングの「ソリッドや硬質」な光沢との違和感が少ないことも特徴です。

 

(参考)最高のトップコート ~ハイブリッドコーティング~
http://coating.th-angel.com/2015/06/blog-post.html


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2014-09-14

コーティングの耐久性と光沢 ~膜厚と多層化リスク~

光沢・艶を出す。
コーティングに期待する重要な機能性です。

最近お客様より「光沢を出したいので膜厚をアップしたい、複数回ガラスコーティングを重ねることで、もっと光沢を出したい」と言うようなお声をいただくことが増えているように感じます。

光沢については、工業的な基準としてはJIS Z8105,Z8741,K5600-4-7(日本工業規格)などや、ISO 2813(国際標準化機構)などで用語・測定方法などが定義されています。
工業における定義や測定方法などは上記のようなものがあります。

実際のところ、あくまでも人がどのように感じるのか、というところが最終的な目標であるような気がします。しかし感性については、人それぞれによるところがありますので、「光沢」について脳科学などの生理学などでは、未だに興味の尽きない分野でもあるようです。

自動車ボディなどの光沢や艶と言った場合、光や表面に映る像が、鏡のようにハッキリ・クッキリと見えてかつ、その映り方に深みが感じられるのかといったことが求められるのではないでしょうか。

ハッキリ・クッキリを映り込むというのは、表面の平滑性が高く・乱反射が少ない表面であることが必要ですし、映り方の深みと言う点では膜厚や平滑性なども関連してくるのではないのでしょうか。もちろん被膜の透明度や屈折率が均一であることも重要です。

ガラスコーティングでは透明度が高く屈折率が均一であることは、概ねどのようなコーティングであっても第一条件だと思います。更なる光沢や艶の深みを追及する場合は、膜厚をアップさせることが考えられます。


今回は、ガラスコーティングの光沢と厚膜化・多層化について、耐久性とのトレードオフ関係を考えてみたいと思います。


塗装とガラスコーティングの現状

自動車の塗装技術は、言うまでもなく年々進化しております。

ご存知のようにメタリック塗装や、パール塗装のようなキラキラと輝く、金属粉やマイカ粉を混入した塗料を使用しますと、金属やマイカの腐食・酸化や飛散・ハガレなどを防ぎつつ、美しい光沢を出すために、クリア塗装を上塗りをする必要があります。

かつてはメタリックやパール紛体を含まずに、顔料などによる「色」を出すソリッド塗装は、クリア塗装を上塗りしない場合がありましたが、近年はソリッドカラー塗装でもクリアを上塗りしている新車が多くなっております。

ソリッドカラーを含めて新車塗装におけるクリア塗装は、概ね30μm以上の膜厚があるようです。


(参考)クルマの塗料・塗装方法の進化 日本自動車工業会
http://www.jama.or.jp/lib/jamagazine/jamagazine_pdf/201503.pdf

正直に申し上げますと、30μm以上のクリア塗装劣化がない新車においては、数μm程度のガラスコーティングをかけても、美観上のその違いを感じにくくなっていることは事実です。

塗装がフレッシュで美しい光沢をもつ新車に対するガラスコーティングは、光沢や艶の追及というよりも、今後車を使用していく中での微細な傷つきからの保護や、汚れの付着や酸化防止し、できるだけその美しさを維持させる意味合いが大きくなります。

塗装表面がフレッシュな新車の分厚いクリア塗装の上においては、ガラスコーティング施工部と未施工部を比較するような見方であれば、その違いが解ると思います。しかし、ガラスコーティングの膜厚を多少アップしたからと言って、その違いを際立たせることは難しいのではないでしょうか。

むしろ、むやみにガラスコーティングのように硬度が硬い皮膜を厚くしたり、多層化したりしますと、クラックやハガレを起こしやすくする原因となるため、本来の保護性に支障をきたし、光沢などの美観にも逆効果となるリスク要因となる可能性が高まります。



膜厚アップや多層化させる弊害

最近巷で、ガラスコーティングを塗り重ねて多層化することで、見かけの膜厚をアップするようなものが聞かれます。ガラスコーティングの膜厚を上げ過ぎたり、多層塗りする弊害の要因を考えてみましょう。


1.多層間の密着不良による剥離リスク

ガラスコーティングを何度も塗り重ねすることで、見かけの膜厚をアップさせることにより、光沢や艶を出すという発想があり、ガラスコーティングなどの硬化被膜を多層化するものがあるようです。

この多層化による弊害として間違いなく言えることは、塗り重ねるほど層間の界面が増えることによって、コーティング層間の密着部に「剥離リスク」を抱えた箇所がどんどん増えていきますので、コーティングが剥がれる確率が高まるというなのことです。

厄介なことに、施工直後は綺麗に密着しているように見える場合でも、コーティング施工後、日時が経過するにしたがって、様々な化学的物理的刺激や変化を受け、各層ごとの状態がわずかに変化や刺激が加わることで、剥離・ハガレが発生する可能性が高まることが考えられるのです。

【多層コーティングのイメージ】
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  コーティング n層
---------------------------------- ←剥離リスク
      ・
---------------------------------- ←剥離リスク
      ・
---------------------------------- ←剥離リスク
      ・
---------------------------------- ←剥離リスク
  コーティング 3層
---------------------------------- ←剥離リスク
  コーティング 2層
---------------------------------- ←剥離リスク
  コーティング 1層
----------------------------------

     塗装面

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2.膜厚アップによるクラック発生リスク

コーティングを塗り重ね多層化したガラスコーティングの界面の密着が、非常に強力で、完全な理想的なものであったとしましょう。その場合は、塗り重ねた回数が多いほど、分厚いガラスコーティングができる訳です。

このように、ガラスコーティングの厚みが増していきますと、ガラスは硬くて脆いために「応力=ストレス」の影響を受けやすくなっていきます。

例として、同じガラス材で作られた厚みの異なる「ガラス板」をみてみましょう。
 
同じ材質のガラス板でも厚みが薄い場合は、曲げ半径が小さくても割れにくいですが、分厚い場合は、同じ曲げ半径であっても割れてしまうことがあります。

身近な木材の例で言い替えてみます。薄い杉板(厚さ1mm)と、厚い杉板(10mm)に対して、曲げ半径50mmに曲げてみましょう。厚さ1mmの杉板は割れないかもしれませんが、10mmの杉板は割れてしまうかもしれません。

ガラスは硬くて脆く(脆性が高く)、粘りが少ない(靱性が低い)ものなので、少しの厚さの違いで割れやすさが大きく影響します。

ある板ガラスメーカーさんによる、同一材質の薄板ガラスの破壊が起きる曲げ半径データがあります。一部のデータを下記のようにご紹介します。

【破壊の起こる曲げ半径】

  • ガラス板厚0.50mmの場合:曲げ半径350mm
  • ガラス板厚0.10mmの場合:曲げ半径 70mm
  • ガラス板厚0.05mmの場合:曲げ半径 40mm


ガラスコーティングは、上記ガラス板に近い物性を持っていますのでコーティングの膜厚が増すほど破壊=クラックが起きやすくなります。

以前のブログ記事コーティングの硬度でも触れましたが、同じ膜厚の場合、ガラスコーティングの硬さが増すほどクラックが発生しやすくなります。このため弊社のガラスコーティング剤では、多少の柔軟性を持たせて、あえて鉛筆硬度9Hとはせずに7H前後に調整して、クラックの発生を防いでいます。

参考にガラスが割れるメカニズムと、厚さと応力の関係について解りやすく解説したページをご紹介いたします。
旭硝子株式会社【ガラスの豆知識VOL.21 ガラスの強さ】
https://www.asahiglassplaza.net/gp-pro/knowledge/vol21.html

余談になりますが、車の塗装のクリア塗装膜厚は30μm前後とガラスコーティングの数μm以下よりも一桁程度の膜厚があっても、クラックや剥離が生じない理由の一つには、鉛筆硬度3H前後とそれほど硬くせず、柔軟性を持たせていることが挙げられます。

膜厚を上げ過ぎたり、多層コーティングをした後、時間経過が少ない場合は被膜の経年変化がほとんどないため問題になりにくいのですが、時間が経ちますと車の振動・形状のひずみ、紫外線・酸素・熱・水分・化学物質などによってストレスが加わり、少しずつ化学的物理的変化が進行します。

このような応力=ストレスの蓄積は、眼には見えにくい細かなクラック(ひび割れ)や、多層塗り各層間の密着不具合が発生しやすくなり、美観上の濁りや部分的なハガレの原因となります。



ガラスコーティングとトリートメントの役割

前述のようにガラスコーティング目的は、塗装の微細な傷つきの防止、汚れの付着防止、塗装表面の劣化や酸化を防止することで、塗装本来の光沢や艶、鮮やかな色合いといった美しさを長く保つことであると考えます。

とはいえ、残念ながらガラスコーティングは万能ではありません。

ガラスコーティングは無機物汚れ(ウォータースポット・イオンデポジット)が固着しやすく、膜厚を上げることによる上記のような弊害を避ける意味で、光沢の深みが感じられにくいといった特性を持つため、弊社では下記のようなガラスコーティングを補うトリートメントの併用をオススメしております。

弊社トリートメントは硬化するタイプではなく、液体のまま表面に付着し続けるものです。トリートメントを塗りますと「濡れ」によって、表面の微細な凹凸を埋め、光の乱反射を抑える効果があります。これによりガラスコーティングの硬質な輝きを補い、文字通り濡れたような深みを与えることができます。

例えると、ピアノのような黒いツルツルの表面に水を垂らしますと、表面が濡れている間は、一層の深い滑らかな光沢になりますが、そのような濡れた状態を長期間維持できるようにしたものと考えてください。

このトリートメントは、基本的な分子骨格がガラスと近似した3次元ガラス骨格シリコーンレジンを使用しておりますので、このような濡れ効果が長期間持続し、時間経過とともに表面が多少荒れた場合も洗車をして拭き上げることによって、再び濡れたような美しい表面を回復することができます。

弊社のガラスコーティングとトリートメント(シリコーンレジン)は、原材料としては同じ材料を用いておりますので、上塗り界面の屈折率変化にともなう光沢の濁りも極小に抑え、ふたつの相乗効果によって最高のパフォーマンスが得られるようにしております。

(参考)フッ素コーティングとは(その4) ~透明度・光沢と屈折率について~
http://coating.th-angel.com/2014/08/blog-post.html





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