2013-11-15

親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~

本記事は予告しました「親水性コーティングの種類」ではないですが、その前に気になる「親水性と防汚」と「超親水性光触媒」関連記事を挟ませていただきます。

親水性表面の防汚機能

親水性表面の機能性のひとつに「防汚」ということが言われます。
防汚とは、文字通り汚れの付着をを防ぐあるいは、付着した汚れ落ちやすいという意味ですね。
その考え方は概ね下記の通りです。
親水性表面は汚れが付着しても、水との親和性が高いので、
水が汚れとの間に入り込み、付着した汚れが簡単に水で流れ落ちるという考え方です。

親水性ガラスコーティングの仕組み

自動車ボディや建築外壁・内装などの親水性ガラスコーティングを例題といたします。
身近な例として、ポリシラザンなどの親水性ガラスコーティングが硬化した表面は、水酸基(-OH)を代表とする親水性の原子団が覆っています。この水酸基(-OH)とは、酸素(O)に対して、ひとつの水素(H)が結合している状態です。

ご存知のように、酸素原子(O)はふたつの結合手(原子価)を持っているため、もう一方の手が空いている状態は不安定となり、安定化させるために絶えず何かと手を結ぼうとします。その結ぶ手の先が水(H2O)である場合は、水の水素(H)となります。
このため水との親和性が良くなり親水性となるのですが、水とガラスコーティングの水酸基(-OH)の結合は、「水素結合」であるため結合力はかなり弱く、水が流れ落ちたり拭き取ったり蒸発することで、水との水素結合はすぐに切れてしまいます。当たり前のことですが。



親水性ガラスコーティングの疎水化(撥水化)傾向

一般的なガラスを例にしますと、研磨脱脂をした直後のフレッシュなガラス表面の場合、水の接触角が5~10°前後の高い親水性を示す場合でも、そのまま大気中に一昼夜程度放置しますと、水の接触角は30°前後までの疎水傾向(撥水傾向)を示すようになります。

この疎水化(撥水化)傾向は、上記のような水酸基(-OH)の不安定状態の酸素(O)が、安定性を欲しがるために、さまざまな無機物や有機物が結びつくことで、表面の自由エネルギーが低下することにより、疎水(撥水)傾向を示すために起きるのです。



親水性ガラスコーティングとウォータースポット

雨水や水道水などが降りかかった場合は、更に疎水化(撥水化)が顕著で、最も強い結合を示す事例では、ガラス表面の酸素(O)とケイ素(Si)が共有結合することで起きる、汚れとしてのシリカガラスが固着する現象、すなわち頑固なウォータースポット(別名:イオンデポジット)が発生することになります。

このような理由から、ポリシラザンなどの親水性ガラスコーティング表面は、シリカガラスが堆積がしやすいために、ウォータースポット(別名:イオンデポジット)が発生しやすいものとなっています。


親水性ガラスコーティングの現状と展望

親水性ガラスコーティングや親水性の窓ガラスは、表面がフレッシュな状態(水酸基の酸素が不安定な状態)かつ、表面が純度の高い水で覆われている限定的な状態では、他の無機物や有機物の付着を防ぐ効果が望めます。

しかし通常の自然な状態に置かれているような、例えば駐車場にある車や走行中の車においては、すぐに表面にさまざまな汚れが付着して、親水性が疎水性(撥水性)の傾向を示すようになります。この状態では「親水性による防汚効果」は薄くなるということになるわけです。

以上のように、ただ単純に親水性であるというだけの理由で、防汚性が高いというのは、非常に限られたクリーンな実験室や、半導体製造工場の中のような条件下によるものと考えられるわけなのですが、仮に屋外で、走行中の車のボディや窓の親水性を継続的に維持できるとしたらどうでしょう。

このような、親水性が保てる表面を何とか実現できないかと考えられたのが、よく耳にする「光触媒」なのです。この光触媒という継続的な超親水性表面を実現できれば、汚れがつきにくく、雨が降れば自浄的に汚れを落とし、いつまでも美しいボディや窓を維持できるというわけなのです。

ところがどっこい、この光触媒は実験室では目覚ましい効果があるのですが、実際の環境下ではなかなか難しいもので、思い描いた通りにはならない現状があります。

次回の記事では、この「超親水性光触媒の現状と課題」についておはなしさせていただきたいと思います。



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2013-11-14

ガラスとガラスコーティングの親水性


親水性の事例として身近なところでは、表面の平滑性が高いことを前提にしますと、一般的なガラス(水酸基-OH濃度が高い)は、親水性であることが挙げられます。

ガラスの中には、撥水性を高めるためにさまざまな添加物や加工を施したものもありますので、すべてのガラスが親水性であるとは言えません。


水酸基を含むガラスは親水性 

窓ガラスなどのSiO2の純度が一般的なガラスは、製造上の理由から親水性の水酸基(-OH)などの不純物を含んでいますので、このようなガラスの表面は親水性です(製造方法などにより水酸基の濃度は異なる)。

水酸基を含まないガラスは撥水性

高純度ガラスの代表としては高速大容量通信用光ファイバーがあります。通信に使用する光ファイバーは、超高純度のシリカガラス(SiO2)です。
水酸基(-OH)などの不純物が含まれていると、
レーザー光が吸収されてしまい、光の長距離高速通信を阻害するため、極力水酸基(-OH)を除去したガラス製造方法が用いられています。このような高純度石英ガラス(SiO2)は、親水傾向は弱く、撥水性(疎水性)を発現すると考えられます。

最近の自動車の窓ガラスは、ガラス自体に添加物などで撥水機能を持たせたりしているものがあるため、解りにくいかもしれません。
 

一方住宅の窓ガラスを年末の大掃除できれいに洗浄した後、霧吹きで水をかけると撥水が弱い状態=水が玉や塊にならずベチャーと広がるような、すなわち親水性の状態になっていることが多いと思います。

大掃除の後数か月ほどして、目に見えるチリやホコリをはじめ、目に見えにくい汚れやシミが付着していると思いますが、この状態のまま同じように霧吹きで水を吹きかけますと、弱いながらも撥水状態になっているようです。

このように元々親水性だった窓ガラス表面が、時間を経て汚れが付着し弱い撥水性に変化してしまいます。これはどういうことなのでしょうか。

そうですね、お気づきのように大掃除で洗浄した後、親水性であった窓ガラスですが、時間の経過とともに風雨にさらされ、チリやホコリ、花粉や細かな土砂だけではなく、眼に見えないような大気中の化学物質や油分などが付着します。


そのような汚れた状態になりますと、ガラスの表面が粗くなり、かつ油に代表されるような表面自由エネルギーが小さくなる成分が付着することにより、親水性→低撥水性に変化するものと考えられます。


親水性表面を持つものの代表格である「窓ガラス」。 窓ガラスは、ガラス本来の表面が露出している間は親水性なのですが、屋外に露出した表面は次第にさまざまな物質が付着することで汚れていき、弱い撥水性表面に変化してしまう訳で、親水性表面を保つためには、洗浄などによる日ごろのメンテナンスが欠かせないのです。



ガラスコーティングにおける親水性の仕組みについては、「親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~」をお読みください。



ところで、ガラス=親水性の代表ということは、ガラスコーティングって親水性なの?って思われたのではないでしょうか?次回はガラスコーティングを含めた「親水性コーティングの種類」について触れてみたい思います。


(参考)

親水性とは

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2013-11-13

親水性コーティング剤 ~親水のメリットとデメリット~

親水性のおさらい

クルマの塗装や窓ガラスの撥水性(疎水性)がいいのか、親水性がいいのかって、結構悩ましいですよね。前回までの記事のように撥水性を基本とした疎水性や、滑水性についてはイメージしやすいのですが。

さて、親水性について定義をおさらいしてみてみましょう。
以前の記事親水性と疎水性で触れましたように、親水性について下記のように言うことができます。

「水との親和性の高い化学種や置換基が、水との間に水素結合などによる弱い結合を作ることです。つまり、水に溶解しやすいかあるいは、水に混ざりやすい性質を言います。親水性を発現する有機化合物の親水基として、具体的にはアルコールなどの水酸基、界面活性剤などのカルボキシル基・アミノ基があげられます」



また親水性と疎水性は、水との親和性(溶けたり混ざり合ったりする)に対する性質が、反対であることを表す「対義語」であります。


親水性コーティングの表面

おさらいはこのくらいにしまして、コーティングにおける親水性とはどのような状態を言うのでしょうか?
一般的にコーティング業界では、自動車の塗装面や窓ガラス面に付着した水の接触角が、概ね10°~20°程度以下の状態であることを言っているようです。塗装面を例にして親水性とはどのような状態なのかを考えてみたいと思います。

まずは、親水性とは、疎水性=撥水性とは逆の状態なので、固体の表面自由エネルギーは、水の凝集力=表面張力よりも大きいことが一つの条件となります。これは、ボディ塗装や窓ガラスのように、表面はできるだけ滑らかであって、微細なレベルでもできるだけ凹凸が少ない状態での、親水性を発現するための条件であるわけです。

このように、水と塗装面の親和性が高いため、水玉状にはならずに、水がベタっと広がった状態になる訳ですが、自動車ボディ塗装において、親水性コーティングにより表面に改質するとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?


●親水性コーティングのメリットって?

塗装や窓ガラス表面を親水性に改質するメリットとは何でしょうか?
親水性の場合、水が凝集しにくく水玉になりにくいため、ウォータースポット(イオンデポジット)の原因となるような、酸性雨が蒸発し高濃度の酸がスポット的に凝縮されにくいことと、おなじくシリカ(シリケート)無機汚れがスポット的に凝集されにくいことが挙げられます。
(参考)
ウォータースポット(イオンデポジット)の原因
http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_17.html


ウォータースポット(イオンデポジット)の除去と対策
http://coating.th-angel.com/2014/09/blog-post_21.html

ただこれは親水性だからウォータースポットまたは、イオンデポジットが付着しにくいというわけではなく、汚れの密度がやや低くくなるといことです。一旦付着したウォータースポットまたは、イオンデポジットを除去のしやすさと、表面が親水性なのか、あるいは撥水性であるのかはあまり関係がありません。

よく言われる「親水性だから防汚性が高い」、という理由はよくわかりません。なぜならば、次回の「ガラスとガラスコーティングの親水性」でも述べますが、親水性の窓ガラスは、雨の飛沫や大気中に含まれるさまざまな汚染物質や、花粉や空気中に飛散している油分などが付着し、すぐに汚れてしまいますし、このような汚れ物質が付着することにより、次第に疎水性(撥水性)を帯びてきてしまいます。

仮に親水性表面の防汚性が高いとしても、親水性表面を維持し続けるためには、汚れや油分を早めに落として、日々のメンテナンスが欠かずにおこなう必要があるわけです。

親水性コーティング剤の防汚性が高い、という話は、おそらく「光触媒(酸化チタンと紫外線・日光)によって発現する超親水性とともに、有機物質が分解され汚れが付着しにくくなる」、ということと混同していることによるものと考えられます。


この一見理想的とも思われる、光触媒の現実と課題(普及しない原因)については、次回以降にお話しさせていただきます。
(参考)
親水防汚:光触媒コーティングの現状と課題 その1

親水防汚:光触媒コーティングの現状と課題 その2

自動車の窓ガラスにおいては、ワイパーのないサイドガラスやリアガラス、ドアミラーなどは、水玉になりにくい親水性のほうが、光の乱反射が少ないので視認性が高い、ということもあるようです。


●親水性コーティングのデメリット

簡単に言いますと、コーティングして親水性になったけれど、しばらくすると汚れが付着して弱い撥水になって、入念に洗車することで親水性っぽくなる。この繰り返し、つまりコーティングがしっかりかかっているのか、それともコーティング被膜が消滅あるいは劣化して、効果が残っているのか無くなっているのかがわかりにくい点ではないでしょうか?


結局のところ、車のボディコーティングにおける親水性って、「親水性維持が実現できない」ため、幻のようでつかみどころが少ないってことでしょうか。



それでは次回は親水性表面の代表として、「ガラスとガラスコーティングの親水性」について触れてみたいと思います。


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2013-11-09

滑水性ってなんだろう


近頃コーティングの状態を表す言葉で、滑水性あるいは滑水って聞きます。
 

滑水性コーティングを施したボディ塗装表面あるいは、窓ガラス表面っていったいどういう状態なのでしょうか?
 

その前に、得意の「滑水」という言葉について調べてみましょう。
広辞苑によると滑水とは「水上を滑走すること」とあります。

 Google先生に「滑水とは」と問い合わせ(検索)すると自動車のコーティング関連のウェブサイトが上位にたくさんリストされます。
 

どうやら滑水とは「水上スキーで水の上を滑走するような状態をイメージした」コーティング業界でよく用いられる独特の言葉であるようです。
  
かと言って世の中(コーティング業界)に明確な定義はないようなので、コーティング剤製造者として滑水について整理してみたいと思います。


傾斜角と滑水性について

改めてコーティングにおける「滑水とは」、どのような状態を言うのでしょうか。
 

仮に傾斜のない平面で、風もない室内にあるボディ塗装表面や窓ガラス表面を想定します。この場合、付着した水は接触角(撥水)の大小はあるにしても、水は静止した状態で、その場に留まります。
 

この状態から、平面の一方を少しづつ持ち上げていきますと、付着した水はツーと上から下へ流れ落ちます。このように水が流れ落ち始める傾斜角が小さいほど「滑水性が良い」としましょう。
 

このほかに、「水が落ちる速度」や、「水が落ちる加速度」なども「滑水の特性」を表すものと考えられますが、複雑になるのでここでは「水が流れ落ち始める傾斜角」に着目したいと思います。
 

実はこの滑水性と言われるものは、研究者の間では「動的な撥水性」とも呼ばれているのですが、「重力による仕事と液体の表面自由エネルギー変化の関係」として、この動的な撥水現象を説明できる理論は完成されているわけではありません。
 

しかし、仮説として「動的な撥水性:滑水性」は、下記のような表面の状態に左右されるのではないかと考えられています。

1.表面の物理的な均一さ
2.表面の化学的な均一さ
3.表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造
4.その他の要因?



「表面の物理的・化学的均一さ」について

前回記事の疎水性の中でも触れましたが、表面に微細な凹凸がありますと、撥水は高まりますが、水の進行を妨げるためにスムーズな水の流れに影響を与えることがあります。
 

動的な撥水性すなわち「滑水性」とは、塗装表面や窓ガラス表面の均一さが整っていること、つまり塗装や窓ガラス表面の凸凹の少ない:平滑性が高いほど滑水性が良くなる。と言えるのではないでしょうか。
 

ここで、他社(弊社とは関係ありません)さんのウェブサイトに解りやすい動画の実験例※がありましたのでリンクを張らせていただきます。
※.BGM音が出ますのでご注意ください!



動画出典:株式会社 三愛プラント工業さん

 

実験動画は、同じ金属板(動画前半:ステンレス、後半:アルミ)の研磨あり・研磨なしよって表面の平滑性を変化させた上の水の流れ具合を比較しています。

同じ金属板上に恐らく同量の水を垂らして、傾斜角を少しづつ変化させているように見えます。
 

この動画では研磨により、表面の平滑性が向上し、同じ金属板でも滑水性が全く違ってくることが一目瞭然です。
 

滑水性を高める第一条件は、上記のように「表面の物理的・化学的均一さ」すなわち「平滑性高める」ことなのです。
それでは「表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造」についてはどのように考えればよいのでしょうか。


 

「表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造」について

結論から申し上げますと、表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造が、滑水の良し悪しに何らかの影響があるのではないか?という、未だにはっきりしない状況なのです。

定性的かつ具体的に、どのようにすれば滑水性が向上するのかは研究者の間でも今後の課題となっています。
それでは仕方がないので、私なりに仮説をたててみます。
 

「表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造」これは個体表面の撥水(疎水)的あるいは、親水的性質とも見ることができると考えます。
 

親水性あるいは親水性に近づくということは、水の凝集力よりも塗装や窓ガラスの表面自由エネルギーが高いということですから、どちらかというと水の流れが阻害される方向になると考えられます。
 

一方、撥水性を高めるためのロータス効果(ハス効果)のような、微細突起との因果関係についても、微細な凹凸が際立ってきますと、液面の進行が阻害される(ピン止め効果とも言う)方向になるとも考えられます。
 

経験的な話しでの補足となりますが、撥水性あるいは親水性との因果関係で申し上げますと、撥水性が高いよりも撥水性がやや低く、親水性よりもやや撥水が高い状態が最も滑水性が良好であるようです。
 

滑水性が良いボディ塗装や窓ガラスの表面の条件は、下記のようにまとめたいと思います。
 

1.できるだけ平滑であること
2.撥水性が高過ぎないことかつ、親水性ではないこと



「平滑性を良くする」について

それでは自動車の塗装面や窓ガラス面の平滑性を高めるには、どのように考えればよいのでしょうか。

平滑性を高めるということは、すなわち表面の粗さをできるだけ減らすことです。ボディ塗装面を例にしてみますと、優先順位の高い順に下記のようにとなると考えられます。


1.ミリメートル(mm)~マイクロメートル(μm)レベルの平滑性

このレベルの粗い表面は、コーティング施工での平滑性を向上させることは困難です。
 

この場合は再塗装をおこなうか、塗装面の研磨による平滑性を向上させる必要があります。
再塗装も含めて研磨をおこなうことは、経験や設備のない素人ではキレイに仕上げることは難しく、失敗した場合の回復も非常に困難ですから、専門の塗装業者さんまたは、研磨業者さんにお願いする必要があると考えます。


2.マイクロメートル(μm)・ナノメートル(nm)レベルの平滑性

マイクロメートル付近以下の粗さのある表面は、研磨とともにマイクロメートル程度の膜厚のあるガラスコーティングをおこなうことよる、平滑性向上が最も効果的であると考えます。
 
高性能・高機能なガラスコーティングは、強固な被膜を形成するため、施工に失敗すると研磨作業が必要になりますし、素地が荒れた状態ですとガラスコーティングにより光の乱反射を助長することで、曇りのようになる逆効果も考えられます。
 

このため、高い平滑性を求めるガラスコーティングは、専門のコーティング業者さんにお願いすることが得策です。
 

ガラスコーティングは、専門業者さんに作業をお願いする必要がありますので、クルマを預けたりする時間がかかるし、相応の費用もかかります。適切な業者さんいお願いすれば、数年程度の長期間に渡って平滑性の状態を保てるメリットがあります。
 

もしも、数か月~半年程度の間隔でコーティングなどのメンテナンスをなさるのであれば、ガラスコーティングではなく、塗装表面状態に応じた軽い研磨作業と、シリコーンコーティングを用いて表面平滑性を高めて、良好な滑水性を得ることができます。
 

このような「滑水性コーティング剤」は、弊社(THエンゼル)にもシリコーンレジンを主原料とした業者様向けの低撥水コーティング剤ラインナップがあります。
 


長文になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。
 


さて、今回の記事でも出てきました「親水性」という言葉、コーティングの性質・状態を表す親水性ってなんでしょうか、案外イメージしにくいですよね。次回はこの気になる「親水性」について整理してみたいと思います。


(参考リンク)滑水性あるいは親水性や撥水性との関連で気になるウォータースポット(イオンデポジット)に関するまとめ記事


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2013-11-04

撥水(撥水性)とは疎水(疎水性)の状態を表す

撥水や滑水については、水との関係を表す科学的な表現ではなく、状態や現象を表す、見た目の状態を表す言葉なのではないかと考えています。

つまり

疎水性と撥水性の関係は、疎水性とは水との親和性を表す言葉であり、撥水性とは疎水性である状態が目に見えるかたちとして水をはじく現象を表す言葉ですので、同じ意味と言っても良い

と考えます。

コーティング業界では、撥水性と疎水性を微妙なニュアンスで使い分けていることもありますので、撥水と疎水は同じ意味なのですがその使い分けについて考えてみたいと思います。


 

疎水と撥水の定義


前回記事親水性と疎水性(撥水性)でも述べましたように、水との親和性が低い性質は「疎水性」として定義されています。疎水性とは
単に塗装表面や窓ガラス表面などの物質表面と水との関係性だけを表しているものではありません。
例えば、豚骨ラーメンのスープのほとんどは「水」ですが、スープを作る過程で出汁とりのために入れた豚骨から出た脂は、どんなに煮込んでも水とは混ざらずに豚骨の油脂がスープの水に浮いています。この状態は豚骨から出た油脂は疎水性であるためだと言うことですね。


疎水(疎水性)とは

それでは「疎水」とはどういう意味なのかを国語辞典で調べてみましょう。
手元にある広辞苑では下記のようになっています。

そ‐すい【疏水・疎水】(出典:広辞苑 1996年版)
1.水を流すこと。
2.灌漑・給水・舟運または発電のために、新たに土地を切り開いて水路を設け、通水させること。また、そのもの。多くは湖沼・河川から開溝して水を引き、地形によってはトンネルを設けることもある。


となっています。どうやら、疎水という日本語は「水を流す」とか、「土地を切り開き水路を設けて水を通す」という状態を表す言葉のようです。
疎水の意味はよくわかりましたが、私たちの日常ではあまり使われない言葉のようにも感じます。

そこで、コーティング剤をつくっているものの立場から「疎水性」を考えてみる前に、ボディ塗装や窓ガラスの疎水状態を表すのに一般的な「撥水性」についておさらいしてみましょう。


撥水(撥水性)とは

疎水と同じく「撥水」を国語辞典で調べると、シンプルにひとこと「水をはじくこと」とあります。読んで字の如し、水が付着する様を表した言葉であり、とても馴染み深い言葉です。

例えば朝露が着いた葉っぱやハスの葉に浮かぶ水滴、防水加工した傘やレインウェアの表面に降りかかる雨粒などがはじかれて、水玉のようにはじかれる状態がすぐに思い浮かびます。

この撥水のメカニズムについては、別の機会に詳しくみていきたいと思いますが、自動車や建築の塗装や窓ガラス表面での、物質表面が水で濡れた状態を表す「撥水(水の接触角が大きくなる)」が起こるのは、大きく分けて下記の二つの要因が考えられています。


1.固体の表面自由エネルギー

水にはその中心に集まろうとする力があり、これを凝集力と言います。水などの液体は表面積をできるだけ小さくしようとするので、この力を表面張力とも呼んでいるわけです。

水が塗装面などに付着した際に、内部の引力:凝集力(表面張力)と比較して、塗装面の表面自由エネルギーが小さいときは、水は小さくまとまろうとする力が大きくなることにより水玉状になります。

撥水性コーティング剤はこの原理を応用し、ボディ塗装表面や窓ガラス表面に塗布したコーティングが表面自由エネルギーをより小さくすることにより、撥水性を高めることができるわけです。


2.固体表面の微細突起

ロータス効果(ハス効果)と言われるように、固体表面がハスの葉のように微細な毛のような表面に凹凸突起がありますと、水と固体表面は非常に多くの点(凸)で接触するすることになります。このとき凹部の液面入り込めない多数の空隙の存在によって点接触をしている場合は、水が水玉状になります。

コーティングにより、上記のような微細な凹凸状に塗装表面や窓ガラス表面を改質した場合は、とても高い撥水(超撥水とも呼びます)を得ることができます。

しかし、凹凸をつくるということは、光の乱反射を招く原因ともなりますので、表面が曇ったり白っぽくなったりする弊害を招きます。塗料などの超撥水性のものは、このような理由によりグロス(艶出し)にならないものとなり、艶消しになるのはこのような理由によるものです。

微細な凹凸が際立ってきますと、液面の進行が阻害されて撥水がさらに高まります(ピン止め効果とも言います)。この場合は若干ですが、傾斜や風があたることにより起きる水の流れ方にも影響を与えることがあるようです。

 

撥水(撥水性)とは疎水(疎水性)の状態を表す

以前の記事でも申し上げましたように、同義語である疎水性と撥水性の違いとは何でしょうか?

ここからは私の解釈ですが、

コーティングの世界では撥水のある状態全般を「撥水」または「撥水性」と呼び、そのなかでも水が水路を流れるような筋状になってスムーズに流れ落ちる状態を、「疎水」または「疎水性」と呼んでいる
ように思います。

これはこの記事の冒頭で国語辞典を調べましたように、「疎水」=水の流れに由来するのではないかと考えます。

コーティングにおける疎水とはどのような撥水の状態を表すのでしょうか?
クルマのボディや窓ガラスの上を、水が筋状にスムーズに流れるためには、ピン止め効果が大きくない方が好ましいと思われます。

このため高撥水(接触角が大きい)よりも、低撥水(接触角が小さい)のほうが、小さな傾斜角や弱い風によって、水がきれいに筋状になって流れること、すなわち疎水と言うことになるのではないでしょうか。


 (参考リンク)当ブログの「撥水性」に関する参考記事


この「疎水」あるいは「疎水性」と似たような状態や性質に、「滑水」あるいは「滑水性」と呼ばれるものがあります。
次回は「滑水とは」なんなのかについて考えてみたいと思います。

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