2013-12-02

光触媒コーティングの現状と課題

このところ親水性をテーマにブログを掲載しておりますが、前回は親水性ガラスコーティングと防汚に関してまとめました。

親水防汚とは、水酸基(-OH)による親水性が発現すると、水酸基と水素結合した水(H2O)が汚れを親水性コーティング表面から浮上させることができるので、雨水などの水と一緒に汚れが流れ落ちるという考え方です。

確かに、親水性が維持し続けることができるならば、有機物による汚れは雨水や水道水によって洗い流すことが容易になると考えられます。


しかし、親水性表面をもつものとして代表的な窓ガラスなどでも起きる現象として、大気や風雨にさらされ、自動車が道路を走行するなどの実使用環境においては、大気汚染物質や粉塵状となって浮遊する油分などと、水に含まれている無機イオンなどによって、一日程度の時間で疎水性(撥水性)を帯びてきてしまいます。

親水性表面を維持するためには、結局のところ新鮮なガラス表面を維持するためのクリーニングが欠かせないわけです。うーん、結局そこかぁ、ってことになりますね(笑)。


光触媒コーティングの目的

そこで、親水防汚性を長い期間維持することを目的に、開発されたものが光触媒原理を用いたコーティングなんですね。
 

光触媒の原理は東京大学の藤嶋昭さんと本多健一さんの共同研究による成果「本多-藤嶋効果」と呼ばれる水中の二酸化チタン:TiO2とプラチナ:Ptに、光を照射することで、水が分解されて二酸化チタンから酸素が、プラチナから水素が発生することを発見したことに端を発します。
 

この光触媒、言葉として聞くようになってからだいぶ経ちますが、コーティングとしてはなかなか普及しませんね。その理由は何でしょうか?光触媒の光と影(大げさ)についてみてみましょう。 


1.光触媒による有機物の分解

光触媒表面が有機物を分解する仕組みについては様々な説があるのですが、光触媒工業会による説明を引用しますと下記のようになります。

酸化チタン(TiO2)などを触媒とし、これに光(主に紫外線)を照射:励起することで、マイナスの電荷を持った電子が外に飛び出すと同時に、酸化チタンは正孔と呼ばれるプラスの電荷を帯びることになります。
 

その状態で、空気中の湿気や雨水が付着しますと、H2Oと酸化チタンの正孔(h+)反応し、水酸ラジカル(-OH)が発生します。同じく空気中の酸素(O2)と電子(e-)が反応し、スーパーオキサイドアニオンラジカル(O2-)が発生します。
 

この2種類の活性酸素(水酸ラジカルとスーパーオキサイドアニオンラジカル)は、電気的・化学的に不安定であるため、電子のやりとりをおこなうことで安定化をはかる際に、さまざまな有機物を酸化還元する(別の物質に変化させる)ため、分解してしまう働きを持っているということです。

具体的な効果としては、有機汚染物質、細菌・ウィルス・カビ、悪臭物質、汚れ物質などを分解することで無害化や洗浄補助効果があると言われています。
 


2.光触媒による超親水性の発現

超親水性とは、個体表面における水の接触角が0°~10°程度までの状態を言います。この状態は個体表面と水の親和性が高くなじみが良いということです。

光触媒表面が親水性を発現する仕組みについても諸説がありますが、光触媒工業会による説明を引用しますと下記のようになります。

酸化チタン(TiO2)を触媒とし、これに光(紫外線など)を照射することで、酸化チタンの酸素(O)のうちひとつと、空気中の湿気や雨水が付着しH2Oが反応した結果、酸化チタン表面に親水性の水酸基(-OH)ができることで、親水性あるいは超親水性を発現するということです。
 


超親水性防汚:セルフクリーニングとは

上記のように、光に照らされた酸化チタンに覆われているような固体表面は、親水性の水酸基(ーOH)ができていますので、雨水や水道水が降りかかりますと、表面に付着した汚れと、酸化チタン表面の間に薄い水の膜ができることで汚れが浮かび上がり、雨水の流れとともに汚れを流し去ります。これをセルフクリーニングと呼んでいます。


それでは、ここからはガラス(SiO2)と酸化チタン(TiO2)による親水性の違いや、光触媒コーティングの課題や問題点についてお話しをさせていただきます。

早速ガラス(SiO2)と酸化チタン(TiO2)による親水性表面のようすについてご紹介いたします。


ガラスと酸化チタンによる親水性の違い

ガラス(SiO2)と酸化チタン(TiO2)による親水性あるいは、超親水性の違いは何でしょうか?その答えはズバリ、親水性表面の再現性にあります。 


(1)ガラス(SiO2)の場合

一般的な窓ガラス(SiO2)の表面が、むき出しの状態は水酸基(-OH)ができますので、親水性あるいは超親水性となるのですが、その後は不安定な水酸基の酸素(O)が安定な状態に移行しようとするため、すぐに(一般的な外気の環境では数時間から一日程度で)疎水性(撥水性)の状態に移行します。

その後はガラス表面を研磨するなどしないと、水酸基が表出したガラスのフレッシュな表面が得られないため、親水性の状態に戻すことはなかなか難しいのです。また、親水性表面が再現できたとしても、すぐに疎水化してしまいます。
 


(2)酸化チタン(TiO2)+励起光の場合

一方、酸化チタン(TiO2)の表面は、紫外線などの励起光が照射されますと、連続的に親水性の水酸基(ーOH)ができ、かつ表面に付着しようとする有機物は分解され、雨水などとともに洗い流されれます。

このため、励起光が照射されている状態、すなわち日光が当たっている状態では、セルフクリーニング効果により、継続的に親水性あるいは超親水性表面を維持することができるわけです。

ガラスやガラスコーティングの親水性は、表面がフレッシュな状態である一時的なものであり、光触媒(酸化チタン)コーティングの親水性は、日光と雨水の助けがあれば継続的なものであることが大きな違いです。

しかし、これは光触媒コーティングによる被膜が、理想的であり続けることが前提条件となるのですが、現実にはなかなか困難な状況となっております。その現状について下記のように整理してみました。
 


光触媒コーティングの課題

上記のように光触媒コーティングは、日光が照らしている間、表面に付着した有機物汚れを分解し、親水性あるいは超親水性による防汚性を発揮し続けるという理想的な表面をつくりあげるとても優れたものです。

しかし、この状態を自動車のボディ塗装や窓ガラス上のコーティングした場合には下記のような問題が発生します。
 


(1)ボディ塗装光触媒コーティングの問題

●有機物バインダーや塗装面への影響
酸化チタン(TiO2)などの光触媒に、紫外線などの光を照射しますと有機物を分解しはじめます。この作用によりボディ塗装表面に付着した汚れを分解し、親水性となる作用との相乗効果で雨水や洗車で簡単に分解された汚れが洗い流されるわけです。

ところが、光触媒は有機物を分解するため、光触媒を塗装表面に定着させるため、混合されている有機物バインダ(硬化型接着剤のようなはたらき)も同時に分解してしまいます。


これは光触媒コーティング自身を自らの力で分解してしまうということなのです。お気づきのようにこの分解能力は、同じく有機物であるボディ塗装までも分解してしまうという、本末転倒な問題も抱えてしまいます。

このようにバインダが分解されますと、光触媒コーティングが剥げ落ちます。同時にその下の本来守るべき塗装表面が分解されますと、塗装白化などの劣化を促進してしまう弊害が起きるのです。



●無機物バインダーの課題
有機物バインダーでの光触媒の定着は、上記のような自らを分解してしまう根本的な問題があり実用性は見いだせないため、無機物バインダーによる定着が考えられます。

無機物バインダーも結論から申し上げますと、実用レベルとして決定的なものはまだ見当たらないのが現実です。

無機バインダーは、光触媒の効果を得るために必要な、酸化チタンなどの十分な含有量を持つ膜厚・密度が得られないことが挙げられます。


同時に無機バインダーの硬化機構(加水分解)に伴いながら、光触媒機能である水酸基が発生し、雨水や大気中の湿気などとの親水性発現により、充分な硬化が得られないため、造膜性や耐水性が悪く、雨水などとともに剥がれ落ちるなど耐久性が乏しい点が挙げられます。
 


(2)窓ガラスへの光触媒コーティングの問題

自動車の窓ガラスは、外気にさらされ走行や降雨などによって、各種有機物が付着しています。このような不要なものを完全に除去しない状態で、光触媒をコーティングしますと、光触媒の下にある有機物を分解して剥がれ落ちる原因になります。

仮に窓ガラス表面を充分に研磨・脱脂・洗浄し、無機バインダーを使用した場合も、ボディ塗装への「無機物バインダーの課題」と同様に、窓ガラスに定着させることができず、すぐに剥がれ落ちてしまいます。
 


その他の解決手段

自動車や建築の塗装や窓ガラスへの光触媒適用(現場施工コーティング)のような場合、現在のところでは、耐久性と親水防汚性を持つ光触媒は実現できていないようです。
上記に掲げた問題や課題をクリアできたと発表しているコーティングなどは、その解決手段について、あいまいな表現やその原理などが不明なものが多いようです。

国などをはじめとした研究機関などの発表も、理想的な状況での機能性が望まれることについてや、実験レベルでの効果はハッキリと詳しく書いていますが、実際の使用環境における実用的性能については、展望や将来へのつなぎ的な内容が多い状況です。

補足:タイルや便器(陶磁器)などの無機物に対して、酸化チタンなどの光触媒を高温で焼き付け定着する方法または、溶射をする方法を取れば、高密度で十分な量の光触媒を強固に定着できるため、実用的な性能や機能を得られるものが実用化・商品化されています。しかしこれらは、専用の設備を有した工場において加工できる方法です。


これまで、親水性や超親水性をもつ、ガラスコーティングや光触媒コーティングによる有機物汚れのセルフクリーニングについて考えてきました。

結論としてしては、明確に「セルフクリーニングができます。雨が降ればきれいに汚れも一緒に流し去ってくれるようなものはコレです」とはなかなか言い切れる状況ではないと考えています。

それでは、弊社も業務用途として自信をもってお勧めしている「ガラスコーティングの防汚性」とはいったいどのようなことなのでしょうか。次回以降にこのテーマについて考えてみたいと思います。



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2013-12-01

光触媒コーティングの現状と課題 その1

このところ親水性をテーマにブログを掲載しておりますが、前回は親水性ガラスコーティングと防汚に関してまとめました。

親水防汚とは、水酸基(-OH)による親水性が発現すると、水酸基と水素結合した水(H2O)が汚れを親水性コーティング表面から浮上させることができるので、雨水などの水と一緒に汚れが流れ落ちるという考え方です。

確かに、親水性が維持し続けることができるならば、有機物による汚れは雨水や水道水によって洗い流すことが容易になると考えられます。


しかし、親水性表面をもつものとして代表的な窓ガラスなどでも起きる現象として、大気や風雨にさらされ、自動車が道路を走行するなどの実使用環境においては、大気汚染物質や粉塵状となって浮遊する油分などと、水に含まれている無機イオンなどによって、一日程度の時間で疎水性(撥水性)を帯びてきてしまいます。
 
親水性表面を維持するためには、結局のところ新鮮なガラス表面を維持するためのクリーニングが欠かせないわけです。うーん、結局そこかぁ、ってことになりますね(笑)。


光触媒コーティングの目的

そこで、親水防汚性を長い期間維持することを目的に、開発されたものが光触媒原理を用いたコーティングなんですね。
 

光触媒の原理は東京大学の藤嶋昭さんと本多健一さんの共同研究による成果「本多-藤嶋効果」と呼ばれる水中の二酸化チタン:TiO2とプラチナ:Ptに、光を照射することで、水が分解されて二酸化チタンから酸素が、プラチナから水素が発生することを発見したことに端を発します。
 

この光触媒、言葉として聞くようになってからだいぶ経ちますが、コーティングとしてはなかなか普及しませんね。その理由は何でしょうか?光触媒の光と影(大げさ)についてみてみましょう。

 

1.光触媒による有機物の分解

光触媒表面が有機物を分解する仕組みについては様々な説があるのですが、光触媒工業会による説明を引用しますと下記のようになります。

酸化チタン(TiO2)などを触媒とし、これに光(主に紫外線)を照射:励起することで、マイナスの電荷を持った電子が外に飛び出すと同時に、酸化チタンは正孔と呼ばれるプラスの電荷を帯びることになります。
 

その状態で、空気中の湿気や雨水が付着しますと、H2Oと酸化チタンの正孔(h+)反応し、水酸ラジカル(-OH)が発生します。同じく空気中の酸素(O2)と電子(e-)が反応し、スーパーオキサイドアニオンラジカル(O2-)が発生します。
 

この2種類の活性酸素(水酸ラジカルとスーパーオキサイドアニオンラジカル)は、電気的・化学的に不安定であるため、電子のやりとりをおこなうことで安定化をはかる際に、さまざまな有機物を酸化還元する(別の物質に変化させる)ため、分解してしまう働きを持っているということです。

具体的な効果としては、有機汚染物質、細菌・ウィルス・カビ、悪臭物質、汚れ物質などを分解することで無害化や洗浄補助効果があると言われています。

 

2.光触媒による超親水性の発現

超親水性とは、個体表面における水の接触角が0°~10°程度までの状態を言います。この状態は個体表面と水の親和性が高くなじみが良いということです。

光触媒表面が親水性を発現する仕組みについても諸説がありますが、光触媒工業会による説明を引用しますと下記のようになります。

酸化チタン(TiO2)を触媒とし、これに光(紫外線など)を照射することで、酸化チタンの酸素(O)のうちひとつと、空気中の湿気や雨水が付着しH2Oが反応した結果、酸化チタン表面に親水性の水酸基(-OH)ができることで、親水性あるいは超親水性を発現するということです。

 

超親水性防汚:セルフクリーニングとは

上記のように、光に照らされた酸化チタンに覆われているような固体表面は、親水性の水酸基(ーOH)ができていますので、雨水や水道水が降りかかりますと、表面に付着した汚れと、酸化チタン表面の間に薄い水の膜ができることで汚れが浮かび上がり、雨水の流れとともに汚れを流し去ります。これをセルフクリーニングと呼んでいます。

 
それでは、次回はガラス(SiO2)と酸化チタン(TiO2)による親水性の違いや、光触媒コーティングの課題や問題点についてお話しをさせていただきます。つづきは → 親水防汚:光触媒の現状と課題 その2

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2013-11-15

親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~

本記事は予告しました「親水性コーティングの種類」ではないですが、その前に気になる「親水性と防汚」と「超親水性光触媒」関連記事を挟ませていただきます。

親水性表面の防汚機能

親水性表面の機能性のひとつに「防汚」ということが言われます。
防汚とは、文字通り汚れの付着をを防ぐあるいは、付着した汚れ落ちやすいという意味ですね。
その考え方は概ね下記の通りです。
親水性表面は汚れが付着しても、水との親和性が高いので、
水が汚れとの間に入り込み、付着した汚れが簡単に水で流れ落ちるという考え方です。

親水性ガラスコーティングの仕組み

自動車ボディや建築外壁・内装などの親水性ガラスコーティングを例題といたします。
身近な例として、ポリシラザンなどの親水性ガラスコーティングが硬化した表面は、水酸基(-OH)を代表とする親水性の原子団が覆っています。この水酸基(-OH)とは、酸素(O)に対して、ひとつの水素(H)が結合している状態です。

ご存知のように、酸素原子(O)はふたつの結合手(原子価)を持っているため、もう一方の手が空いている状態は不安定となり、安定化させるために絶えず何かと手を結ぼうとします。その結ぶ手の先が水(H2O)である場合は、水の水素(H)となります。
このため水との親和性が良くなり親水性となるのですが、水とガラスコーティングの水酸基(-OH)の結合は、「水素結合」であるため結合力はかなり弱く、水が流れ落ちたり拭き取ったり蒸発することで、水との水素結合はすぐに切れてしまいます。当たり前のことですが。



親水性ガラスコーティングの疎水化(撥水化)傾向

一般的なガラスを例にしますと、研磨脱脂をした直後のフレッシュなガラス表面の場合、水の接触角が5~10°前後の高い親水性を示す場合でも、そのまま大気中に一昼夜程度放置しますと、水の接触角は30°前後までの疎水傾向(撥水傾向)を示すようになります。

この疎水化(撥水化)傾向は、上記のような水酸基(-OH)の不安定状態の酸素(O)が、安定性を欲しがるために、さまざまな無機物や有機物が結びつくことで、表面の自由エネルギーが低下することにより、疎水(撥水)傾向を示すために起きるのです。



親水性ガラスコーティングとウォータースポット

雨水や水道水などが降りかかった場合は、更に疎水化(撥水化)が顕著で、最も強い結合を示す事例では、ガラス表面の酸素(O)とケイ素(Si)が共有結合することで起きる、汚れとしてのシリカガラスが固着する現象、すなわち頑固なウォータースポット(別名:イオンデポジット)が発生することになります。

このような理由から、ポリシラザンなどの親水性ガラスコーティング表面は、シリカガラスが堆積がしやすいために、ウォータースポット(別名:イオンデポジット)が発生しやすいものとなっています。


親水性ガラスコーティングの現状と展望

親水性ガラスコーティングや親水性の窓ガラスは、表面がフレッシュな状態(水酸基の酸素が不安定な状態)かつ、表面が純度の高い水で覆われている限定的な状態では、他の無機物や有機物の付着を防ぐ効果が望めます。

しかし通常の自然な状態に置かれているような、例えば駐車場にある車や走行中の車においては、すぐに表面にさまざまな汚れが付着して、親水性が疎水性(撥水性)の傾向を示すようになります。この状態では「親水性による防汚効果」は薄くなるということになるわけです。

以上のように、ただ単純に親水性であるというだけの理由で、防汚性が高いというのは、非常に限られたクリーンな実験室や、半導体製造工場の中のような条件下によるものと考えられるわけなのですが、仮に屋外で、走行中の車のボディや窓の親水性を継続的に維持できるとしたらどうでしょう。

このような、親水性が保てる表面を何とか実現できないかと考えられたのが、よく耳にする「光触媒」なのです。この光触媒という継続的な超親水性表面を実現できれば、汚れがつきにくく、雨が降れば自浄的に汚れを落とし、いつまでも美しいボディや窓を維持できるというわけなのです。

ところがどっこい、この光触媒は実験室では目覚ましい効果があるのですが、実際の環境下ではなかなか難しいもので、思い描いた通りにはならない現状があります。

次回の記事では、この「超親水性光触媒の現状と課題」についておはなしさせていただきたいと思います。



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2013-11-14

ガラスとガラスコーティングの親水性


親水性の事例として身近なところでは、表面の平滑性が高いことを前提にしますと、一般的なガラス(水酸基-OH濃度が高い)は、親水性であることが挙げられます。

ガラスの中には、撥水性を高めるためにさまざまな添加物や加工を施したものもありますので、すべてのガラスが親水性であるとは言えません。


水酸基を含むガラスは親水性 

窓ガラスなどのSiO2の純度が一般的なガラスは、製造上の理由から親水性の水酸基(-OH)などの不純物を含んでいますので、このようなガラスの表面は親水性です(製造方法などにより水酸基の濃度は異なる)。

水酸基を含まないガラスは撥水性

高純度ガラスの代表としては高速大容量通信用光ファイバーがあります。通信に使用する光ファイバーは、超高純度のシリカガラス(SiO2)です。
水酸基(-OH)などの不純物が含まれていると、
レーザー光が吸収されてしまい、光の長距離高速通信を阻害するため、極力水酸基(-OH)を除去したガラス製造方法が用いられています。このような高純度石英ガラス(SiO2)は、親水傾向は弱く、撥水性(疎水性)を発現すると考えられます。

最近の自動車の窓ガラスは、ガラス自体に添加物などで撥水機能を持たせたりしているものがあるため、解りにくいかもしれません。
 

一方住宅の窓ガラスを年末の大掃除できれいに洗浄した後、霧吹きで水をかけると撥水が弱い状態=水が玉や塊にならずベチャーと広がるような、すなわち親水性の状態になっていることが多いと思います。

大掃除の後数か月ほどして、目に見えるチリやホコリをはじめ、目に見えにくい汚れやシミが付着していると思いますが、この状態のまま同じように霧吹きで水を吹きかけますと、弱いながらも撥水状態になっているようです。

このように元々親水性だった窓ガラス表面が、時間を経て汚れが付着し弱い撥水性に変化してしまいます。これはどういうことなのでしょうか。

そうですね、お気づきのように大掃除で洗浄した後、親水性であった窓ガラスですが、時間の経過とともに風雨にさらされ、チリやホコリ、花粉や細かな土砂だけではなく、眼に見えないような大気中の化学物質や油分などが付着します。


そのような汚れた状態になりますと、ガラスの表面が粗くなり、かつ油に代表されるような表面自由エネルギーが小さくなる成分が付着することにより、親水性→低撥水性に変化するものと考えられます。


親水性表面を持つものの代表格である「窓ガラス」。 窓ガラスは、ガラス本来の表面が露出している間は親水性なのですが、屋外に露出した表面は次第にさまざまな物質が付着することで汚れていき、弱い撥水性表面に変化してしまう訳で、親水性表面を保つためには、洗浄などによる日ごろのメンテナンスが欠かせないのです。



ガラスコーティングにおける親水性の仕組みについては、「親水性と防汚 ~ポリシラザンガラスコーティングを例として~」をお読みください。



ところで、ガラス=親水性の代表ということは、ガラスコーティングって親水性なの?って思われたのではないでしょうか?次回はガラスコーティングを含めた「親水性コーティングの種類」について触れてみたい思います。


(参考)

親水性とは

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2013-11-13

親水性コーティング剤 ~親水のメリットとデメリット~

親水性のおさらい

クルマの塗装や窓ガラスの撥水性(疎水性)がいいのか、親水性がいいのかって、結構悩ましいですよね。前回までの記事のように撥水性を基本とした疎水性や、滑水性についてはイメージしやすいのですが。

さて、親水性について定義をおさらいしてみてみましょう。
以前の記事親水性と疎水性で触れましたように、親水性について下記のように言うことができます。

「水との親和性の高い化学種や置換基が、水との間に水素結合などによる弱い結合を作ることです。つまり、水に溶解しやすいかあるいは、水に混ざりやすい性質を言います。親水性を発現する有機化合物の親水基として、具体的にはアルコールなどの水酸基、界面活性剤などのカルボキシル基・アミノ基があげられます」



また親水性と疎水性は、水との親和性(溶けたり混ざり合ったりする)に対する性質が、反対であることを表す「対義語」であります。


親水性コーティングの表面

おさらいはこのくらいにしまして、コーティングにおける親水性とはどのような状態を言うのでしょうか?
一般的にコーティング業界では、自動車の塗装面や窓ガラス面に付着した水の接触角が、概ね10°~20°程度以下の状態であることを言っているようです。塗装面を例にして親水性とはどのような状態なのかを考えてみたいと思います。

まずは、親水性とは、疎水性=撥水性とは逆の状態なので、固体の表面自由エネルギーは、水の凝集力=表面張力よりも大きいことが一つの条件となります。これは、ボディ塗装や窓ガラスのように、表面はできるだけ滑らかであって、微細なレベルでもできるだけ凹凸が少ない状態での、親水性を発現するための条件であるわけです。

このように、水と塗装面の親和性が高いため、水玉状にはならずに、水がベタっと広がった状態になる訳ですが、自動車ボディ塗装において、親水性コーティングにより表面に改質するとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?


●親水性コーティングのメリットって?

塗装や窓ガラス表面を親水性に改質するメリットとは何でしょうか?
親水性の場合、水が凝集しにくく水玉になりにくいため、ウォータースポット(イオンデポジット)の原因となるような、酸性雨が蒸発し高濃度の酸がスポット的に凝縮されにくいことと、おなじくシリカ(シリケート)無機汚れがスポット的に凝集されにくいことが挙げられます。
(参考)
ウォータースポット(イオンデポジット)の原因
http://coating.th-angel.com/2014/03/blog-post_17.html


ウォータースポット(イオンデポジット)の除去と対策
http://coating.th-angel.com/2014/09/blog-post_21.html

ただこれは親水性だからウォータースポットまたは、イオンデポジットが付着しにくいというわけではなく、汚れの密度がやや低くくなるといことです。一旦付着したウォータースポットまたは、イオンデポジットを除去のしやすさと、表面が親水性なのか、あるいは撥水性であるのかはあまり関係がありません。

よく言われる「親水性だから防汚性が高い」、という理由はよくわかりません。なぜならば、次回の「ガラスとガラスコーティングの親水性」でも述べますが、親水性の窓ガラスは、雨の飛沫や大気中に含まれるさまざまな汚染物質や、花粉や空気中に飛散している油分などが付着し、すぐに汚れてしまいますし、このような汚れ物質が付着することにより、次第に疎水性(撥水性)を帯びてきてしまいます。

仮に親水性表面の防汚性が高いとしても、親水性表面を維持し続けるためには、汚れや油分を早めに落として、日々のメンテナンスが欠かずにおこなう必要があるわけです。

親水性コーティング剤の防汚性が高い、という話は、おそらく「光触媒(酸化チタンと紫外線・日光)によって発現する超親水性とともに、有機物質が分解され汚れが付着しにくくなる」、ということと混同していることによるものと考えられます。


この一見理想的とも思われる、光触媒の現実と課題(普及しない原因)については、次回以降にお話しさせていただきます。
(参考)
親水防汚:光触媒コーティングの現状と課題 その1

親水防汚:光触媒コーティングの現状と課題 その2

自動車の窓ガラスにおいては、ワイパーのないサイドガラスやリアガラス、ドアミラーなどは、水玉になりにくい親水性のほうが、光の乱反射が少ないので視認性が高い、ということもあるようです。


●親水性コーティングのデメリット

簡単に言いますと、コーティングして親水性になったけれど、しばらくすると汚れが付着して弱い撥水になって、入念に洗車することで親水性っぽくなる。この繰り返し、つまりコーティングがしっかりかかっているのか、それともコーティング被膜が消滅あるいは劣化して、効果が残っているのか無くなっているのかがわかりにくい点ではないでしょうか?


結局のところ、車のボディコーティングにおける親水性って、「親水性維持が実現できない」ため、幻のようでつかみどころが少ないってことでしょうか。



それでは次回は親水性表面の代表として、「ガラスとガラスコーティングの親水性」について触れてみたいと思います。


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2013-11-09

滑水性ってなんだろう


近頃コーティングの状態を表す言葉で、滑水性あるいは滑水って聞きます。
 

滑水性コーティングを施したボディ塗装表面あるいは、窓ガラス表面っていったいどういう状態なのでしょうか?
 

その前に、得意の「滑水」という言葉について調べてみましょう。
広辞苑によると滑水とは「水上を滑走すること」とあります。

 Google先生に「滑水とは」と問い合わせ(検索)すると自動車のコーティング関連のウェブサイトが上位にたくさんリストされます。
 

どうやら滑水とは「水上スキーで水の上を滑走するような状態をイメージした」コーティング業界でよく用いられる独特の言葉であるようです。
  
かと言って世の中(コーティング業界)に明確な定義はないようなので、コーティング剤製造者として滑水について整理してみたいと思います。


傾斜角と滑水性について

改めてコーティングにおける「滑水とは」、どのような状態を言うのでしょうか。
 

仮に傾斜のない平面で、風もない室内にあるボディ塗装表面や窓ガラス表面を想定します。この場合、付着した水は接触角(撥水)の大小はあるにしても、水は静止した状態で、その場に留まります。
 

この状態から、平面の一方を少しづつ持ち上げていきますと、付着した水はツーと上から下へ流れ落ちます。このように水が流れ落ち始める傾斜角が小さいほど「滑水性が良い」としましょう。
 

このほかに、「水が落ちる速度」や、「水が落ちる加速度」なども「滑水の特性」を表すものと考えられますが、複雑になるのでここでは「水が流れ落ち始める傾斜角」に着目したいと思います。
 

実はこの滑水性と言われるものは、研究者の間では「動的な撥水性」とも呼ばれているのですが、「重力による仕事と液体の表面自由エネルギー変化の関係」として、この動的な撥水現象を説明できる理論は完成されているわけではありません。
 

しかし、仮説として「動的な撥水性:滑水性」は、下記のような表面の状態に左右されるのではないかと考えられています。

1.表面の物理的な均一さ
2.表面の化学的な均一さ
3.表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造
4.その他の要因?



「表面の物理的・化学的均一さ」について

前回記事の疎水性の中でも触れましたが、表面に微細な凹凸がありますと、撥水は高まりますが、水の進行を妨げるためにスムーズな水の流れに影響を与えることがあります。
 

動的な撥水性すなわち「滑水性」とは、塗装表面や窓ガラス表面の均一さが整っていること、つまり塗装や窓ガラス表面の凸凹の少ない:平滑性が高いほど滑水性が良くなる。と言えるのではないでしょうか。
 

ここで、他社(弊社とは関係ありません)さんのウェブサイトに解りやすい動画の実験例※がありましたのでリンクを張らせていただきます。
※.BGM音が出ますのでご注意ください!



動画出典:株式会社 三愛プラント工業さん

 

実験動画は、同じ金属板(動画前半:ステンレス、後半:アルミ)の研磨あり・研磨なしよって表面の平滑性を変化させた上の水の流れ具合を比較しています。

同じ金属板上に恐らく同量の水を垂らして、傾斜角を少しづつ変化させているように見えます。
 

この動画では研磨により、表面の平滑性が向上し、同じ金属板でも滑水性が全く違ってくることが一目瞭然です。
 

滑水性を高める第一条件は、上記のように「表面の物理的・化学的均一さ」すなわち「平滑性高める」ことなのです。
それでは「表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造」についてはどのように考えればよいのでしょうか。


 

「表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造」について

結論から申し上げますと、表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造が、滑水の良し悪しに何らかの影響があるのではないか?という、未だにはっきりしない状況なのです。

定性的かつ具体的に、どのようにすれば滑水性が向上するのかは研究者の間でも今後の課題となっています。
それでは仕方がないので、私なりに仮説をたててみます。
 

「表面の有機官能基の種類・密度など化学的構造」これは個体表面の撥水(疎水)的あるいは、親水的性質とも見ることができると考えます。
 

親水性あるいは親水性に近づくということは、水の凝集力よりも塗装や窓ガラスの表面自由エネルギーが高いということですから、どちらかというと水の流れが阻害される方向になると考えられます。
 

一方、撥水性を高めるためのロータス効果(ハス効果)のような、微細突起との因果関係についても、微細な凹凸が際立ってきますと、液面の進行が阻害される(ピン止め効果とも言う)方向になるとも考えられます。
 

経験的な話しでの補足となりますが、撥水性あるいは親水性との因果関係で申し上げますと、撥水性が高いよりも撥水性がやや低く、親水性よりもやや撥水が高い状態が最も滑水性が良好であるようです。
 

滑水性が良いボディ塗装や窓ガラスの表面の条件は、下記のようにまとめたいと思います。
 

1.できるだけ平滑であること
2.撥水性が高過ぎないことかつ、親水性ではないこと



「平滑性を良くする」について

それでは自動車の塗装面や窓ガラス面の平滑性を高めるには、どのように考えればよいのでしょうか。

平滑性を高めるということは、すなわち表面の粗さをできるだけ減らすことです。ボディ塗装面を例にしてみますと、優先順位の高い順に下記のようにとなると考えられます。


1.ミリメートル(mm)~マイクロメートル(μm)レベルの平滑性

このレベルの粗い表面は、コーティング施工での平滑性を向上させることは困難です。
 

この場合は再塗装をおこなうか、塗装面の研磨による平滑性を向上させる必要があります。
再塗装も含めて研磨をおこなうことは、経験や設備のない素人ではキレイに仕上げることは難しく、失敗した場合の回復も非常に困難ですから、専門の塗装業者さんまたは、研磨業者さんにお願いする必要があると考えます。


2.マイクロメートル(μm)・ナノメートル(nm)レベルの平滑性

マイクロメートル付近以下の粗さのある表面は、研磨とともにマイクロメートル程度の膜厚のあるガラスコーティングをおこなうことよる、平滑性向上が最も効果的であると考えます。
 
高性能・高機能なガラスコーティングは、強固な被膜を形成するため、施工に失敗すると研磨作業が必要になりますし、素地が荒れた状態ですとガラスコーティングにより光の乱反射を助長することで、曇りのようになる逆効果も考えられます。
 

このため、高い平滑性を求めるガラスコーティングは、専門のコーティング業者さんにお願いすることが得策です。
 

ガラスコーティングは、専門業者さんに作業をお願いする必要がありますので、クルマを預けたりする時間がかかるし、相応の費用もかかります。適切な業者さんいお願いすれば、数年程度の長期間に渡って平滑性の状態を保てるメリットがあります。
 

もしも、数か月~半年程度の間隔でコーティングなどのメンテナンスをなさるのであれば、ガラスコーティングではなく、塗装表面状態に応じた軽い研磨作業と、シリコーンコーティングを用いて表面平滑性を高めて、良好な滑水性を得ることができます。
 

このような「滑水性コーティング剤」は、弊社(THエンゼル)にもシリコーンレジンを主原料とした業者様向けの低撥水コーティング剤ラインナップがあります。
 


長文になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。
 


さて、今回の記事でも出てきました「親水性」という言葉、コーティングの性質・状態を表す親水性ってなんでしょうか、案外イメージしにくいですよね。次回はこの気になる「親水性」について整理してみたいと思います。


(参考リンク)滑水性あるいは親水性や撥水性との関連で気になるウォータースポット(イオンデポジット)に関するまとめ記事


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2013-11-04

撥水(撥水性)とは疎水(疎水性)の状態を表す

撥水や滑水については、水との関係を表す科学的な表現ではなく、状態や現象を表す、見た目の状態を表す言葉なのではないかと考えています。

つまり

疎水性と撥水性の関係は、疎水性とは水との親和性を表す言葉であり、撥水性とは疎水性である状態が目に見えるかたちとして水をはじく現象を表す言葉ですので、同じ意味と言っても良い

と考えます。

コーティング業界では、撥水性と疎水性を微妙なニュアンスで使い分けていることもありますので、撥水と疎水は同じ意味なのですがその使い分けについて考えてみたいと思います。


 

疎水と撥水の定義


前回記事親水性と疎水性(撥水性)でも述べましたように、水との親和性が低い性質は「疎水性」として定義されています。疎水性とは
単に塗装表面や窓ガラス表面などの物質表面と水との関係性だけを表しているものではありません。
例えば、豚骨ラーメンのスープのほとんどは「水」ですが、スープを作る過程で出汁とりのために入れた豚骨から出た脂は、どんなに煮込んでも水とは混ざらずに豚骨の油脂がスープの水に浮いています。この状態は豚骨から出た油脂は疎水性であるためだと言うことですね。


疎水(疎水性)とは

それでは「疎水」とはどういう意味なのかを国語辞典で調べてみましょう。
手元にある広辞苑では下記のようになっています。

そ‐すい【疏水・疎水】(出典:広辞苑 1996年版)
1.水を流すこと。
2.灌漑・給水・舟運または発電のために、新たに土地を切り開いて水路を設け、通水させること。また、そのもの。多くは湖沼・河川から開溝して水を引き、地形によってはトンネルを設けることもある。


となっています。どうやら、疎水という日本語は「水を流す」とか、「土地を切り開き水路を設けて水を通す」という状態を表す言葉のようです。
疎水の意味はよくわかりましたが、私たちの日常ではあまり使われない言葉のようにも感じます。

そこで、コーティング剤をつくっているものの立場から「疎水性」を考えてみる前に、ボディ塗装や窓ガラスの疎水状態を表すのに一般的な「撥水性」についておさらいしてみましょう。


撥水(撥水性)とは

疎水と同じく「撥水」を国語辞典で調べると、シンプルにひとこと「水をはじくこと」とあります。読んで字の如し、水が付着する様を表した言葉であり、とても馴染み深い言葉です。

例えば朝露が着いた葉っぱやハスの葉に浮かぶ水滴、防水加工した傘やレインウェアの表面に降りかかる雨粒などがはじかれて、水玉のようにはじかれる状態がすぐに思い浮かびます。

この撥水のメカニズムについては、別の機会に詳しくみていきたいと思いますが、自動車や建築の塗装や窓ガラス表面での、物質表面が水で濡れた状態を表す「撥水(水の接触角が大きくなる)」が起こるのは、大きく分けて下記の二つの要因が考えられています。


1.固体の表面自由エネルギー

水にはその中心に集まろうとする力があり、これを凝集力と言います。水などの液体は表面積をできるだけ小さくしようとするので、この力を表面張力とも呼んでいるわけです。

水が塗装面などに付着した際に、内部の引力:凝集力(表面張力)と比較して、塗装面の表面自由エネルギーが小さいときは、水は小さくまとまろうとする力が大きくなることにより水玉状になります。

撥水性コーティング剤はこの原理を応用し、ボディ塗装表面や窓ガラス表面に塗布したコーティングが表面自由エネルギーをより小さくすることにより、撥水性を高めることができるわけです。


2.固体表面の微細突起

ロータス効果(ハス効果)と言われるように、固体表面がハスの葉のように微細な毛のような表面に凹凸突起がありますと、水と固体表面は非常に多くの点(凸)で接触するすることになります。このとき凹部の液面入り込めない多数の空隙の存在によって点接触をしている場合は、水が水玉状になります。

コーティングにより、上記のような微細な凹凸状に塗装表面や窓ガラス表面を改質した場合は、とても高い撥水(超撥水とも呼びます)を得ることができます。

しかし、凹凸をつくるということは、光の乱反射を招く原因ともなりますので、表面が曇ったり白っぽくなったりする弊害を招きます。塗料などの超撥水性のものは、このような理由によりグロス(艶出し)にならないものとなり、艶消しになるのはこのような理由によるものです。

微細な凹凸が際立ってきますと、液面の進行が阻害されて撥水がさらに高まります(ピン止め効果とも言います)。この場合は若干ですが、傾斜や風があたることにより起きる水の流れ方にも影響を与えることがあるようです。

 

撥水(撥水性)とは疎水(疎水性)の状態を表す

以前の記事でも申し上げましたように、同義語である疎水性と撥水性の違いとは何でしょうか?

ここからは私の解釈ですが、

コーティングの世界では撥水のある状態全般を「撥水」または「撥水性」と呼び、そのなかでも水が水路を流れるような筋状になってスムーズに流れ落ちる状態を、「疎水」または「疎水性」と呼んでいる
ように思います。

これはこの記事の冒頭で国語辞典を調べましたように、「疎水」=水の流れに由来するのではないかと考えます。

コーティングにおける疎水とはどのような撥水の状態を表すのでしょうか?
クルマのボディや窓ガラスの上を、水が筋状にスムーズに流れるためには、ピン止め効果が大きくない方が好ましいと思われます。

このため高撥水(接触角が大きい)よりも、低撥水(接触角が小さい)のほうが、小さな傾斜角や弱い風によって、水がきれいに筋状になって流れること、すなわち疎水と言うことになるのではないでしょうか。


 (参考リンク)当ブログの「撥水性」に関する参考記事


この「疎水」あるいは「疎水性」と似たような状態や性質に、「滑水」あるいは「滑水性」と呼ばれるものがあります。
次回は「滑水とは」なんなのかについて考えてみたいと思います。

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2013-10-24

親水性と疎水性=撥水性 ~コーティングの違い~

科学的な用語として一般的なものから整理してみます。
まずは「水」との親和性を表す言葉である「親水性」と「疎水性撥水性」についてみてみましょう。



親水性

親水性とは、水との親和性の高い化学種や置換基が、水との間に水素結合などによる弱い結合を作ることです。つまり、水に溶解しやすいかあるいは水に混ざりやすい性質を言います。
 

親水性を発現する有機化合物の親水基として、具体的にはアルコールなどの水酸基、界面活性剤などのカルボキシル基・アミノ基があげられます。


疎水性

疎水性とは、水との親和性が低い、水に溶けにくいあるいは、水と混ざりにくい性質のことを言います。

疎水性の物質は、いわゆる「水を嫌う・水をはじく」性質を持つのものをであり、分子内に炭化水素基(メチル基・ビニル基やアルキル基など)などの原子団をもつ物質で、
油(脂質)や、パラフィンやベンゼンなどの非極性有機溶媒との親和性を持つものです。

すなわち、疎水性物質は一般的に、油と溶け合ったり混ざり合ったりしやすい「親油性」をであるものが多いのです。

しかし中には、疎水性でありながら、油などとも溶けたり混ざり合ったりしないシリコーンやフルオロアルキル鎖を持つ化合物(身近な例ではフッ素)などもあります。



撥水性と疎水性は同じ意味

疎水性と撥水性の関係は、疎水性とは水との親和性が低いことを表す言葉であり、撥水性とは疎水性である状態が「目に見えるかたちとして水をはじく現象を表す言葉」ですので、同じ意味と言っても良いと考えます。

つまり、撥水性コーティングと疎水性コーティングは全く同じものです。


親水性と疎水性=撥水性の違い

親水性と疎水性=撥水性は、上記のように、水との親和性(溶けたり混ざり合ったりする)に対する性質が反対であることを表す「対義語」であるわけです。

ときどき、コーティング剤やコーティングの性質を表すものとして、親水性と疎水性を、あたかも近しいことあるいは、同義語としているものがありますが、これは全くの誤りであることになります。


つまり、疎水性コーティング(=撥水するコーティング)に対し、親水性コーティング(撥水しないコーティング)は、全く逆のものです。

水をはじくという意味で、疎水性と撥水性は同じ意味ですが、コーティング業界では、撥水性と疎水性を微妙なニュアンスで使い分けていることもあります。くわしくは撥水=撥水性とは疎水の状態を表すをお読みください。

(参考リンク)当ブログの「撥水性」に関する参考記事
(参考リンク)親水性や撥水性との関連で気になるウォータースポット(イオンデポジット)に関するまとめ記事
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撥水、疎水、親水、滑水って何ですか?

巷にあふれるコーティングの状態を表す言葉で、「撥水」「疎水」「親水」「滑水」というものがあります。


ときには、「超」をつけて超撥水、超親水・・・なんて言うものもあります。個人的には、「超:チョー」がついた瞬間に、ちょっと眉をひそめてしまうのですが(笑)。

いろいろな言葉で、商品の性質やコーティング表面の仕上がりの状態を表しているもの考えられますが、私自身も混乱気味ですので、次回記事からそれぞれの定義をおさらいしてみたいと思います。



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2013-10-19

ポリシラザンについて ~ガラスコーティング剤として~

ポリシラザン系ガラスコーティング剤について、ご質問をいただくことがあります。

十数年前、初期の
車ボディ保護用ガラスコーティングとして普及したものが「ポリシラザン」です。ガラスコーティングのルーツとも言えるポリシラザンについて整理してみましょう。



ポリシラザンのルーツ

カーボディコーティング剤におけるポリシラザンは、パーヒドロポリシラザンまたは、ペルヒドロポリシラザン(PHPS:Perhydropolysilazane)などと呼ばれているようです。これは、もともと半導体シリコンウェハを製造する際に、シリコンウェハ表面を疎水性に改質することで、水分除去やフォトレジストの密着を高めるプライマー用途として広まった表面処理剤です。


ポリシラザンとは

ポリシラザンは、シランの一種で、ケイ素=シリコン(Si)・窒素(N)・活性水素基と化学結合する反応基を持つ化合物です。

ポリシラザンは、空気中の水分と反応してシリル基が導入され、塩基性のアンモニアを発生させながら、縮合してSiO2のガラス状被膜(非晶質=結晶ではない)を形成するものです。

ポリシラザンは、比較的高分子量ポリマーであるため、ガラスコーティング剤として使用する場合、大量の有機溶剤に溶かし込んで使用する必要があります。

ポリシラザンには大きく分けて、
「パーヒドロ-ポリシラザン」と「オルガノ-ポリシラザン」があります。

パーヒドロポリシラザンは無機被膜を形成します。この無機被膜タイプは古くから商品化されていますが、さらに被膜性能を高め、高機能化させた無機有機ハイブリッド被膜を形成するオルガノポリシラザンも考えられます。

しかし、ポリシラザンの縮合反応が急激であり取扱がしにくいため、オルガノポリシラザンは実用商品化がなされていません。


※.アルキルシラン類は、アルキル基と無機材料あるいは有機材料などの活性水素基と化学結合を持つ、クロロシラン、シラザン、アルコキシシランの化合物です。



ポリシラザンを原料とするガラスコーティング剤として

ガラスコーティング剤としてポリシラザンを原料とする場合は、ほとんどが溶剤であり、ガラス化するケイ素(Si)の含有量が非常に少なくなります。仮に溶剤で薄めないと、ペンキなどの塗料と同様にベタベタで、きれいに塗布することができません。

ポリシラザンは反応性が急激であり制御が困難であるため、手塗りではきれいに仕上げることがほぼ不可能です。必然的にスプレーガンで噴霧・塗布する必要があり、塗布作業が煩雑かつ熟練を要することと、気化した引火性の有害な有機溶剤排気など設備コストや作業コストへの影響が大きくなります。


ポリシラザンは、水酸基(ヒドロキシ基:-OH)と反応して硬化するためアルコールや水などの安全性の高い溶剤を使用することができず、キシレンやトルエン、ミネラルターベンなどいわゆるシンナー類を溶剤とする必要があります。

キシレンやトルエンなどは有機溶剤であり、人体や地球環境に対して有害であるばかりではなく、塗装にもダメージを与える可能性があります。現在は地球環境負荷を低減させるため、自動車塗装でも低VOC(低揮発性有機化合物)化が進められております。


ポリシラザンは被膜の硬度(硬さ)が高いために非常にもろく、膜厚を極限までに薄くする必要があります。実際には1μm以下の非常に薄い膜でないとクラックが発生し、コーティング被膜自体の細かいひび割れのため、被膜自体が濁ってしまいます。

ガラスコーティングの硬度については下記をご覧ください。


    膜厚が1μm以下では、犠牲被膜として細かなキズにも耐えきれるのか疑問が残るところもあります。

    以上のように、クリーンルームなど環境の整った半導体工場の中での一時的なコーティング剤としてはポリシラザンは優れたものでした。

    ポリシラザンを応用した十数年~二十年前、当時の自動車ボディ用途のガラスコーティング剤は、ポリシラザン以外には選択肢もなく、パイオニア的な原料としてポリシラザンが応用され、当時としては画期的なガラス状被膜を形成するものとして普及したものです。


    パーヒドロポリシラザン:PHPSは、無機ガラス被膜を形成し、表面は親水性の水酸基に覆われるため、車用コーティングとしては、無機物汚れ(ウォータースポット・イオンデポジット)が固着しやすく、親水性表面を一時的に発現しますが、すぐに撥水化してしまう欠点があります。



    ポリシラザンに代わるガラスコーティング

    現在では、ポリシラザンでは実用商品化できなかった、高機能化:無機有機ハイブリッド化が実現できるアルキルシラン系の高機能・高性能ガラスコーティング剤が多種類開発されております。

    毒性の少ないアルコール系溶剤を使用できるようにした「オルガノポリシロキサン」や、さらに低分子化してサラサラの液体とし、反応性を制御することで取扱いがしやすく、クラックが発生しないように硬度を調整できるもの「低分子シラン」があります。

    これらの新しいタイプのガラスコーティング剤:低分子シランは、高度な生産技術により、溶剤を全く使用しない「無溶剤化」した、つまりガラス化成分ケイ素(Si)の濃度を極限まで高め、さらに分子構造を最適化することで、膜厚を厚膜化したり無機物汚れとなるウォータースポット(イオンデポジット)の固着を低減する分子配向を制御(官能基で分子末端を封鎖)したものが、開発・商品化されております。
     

     弊社が採用している新世代・低分子シランによる
    をご覧ください。



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    2013-10-13

    汚いスマートフォンを抗菌コーティングでリフレッシュ

    大腸菌で汚れたスマホや携帯、タブレットを安心安全なグレーブフルーツ由来の抗菌コーティング剤で、リフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

    (参考)汚いスマホのはなしはコチラから。

    キラサクは人体はもちろん、スマートフォンなどの電子機器にも優しい抗菌剤を用い、シリコーンコーティングはしっかりとスマホ画面などに定着させて、清潔な状態を保ち続けます。

    抗菌コーティング剤として、天然抗菌成分(グレープフルーツ種子抽出エキス)を採用する理由を、下記参考のように方式比較としてまとめております。

    (参考)抗菌コーティング方式比較について


    抗菌コーティング剤「ブルーラベル」のスペシャルサイトはコチラです。
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    スマホは病原菌の温床!~抗菌コーティングで対策しましょう~

    スマートフォンや携帯電話、タブレットなどは大腸菌で汚れているそうです。 ショッキングな内容ですね!

    以下は2012年10月末ウォール・ストリート・ジャーナル(全米で発行部数第1位の日刊紙)のウェブ版に掲載された記事の抜粋です。

    スマホは病原菌の温床、

    異常な数のふん便性大腸菌群が付着

    題の指摘
    ●米家庭医学会AAFP ジェフリー・ケイン会長
    携帯電話に付着したバクテリアはインフルエンザや流行性結膜炎、下痢などの原因になる。 

    ●サウスカロライナ医科大学 マイケル・シュミット教授(微生物学・免疫学)
    「われわれはこの小さな生き物にエサを与えている」とし、「(タッチ画面の)あぶらっこい汚れは誰もが見ている。あぶらがあるところには、微生物がいる」

    ●ウォール・ストリート・ジャーナルのシカゴ支局で8台の携帯電話を調べてみた
    すべての携帯電話から異常な数のふん便性大腸菌群が見つかった。検査はインディアナ州マンシーのHML研究室で行われたが、8台の携帯電話には約2700~4200ユニットの大腸菌群が付着していた。飲用水で上限とされる大腸菌群は100ミリリットル当たり1ユニット未満だ。
    対策
    ●アルコールが最も効果的
    その後HML研究室は水、アルコール、市販のガラス用洗剤と電子機器用拭きとり布の4種類のクリーニング方法を試みた。最も効果があったのはアルコールだった。ほぼ100%の細菌類を撃退した。この4つのなかでは、ただの水が最も効果がなかった。
    だがしかし
    ●アルコールや洗剤の使用は避けるべき
    携帯電話メーカーは、大半の家庭用洗剤について、使用を控えるよう注意を与えている。アップルの広報担当者は記者に取扱説明書を見せた。そこにははっきりと「ガラス用洗剤、家財用洗剤、エアゾールスプレー、シンナー、アルコール、アンモニア、研磨剤」の使用を禁ずると書いてある。「ブラックベリー」のアドバイスも似たようなものだ。

    出典:ウォール・ストリート・ジャーナル

    汚いスマートフォンは、抗菌コーティングでリフレッシュしませんか!→抗菌コーティングの比較はコチラ
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    2013-10-10

    虫の死骸と鳥の糞 洗車・コーティング

    夏の夜、クルマのヘッドライトに吸い寄せられる虫。出合い頭にぶつかって、虫には気の毒な気もしますが、死骸がべったり付着し、その後はカペカペに乾燥して見た目も汚い。
    洗車して気持ちの良いピカピカの愛車に、にっくき鳥の糞害バクダン...

    どちらも、見た目を損なうこと満点なイヤーな汚れですね。

    それもそのはず、実は「虫の死骸」や「鳥の糞」は、生体由来のタンパク質接着性物質と汚れ物質が合体した頑固にこびりつくかなりの厄介者なのです。

     

    虫の死骸の汚れ成分

    虫は生き物ですので生物細胞の集合体です。
    その細胞はアミノ酸=タンパク質やリン酸などから構成
    されています。

    生物は多種類のアミノ酸から構成されています。アミノ酸はその種類によって、アルカリ性のもの、中性のもの、酸性のものがあります。このアミノ酸由来の物質の、塗装や窓ガラスに対しての作用は、それほど強いものではないと思われます。

    しかし、リン酸は太陽熱で加熱されることで脱水濃縮化され、強い酸となって塗装を腐食することも考えられます。リン酸は腐食性を持つ酸で、濃度が高まるにつれ強い腐食性を持ちます。



    鳥の糞の汚れ成分

    鳥の糞は、文字通り鳥が排泄する分泌物なわけですが、なにしろ生体から発するもので様々な化学物質から構成されています。特に注目すべきは尿酸です。尿酸は、タンパク質代謝における最終産物である窒素化合物で、排泄物として体外に出されます。

    尿酸は非水溶性であるため白く結晶化します。鳥類の糞の白い部分は、糞ではなく尿であり、尿酸が結晶化したものです。
    尿酸の結晶は、水には溶けにくいもので、アルコールやエーテルにも溶けません。水の場合は温度が高い方がよく溶けます。



    虫の死骸と鳥の糞がこびりつくワケ

    虫の死骸、鳥の糞と生体由来であるため、どちらにも共通していえることですが、タンパク質が豊富に含まれています。

    タンパク質はアミノ酸がペプチド結合でつながる高分子であるため、水素結合などの2次結合力が働きやすく、にかわのような接着(粘着)性を持ちます。

    このように、虫の死骸と鳥の糞自体が接着性を持つために、クルマの塗装にベッタリとこびりついて落とし難くなるものと考えられます。



    虫の死骸と鳥の糞の落とし方(洗車)

    虫の死骸と鳥の糞とも固着してしまった場合は、上記のようにタンパク質が「にかわ状」の接着剤となっています。このため、このにかわ状接着剤を溶かす必要がありますので、ゆっくりと焦らずに水分を含ませることで溶解する必要があります。

    暑い日は水をかけてもすぐに乾燥してしまいますので、濡れタオルで汚れ部分を覆うようにして、ふやかすように柔らかくしてから、水をかけながら優しく洗い流す必要があります。

    特に鳥の糞は、焦ってこすったりしないでください。
    尿酸が白い結晶になっています。この結晶は水にも溶けにくいので、尿酸結晶と塗装をくっつけるバインダとなっている接着性タンパク質をふやかしてから、優しく洗い流すようにしてください。
    強くこすると硬い結晶がクルマの塗装とこすれて傷つきの原因となることがあります。



    汚れの固着・酸化や傷つきの予防対策、コーティング

    汚れの固着予防には、表面自由エネルギーが小さいため、他の物質と接する表面積がミクロな分子レベルで小さくなるシリコーンコーティングやフッ素コーティングを施してください。
    (参考)「表面自由エネルギー」関連記事

    また、硬い被膜を形成するガラスコーティングは細かい傷つきからガードします。

    (参考)「硬い被膜」関連記事

    虫の死骸に含まれるリン酸による酸化からは、シリコーンコーティングやガラスコーティングで効果的にバリアしてください。

    (参考) 「シリコーンコーティング」「ガラスコーティング」関連記事

    車の汚れの中でも最も厄介な「ウォータースポット(イオンデポジット)」に関する原因と除去方法や、コーティングによるウォータースポット(イオンデポジット)予防とバリアについてくわしく説明しています。
    (参考)ウォータースポット(イオンデポジット)とは 

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    2013-10-08

    コーティングとワックスの違い

    新車の輝きを長く保つためには、ワックスやコーティング剤によるお手入れが必要であることは言うまでもありません。 

    それでは、コーティングとワックスにはどのような違いがあるのでしょうか。 


    コーティングやワックスの役割

    クルマには土、泥、チリ、ホコリ、砂、海水の飛沫、排気ガス、工場の排煙・排気、さまざまな金属や化学物質の飛散物などが付着します。

    きれいに洗車しても、水道水のミネラルや雨水に含まれる酸性物質(酸性雨)や、空気のきれいなところでも、強烈な紫外線を含む日光や太陽熱などにさらされます。

    これらは車のボディの見た目が汚いだけではなく、ウォータースポット(イオンデポジット)を発生させる原因ともなり、洗車をしてもどことなく艶がなくなり、美観を損なう原因となります。

    汚れを除去しやすく し、塗装面の劣化を防ぐためにあらかじめ保護膜を作るのがワックスやコーティング剤です。

    ワックスやコーティングは汚れを一旦引き受け、塗装に汚れが付着することを防ぎ、透明な薄い被膜が細かな塗装面の凹凸に入り込み平滑化するため、光の乱反射を減少させ輝きのあるムラのないツヤが出すことができます。


    コーティングとワックスの違い

    ここまでは、ワックスやコーティングの一般的な役割のおはなしでしたが、具体的にワックスとコーティングにはどのような違いがあるのでしょうか?

    カーワックスの主成分は炭化水素やカルボン酸といった有機物の油であり、カルナバワックス(カルナバロウ)のような天然物やパラフィンを合成したものです。

    このカーワックスは、酸化や紫外線劣化しやすい有機物の油であるため、ワックス自体が酸化や劣化することにより、黒ずんだ水垢のようになって、保護被膜そのものが汚れてしまうものなのです。

    このワックス(油分)が塗装面に残存している間が、ワックスの有効期間です。ワックスは、塗装面の温度上昇により加速度的な分解劣化が発生しやすいものでもあります。

    ですからカーワックスは、古く酸化した被膜を除去することと洗車とワックスがけをこまめにおこなう必要があるのです。
    ワックスは、このような作業をこまめに継続的にできる場合には、天然カルナバロウ独特のツヤや光沢を維持することができる特徴があります。

    一方、現在のコーティングはシリコーンを原料としたものが多く、シリコーン独特の構造に由来する、下記のような機能性を向上させたものが「シリコーンコーティング」です。

    【コーティングによる機能性の向上】 

    防汚:汚れがつきにくい、汚れを落としやすい
    保護:酸やアルカリ・油などをバリアする
    耐久:被膜の寿命が長い、被膜の酸化劣化が少ない
    美観:表面を平滑化し、光の乱反射を防ぐ
    施工:誰でも簡単に施工ができ失敗がない
    安全:人体はもちろん、塗装やクルマ、環境への影響が小さく安全性が高い

    弊社のコーティング剤は、シリコーンレジンを主原料としております。シリコーンコーティングについてくわしくは下記の記事をあわせてご覧ください。
    シリコーンをコーティングに
    シリコーンレジンって何ですか?

    (参考) 
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